食うために軍人になりました。

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第七章

舌戦

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「会談が始まる前に一つよろしいですか? いつアマナ王国が侵攻を再開するかわからない状況です。ですから、無益な腹の探り合いは無しとしたいのですが、いかがでしょう」

 ウォーレイク閣下の優しい口調ながらも、強い意志を感じさせる言葉に、サウデンベルクもグランツも感嘆の息を漏らした。

「もっともですね。私も賛成です。特に我がルークリアは情けないことに、アマナ王国によって既に壊滅的な被害を受けています。侵攻が再開されれば、ライブランドのように陥落するのは時間の問題でしょう」

「我らも異論は無いのである。愚昧な口上に時間を浪費するなど、無駄でしか無いのである」

 よし、これで下手な腹芸は無くなった。
 しかし、これからが問題だ。
 停戦だけならまだしも、同盟となれば、どの国が主導権を握るかが重要となってくる。
 どの国もなるべく自国の負担は少なく、他国の負担を増やして、力を削いでおきたいからな。

「では、話を進めましょう。先ず、ヴァランタイン帝国、ルークリア共和国、海洋国家フェンドラは停戦協定を結び、同盟を組んでアマナ王国と戦う。これに異論はありませんか?」

「ルークリアには異論はありません」

「フェンドラも同じくである」

「結構です。では、次にアマナ王国について、ですが……」

「ちょっと待てや」

 静かに淡々と進んでいた話に、無粋な声が水を差した。
 あの男、フェンドラのガルヴァンとか言ったか?
 護衛のくせに何のつもりだ?

「ガルヴァン殿、何でしょうか?」

「元帥閣下には悪いが、停戦はともかく、同盟ってのは国力が等しい国同士が結ぶもんじゃねぇのか? ルークリアはさっき代議士先生が言ったように壊滅状態だ。その国と同盟を結ぶ必要はあるんですか?」

 ふむ、無作法ながら一理ある。
 別にルークリアが潰れてからフェンドラと帝国が手を組めば良いだけの話だからな。
 何も貴重な戦力を投入して、死に体の国を助けてやる必要はないってことだ。
 そういう意味では私も同感だな。

「ガルヴァン殿、それは浅慮が過ぎませんか? 我々、ルークリアにはまだ百勇士が……」

「百勇士は海神十二将と違って、全員が戦士ってわけじゃねぇんだろ? 中には文官や技術者もいるって話じゃねぇか。しかも、首都決戦の際に、第三席のダインを始め、多くの百勇士が散ったって話だ。それで、どれだけの戦力があるってんだよ!」

「むっ……」

 フェンドラめ。
 かなり詳細に情報を集めているな。
 やはり、ルークリアをアマナ王国に敢えて侵攻させる事で奴等の戦力を測る気だったのだろう。
 相変わらず姑息なやり方ばかりしおって、こうやってリクトも嵌めたんだろう!
 気に入らない!
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