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何故私のタブレットがまた粉々に…最近直したばかりなのに。

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「ランド兄ちゃん…まだ引きずってんの?昨日の合コン…」
「うるせいやい。」
パァン!
ランド兄ちゃんはいつものボサボサ頭にツナギを着て昨日は綺麗に剃ってた髭が
もう少し伸び始めている。
裏庭で洗濯したシーツを干しながら不貞腐れ気味だ。

「大体、アイツ彼女居るくせに合コンに参加しやがって!!彼女にチクってやる!彼女の顔見たことないけどな!ふんっ!」
鼻息が荒い
どうやらその友達に狙っている娘をお持ち帰りされたらしい。
「その友達、彼女いるって嘘ついてんじゃないの?」
(もしくは2次元か)
「俺もそうかと思ったけどな!…残念ながらピンク髪のナイスバディなエロ娘らしい。」
「ランド兄ちゃん………多分その娘……………次元の壁超えられないんじゃないかな?」
「そう思いたい。ぐぅ!!(泣)」
「また、いい出会いがあるさ!」
「おう!ありがとな弟よ!(泣)」
ガシィッ!!!!
(やめて兄ちゃん!俺二つ折りケータイみたいになっちゃう!)

 

「ランド兄ちゃん。本気?」
「俺はいつも本気だ。」
ランド兄ちゃんと裏庭で話していたのは朝の出来事だった。
そして今。
「……………………立ち直り早くない?」
俺達は昨日合コンのあったバーの前に居る。
ランド兄ちゃんの朝、若干あった髭は剃られ
髪形もまとまっている。
服装もフォーマルだ。
「善は急げって言うだろ。案ずるより産むが易し。ってな!」
「急いては事を仕損じる。当たって砕けろ。」
俺はランド兄ちゃんを見ながら言った。
(日本のことわざ伝わってるのは何故?)

「…やめろよ。そんな目で見るなよぉ。」
「また、ダシに使われた俺の心境も察して戴きたいものですがー?」
「う、それはスマン。」
ランド兄ちゃんは昨日の今日で2日連続合コンに参加していたのだった。
「ほーら。遊んでこーい。」
「そんな、釣った魚を放流するみたいに言いやがって!!」
ガルルル…
俺は仕方がないのでフラフラ歩き出した。 


「居ない…よな…」
昨日ドリーと一緒にいた場所へ向かったが、当然誰も居なかった。
(どっかに面白そうなのあるかな…)
俺は来た道を帰ろうと振り向くと
「オべっ!」
「何やってんだワンコロ。」
俺の後ろに居たダスティの胸に顔面がぶつかった。
「イッテ………何かいい匂いがするのが腹立つわ…」
「あ?喧嘩売ってんのか。」
「おぅよ!俺はなぁ、お前の服にスタッズの様にフジツボをくっつけてやるんだかんな!!」
「なんて?…………いや、いい。何も言うな。お前丁度いいからついてこい。」
グイッ!と腹に腕が回る
「とか言いながら小脇に抱えるの止めてくれません?強制じゃないですか…俺の意志は?」
「んなもん必要ない。」
「ありますぅー。必要ですぅー。」
唇をつき出し抗議する。
ダスティは俺の顔をチラ見してこう言った。

「ぶっさ。」
(シンプル悪口ー!)



カンカンカン
古びた鉄製の階段を歩くダスティ
1室のドアを開ける
「おい。帰ったぞ」
(ダスティの部屋なのかな?他に誰か居る?)
「お、邪魔します…土足で大丈夫?」
(玄関で靴を脱ぎたくなるが区切りがないので迷う)
「どーぞ」
ダスティは中へ進み、誰かに話しかける
「おい。面白いもん落ちてたから土産に持ってきたぞ。いい加減しっかりしろよ」
「俺落ちてないんだけど…」
小声でダスティに文句を言う。
きっと聞こえてない。
中に少し入ると靴とズボンが見えた。
(あれ?この靴とズボン…見覚えが)

「…………リージュ…?」
そこにはゲッソリと頬がコケ 
髪はパサパサで真っ白になったリージュがいた。
「どうしたの?コレ」
「知らん。少し前急に来て、ずーとこの調子だ。正直迷惑だが帰りやしねぇ。」
ダスティは頭をガシガシかく。

「何かボソボソ言ってるがよくわからん。」
(確かに、口元が少し動いてる…けどちっさ!全然聞こえん!)
俺はリージュの足の間に入り耳を口元へ近づける。
「…ナゼ…………アノトキハ…タ…ナイ…ナゼ…」
俺は振り返るとダスティに向かって首を横に振った。
(手の施しようが有りません)
「…だよな。しょーがねぇ。」
ダスティは部屋奥に置いてあるタブレットを持ち上げ
「コレでぶっ叩くか。」
「ちょっ!暴力反対!!」
俺はリージュを庇うよう前から抱き締めた。
「目覚めるかもしれねーだろ」
「下手したら永眠だわ!!」
ダスティと俺はワーワー言い争う

「…………エデ?」
俺の胸でモゾリとリージュが動き出した。

「リージュ気がつい「エデ!!!貴方に聞いてほしい話が!!「うるせい。」

ガバッ!!おわっ!ブンッ!バキャッ!!!!

正気に戻ったリージュが
俺を押し倒してきたので驚いた。
そして俺の視線の先には
タブレットを持ったダスティが
リージュの頭を思いっきりぶん殴ったのだった。

バタン!!
倒れるリージュ。
粉々になったタブレット…
リージュの頭部からは血が流れている

「やった、やっちまったよ…」
殺人事件が目の前で起きてパニクる俺
「ダスティ自首しよう!俺付き添うから!」
「は?」
「大丈夫俺待ってるから!塀の外で待ってるから!」
「大丈夫だろ」
「何が大丈夫なのさ!友達?かは知らんが…同僚…でしょ?罪の意識ってのが…」 

「あたた……………あっ、血が出てるじゃないですか。やりすぎですよダスティ。」
頭を押さえて起き上がるリージュ

「ほらな。大丈夫だろ?」
「あれ、大丈夫なん?血がかなり出てるけど…」
「ああ、アイツ魔族の家系だから自己回復能力が異様に高いんだわ。あの位じゃあなんともねぇよ。」
「あっ、血がスーツにも!」
「むしろ大丈夫じゃねぇのはオレの部屋の床な。」
「た、確かに」
床は血をだいぶ吸っていた。



「んでワンコロに話って何だよ」

俺とダスティはベッドに横並びで腰掛けてる
リージュは対面のソファだ。

「いや、その…ダスティ、少し席を外して欲しいんだが…」
気まずそうにダスティを見るリージュ 

「オレの部屋なのに?オマエが勝手に来たのに?オレがワンコロ連れてきてやったのに、か?」
「ぐっ…」
リージュは眉を顰める。
そして俺をチラリと見る。
サッとその視界を遮るようにダスティが俺の前に顔を出す。
「何だよ。オレが居ちゃあまずいんか?…オマエらいつの間にそんな仲良くなったんだよ。オレだけ除け者にすんなよ。寂しいだろ?」
「いや、絶対思ってないじゃん。」
「うっせ。」
「…………分かりました。話しますよ…ダスティ」
リージュは根負けした。




「…………つまり…勃たないって事か。おつかれさん。また来世頑張れ。」
ダスティは心底興味が無さそうだ。

「勃たなくなった!です。以前は動作確認しましたから!ね!エデ!!」
「う、うん。確かに勃ってたよ!」


「…………おい待て。何故そこでワンコロが出てくる…」

「「あっ」」俺とリージュはハモった。

「どういう事だ?オマエら、まだオレに何か隠してんな…」 

「「いや…その…あの……………ねぇ?」」
俺達はハモりながら2人で目を合わせた


ドゴォッ!!!!!!
ダスティの拳がベッドの縁を叩く

「ぜ・ん・ぶ!吐け!全部だ!!!!!!」

そしてダスティは俺とリージュを床に正座させ俺達に詰め寄った

「「はい…話します」」

その後、リージュとシテしまった事を洗いざらい全て話した。
何回かダスティがリージュに掴みかかり中断したりしたから、かなり時間がかかった。

「大体は分かった。んで、なんで今更機能不全になったんだ」
ダスティの眉間の皺が凄い。
そして何故か俺はベッドに戻り
ダスティは俺の腰に手を回してガッチリホールドしてる。

「分かりません……わかってればこんなことになりませんよ」
心痛な声色のリージュ

「正直オマエが勃とうが勃たなかろうがそんなモン知らん。帰れ。」
「そんなこと言うなよダスティ。男にとって大事な事だろ?」
「オマエはもっと危機感を持て」

「ぐぇっ」ダスティに鼻を掴まれる

「はぁ…何が違うんだ?!エデの時は大丈夫だったのに…何が…」
「知らん帰れ」
「うーん…!血は?俺の時血出てたじゃん!アレからリージュおかしかったよ!」
「オカシイと分かってたなら逃げろ馬鹿!」
ぐっ!また鼻を掴まれる。

「…………違います。それは試しました。」

「「試したんかい」」

俺とダスティはハモった。
なかなかアブノーマルじゃない?合意だよね?

「血も駄目………他の人を相手にしても駄目………あっ!」

「もう一回エデと「「駄目だろ!!!!!!!!!!」」
すぱぁああん!!

俺とダスティは来客用スリッパで
リージュの頭をぶん殴った。




因みに、粉々になった凶器のタブレットはリージュの所持品だった。
「あ?オレの?液晶ヒビ割れてから使ってねーわ。どっかにはあんだろ」
と犯人のダスティは証言し
犯行理由は「何かムシャクシャしたから」だった。
タブレットに謝れ。
罰としてフジツボスタッズの刑に処す。

























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