食うために軍人になりました。

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第七章

真実

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 ガラビアの言葉は信じ難い事だけど、あの虚な眼は魅了がかかっている証拠だ。
 魅了にかかっている以上、嘘は吐けない。
 つまり、こいつの言葉は真実って事だ。
 けど、上下関係が絶対の魔族が二つに分かれるなんて考えられないぞ。
 一体、何がどうなってるって言うんだ?
 
「フォルネア殿。心中、穏やかではないと察ししますが、今は少しでも多くの情報が必要です。敵の侵攻予定はどうかを聞いてはどうでしょう」

 ウォーレイクが諭すような口調で言った。
 確かにその通りだ。
 いつ魅了魔法が切れるかもわからないんだし、今考えたって仕方ない。
 質問を続けよう。
 
「アマナ王国の侵攻はいつを予定している?」

「意見が分かれたから正確にはわからない。今は穏健派が強硬派を抑えている」

「なら、お前は何故来た?」

「フォルネア・ルーン・マルベラの魔力を感じたから調査に来た」

「襲ってきた理由は?」

「フォルネア・ルーン・マルベラを連れ戻すため。その障害は全て排除していいと言われていた。だから、お前の相棒は殺そうとした」

 こいつは後で殺そう。
 リクトの命を狙う輩は即殺だからな。
 それより僕を連れ戻すなんて何の冗談だ?
 自分達が追い出したくせに、調子のいい事言ってんじゃねぇよ!

「侵攻してくる軍の規模は?」

「1万」

 1万か。
 その殆どが【下級種レッサー】だろうから、そこまで大きな問題はない。
 問題は何人【上級種】が来るかだ。
 
「【上級種】の動員数は?」

「それは……うっ、ぬぅううう……!」

 ガラビアが急に頭を抱えた。
 しまった! 魅了が解ける!
 こいつ、もう意識を取り戻しやがったのか!?
 なら……殺す!

「うぉおおおお!」

「はっ!」

 チッ! 渾身の力で顔面を潰してやろうと思ったのに避けやがった!
 まだそんな余力が残っていたのか!

「危ない、危ない。【十全なる魅了パーフェクトチャーム】とは、厄介な事をしてくれたものだ。もっとも、聞かれて困る話などないがな」

「ふん! だったら、全部喋れ。上手く喋れたら苦しまずに殺してやる」

「それは御免だな。俺はそこの男ともう一度再戦する必要がある。貴様に構っている暇などないのだ」

 リクトとの再戦だと?
 どうやら、リクトの実力があいつのプライドに触れてしまったみたいだな。
 
「いいかっ!? 再戦の時までそいつは殺さないでおいてやる! 代わりに他の者は全員血祭りにあげてやるからな!」

「ふざけんじゃねぇ! お前は生きて帰れると思っているのか!? そんな事、僕が……」

「お前の許しなど必要ない。フォルネア」

 地の底から唸るような低く重い声が、僕の精神にのしかかってくる。
 こ、この声は……そ、総裁!?
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