90 / 103
第二章
異世界人⑫
しおりを挟む
「素晴らしい!」
テーブルの上に並べられた料理を前にして、アルのテンションは最高に上がっている。
俺の悪い予感は見事に当たっていて、アルが此処に来たのは料理が目的だった。
それも屋敷で食べた肉じゃがが気に入ったのか、これまで食べた事も見た事もない異世界の料理を御所望だとさ。
また面倒な事になりそうだから嫌だったんだけど、相手は領主様だし、険しい山道を通って山小屋まで来たから空腹だと言われてしまっては断る事ができなくて、作れる範囲の料理を作ってしまった。
くっ……自分の甘さが恨めしい。
「これが異世界の料理か! 本当に見た事のない料理ばかりだ! だが、見ただけで美味いのはわかるぞ!」
そんな事があるか?
美食の道でも極めてるのだろうか?
おっと、そんな事よりさっさと食べて帰ってもらおう。
俺はさっさと休みたいんだ。
「飲み物は何にします?」
「ん? そうか。忘れていたな。何があるのだ?」
「酒以外は水しかないです」
「ふむ。なら、何か珍しい物も頼みたい」
また珍しい物か。
まぁ、そうなるとこっちの世界ではまだ作られてないワインを蒸留したブランデーでいいだろう。
「では、こちらをどうぞ」
「ほぅ、良い香りだ。これは何だ?」
「ワインを蒸留した酒です。少しキツめですので、少しずつ味わって飲んでください」
「蒸留とは何だ?」
あれ? そうか。
ブランデーがないって事は蒸留技術自体が無いのか。
うーん、説明が難しいな。
俺もそんなに詳しいわけじゃないんだけど。
「えっと、簡単に言うと酒の強さを増すための技法です」
「ほぅ。そんな技法があるのか。さすが異世界だな」
液体を加熱して気体にしてから冷却して、再び液体に戻す事を蒸留と言うのは知ってるけど、それしか知らないんだよなぁ。
酒で言うと気体化したアルコール成分を液体に戻す事で、アルコール度数の高めるらしいけど、どういう仕組みでそうなるかまではわからない。
まぁ俺の拙い説明でもアルには関係なかったようだけどね。
その証拠に俺の出したブランデーに釘付けになっている。
「これがブランデーか。何とも香りが良い。この琥珀色も実に美しい」
ちなみに蒸留したてのブランデーは無色透明だそうだ。
それを樽に入れて熟成させる事で琥珀色に変わるらしい。
ちなみに俺は樽に入れて【調整】と【鑑定】の力によって熟成させている。
何でかって言うと蒸留したてのブランデーはアルコール度数が70を超えていたからだ。
つまりブランデーを作るには【蒸留】【調整】【鑑定】の3つの工程が必要だから、はっきり言って作るのは俺でも大変なんだ。
だから、本当はあんまり飲ませたくないんだよね。
「うん! これは素晴らしい! コクがあって、何より味わい深く香りが良い。このような上品な酒は初めてだ」
「気に入ってもらえたようで何よりです。でも、これも希少な物なので」
「むっ……まぁ、確かにそうだろうな。これだけの物がおいそれとあるとは思えん。料理と共にじっくり味わわせてもらおう」
そう言うとアルは料理に手をつけ始めた。
まぁ、今日は急だったから大したものはないんだけどね。
「美味い! この魚の味付け! これは誠に美味である!」
「それは煮付けです。味付けは肉じゃがに近いかと」
「おおおっ! この黄色いものはサクサクとしていて食感も面白く、揚げ物なのにふんわりと軽くて味もしっかりしている!」
「天ぷらと言います。つけているつゆのベースは肉じゃがと同じですよ」
アルはテーブルの上の料理を上品ながら次々と食べていった。
特に醤油の味が好きなようで和食を中心にどんどんと食べている。
うーん、そうなると合うのはブランデーじゃないよなぁ。
「アル。これも試してみるか?」
俺はグラスに注いだ透明な液体をアルに差し出した。
「水か? ちょうど良い。どれ……っ!? な、なんだ、これはっ!?」
口に含んだ瞬間、アルの目ん玉が面白いように見開いた。
あれ? 口に合わなかったか?
「リョ、リョウ! お前、私に何を飲ませた!?」
「何って、龍酒だよ。和食が好きみたいだから、合うのはこっちかと思って」
「なっ……ば、馬鹿者! 幻の酒と言われている龍酒をこんなあっさりと出す奴があるか!」
「不味かったか?」
「美味かったに決まってるだろ! なんだ、これは! 清流を思わせる瑞々しさと、クセがなくキレのある味わいに果物のような爽やかな香りが……ええい! まどろっこしい! とにかく美味いのだ! こんなに素晴らしい物は飲んだことがないわ!」
怒ってるのか喜んでいるのかわからないけど、とりあえず美味かったのならいいか。
それにしてもクールで気品漂う領主様だと思っていたけど、今の姿は意外と可愛い。
俺としてはこっちの方が好みだな。
「お前、こんな物を出して……何が望みだ? 金か? 名誉か?」
「どれも必要ないよ。アルの可愛らしい一面が見れただけで十分だ」
「なっ!?」
あっ……しまった。
つい油断して領主様って事を忘れて軽口を叩いてしまった。
なんかめっちゃ複雑な顔で見つめられてる。
「私に可愛いなどとよく言えたものだ。怖いもの知らずとはお前の事を言うのだろうな」
「失礼しました。どうかお許しを」
「よせ。頭を上げろ。ここにいるのはただのアルだ。我々に身分の差などない。今はな」
そう言うとアルはにっこりと笑って人差し指を唇の前に立てた。
内緒と言うわけか。
そうしてもらえると俺としても有り難い。
屋敷の使用人達に知られたら、どうなるか分かったもんじゃないからな。
「さて、随分と堪能させてもらった。今日はここらで帰るとしよう」
おっ、もう帰るのか?
まだ料理が残って……げっ! いつの間にか全部無くなってる!
魚の煮付けや天ぷら、肉じゃがに玉子焼きとか色々あったのに。
な、なんて胃袋だ。
「馳走になった。この借りは必ず返すからな」
「別に借りなんて……」
「そうはいかん。それに私は肉じゃがの褒美も忘れておらんからな」
そう言えば肉じゃがの褒美はまた今度とかって話になってたんだっけ?
別にいらないんだけどなぁ。
「しかし、このまま借りが溜まっていけばとんでもない褒美を与えねばならなくなるな。少々怖いな」
褒美って加算式だったのか?
でも大金なんて貰うと周りから狙われそうで怖いし、名誉なんてもっといらない。
のんびり生活できるようにしてもらえるだけでいいんだけどね。
「では、また来る。さらばだ」
「あっ、はい。お気をつけて……って、もういない」
アルは扉を開けると颯爽と闇の中に消えていった。
なんか急に来て急に帰って行ったな。
用事でも思い出したんだろうか?
まぁいいか。
また今度来た時に聞いてみれば……ん?
また来た時?
「あ、あいつ……帰り際に『また来る』って言ってなかったか? まさか、また此処に来るつもりか? お、おいおい! 冗談じゃないぞ! また此処に来る奴が増えたじゃないかぁああああああ!」
俺の悲鳴は静まり返る夜の山に響き渡って、そして消えて行った。
テーブルの上に並べられた料理を前にして、アルのテンションは最高に上がっている。
俺の悪い予感は見事に当たっていて、アルが此処に来たのは料理が目的だった。
それも屋敷で食べた肉じゃがが気に入ったのか、これまで食べた事も見た事もない異世界の料理を御所望だとさ。
また面倒な事になりそうだから嫌だったんだけど、相手は領主様だし、険しい山道を通って山小屋まで来たから空腹だと言われてしまっては断る事ができなくて、作れる範囲の料理を作ってしまった。
くっ……自分の甘さが恨めしい。
「これが異世界の料理か! 本当に見た事のない料理ばかりだ! だが、見ただけで美味いのはわかるぞ!」
そんな事があるか?
美食の道でも極めてるのだろうか?
おっと、そんな事よりさっさと食べて帰ってもらおう。
俺はさっさと休みたいんだ。
「飲み物は何にします?」
「ん? そうか。忘れていたな。何があるのだ?」
「酒以外は水しかないです」
「ふむ。なら、何か珍しい物も頼みたい」
また珍しい物か。
まぁ、そうなるとこっちの世界ではまだ作られてないワインを蒸留したブランデーでいいだろう。
「では、こちらをどうぞ」
「ほぅ、良い香りだ。これは何だ?」
「ワインを蒸留した酒です。少しキツめですので、少しずつ味わって飲んでください」
「蒸留とは何だ?」
あれ? そうか。
ブランデーがないって事は蒸留技術自体が無いのか。
うーん、説明が難しいな。
俺もそんなに詳しいわけじゃないんだけど。
「えっと、簡単に言うと酒の強さを増すための技法です」
「ほぅ。そんな技法があるのか。さすが異世界だな」
液体を加熱して気体にしてから冷却して、再び液体に戻す事を蒸留と言うのは知ってるけど、それしか知らないんだよなぁ。
酒で言うと気体化したアルコール成分を液体に戻す事で、アルコール度数の高めるらしいけど、どういう仕組みでそうなるかまではわからない。
まぁ俺の拙い説明でもアルには関係なかったようだけどね。
その証拠に俺の出したブランデーに釘付けになっている。
「これがブランデーか。何とも香りが良い。この琥珀色も実に美しい」
ちなみに蒸留したてのブランデーは無色透明だそうだ。
それを樽に入れて熟成させる事で琥珀色に変わるらしい。
ちなみに俺は樽に入れて【調整】と【鑑定】の力によって熟成させている。
何でかって言うと蒸留したてのブランデーはアルコール度数が70を超えていたからだ。
つまりブランデーを作るには【蒸留】【調整】【鑑定】の3つの工程が必要だから、はっきり言って作るのは俺でも大変なんだ。
だから、本当はあんまり飲ませたくないんだよね。
「うん! これは素晴らしい! コクがあって、何より味わい深く香りが良い。このような上品な酒は初めてだ」
「気に入ってもらえたようで何よりです。でも、これも希少な物なので」
「むっ……まぁ、確かにそうだろうな。これだけの物がおいそれとあるとは思えん。料理と共にじっくり味わわせてもらおう」
そう言うとアルは料理に手をつけ始めた。
まぁ、今日は急だったから大したものはないんだけどね。
「美味い! この魚の味付け! これは誠に美味である!」
「それは煮付けです。味付けは肉じゃがに近いかと」
「おおおっ! この黄色いものはサクサクとしていて食感も面白く、揚げ物なのにふんわりと軽くて味もしっかりしている!」
「天ぷらと言います。つけているつゆのベースは肉じゃがと同じですよ」
アルはテーブルの上の料理を上品ながら次々と食べていった。
特に醤油の味が好きなようで和食を中心にどんどんと食べている。
うーん、そうなると合うのはブランデーじゃないよなぁ。
「アル。これも試してみるか?」
俺はグラスに注いだ透明な液体をアルに差し出した。
「水か? ちょうど良い。どれ……っ!? な、なんだ、これはっ!?」
口に含んだ瞬間、アルの目ん玉が面白いように見開いた。
あれ? 口に合わなかったか?
「リョ、リョウ! お前、私に何を飲ませた!?」
「何って、龍酒だよ。和食が好きみたいだから、合うのはこっちかと思って」
「なっ……ば、馬鹿者! 幻の酒と言われている龍酒をこんなあっさりと出す奴があるか!」
「不味かったか?」
「美味かったに決まってるだろ! なんだ、これは! 清流を思わせる瑞々しさと、クセがなくキレのある味わいに果物のような爽やかな香りが……ええい! まどろっこしい! とにかく美味いのだ! こんなに素晴らしい物は飲んだことがないわ!」
怒ってるのか喜んでいるのかわからないけど、とりあえず美味かったのならいいか。
それにしてもクールで気品漂う領主様だと思っていたけど、今の姿は意外と可愛い。
俺としてはこっちの方が好みだな。
「お前、こんな物を出して……何が望みだ? 金か? 名誉か?」
「どれも必要ないよ。アルの可愛らしい一面が見れただけで十分だ」
「なっ!?」
あっ……しまった。
つい油断して領主様って事を忘れて軽口を叩いてしまった。
なんかめっちゃ複雑な顔で見つめられてる。
「私に可愛いなどとよく言えたものだ。怖いもの知らずとはお前の事を言うのだろうな」
「失礼しました。どうかお許しを」
「よせ。頭を上げろ。ここにいるのはただのアルだ。我々に身分の差などない。今はな」
そう言うとアルはにっこりと笑って人差し指を唇の前に立てた。
内緒と言うわけか。
そうしてもらえると俺としても有り難い。
屋敷の使用人達に知られたら、どうなるか分かったもんじゃないからな。
「さて、随分と堪能させてもらった。今日はここらで帰るとしよう」
おっ、もう帰るのか?
まだ料理が残って……げっ! いつの間にか全部無くなってる!
魚の煮付けや天ぷら、肉じゃがに玉子焼きとか色々あったのに。
な、なんて胃袋だ。
「馳走になった。この借りは必ず返すからな」
「別に借りなんて……」
「そうはいかん。それに私は肉じゃがの褒美も忘れておらんからな」
そう言えば肉じゃがの褒美はまた今度とかって話になってたんだっけ?
別にいらないんだけどなぁ。
「しかし、このまま借りが溜まっていけばとんでもない褒美を与えねばならなくなるな。少々怖いな」
褒美って加算式だったのか?
でも大金なんて貰うと周りから狙われそうで怖いし、名誉なんてもっといらない。
のんびり生活できるようにしてもらえるだけでいいんだけどね。
「では、また来る。さらばだ」
「あっ、はい。お気をつけて……って、もういない」
アルは扉を開けると颯爽と闇の中に消えていった。
なんか急に来て急に帰って行ったな。
用事でも思い出したんだろうか?
まぁいいか。
また今度来た時に聞いてみれば……ん?
また来た時?
「あ、あいつ……帰り際に『また来る』って言ってなかったか? まさか、また此処に来るつもりか? お、おいおい! 冗談じゃないぞ! また此処に来る奴が増えたじゃないかぁああああああ!」
俺の悲鳴は静まり返る夜の山に響き渡って、そして消えて行った。
8
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
外れジョブ「レンガ職人」を授かって追放されたので、魔の森でスローライフを送ります 〜丈夫な外壁を作ったら勝手に動物が住み着いて困ってます〜
フーツラ
ファンタジー
15歳の誕生日に行われる洗礼の儀。神の祝福と共に人はジョブを授かる。王国随一の武門として知られるクライン侯爵家の長男として生まれた俺は周囲から期待されていた。【剣聖】や【勇者】のような最上位ジョブを授かるに違いない。そう思われていた。
しかし、俺が授かったジョブは【レンガ職人】という聞いたことないもないものだった。
「この恥晒しめ! 二度とクライン家を名乗るではない!!」
父親の逆鱗に触れ、俺は侯爵領を追放される。そして失意の中向かったのは、冒険者と開拓民が集まる辺境の街とその近くにある【魔の森】だった。
俺は【レンガ作成】と【レンガ固定】のスキルを駆使してクラフト中心のスローライフを魔の森で送ることになる。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる