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第三章
ミノタウロスとバードマン④
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奥さん……浮気してるんじゃないか?
ハウデルって奥さんに対してはすごく優しそうだけど、他には厳しいからなぁ。
ハウデルに恨みを持つ奴が、仕返しのために奥さんを寝取ってしまい、奥さんはまんまとその間男に堕とされてしまった……っていう可能性もあるな。
もし、そうだとしたらハウデルは怒り狂って、それこそ明日からツヴァイの街はハウデルによる一斉間男摘発作戦が実行されるだろう。
そして、間男が捕まるまでツヴァイに平和が訪れる事は無くなるのだ。
うーん、デンジャラス!
「おい、リョウ。何を考えている? まさか、何か知っている事があるのか!?」
「えっ? あ、いや……別に何もないよ」
「本当か? もし、何か隠しているのなら……」
「よせ。ハウデル。焦り過ぎだ。考えてもみろ。リョウはヴィナスに会った事もないんだぞ?」
「むっ……す、すまん。あらぬ疑いをかけてしまった。しかし、本当に何かわかる事があったらどんな些細な事でもいい。言ってくれ」
「あ、あぁ……でも、すまん。本当に何も思いつかないんだ」
「そうか」
ハウデルは肩を落としたままグラスに残った酒を一気に呷った。
こいつ、本当に悩んでるんだな。
でも、悪いけどこの件に関して俺が力になれる事はない。
そもそも夫婦の問題に答えを出してやれる程俺は女性に詳しくないんだ。
もし、俺が夫婦に対してできる事があるとすれば別の問題の時だな。
「まぁ、もし奥さんが食欲がないとか酸っぱい物が欲しいとかいう事があったら言ってくれ」
「何? お前、何故それを知ってるんだ?」
「ん? 知ってるって何が?」
「さっきのそれだ。妻は食欲がないし、最近は酸い物を欲しがる傾向にあるんだ。それを何故お前が知っているんだ?」
ハウデルの目が鋭くなって俺を捉えて離さない。
いや、そんな事はどうでもいい。
えっ? 奥さんその状況にあるって事?
じゃあ、今さっきまでの話って……
「はぁああああああああああああっ!?」
「な、何だっ!? 急に変な声をあげおって! リョウ、やはりお前何か知って……」
「馬鹿野郎! こんなとこで何やってんだよ! ハウデル! さっさと帰れ!」
「うっ……な、なんだと……?」
俺の気迫にハウデルは戸惑いを隠せないようだが、それよりもこのアホは全然気づいとらんみたいだな!
ったく、しょうのない奴だ!
「この朴念仁っ! お前、しっかりせぇや!」
「だから何だと言うのだ!? 急に怒鳴りおって! どういう意味か説明しろ!」
「奥さんは妊娠してんだよ! 子どもが出来たの! 奥さんは悪阻で体調が悪くて家事が出来なくなってたんだ!」
俺の言葉ハウデルは思考が停止したかのように固まった。
こいつ、子供ができたとは全く考えてなかったみたいだな!
「に、にんし……子ども……だと?」
「そうだよ。妊娠してから一ヶ月くらい経つと悪阻って症状が出るんだ。奥さんがご飯が作れないのは匂いに敏感になってたり、吐き気があるからだろう。家事が出来ないのも眠気があったり頭痛があるからだろうよ」
俺も正確な知識があるわけじゃないから正しいかどうかはわからないけど、職場て妊娠してた人がそんな事を言っていたから、大体合ってるだろう。
まぁ、その人は『旦那が何もしてくれない!』って怒ってたけどね。
「お、俺にこ、子どもだと……? 俺が親になるのか?」
「そうだよ! 何やってんだよ! 早く帰ってやれ! 今はとにかく奥さんの側にいてあげるべきだ!」
「お、おう! わかった!」
慌てているのかハウデルは転んだり躓いたりしながら、文字通り部屋を飛び出して行った。
あんな調子で大丈夫なのか?
何か心配になってきたぞ。
ああ! もう! しょうがないなぁ!
「オルテガ! いつまで食って飲んでんだよ! 俺達もハウデルの家に行くぞ!」
「なにっ!? ま、待て! まだ飯が残って……」
「うるさい! もうこの時間は門が閉まってるからギルドマスターのお前がいないと開けてもらえないんだよ! ほら、さっさと行く!」
「そんな後生だ! せめて残った酒だけでも……」
「しつこい! ほら、行くぞ!」
オルテガを強引に引きずって、俺はハウデルの後を追いかけた。
ハウデルって奥さんに対してはすごく優しそうだけど、他には厳しいからなぁ。
ハウデルに恨みを持つ奴が、仕返しのために奥さんを寝取ってしまい、奥さんはまんまとその間男に堕とされてしまった……っていう可能性もあるな。
もし、そうだとしたらハウデルは怒り狂って、それこそ明日からツヴァイの街はハウデルによる一斉間男摘発作戦が実行されるだろう。
そして、間男が捕まるまでツヴァイに平和が訪れる事は無くなるのだ。
うーん、デンジャラス!
「おい、リョウ。何を考えている? まさか、何か知っている事があるのか!?」
「えっ? あ、いや……別に何もないよ」
「本当か? もし、何か隠しているのなら……」
「よせ。ハウデル。焦り過ぎだ。考えてもみろ。リョウはヴィナスに会った事もないんだぞ?」
「むっ……す、すまん。あらぬ疑いをかけてしまった。しかし、本当に何かわかる事があったらどんな些細な事でもいい。言ってくれ」
「あ、あぁ……でも、すまん。本当に何も思いつかないんだ」
「そうか」
ハウデルは肩を落としたままグラスに残った酒を一気に呷った。
こいつ、本当に悩んでるんだな。
でも、悪いけどこの件に関して俺が力になれる事はない。
そもそも夫婦の問題に答えを出してやれる程俺は女性に詳しくないんだ。
もし、俺が夫婦に対してできる事があるとすれば別の問題の時だな。
「まぁ、もし奥さんが食欲がないとか酸っぱい物が欲しいとかいう事があったら言ってくれ」
「何? お前、何故それを知ってるんだ?」
「ん? 知ってるって何が?」
「さっきのそれだ。妻は食欲がないし、最近は酸い物を欲しがる傾向にあるんだ。それを何故お前が知っているんだ?」
ハウデルの目が鋭くなって俺を捉えて離さない。
いや、そんな事はどうでもいい。
えっ? 奥さんその状況にあるって事?
じゃあ、今さっきまでの話って……
「はぁああああああああああああっ!?」
「な、何だっ!? 急に変な声をあげおって! リョウ、やはりお前何か知って……」
「馬鹿野郎! こんなとこで何やってんだよ! ハウデル! さっさと帰れ!」
「うっ……な、なんだと……?」
俺の気迫にハウデルは戸惑いを隠せないようだが、それよりもこのアホは全然気づいとらんみたいだな!
ったく、しょうのない奴だ!
「この朴念仁っ! お前、しっかりせぇや!」
「だから何だと言うのだ!? 急に怒鳴りおって! どういう意味か説明しろ!」
「奥さんは妊娠してんだよ! 子どもが出来たの! 奥さんは悪阻で体調が悪くて家事が出来なくなってたんだ!」
俺の言葉ハウデルは思考が停止したかのように固まった。
こいつ、子供ができたとは全く考えてなかったみたいだな!
「に、にんし……子ども……だと?」
「そうだよ。妊娠してから一ヶ月くらい経つと悪阻って症状が出るんだ。奥さんがご飯が作れないのは匂いに敏感になってたり、吐き気があるからだろう。家事が出来ないのも眠気があったり頭痛があるからだろうよ」
俺も正確な知識があるわけじゃないから正しいかどうかはわからないけど、職場て妊娠してた人がそんな事を言っていたから、大体合ってるだろう。
まぁ、その人は『旦那が何もしてくれない!』って怒ってたけどね。
「お、俺にこ、子どもだと……? 俺が親になるのか?」
「そうだよ! 何やってんだよ! 早く帰ってやれ! 今はとにかく奥さんの側にいてあげるべきだ!」
「お、おう! わかった!」
慌てているのかハウデルは転んだり躓いたりしながら、文字通り部屋を飛び出して行った。
あんな調子で大丈夫なのか?
何か心配になってきたぞ。
ああ! もう! しょうがないなぁ!
「オルテガ! いつまで食って飲んでんだよ! 俺達もハウデルの家に行くぞ!」
「なにっ!? ま、待て! まだ飯が残って……」
「うるさい! もうこの時間は門が閉まってるからギルドマスターのお前がいないと開けてもらえないんだよ! ほら、さっさと行く!」
「そんな後生だ! せめて残った酒だけでも……」
「しつこい! ほら、行くぞ!」
オルテガを強引に引きずって、俺はハウデルの後を追いかけた。
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