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第七章
少将
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「か、閣下っ!? お、俺が少将ですかっ!?」
「はい。実は大将という案もあったのですが、流石にそれは飛躍し過ぎだと軍令部総長から止められましてね。それで少将となったのです」
た、大将って……
少将でも大変な事なのに、大将なんてなったらどうなちゃうんだよ。
「ですが、今回のアマナ王国との戦いでの功績次第では大将もあり得ます。少なくとも中将は確実と思っていてください」
「ちゅ、中将!? 何故ですかっ!?」
「元々ヴァランタイン帝国は身分に依らない実力主義なのです。ジェニングス中将も別に辺境伯の娘だったから中将になったわけではなく、彼女の実力と功績によるものですから。ただ、最近は増長した貴族の圧力もあって、色々ややこしくなっていたのです」
そういえば、貴族階位の人が階級を持っていないのはおかしいって、貴族家の当主は無条件で階級をもらえるんだっけ。
男爵なら少佐、子爵なら大佐、伯爵なら少将で、侯爵は中将だっけ。
確かに、これは実力主義とは言えない。
軍事国家の平和ボケほど怖いものは無いな。
「アマナ王国の件は帝国壊滅の危機ではありますが、腐敗した勢力を一掃する好機でもあります。彼らもライブランドと同じ道を辿るのは避けたいでしょうから」
「どれだけ権勢を誇ろうと滅亡すれば意味がありませんからね。それにライブランドでも地位が高い者は殺されて、地位の低い者は生かされていると聞きます。そう考えれば、今は大人しくしている方が賢明と言うわけですね」
私腹を肥やしても、その腹を裂かれるのは嫌だろうしな。
まぁ、肥えた腹だから多少は裂かれても大丈夫だろうけどね。
「それについては妙な話が入っています」
「妙な話、ですか? 何でしょう?」
「ライブランドの間者からの情報なのですが、実は王侯貴族は殺されたものの、一部の有力貴族は生きているのです。財もほとんど残ったままで、現状ライブランド内はその有力貴族達による群雄割拠状態。それに対しても、アマナ王国は静観しています」
どういう事だ?
自国に攻め入った敵国を滅ぼしたのなら、土地と財を奪うのが普通じゃないのか?
それに王侯貴族は殺しておきながら、他の貴族は殺さなかったのは何故だ?
アマナ王国の真意が見えないぞ。
「閣下、アマナ王国の狙いは何なのでしょう?」
「わかりません。そのあたりはまだ調査中で……」
「戦いが全てなのさ。あいつ等はな。それ以外はどうでもいいんだよ」
そう言いながら部屋に入って来たのはフォルネアだった。
うげっ! な、なんて格好だよ。
返り血だらけじゃないか……
「はい。実は大将という案もあったのですが、流石にそれは飛躍し過ぎだと軍令部総長から止められましてね。それで少将となったのです」
た、大将って……
少将でも大変な事なのに、大将なんてなったらどうなちゃうんだよ。
「ですが、今回のアマナ王国との戦いでの功績次第では大将もあり得ます。少なくとも中将は確実と思っていてください」
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そういえば、貴族階位の人が階級を持っていないのはおかしいって、貴族家の当主は無条件で階級をもらえるんだっけ。
男爵なら少佐、子爵なら大佐、伯爵なら少将で、侯爵は中将だっけ。
確かに、これは実力主義とは言えない。
軍事国家の平和ボケほど怖いものは無いな。
「アマナ王国の件は帝国壊滅の危機ではありますが、腐敗した勢力を一掃する好機でもあります。彼らもライブランドと同じ道を辿るのは避けたいでしょうから」
「どれだけ権勢を誇ろうと滅亡すれば意味がありませんからね。それにライブランドでも地位が高い者は殺されて、地位の低い者は生かされていると聞きます。そう考えれば、今は大人しくしている方が賢明と言うわけですね」
私腹を肥やしても、その腹を裂かれるのは嫌だろうしな。
まぁ、肥えた腹だから多少は裂かれても大丈夫だろうけどね。
「それについては妙な話が入っています」
「妙な話、ですか? 何でしょう?」
「ライブランドの間者からの情報なのですが、実は王侯貴族は殺されたものの、一部の有力貴族は生きているのです。財もほとんど残ったままで、現状ライブランド内はその有力貴族達による群雄割拠状態。それに対しても、アマナ王国は静観しています」
どういう事だ?
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「閣下、アマナ王国の狙いは何なのでしょう?」
「わかりません。そのあたりはまだ調査中で……」
「戦いが全てなのさ。あいつ等はな。それ以外はどうでもいいんだよ」
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うげっ! な、なんて格好だよ。
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