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第二章
討伐隊と超魔物④
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「リョウさん! 貴方はこっちへ!」
マルコに手を引かれるように俺が岩陰に隠れると同時に、辺りを覆っていた土煙が晴れて視界が戻って来た。
それと同時に上空にいた【ズー】の怒号のような雄叫びが辺りに轟いた。
さっきの雷魔法で仕留めたと思っていた獲物がピンピンしている事に苛立っているみたいだ。
怒り狂った形相で【ズー】が上空から急降下してくる。
また、さっきのHit & Away攻撃だ!
「ジョルダン!」
「わかっている!」
そう言うとジョルダンはさっきと違って構えずに、リラックスした体勢で【ズー】の攻撃を待ち構えた。
あんな無防備な構えじゃ、まともに食らうぞ!
【ズー】の鋭い鉤爪がジョルダンに迫る。
そして、欠けた鎧部分に届こうとした瞬間だった。
「なめるな! 美味い飯以外、そう何度も同じ手は食わんぞ!」
紙一重で鉤爪をスルリと躱し、ジョルダンは手に持った三叉矛を思いっきり翼に突き刺した。
これには堪らず、すぐさまジョルダンを噛みつこうと【ズー】は牙を剥いたが、背後から巻きついた太い腕がそれを許さなかった。
あれは、ゼルマ!?
「貰ったで! アンタには牙はあっても嘴はない! せやからこの後頚部は爪も牙も届かへんやろ! 解体職人のゼルをなめるんやないで!」
普通の人間じゃ絶対に届かない【ズー】の太い首周りを巨人族のゼルマの豪腕が力いっぱい締め上げる!
【ズー】は必死にゼルマを振り落とそうと暴れるが、ジョルダンが片翼を三叉矛で貫いていて地面に固定しているせいで思うように動けない。
そして、その機会を見逃さないのが金級冒険者だ!
「突撃ぃいいいいいい!」
「おぉおおおおおおおおおおお!!」
ラッセル率いる【猪突猛進】の冒険者達が自慢の肉体と武器を持って突撃を開始!
ゼルマに気を取られて反応が遅れた【ズー】の残った翼に一斉に攻撃した!
「アンタら! 翼の先の方、風切羽根をズタズタに切り裂いてまえ! こいつを飛べないただの大猫にしたるんや!」
「承知した!」
「おっしゃぁああ! 任せろぉおおっ!」
生体に詳しい解体職人ゼルマの物騒な指示で、ジョルダンとラッセルは【ズー】の翼はズタズタに切り裂いた。
風切羽根は鳥が空を飛ぶために必要な羽根で、これが無いと飛ぶことができなくなるって聞いた事がある。
これで【ズー】の機動力は奪ったぞ!
「今です! 我々も攻勢に回りますよ!」
「奴の身体を射抜け! 【審判の矢】の名に懸けて、絶対に味方には当てるんじゃないぞ!」
【千里眼】はその優れた観察眼で【ズー】の隙をついては確実にダメージを与え、【審判の矢】は正確な射撃で味方を避けつつ、矢と攻撃魔法でかなりのダメージを与えていた。
しかし、相手は超魔物と呼ばれる【ズー】だ。
飛べなくなっても異常とも言える強さを発揮して抵抗している。
鉤爪と噛みつきで冒険者達に小さくない怪我を与え続けた。
正直、回復役がいなかったら死んでいた仲間もいただろう。
だが、得意のHit & Away攻撃を封じられ、空から大地に降ろされた【ズー】の猛攻も徐々に弱り始めていた。
「ぬがぁあああああ! しぶといやっちゃなぁ!? いい加減落ちぃやぁ!」
「ここが正念場だ! 最後まで気を抜くな!」
全員に疲れの色が見え始める中、ゼルマとジョルダンの雄叫びのような鼓舞が飛んだ。
みんなが必死に戦ってるのに物陰から見ているだけの自分が情けないが、戦闘能力がない俺が飛び込むと帰って足手纏いになりかねない。
グッと堪えて見守るのも戦いだ。
「おぉおおおおっ!」
「や、やったぁ!」
裂帛の気合と共にジョルダンの三叉矛が遂に【ズー】の胸を斬り裂いた!
見ただけでもわかるくらいの深傷から大量の血がドバッと溢れ出る!
「がぁああああああああ! うるぁああああああああ!」
ゼルマが野生の咆哮を上げると、ゴキャっという嫌な音が響き渡った。
うげ……【ズー】の首が180度も有らぬ曲がっている!
ゼルマのやつ、首をへし折やがった!
胸を裂かれ、首をへし折られても【ズー】は抵抗をやめない。
最後の力とばかりに身体を大きく振り回し、なりふり構わず暴れ回った。
なんて執念だ! マジで化物じゃないか!
そして、討伐隊の身体も武器もボロボロになり、矢も魔力も尽き掛けた時になった時、【ズー】は大地に倒れた。
「や……やったぞぉおおおお!」
「おぉおおおおおおお!」
「あぁああああ! か、勝ったぁああああ!」
「やったぞ! 俺達がやったんだぁああああ!」
みんなの歓喜の雄叫びが大草原を埋め尽くした。
やったんだ! 俺達はあの超魔物【ズー】を倒したんだ!
「お兄ちゃん! やったで!」
「ゼルマ! やったな! 凄かったぞ! 本当に凄かったぞ!」
傷だらけ汗まみれのゼルマが俺を強く抱き締めた。
正直、身体がギシギシと悲鳴をあげているけど、今は勝利に酔いしれ……あれ?
急に腕の力が弱まったぞ?
いや、腕だけじゃない。
なんか倒れ込むように俺に覆い被さってきた!
ど、どうしたんだ!?
ゼルマの顔を見ると、さっきまでの歓喜の表情とは打って変わった苦悶の表情を浮かべて気を失っていた。
い、一体……一体何が起こったんだよ!?
「ほぅ。あの【ズー】をこんな下等生物達が倒すとはな」
パニクる俺の耳に聞き覚えのない声が届く。
それはとても冷たくて重たい気持ち悪い声だった。
マルコに手を引かれるように俺が岩陰に隠れると同時に、辺りを覆っていた土煙が晴れて視界が戻って来た。
それと同時に上空にいた【ズー】の怒号のような雄叫びが辺りに轟いた。
さっきの雷魔法で仕留めたと思っていた獲物がピンピンしている事に苛立っているみたいだ。
怒り狂った形相で【ズー】が上空から急降下してくる。
また、さっきのHit & Away攻撃だ!
「ジョルダン!」
「わかっている!」
そう言うとジョルダンはさっきと違って構えずに、リラックスした体勢で【ズー】の攻撃を待ち構えた。
あんな無防備な構えじゃ、まともに食らうぞ!
【ズー】の鋭い鉤爪がジョルダンに迫る。
そして、欠けた鎧部分に届こうとした瞬間だった。
「なめるな! 美味い飯以外、そう何度も同じ手は食わんぞ!」
紙一重で鉤爪をスルリと躱し、ジョルダンは手に持った三叉矛を思いっきり翼に突き刺した。
これには堪らず、すぐさまジョルダンを噛みつこうと【ズー】は牙を剥いたが、背後から巻きついた太い腕がそれを許さなかった。
あれは、ゼルマ!?
「貰ったで! アンタには牙はあっても嘴はない! せやからこの後頚部は爪も牙も届かへんやろ! 解体職人のゼルをなめるんやないで!」
普通の人間じゃ絶対に届かない【ズー】の太い首周りを巨人族のゼルマの豪腕が力いっぱい締め上げる!
【ズー】は必死にゼルマを振り落とそうと暴れるが、ジョルダンが片翼を三叉矛で貫いていて地面に固定しているせいで思うように動けない。
そして、その機会を見逃さないのが金級冒険者だ!
「突撃ぃいいいいいい!」
「おぉおおおおおおおおおおお!!」
ラッセル率いる【猪突猛進】の冒険者達が自慢の肉体と武器を持って突撃を開始!
ゼルマに気を取られて反応が遅れた【ズー】の残った翼に一斉に攻撃した!
「アンタら! 翼の先の方、風切羽根をズタズタに切り裂いてまえ! こいつを飛べないただの大猫にしたるんや!」
「承知した!」
「おっしゃぁああ! 任せろぉおおっ!」
生体に詳しい解体職人ゼルマの物騒な指示で、ジョルダンとラッセルは【ズー】の翼はズタズタに切り裂いた。
風切羽根は鳥が空を飛ぶために必要な羽根で、これが無いと飛ぶことができなくなるって聞いた事がある。
これで【ズー】の機動力は奪ったぞ!
「今です! 我々も攻勢に回りますよ!」
「奴の身体を射抜け! 【審判の矢】の名に懸けて、絶対に味方には当てるんじゃないぞ!」
【千里眼】はその優れた観察眼で【ズー】の隙をついては確実にダメージを与え、【審判の矢】は正確な射撃で味方を避けつつ、矢と攻撃魔法でかなりのダメージを与えていた。
しかし、相手は超魔物と呼ばれる【ズー】だ。
飛べなくなっても異常とも言える強さを発揮して抵抗している。
鉤爪と噛みつきで冒険者達に小さくない怪我を与え続けた。
正直、回復役がいなかったら死んでいた仲間もいただろう。
だが、得意のHit & Away攻撃を封じられ、空から大地に降ろされた【ズー】の猛攻も徐々に弱り始めていた。
「ぬがぁあああああ! しぶといやっちゃなぁ!? いい加減落ちぃやぁ!」
「ここが正念場だ! 最後まで気を抜くな!」
全員に疲れの色が見え始める中、ゼルマとジョルダンの雄叫びのような鼓舞が飛んだ。
みんなが必死に戦ってるのに物陰から見ているだけの自分が情けないが、戦闘能力がない俺が飛び込むと帰って足手纏いになりかねない。
グッと堪えて見守るのも戦いだ。
「おぉおおおおっ!」
「や、やったぁ!」
裂帛の気合と共にジョルダンの三叉矛が遂に【ズー】の胸を斬り裂いた!
見ただけでもわかるくらいの深傷から大量の血がドバッと溢れ出る!
「がぁああああああああ! うるぁああああああああ!」
ゼルマが野生の咆哮を上げると、ゴキャっという嫌な音が響き渡った。
うげ……【ズー】の首が180度も有らぬ曲がっている!
ゼルマのやつ、首をへし折やがった!
胸を裂かれ、首をへし折られても【ズー】は抵抗をやめない。
最後の力とばかりに身体を大きく振り回し、なりふり構わず暴れ回った。
なんて執念だ! マジで化物じゃないか!
そして、討伐隊の身体も武器もボロボロになり、矢も魔力も尽き掛けた時になった時、【ズー】は大地に倒れた。
「や……やったぞぉおおおお!」
「おぉおおおおおおお!」
「あぁああああ! か、勝ったぁああああ!」
「やったぞ! 俺達がやったんだぁああああ!」
みんなの歓喜の雄叫びが大草原を埋め尽くした。
やったんだ! 俺達はあの超魔物【ズー】を倒したんだ!
「お兄ちゃん! やったで!」
「ゼルマ! やったな! 凄かったぞ! 本当に凄かったぞ!」
傷だらけ汗まみれのゼルマが俺を強く抱き締めた。
正直、身体がギシギシと悲鳴をあげているけど、今は勝利に酔いしれ……あれ?
急に腕の力が弱まったぞ?
いや、腕だけじゃない。
なんか倒れ込むように俺に覆い被さってきた!
ど、どうしたんだ!?
ゼルマの顔を見ると、さっきまでの歓喜の表情とは打って変わった苦悶の表情を浮かべて気を失っていた。
い、一体……一体何が起こったんだよ!?
「ほぅ。あの【ズー】をこんな下等生物達が倒すとはな」
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