鑑定能力で恩を返す

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第一章

鑑定士の実

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 サト達は1時間ほどゾルタン盗賊団の根城を捜索し、各々ある程度の戦利品を得ていた。 
 ジュリアンはクロスボウと《風の精シルフのスカーフ》。
 ヘンリーは水の魔石とメッキの剣。
 オーバンはカイトシールドに鋼の斧。
 アメリアはトパーズの原石と《真珠の首飾りパールネックレス》、《防衛の指輪プロテクションリング》。
 エレンは闇の魔石と《血の短剣ブラッディダガー》。
 ミネルバァもちゃっかりと白磁器のティーセットを持っていた。

「素晴らしい! このクロスボウには風の魔力付与がなされている! こいつはなかなかお目にかかれない魔弓だ!」

「ちぇ……水の魔石だけか。まぁ、これもそれなりの大きさだし、サトの話じゃ10万以上だからいいか」

「この鋼の斧は魔力付与などなくても業物だからな。かの有名なヤコポの作ともなれば俺のコレクションに相応しい」

「宝石は意外と少なかったにゃ……まぁ、このネックレスとリングで我慢するにゃ。それにしても、魔石とダガーなんて物騒な女にゃ」

「うるさいですよ。 このダガーも魔剣の一種、しかも闇属性ですから私に相応しいのです」

「おい、サト! このティーセットは間違いなく王宮御用達のアールグレーン工房の物なんだな!? 偽物だったら承知せんぞ!」

 縛って転がされている盗賊達を他所に各々が戦利品を自慢しあっている。
 ロンメルとサトはそれを苦笑しながら見ていた。
 その姿にアメリアが不思議そうに尋ねた。

「そういえば、ロンメル爺さんと旦那様は何も要らないのかにゃ?」

「いやいや、一応ちゃんと貰っておいたぞぃ」

「俺も。合間を見て探したよ」

 ロンメルはともかくサトのは嘘だ。
 サトは鑑定能力かんていスキルで一目見れば何が価値があるからすぐにわかる。
 それに何処に隠してあるかも。

「興味深いな。2人が何を見つけたか教えてくれないか?」

「僕も気になるぅ!」

「俺も」

 ジュリアン達3人が目を輝かせながら2人に迫ってきた。

「儂のは大したことないぞ? 銀の剣に回復薬、それと光の護符じゃな」

「げっ! 光の護符なんかあったの!? それって精神異常耐性向上でしょ? めちゃくちゃレア物じゃないかっ!」

「ぎ、銀の剣だと……くっ、無念!」

 ヘンリーとオーバンが悔しさに顔を歪ませる。

「さすがはロンメル爺さんだ。それで? サトは?」

「俺も大したことないですよ? 《龍撃槍ドラゴンスピア》、《自在盾フローティングシールドの指輪》、《防衛の指輪プロテクションリング》が2つと……」

「す、凄いな……さすがは鑑定士だ。どれも一流の……」

「あとはダイヤの指輪ですね。ちょっと大きいですよ」

「「「出たぁああああああああああ!」」」

 その場にいたサト以外の全員が声を上げた。
 サトの手には大小3つのダイヤが付いた指輪が握られていた。
 
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