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第七章
陛下の裁可
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「ウォーレイク! 今は貴様のような惰弱の戯言を聞いている暇はないわ! 部下の女どもを長期任務と称して囲い、そのために豪勢な屋敷まで買ったと言うではないかっ! 貴様など、この場におる事も穢らわしい! 即刻立ち去るがいい! 嫌なら儂が直々につまみ出してくれるわ!」
またヴォルドンが喚き立てている。
将来が見えていないだけでなく、器の小ささまで際立たせるつもりか。
最早、誰も相手にしていないのがせめてもの救いか。
ウォーレイクも全く気にした様子はないな。
「先ほどルークリア共和国のお話がありましたが、実は先日、南部の都市バッソを治める代議士のアルフォンス・サウデンベルクなる者から私宛てに書状が届きました」
鞄から取り出された一通の手紙が机の上に置かれる。
しかし、これは妙な話だ。
サウデンベルクなる者は、勝手ではあるがルークリア共和国のトップである代議士議長を名乗っていると言うではないか。
いわば国主の立場にある。
それが陛下ではなくウォーレイク元帥に書状を送ってくるとは、これはどういう意図があるのか。
「私宛てではなく、卿に宛てて、か。ふむ……」
「ウォーレイク! 貴様、ルークリアと通じていたのかっ!? 仮にも元帥の地位にありながら不忠も甚だしい! この場で即刻首を刎ねてくれる!」
ヴォルドンめ。
これ以上は流石に見過ごせぬな。
陛下の限界が来る前に……いや、遅かったようだ。
「黙れ! ヴォルドン!」
豪雷のような陛下の御言葉に、計らずも全員の背筋が伸びた。
いつもは温和な陛下だが、どうやら温和にも限界がきたようだな。
「ヴォルドン! 卿は軍隊司令長官の立場にありながら、他者の足を掬っているだけではないかっ! 再起を待っていたが、事ここに至ってはやむを得まい! 卿を軍隊司令長官の職から解任する!」
「へ、陛下っ! そ、それはあんまりではっ! それにケラー公爵の御意向も……」
「何故ケラーの意向を私が聞かねばならんのかっ!? 卿の忠誠は一体どこを向いているのかっ! 不敬である! しばらく屋敷で謹慎しておけ!」
これは思いきった事をされたものだ。
ケラー公爵は陛下の父君の弟に当たる御方で、御自身の実の叔父でもある。
今まではある事情もあって、ケラー公爵に配慮されておられたようだが、手駒のヴォルドンを排したという事は、帝国の危機である今、ケラー公爵とも袂を分かつ決心をされたようだ。
だが、これは賭けだ。
下手をすれば皇帝派と公爵派に分かれ、帝国を二分する内戦にもなりかねない。
陛下にしてはあまりに短慮なお考えかと思うが、あの自信に満ちた顔は何かあるのだろう。
一体何を考えておられるのか。
またヴォルドンが喚き立てている。
将来が見えていないだけでなく、器の小ささまで際立たせるつもりか。
最早、誰も相手にしていないのがせめてもの救いか。
ウォーレイクも全く気にした様子はないな。
「先ほどルークリア共和国のお話がありましたが、実は先日、南部の都市バッソを治める代議士のアルフォンス・サウデンベルクなる者から私宛てに書状が届きました」
鞄から取り出された一通の手紙が机の上に置かれる。
しかし、これは妙な話だ。
サウデンベルクなる者は、勝手ではあるがルークリア共和国のトップである代議士議長を名乗っていると言うではないか。
いわば国主の立場にある。
それが陛下ではなくウォーレイク元帥に書状を送ってくるとは、これはどういう意図があるのか。
「私宛てではなく、卿に宛てて、か。ふむ……」
「ウォーレイク! 貴様、ルークリアと通じていたのかっ!? 仮にも元帥の地位にありながら不忠も甚だしい! この場で即刻首を刎ねてくれる!」
ヴォルドンめ。
これ以上は流石に見過ごせぬな。
陛下の限界が来る前に……いや、遅かったようだ。
「黙れ! ヴォルドン!」
豪雷のような陛下の御言葉に、計らずも全員の背筋が伸びた。
いつもは温和な陛下だが、どうやら温和にも限界がきたようだな。
「ヴォルドン! 卿は軍隊司令長官の立場にありながら、他者の足を掬っているだけではないかっ! 再起を待っていたが、事ここに至ってはやむを得まい! 卿を軍隊司令長官の職から解任する!」
「へ、陛下っ! そ、それはあんまりではっ! それにケラー公爵の御意向も……」
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だが、これは賭けだ。
下手をすれば皇帝派と公爵派に分かれ、帝国を二分する内戦にもなりかねない。
陛下にしてはあまりに短慮なお考えかと思うが、あの自信に満ちた顔は何かあるのだろう。
一体何を考えておられるのか。
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