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第三章
無給
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いやいやいやいやいやいやいやっ!
何で帝城の執事が俺の執事になるんだよっ!?
全然意味がわからんぞッ!
「どうした? そんな間抜け面をしおって」
「へ、陛下っ!? そ、そりゃ間抜け面にもなりますよ! どういう事ですか!? テラーズさんが俺の執事って!?」
「言葉通りの意味だ。現時刻を持って帝城の執事の任を解き、お前の執事に任じたのだ」
なんでやねん!
帝城の執事から准男爵の執事ってどんな罰やねん!
だいたい、そんなもんテラーズさんは嫌に決まってるでしょ!
「言っておくが、これはテラーズ直々の申し出だからな。強制ではない」
「えっ!? な、なんで?」
俺が疑問の眼を向けるとテラーズさんは急に腰を曲げて、手を口元に当てた。
「ゴホゴホッ……私ももう歳です。このような老体では帝城の執事という大任は果たせますまい。しかし、未練がましくも執事の仕事には就いていたいのです。シュナイデン卿、どうかこの哀れな老人を使ってはくださいませぬか?」
嘘つきぃいいいいいいいいっ!
さっきの拳が哀れな老人の拳なわけないだろっ!
こっちは死にかけたんだぞ!
「……という冗談は置いておきまして、本音としてはそろそろ役目を息子に譲りたいのですよ。そして余生を呆けて暮らすことのないように適度に働かせてもらおうと思いましてな。適当な人材にお願いしているのです。ああ、給金はいりませんよ。帝城の執事としてガッポリもらってましたからね。死ぬまでに使いきれない程ありますから安心してください」
こんのやろぉおおおおお!
自慢か? 自慢なのか!?
どうせ俺は金なんかないですよ!
だって生活には色々先立つものが必要ですからね!
実家への仕送りもあるし!
こうなったら本当に使い倒してやるからな……ふっふっふっ、見てろよぉ~
「その顔は了承したという事でいいんだな? では、正式にテラーズは今日からお前の執事だ。そして、お前はリクト・フォン・シュナイデン准男爵だ。テラーズ、後は任せるぞ。では、また明日な」
陛下はそう言うと、玄関から出て行き、いつの間にか外に待機していた黒ずくめの兵士達が警護する馬車に乗って行ってしまった。
あいつら、いつからいたんだ?
全然気が付かなかったぞ。
「あれは《帝都の影》と呼ばれる皇帝陛下直属の部隊ですよ。いわゆる諜報機関なんですが身辺警護から間諜、暗殺、情報収集、御使いと色々やってる、簡単に言えば便利屋です」
これこれ……サラッと暗殺なんて言葉を出すんじゃありませんよ。
しかし、相当な手練ればかりだな。
外にいたとはいえ俺が全く気配を感じられなかった。
「旦那様、これからは御自宅とはいえ気を抜くのはお勧め致しません。旦那様はこれから生き馬の目を抜く世界で生きていく事になるのです。常在戦場と心得てください」
「おっそろしい世界もあったもんだ。しかし、まぁ、これから有能な人材を帝国全土から発掘し、腐敗した奴らを一掃して帝国を立て直すって大仕事の手伝いをするんだ。覚悟しておくよ」
「さすがは旦那様。では、明日からの予定をお伝えします」
……ん? 明日からの予定?
何で帝城の執事が俺の執事になるんだよっ!?
全然意味がわからんぞッ!
「どうした? そんな間抜け面をしおって」
「へ、陛下っ!? そ、そりゃ間抜け面にもなりますよ! どういう事ですか!? テラーズさんが俺の執事って!?」
「言葉通りの意味だ。現時刻を持って帝城の執事の任を解き、お前の執事に任じたのだ」
なんでやねん!
帝城の執事から准男爵の執事ってどんな罰やねん!
だいたい、そんなもんテラーズさんは嫌に決まってるでしょ!
「言っておくが、これはテラーズ直々の申し出だからな。強制ではない」
「えっ!? な、なんで?」
俺が疑問の眼を向けるとテラーズさんは急に腰を曲げて、手を口元に当てた。
「ゴホゴホッ……私ももう歳です。このような老体では帝城の執事という大任は果たせますまい。しかし、未練がましくも執事の仕事には就いていたいのです。シュナイデン卿、どうかこの哀れな老人を使ってはくださいませぬか?」
嘘つきぃいいいいいいいいっ!
さっきの拳が哀れな老人の拳なわけないだろっ!
こっちは死にかけたんだぞ!
「……という冗談は置いておきまして、本音としてはそろそろ役目を息子に譲りたいのですよ。そして余生を呆けて暮らすことのないように適度に働かせてもらおうと思いましてな。適当な人材にお願いしているのです。ああ、給金はいりませんよ。帝城の執事としてガッポリもらってましたからね。死ぬまでに使いきれない程ありますから安心してください」
こんのやろぉおおおおお!
自慢か? 自慢なのか!?
どうせ俺は金なんかないですよ!
だって生活には色々先立つものが必要ですからね!
実家への仕送りもあるし!
こうなったら本当に使い倒してやるからな……ふっふっふっ、見てろよぉ~
「その顔は了承したという事でいいんだな? では、正式にテラーズは今日からお前の執事だ。そして、お前はリクト・フォン・シュナイデン准男爵だ。テラーズ、後は任せるぞ。では、また明日な」
陛下はそう言うと、玄関から出て行き、いつの間にか外に待機していた黒ずくめの兵士達が警護する馬車に乗って行ってしまった。
あいつら、いつからいたんだ?
全然気が付かなかったぞ。
「あれは《帝都の影》と呼ばれる皇帝陛下直属の部隊ですよ。いわゆる諜報機関なんですが身辺警護から間諜、暗殺、情報収集、御使いと色々やってる、簡単に言えば便利屋です」
これこれ……サラッと暗殺なんて言葉を出すんじゃありませんよ。
しかし、相当な手練ればかりだな。
外にいたとはいえ俺が全く気配を感じられなかった。
「旦那様、これからは御自宅とはいえ気を抜くのはお勧め致しません。旦那様はこれから生き馬の目を抜く世界で生きていく事になるのです。常在戦場と心得てください」
「おっそろしい世界もあったもんだ。しかし、まぁ、これから有能な人材を帝国全土から発掘し、腐敗した奴らを一掃して帝国を立て直すって大仕事の手伝いをするんだ。覚悟しておくよ」
「さすがは旦那様。では、明日からの予定をお伝えします」
……ん? 明日からの予定?
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