食うために軍人になりました。

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第五章

勇者達の入場

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「これより四勲章競合戦を開始いたします!」

 進行を務める男が拡声の魔道具を使って闘技場内に声を轟かせると、それに応えるように人しか見えない観客席から闘技場を震撼させる程の大喚声があがった。
 すごいなぁ。
 ここまで盛り上がるとは思わなかった。
 元々は兵士達の練度の高さを見るための大会だったって聞いてたけど、今じゃただのお祭りだもんなぁ。

「それでは帝国中より選び抜かれた15名の戦士をご紹介したいと思います! 先ずは北方方面軍司令官からの推薦! 魔剣《雷の涙サンダーティア》を操る魔剣使い、アリシア・フォン・ヴォルガング! 炎の古代魔法《真紅流星爆発クリムゾンメテオエクスプロージョン》の使い手、ファンティーヌ・フォン・リンテール! 天下無双の槍使い、北の守護者レオン・テーニセン!」

「オォオオオオオオオオオオオ!!」

 名前を呼ばれて3人が闘技場内に入っていった。
 少佐と中尉の後ろを歩いてるあの人がレオン・テーニセン様か。
 前に見た資料では42歳の筈だけど、無精髭に白髪の長髪を後ろで一纏めにしてるからか結構歳いってるように見えるな。
 
「続いて東方方面軍司令官推薦! 聖剣《妖精の声フェアリーヴォイス》を操る聖剣使い、東方の神秘ゴットフリード・フォン・バランディン! 秘拳にして邪拳! アブデュルガゼム流拳法の使い手、滾る拳王ヴィクトール・コクトー! そして! 前回あの帝国の大英雄ウィルバルト・フォン・ローゼンハイムに唯一負けを刻んだ帝国最強の女傑! フィンリー・フォン・オリオール!」

「オォオオオオオオオオオオオッッ!!」

「オリオール! オリオール! オリオール!」

 うおっ! すごい歓声だ!
 この3人って人気あるんだなぁ。
 特にあのオリオール様なんかめちゃくちゃ人気があるのか、オリオールコールが巻き起こってる。
 さすがは前回の優勝者ってところか。

「ご静粛に願います! 続きまして南方方面軍司令官推薦! 魔剣《純真なる炎イノセンスフレイム》を操るイリア・フォン・ヴォルガング! 古代魔法《深淵黒風白雨アビスストーミーストーム》を使うは古代魔法使いクリスティーヌ・フォン・リンテール! そして南方一の怪力にして剛力無双、ロビン・マックス!」

「オォオオオオオオオオオオオ!!」

 怪力ってすごく単純な紹介だな。
 だけど、ただそれだけでこの戦いに参加できるわけない。
 多分それ以外にもあいつには何かがあるな。

「西方方面軍司令官推薦! ダウスター領領主にしてダグラス斧術の免許皆伝、アーベル・フォン・ダウスター! 帝国式剣術の達人、ハインツ・フォンタール! そして……えー、弓使いグレーテ・グルントマン!」

「……オォオオオオオ!」
 
 うわぁ……歓声もまばらだし、他の方面軍と比べてなんて華のない入場だよ。
 それにあのグルントマンとかいう謎の女は紹介まで情報なしか。
 外見的には特に変わったところがないし、淡々とした佇まいをしている。
 それが逆に不気味な印象を受けるな。

「それでは最後に皇帝陛下から直々に推薦された者達をご紹介します! 近衛連隊より双剣使い、オスカー・ローズ! 陛下直属の魔道士、メアリー・シーラン! そして、帝国の若き英雄! 真刀使いリクト・フォン・シュナイデンだぁあああ!!」

「ウオォオオオオオオオオオオオ!!!」
 
「キャアアアアアアアアアアア!!」

「シュナイデン様ぁあああああ!」

 な、なんだ!?
 一体なんの騒ぎだ!?

 
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