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第一章
モテる男
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「これに価値はないですよ」
サトは冷たく言い放つとロングソードをヘンリーに返した。
「えええ! これ、新品みたいだし、たくさんあったから絶対良い値で売れると思ったのに……」
「それは最近、公都に出回ってるメッキの剣ですよ。あっ、出所を示す証拠ですから憲兵隊に彼らを突き出す時に一緒にお願いします」
「うへぇ、手間だけ増えるのかよ……」
「旦那様っ! これはどうかにゃ!? 綺麗な石で宝石みたいにゃ! 私の結婚指輪にどうかにゃ?」
ヘンリーが項垂れて去った後に、黄色い石を持ってアメリアがサトの元にやってきた。
「これは宝石か? どれどれ」
サトはアメリアから受け取った石を見る。
すると、脳裏に言葉が浮かんできた。
トパーズ
トパーズの原石。
3カラット 相場50000ルーク。
「宝石の原石ですね。質もいいし、宝石を取り扱ってる大店の商店なら50000以上で買ってくれますよ」
「むぅ、悪くはないけど50000は安いにゃ……もうちょっと探してくるにゃ!」
トパーズをしっかりポケットに仕舞ってからアメリアはまた戻って行った。
彼女達は今、宝探しの真っ最中なのである。
ゾルタン率いる20人の盗賊団がサト達に襲いかかったが、相手が悪かった。
アメリアがイヤらしい目つきと手つきをしていたゾルタンを一撃で殴り飛ばして気絶させ、浮き足だった子分達はエレンの《ルーンロープ》の魔法により、一人残らず簀巻き状態され、呆気なく戦闘は終わった。
その後、ジュリアン達が泥濘んでいる周辺を調べると草花が伸びていた場所に地下へ降りる入り口があった。
奴らはダンジョンの地下を掘ってダンジョン内に洞窟を造るという奇想天外な方法で根城を作っていたのだ。
泥濘んだ地面は定期的に水魔法で泥濘ませ、それを周知させるために団員を派手に泥濘ませ、ハンター達が近づかないようにしていた。
「まったく。恐ろしく悪知恵の働く奴だ。ダンジョンに洞窟を掘るなど普通思いつかんぞ? まぁ、捕まってしまえばそれまでだがな。そうそう、我々にはここにある盗品を所有者に返す義務はない。報酬の上乗せだ。好きに持って帰って構わん」
ミネルバァのその発言で全員が洞窟内にある宝物を漁っているのだ。
ダンジョン改はダンジョン内に異変が起こっていないかを調べる事、それと犯罪者拿捕又は討伐であって、盗品の回収は任務に含まれていない。
よって、発見者が取得したとしても問題はない。
もし、被害者が盗られた物を返してほしければ発見者と交渉して返してもらうか買取るかするようになっている。
しかし、盗品と言ってもそれなりに数がある。
なるべく価値の高い物を沢山持って帰りたい者達はサトとロンメルに鑑定を依頼しに持ってきているのだ。
「ふむ、現場で鑑定とは意外に便利だな。効率良く成果を上げられるし、運搬にも便利だ。これは一考の余地があるな」
「確かにね。僕もさっき要らない物持って帰るとこだったし、助かったよ」
「戦闘力さえ備わってれば、鑑定士の同行は助かる」
「いや、それほどでも……」
賞賛の声に照れながらと応えようと口を開いたサトだったが……。
「どうだい? また一緒に行かないか? ロンメル爺さん」
自分じゃないとわかって慌てて口をつぐむサト。
今度はサトが複雑な心境を味わった。
サトは冷たく言い放つとロングソードをヘンリーに返した。
「えええ! これ、新品みたいだし、たくさんあったから絶対良い値で売れると思ったのに……」
「それは最近、公都に出回ってるメッキの剣ですよ。あっ、出所を示す証拠ですから憲兵隊に彼らを突き出す時に一緒にお願いします」
「うへぇ、手間だけ増えるのかよ……」
「旦那様っ! これはどうかにゃ!? 綺麗な石で宝石みたいにゃ! 私の結婚指輪にどうかにゃ?」
ヘンリーが項垂れて去った後に、黄色い石を持ってアメリアがサトの元にやってきた。
「これは宝石か? どれどれ」
サトはアメリアから受け取った石を見る。
すると、脳裏に言葉が浮かんできた。
トパーズ
トパーズの原石。
3カラット 相場50000ルーク。
「宝石の原石ですね。質もいいし、宝石を取り扱ってる大店の商店なら50000以上で買ってくれますよ」
「むぅ、悪くはないけど50000は安いにゃ……もうちょっと探してくるにゃ!」
トパーズをしっかりポケットに仕舞ってからアメリアはまた戻って行った。
彼女達は今、宝探しの真っ最中なのである。
ゾルタン率いる20人の盗賊団がサト達に襲いかかったが、相手が悪かった。
アメリアがイヤらしい目つきと手つきをしていたゾルタンを一撃で殴り飛ばして気絶させ、浮き足だった子分達はエレンの《ルーンロープ》の魔法により、一人残らず簀巻き状態され、呆気なく戦闘は終わった。
その後、ジュリアン達が泥濘んでいる周辺を調べると草花が伸びていた場所に地下へ降りる入り口があった。
奴らはダンジョンの地下を掘ってダンジョン内に洞窟を造るという奇想天外な方法で根城を作っていたのだ。
泥濘んだ地面は定期的に水魔法で泥濘ませ、それを周知させるために団員を派手に泥濘ませ、ハンター達が近づかないようにしていた。
「まったく。恐ろしく悪知恵の働く奴だ。ダンジョンに洞窟を掘るなど普通思いつかんぞ? まぁ、捕まってしまえばそれまでだがな。そうそう、我々にはここにある盗品を所有者に返す義務はない。報酬の上乗せだ。好きに持って帰って構わん」
ミネルバァのその発言で全員が洞窟内にある宝物を漁っているのだ。
ダンジョン改はダンジョン内に異変が起こっていないかを調べる事、それと犯罪者拿捕又は討伐であって、盗品の回収は任務に含まれていない。
よって、発見者が取得したとしても問題はない。
もし、被害者が盗られた物を返してほしければ発見者と交渉して返してもらうか買取るかするようになっている。
しかし、盗品と言ってもそれなりに数がある。
なるべく価値の高い物を沢山持って帰りたい者達はサトとロンメルに鑑定を依頼しに持ってきているのだ。
「ふむ、現場で鑑定とは意外に便利だな。効率良く成果を上げられるし、運搬にも便利だ。これは一考の余地があるな」
「確かにね。僕もさっき要らない物持って帰るとこだったし、助かったよ」
「戦闘力さえ備わってれば、鑑定士の同行は助かる」
「いや、それほどでも……」
賞賛の声に照れながらと応えようと口を開いたサトだったが……。
「どうだい? また一緒に行かないか? ロンメル爺さん」
自分じゃないとわかって慌てて口をつぐむサト。
今度はサトが複雑な心境を味わった。
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