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第三章
魂の叫び
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なんかテラーズが固まってしまった。
普段は隙を見せるような人じゃないのに珍しく気が抜けているような感じだ。
「……失礼しました。しかし、意外でしたな」
急に動き出したな。
取り繕うとかって感じじゃなくて、何事もなかったように進めるあたりが流石だね。
「意外って、なにが?」
「私は北方方面軍から此度の戦についての詳細な情報を取り寄せました。それによると旦那様がルーストレームと戦った地は、木々が生い茂る森林だったとそうですが、それが大きく摺鉢状に抉れた荒野と変わっていたと書いてありました」
それは間違いない。
でも、その前に一介の執事がどうやって軍事情報を取り寄せたのかが気になるんですけど。
「だいたい合ってるけど、それがなんで意外なんだ?」
「森林が荒野に変わる程の威力ですよ? リンテール中尉の真紅流星爆発でもそこまでの威力はないでしょう。それだけでも十分脅威ですが、それ以上の技となれば……」
警戒に値するってわけね。
でも、それは違うんだよなぁ。
「九文字の技はそんなに強力じゃないんだよ。威力だけで言うなら天上天下唯我独刀の方が遥かに強いからね」
「ほぅ……では、九文字たる所以とは何なんでしょうか」
「確実だからじゃない?」
「確実……とは?」
「九文字の技は正真正銘《必殺技》なんだよ。例え、相手が巨人でも龍でも神でも悪魔でも必ず殺す技。それが九文字の所以なんじゃない?」
「必ず殺す……よく必殺技などと聞きますが、どうやらそんな紛い物とは違うようですね。旦那様と敵対する事は避けたいものです」
俺だって嫌だよ。
だってこの技を使ったら、俺死んじゃうんだからね。
それより随分と長いこと馬車に乗ってる気がするんだけど、まだ家に着かないのかな?
「随分と時間かかってるみたいだけど、なにか問題でもあった?」
「いえ、馬車は順調に進んでおりますよ」
外を確認する事もなくテラーズはサラッと応えた。
いやいや、そんな事はないだろ?
城門を出てからそろそろ1時間くらいは経つはずだ。
いくら平民街の裏通りでも今の速度だったら十分に着いて……な、なんだっ!?
街中を走ってるかと思ったら、いつの間にか街道に出てるじゃないか!
「テラーズ! 街道に出てるぞ!」
「当然じゃありませんか。何を今更」
「何を今更って……家に向かってるのに何で街道に出てるんだよっ!?」
「旦那様は先程陞爵を賜った事によって正式に第六階位、男爵となったのです。それと同時にロンドベルゲンの領主となったのですから、当然ロンドベルゲンの屋敷が《家》になります。帝都裏通りの方は帝都の《別宅》に過ぎません。あと2日で到着しますから、その間に領主の仕事について学んでいただきますぞ」
「テラーズゥウウウウウ!」
俺の魂の叫びは帝都から遠ざかる馬車の車輪の音と共に暗い闇の中へと吸い込まれていった。
普段は隙を見せるような人じゃないのに珍しく気が抜けているような感じだ。
「……失礼しました。しかし、意外でしたな」
急に動き出したな。
取り繕うとかって感じじゃなくて、何事もなかったように進めるあたりが流石だね。
「意外って、なにが?」
「私は北方方面軍から此度の戦についての詳細な情報を取り寄せました。それによると旦那様がルーストレームと戦った地は、木々が生い茂る森林だったとそうですが、それが大きく摺鉢状に抉れた荒野と変わっていたと書いてありました」
それは間違いない。
でも、その前に一介の執事がどうやって軍事情報を取り寄せたのかが気になるんですけど。
「だいたい合ってるけど、それがなんで意外なんだ?」
「森林が荒野に変わる程の威力ですよ? リンテール中尉の真紅流星爆発でもそこまでの威力はないでしょう。それだけでも十分脅威ですが、それ以上の技となれば……」
警戒に値するってわけね。
でも、それは違うんだよなぁ。
「九文字の技はそんなに強力じゃないんだよ。威力だけで言うなら天上天下唯我独刀の方が遥かに強いからね」
「ほぅ……では、九文字たる所以とは何なんでしょうか」
「確実だからじゃない?」
「確実……とは?」
「九文字の技は正真正銘《必殺技》なんだよ。例え、相手が巨人でも龍でも神でも悪魔でも必ず殺す技。それが九文字の所以なんじゃない?」
「必ず殺す……よく必殺技などと聞きますが、どうやらそんな紛い物とは違うようですね。旦那様と敵対する事は避けたいものです」
俺だって嫌だよ。
だってこの技を使ったら、俺死んじゃうんだからね。
それより随分と長いこと馬車に乗ってる気がするんだけど、まだ家に着かないのかな?
「随分と時間かかってるみたいだけど、なにか問題でもあった?」
「いえ、馬車は順調に進んでおりますよ」
外を確認する事もなくテラーズはサラッと応えた。
いやいや、そんな事はないだろ?
城門を出てからそろそろ1時間くらいは経つはずだ。
いくら平民街の裏通りでも今の速度だったら十分に着いて……な、なんだっ!?
街中を走ってるかと思ったら、いつの間にか街道に出てるじゃないか!
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「当然じゃありませんか。何を今更」
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「テラーズゥウウウウウ!」
俺の魂の叫びは帝都から遠ざかる馬車の車輪の音と共に暗い闇の中へと吸い込まれていった。
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