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第一章
元行き倒れ君 後編
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夕焼けに染まるツヴァイの城門を抜けて、俺とガンテス、ヴァイオレット、そしてヨハンは夕食の唐揚げのために俺の家に向かっている。
俺の家はツヴァイから30分ほど森の中を進んだところにあるんだけど、唐揚げに陶酔しているガンテスとヴァイオレットは随分と上機嫌で、草木の伸びた森の中を進んでいた。
「いやぁ! 今日は最悪の日だと思っていたが、唐揚げが食えるとはな! それだけで今日は最高の日になったぞ!」
「唐揚げ! 唐揚げ! 嬉しいなぁ! ねぇねぇ、今日は何のお肉なの? もしかして前にチキン南蛮で食べた時と同じ、上朱鶏?」
「上朱鶏はこの前全部食っただろ!? あんな高級品がいつもウチにあるわけないだろ! 今日のはツヴァイ地鶏だ」
「上等上等! ツヴァイ地鶏は今が脂が乗っていて一番美味いんだ! しっかり運動しているから弾力もあるし、海草を食ってるから栄養もある!」
むむっ、ガンテスはよくわかってるじゃないか。
今の時期はツヴァイ地鶏の旬の時期だ。
一年を通して美味い上朱鶏もいいが、身近な食材の食べ頃を見失うのはもったいないからな。
「あ、あの……僕も一緒にいていいんでしょうか?」
言われるがままについて来ていたヨハンが不安になったのか、城門を出てから初めて口を開いた。
そういえば何の説明もしてなかったんだっけ。
「ああ、これから俺の家で飯を食うんだ。お前も来いよ」
「そ、それはありがたいのですが……こちらのお二人はツヴァイ冒険者ギルドの金級冒険者なんですよね? 僕なんかが一緒に食事をしていいんでしょうか?」
少し大袈裟に聞こえるが、ヨハンの言い分もわからなくもない。
冒険者のランクは下から鉄級、銅級、銀級、金級、白金級となっている。
つまり、ガンテス達は上から2番目。
白金級に劣るとはいえ、金級も英雄と呼ぶに値する尊い存在だ。
なりたての新人からすれば雲の上の存在に見えてもおかしくはない。
でも、今からそんな気後れしてるようでは困るんだよ。
「別に気にしなくていいさ」
「リョウの言うとおりだ! 飯を食うのに気兼ねはいらん! 共に唐揚げを満喫しようではないか!」
「そうそう! それにリョウちゃんのお料理を食べられるキッカケを作ってくれたんでしょ? それなら、むしろ大歓迎だよ!」
この2人もそんなちっさい事を気にするような器の小さい奴らじゃない。
まぁ、唐揚げに執着しすぎな気もするけど。
「あの……もしかしてリョウさんも金級冒険者なんですか?」
「ん? い~や、俺は銅級だよ」
「ど、銅級? そんな、銅級なのに金級の人とこんなに親しいなんて……貴方は一体……」
俺とこの2人の関係か。
別に大した話はないけど、説明するのがめんどくさいので、ここはスルーさせてもらう。
それに家に着いたしね。
「ほら、着いたぞ。ここが俺の家だ」
ヨハンの視線を振り切って家の中に3人を招き入れた後、俺はキッチンで料理にとりかかった。
【保存】の魔法がかかった箱から下拵え済みの鶏肉を取り出し、鍋に入れた油を【調整】の魔法で揚げ物に適した温度まで上げる。
そして、油の中に鶏肉を入れたら、あとは【鑑定】で確認しながら最高の仕上がりを待つだけ。
実に簡単だ。
俺の持つ採取系の上級魔法は料理にも大いに活用できる。
お陰で素人の料理好きレベルでもプロ並みの料理が作れるってわけだ。
本職の人には邪道だと怒られそうだけど、これで生活してるわけじゃないから勘弁してくれ。
さて、ちょうどいい加減になってきたみたいだ。
あとは更にドカっと盛り付けてっと!
「待たせたな。唐揚げ特盛だ!」
「おおおっ! 待っていたぞ!」
「うわぁああああ! これこれ! よぉし! いっぱい食べるぞぉおおおお!!」
「こ、こんなに大量の揚げ物……油がしつこくて食べられないんじゃ……」
思い思いの声をあげながら、全員が一斉に唐揚げを口に頬張る。
その後に上がった声は全員一緒だ。
おっと、ダメ押しのあれを出しておかないといけないな。
「美味い! 美味いぞぉおおおお!!」
「外側はサクサクで中からは肉汁ドッパドッパの柔らかお肉! 最高ぉおおおお!!」
「な、なんだ!? これは! サクサクとした食感と中から溢れ出る肉汁の多さ! そして、柔らかくも歯を軽く押し返す肉の弾力! それに味付けも完璧だ! 美味しすぎる! こんな美味しい揚げ物は初めてですよ!」
「おーい、酒はいるか?」
「むぐむぐ……俺が酒を飲めないの知ってるだろうが! 俺は湯冷ましをくれ!」
「はーい! 私はワインの蒸留酒がいいです!」
「ぼ、僕は……蜂蜜酒があれば……ワインの蒸留酒ってなんですか?」
ガンテスは相変わらずドワーフのくせに酒が飲めないんだよなぁ。
そんでエルフのヴァイオレットはまたブランデーかよ。
これ度数めっちゃ高なんだけどな。
それより蜂蜜酒なんかあったかな……あっ、一応あるわ。
こっちの世界は酒といえばエールと蜂蜜酒だから、一応揃えておいたんだっけ。
何が料理に合うかわからないからな。
「くぅ! 美味い! これだからリョウの料理はやめられん!」
「ぷわぁ! ああ……料理もお酒も最高! もうリョウちゃんと結婚しちゃおうかなぁ! なんてね! ねぇ、もう一杯いい?」
「美味しい! この唐揚げって料理……王都で出せば、1個で小銀貨1枚? いや、2枚はとれる! そうなれば利益は……」
なんか全員が余計な事を考え始めてるな。
変な方向に行く前に本題に入っておこう。
「なぁ、ガンテス。今日の魔法薬の事で思ったんだが……」
「ぁあ? ふん! 皆まで言うな! あれは俺の失態だ。金級冒険者として情けない事よ!」
「でも、しょうがないよぉ。物の良し悪しを見極めるのって難しいもん。あっ、もう一杯くださ~い!」
「あんな商人がいるなんて! 悪徳なんて商人の面汚し以外の何者でもありませんよ! あんなのがいるから僕達の評判は……」
「まぁ、金級冒険者といえど金に関しては商人の方が一枚上手ってわけだ。そこで、ガンテスとヴァイオレットに相談なんだが……」
「だから皆まで言うなと言っただろ!? この若者を俺達のチームに入れる。そっちの若者が良ければだがな」
「えっ? えぇええええええ!?」
あり? ヨハンが素っ頓狂な声を出す程に簡単に決まってしまった。
話が早くて助かるけど、いいのか?
「私も良いよ~どうせ、やらないといけない事だしね」
「やらないといけない事?」
「リョウ。本来なら新人冒険者の面倒を先輩冒険者が見るのは当然の事だ。だが、どいつもこいつも自分達の事ばかりで後進の育成なんて考えもしないのが現状だ」
「明日もわからない冒険者稼業だよぉ~? みんな自分達の事だけで必死なのぉ~でもでもぉ、後輩が育たないとぉ~冒険者はどんどん減っていくばかりでぇ~、うぁ~……」
「飲みすぎだ! ヴァイオレット! まったく! 冒険者が減ると依頼は溜まっていくだけだ。討伐依頼が溜まると治安の悪化や人々が流出していくし、輸送や護衛依頼が滞ると今度は物流が止まり、ひいては経済も止まる。そうなったら街は終わりだ。だから金級冒険者でツヴァイ冒険者ギルドの古参でもある俺達が率先して、新人の世話をすれば、他の奴らも多少は動くようになる。ギルドとしても新人育成を勧めやすくなるってわけだ」
おまけにヨハンの有用性は立証できたばかりだし、ガンテス達にもメリットがある。
どうせ世話するなら役に立つ奴をってわけか。
「そういう事なら話は早いな。あとはヨハンがどうするかだ。ガンテス達のチームに入る気はあるか?」
ヨハンは固まったままだった。
まぁ、冒険者になりたての鉄級がいきなり金級チームなんて有り得ない話だからな。
わかりやすく言えば、アイドルグループに憧れてアイドルの養成学校に入ったら、いきなりグループに勧誘されたってとこか?
「ぼ、ぼ、ぼ、僕なんかが……金級冒険者チームに……」
「お前の鑑定士としての力は俺達にとっても有益だ。代わりに俺達はお前に冒険者の基本を教えてやる。互いに悪い話じゃないと思うが?」
「そだよぉ~……一緒にやろぉ……」
「…………僕がどこまでお2人の力になれるかわかりませんが、出来ることは全部やらせてもらいます! よろしくお願いします!」
よし、上手くいった!
これで俺の【鑑定】の力を誤魔化すのにヨハンの鑑定士の肩書きが役立つぞ。
今後、俺の能力に疑問を持つ奴が現れるかもしれないが、そんな時に『ヨハンに教えてもらった』と言えば、言い逃れしやすくなるからな!
そのためには絶対ヨハンとの繋がりを持ってお金ないといけない。
だからガンテス達のチームに入ってもらったんだ。
ガンテス達といれば死亡リスクは減るし、他の奴等に利用されるリスクも減るからね。
くくくっ、全て俺の思惑通りだ。
我が灰色の脳細胞が恐ろしいよ。
「わぁ~~い……良かったねぇ……ぐぅ……」
「うっ! 酒臭っ!? おい! ヴァイオレット、こんなところで寝るんじゃない!」
「ん? ああああっ! ヴァイオレット! お前、ブランデーが空になってんじゃねぇか!? これ元のワインは高かったんだぞ!」
ワインをブランデーにするのは【蒸留】の魔法で簡単だけど、このブランデーの元のワインは一本銀貨6枚もする高級品だったのに……高い代償になったなぁ……
俺の家はツヴァイから30分ほど森の中を進んだところにあるんだけど、唐揚げに陶酔しているガンテスとヴァイオレットは随分と上機嫌で、草木の伸びた森の中を進んでいた。
「いやぁ! 今日は最悪の日だと思っていたが、唐揚げが食えるとはな! それだけで今日は最高の日になったぞ!」
「唐揚げ! 唐揚げ! 嬉しいなぁ! ねぇねぇ、今日は何のお肉なの? もしかして前にチキン南蛮で食べた時と同じ、上朱鶏?」
「上朱鶏はこの前全部食っただろ!? あんな高級品がいつもウチにあるわけないだろ! 今日のはツヴァイ地鶏だ」
「上等上等! ツヴァイ地鶏は今が脂が乗っていて一番美味いんだ! しっかり運動しているから弾力もあるし、海草を食ってるから栄養もある!」
むむっ、ガンテスはよくわかってるじゃないか。
今の時期はツヴァイ地鶏の旬の時期だ。
一年を通して美味い上朱鶏もいいが、身近な食材の食べ頃を見失うのはもったいないからな。
「あ、あの……僕も一緒にいていいんでしょうか?」
言われるがままについて来ていたヨハンが不安になったのか、城門を出てから初めて口を開いた。
そういえば何の説明もしてなかったんだっけ。
「ああ、これから俺の家で飯を食うんだ。お前も来いよ」
「そ、それはありがたいのですが……こちらのお二人はツヴァイ冒険者ギルドの金級冒険者なんですよね? 僕なんかが一緒に食事をしていいんでしょうか?」
少し大袈裟に聞こえるが、ヨハンの言い分もわからなくもない。
冒険者のランクは下から鉄級、銅級、銀級、金級、白金級となっている。
つまり、ガンテス達は上から2番目。
白金級に劣るとはいえ、金級も英雄と呼ぶに値する尊い存在だ。
なりたての新人からすれば雲の上の存在に見えてもおかしくはない。
でも、今からそんな気後れしてるようでは困るんだよ。
「別に気にしなくていいさ」
「リョウの言うとおりだ! 飯を食うのに気兼ねはいらん! 共に唐揚げを満喫しようではないか!」
「そうそう! それにリョウちゃんのお料理を食べられるキッカケを作ってくれたんでしょ? それなら、むしろ大歓迎だよ!」
この2人もそんなちっさい事を気にするような器の小さい奴らじゃない。
まぁ、唐揚げに執着しすぎな気もするけど。
「あの……もしかしてリョウさんも金級冒険者なんですか?」
「ん? い~や、俺は銅級だよ」
「ど、銅級? そんな、銅級なのに金級の人とこんなに親しいなんて……貴方は一体……」
俺とこの2人の関係か。
別に大した話はないけど、説明するのがめんどくさいので、ここはスルーさせてもらう。
それに家に着いたしね。
「ほら、着いたぞ。ここが俺の家だ」
ヨハンの視線を振り切って家の中に3人を招き入れた後、俺はキッチンで料理にとりかかった。
【保存】の魔法がかかった箱から下拵え済みの鶏肉を取り出し、鍋に入れた油を【調整】の魔法で揚げ物に適した温度まで上げる。
そして、油の中に鶏肉を入れたら、あとは【鑑定】で確認しながら最高の仕上がりを待つだけ。
実に簡単だ。
俺の持つ採取系の上級魔法は料理にも大いに活用できる。
お陰で素人の料理好きレベルでもプロ並みの料理が作れるってわけだ。
本職の人には邪道だと怒られそうだけど、これで生活してるわけじゃないから勘弁してくれ。
さて、ちょうどいい加減になってきたみたいだ。
あとは更にドカっと盛り付けてっと!
「待たせたな。唐揚げ特盛だ!」
「おおおっ! 待っていたぞ!」
「うわぁああああ! これこれ! よぉし! いっぱい食べるぞぉおおおお!!」
「こ、こんなに大量の揚げ物……油がしつこくて食べられないんじゃ……」
思い思いの声をあげながら、全員が一斉に唐揚げを口に頬張る。
その後に上がった声は全員一緒だ。
おっと、ダメ押しのあれを出しておかないといけないな。
「美味い! 美味いぞぉおおおお!!」
「外側はサクサクで中からは肉汁ドッパドッパの柔らかお肉! 最高ぉおおおお!!」
「な、なんだ!? これは! サクサクとした食感と中から溢れ出る肉汁の多さ! そして、柔らかくも歯を軽く押し返す肉の弾力! それに味付けも完璧だ! 美味しすぎる! こんな美味しい揚げ物は初めてですよ!」
「おーい、酒はいるか?」
「むぐむぐ……俺が酒を飲めないの知ってるだろうが! 俺は湯冷ましをくれ!」
「はーい! 私はワインの蒸留酒がいいです!」
「ぼ、僕は……蜂蜜酒があれば……ワインの蒸留酒ってなんですか?」
ガンテスは相変わらずドワーフのくせに酒が飲めないんだよなぁ。
そんでエルフのヴァイオレットはまたブランデーかよ。
これ度数めっちゃ高なんだけどな。
それより蜂蜜酒なんかあったかな……あっ、一応あるわ。
こっちの世界は酒といえばエールと蜂蜜酒だから、一応揃えておいたんだっけ。
何が料理に合うかわからないからな。
「くぅ! 美味い! これだからリョウの料理はやめられん!」
「ぷわぁ! ああ……料理もお酒も最高! もうリョウちゃんと結婚しちゃおうかなぁ! なんてね! ねぇ、もう一杯いい?」
「美味しい! この唐揚げって料理……王都で出せば、1個で小銀貨1枚? いや、2枚はとれる! そうなれば利益は……」
なんか全員が余計な事を考え始めてるな。
変な方向に行く前に本題に入っておこう。
「なぁ、ガンテス。今日の魔法薬の事で思ったんだが……」
「ぁあ? ふん! 皆まで言うな! あれは俺の失態だ。金級冒険者として情けない事よ!」
「でも、しょうがないよぉ。物の良し悪しを見極めるのって難しいもん。あっ、もう一杯くださ~い!」
「あんな商人がいるなんて! 悪徳なんて商人の面汚し以外の何者でもありませんよ! あんなのがいるから僕達の評判は……」
「まぁ、金級冒険者といえど金に関しては商人の方が一枚上手ってわけだ。そこで、ガンテスとヴァイオレットに相談なんだが……」
「だから皆まで言うなと言っただろ!? この若者を俺達のチームに入れる。そっちの若者が良ければだがな」
「えっ? えぇええええええ!?」
あり? ヨハンが素っ頓狂な声を出す程に簡単に決まってしまった。
話が早くて助かるけど、いいのか?
「私も良いよ~どうせ、やらないといけない事だしね」
「やらないといけない事?」
「リョウ。本来なら新人冒険者の面倒を先輩冒険者が見るのは当然の事だ。だが、どいつもこいつも自分達の事ばかりで後進の育成なんて考えもしないのが現状だ」
「明日もわからない冒険者稼業だよぉ~? みんな自分達の事だけで必死なのぉ~でもでもぉ、後輩が育たないとぉ~冒険者はどんどん減っていくばかりでぇ~、うぁ~……」
「飲みすぎだ! ヴァイオレット! まったく! 冒険者が減ると依頼は溜まっていくだけだ。討伐依頼が溜まると治安の悪化や人々が流出していくし、輸送や護衛依頼が滞ると今度は物流が止まり、ひいては経済も止まる。そうなったら街は終わりだ。だから金級冒険者でツヴァイ冒険者ギルドの古参でもある俺達が率先して、新人の世話をすれば、他の奴らも多少は動くようになる。ギルドとしても新人育成を勧めやすくなるってわけだ」
おまけにヨハンの有用性は立証できたばかりだし、ガンテス達にもメリットがある。
どうせ世話するなら役に立つ奴をってわけか。
「そういう事なら話は早いな。あとはヨハンがどうするかだ。ガンテス達のチームに入る気はあるか?」
ヨハンは固まったままだった。
まぁ、冒険者になりたての鉄級がいきなり金級チームなんて有り得ない話だからな。
わかりやすく言えば、アイドルグループに憧れてアイドルの養成学校に入ったら、いきなりグループに勧誘されたってとこか?
「ぼ、ぼ、ぼ、僕なんかが……金級冒険者チームに……」
「お前の鑑定士としての力は俺達にとっても有益だ。代わりに俺達はお前に冒険者の基本を教えてやる。互いに悪い話じゃないと思うが?」
「そだよぉ~……一緒にやろぉ……」
「…………僕がどこまでお2人の力になれるかわかりませんが、出来ることは全部やらせてもらいます! よろしくお願いします!」
よし、上手くいった!
これで俺の【鑑定】の力を誤魔化すのにヨハンの鑑定士の肩書きが役立つぞ。
今後、俺の能力に疑問を持つ奴が現れるかもしれないが、そんな時に『ヨハンに教えてもらった』と言えば、言い逃れしやすくなるからな!
そのためには絶対ヨハンとの繋がりを持ってお金ないといけない。
だからガンテス達のチームに入ってもらったんだ。
ガンテス達といれば死亡リスクは減るし、他の奴等に利用されるリスクも減るからね。
くくくっ、全て俺の思惑通りだ。
我が灰色の脳細胞が恐ろしいよ。
「わぁ~~い……良かったねぇ……ぐぅ……」
「うっ! 酒臭っ!? おい! ヴァイオレット、こんなところで寝るんじゃない!」
「ん? ああああっ! ヴァイオレット! お前、ブランデーが空になってんじゃねぇか!? これ元のワインは高かったんだぞ!」
ワインをブランデーにするのは【蒸留】の魔法で簡単だけど、このブランデーの元のワインは一本銀貨6枚もする高級品だったのに……高い代償になったなぁ……
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