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第三章
天上天下唯我独刀
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さっきまで森だった周囲は荒野と化していた。
荒野にただ1人立っているというのは少し寂しい感じがする。
頭がクラクラするし、気分は最悪だ。
流石に魔力を使い過ぎたようだ。
それに……
「痛いな……やっぱり右腕は複雑骨折してるな、それに刀もポッキリ折れてるよ。実家から持ってきた刀だったのに……」
天上天下唯我独刀
魔刃一刀流の中でも最大最強の威力を誇る技で、半径100メートルを高密度の魔力によって吹き飛ばす技だ。
100メートルって狭く感じるけど、実際はそうでもない。
なんせこの技は俺を中心に全方位に向けて放たれる。
つまり、横だけじゃなく上にも下にも100メートルだ。
だから俺の前にはすり鉢状に抉られた大地が広がっている。
当然、それだけの威力となると使った俺自身もタダでは済まない。
刀は折れるし、振るった腕はボロボロだ。
まぁ、初めて使った時よりはマシだけどね。
あの時は魔力をうまく収束できなくて途中で暴発。
半身が吹っ飛ぶ大怪我を負った。
運良く家に回復魔法薬があったから一命をとり止めたけど、アレは痛かった。
あの時に比べたらこれぐらいはまだマシな方だ。
「それにしてもタフだな、あの人は」
俺とは穴を挟んで反対側で座り込んでいる奴がいる。
傷だらけだけど、よく人として原形を留めているものだ。
それに息もあるようだ。
「うっ……ゲホッゲホッ! はぁはぁ……」
全身は血だらけ、左腕と左足は変な方向に曲がってるな。
呼吸も荒いし、肺を損傷しているようだ。
「生きてるとは思わなかったよ。流石は共和国の大英雄だ」
「はぁはぁ……こ、こんなザマじゃ……だ、大英雄って言われるのが恥ずかしくなるわね……」
「そんな事ないさ。俺だってフラフラだもん」
「と、当然よ……あんな技を何回も何回も使われたんじゃ堪らないわ」
俺だって使いたくない。
そもそも魔刃一刀流は刀でないと使えないから、今は使いたくても使えない。
だって折れてるもん。
「さあ、女に恥をかかせるもんじゃないわよ? 殺しなさい」
「随分と潔いんだね」
「正々堂々と戦って負けたのよ。悔いなんかないわ。それに貴方の栄光の一部になるのも悪い気がしないのよ」
「栄光の一部?」
「私の首があれば地位も名誉も思いのまま。私は貴方の栄光の一部となるのよ。ふふふっ、そうなれば貴方と私はいつまでも一緒……悪くない、悪くないわ!」
血だらけのくせに随分と余裕のある人だな。
そうか、この人を殺せば潰された小隊の無念は晴らせるだろうし、俺の出世にもなるわけか。
でも、なぁ……うーん……
「やっぱりいいか」
俺は腕を振り上げてから、一気に振り下ろした。
荒野にただ1人立っているというのは少し寂しい感じがする。
頭がクラクラするし、気分は最悪だ。
流石に魔力を使い過ぎたようだ。
それに……
「痛いな……やっぱり右腕は複雑骨折してるな、それに刀もポッキリ折れてるよ。実家から持ってきた刀だったのに……」
天上天下唯我独刀
魔刃一刀流の中でも最大最強の威力を誇る技で、半径100メートルを高密度の魔力によって吹き飛ばす技だ。
100メートルって狭く感じるけど、実際はそうでもない。
なんせこの技は俺を中心に全方位に向けて放たれる。
つまり、横だけじゃなく上にも下にも100メートルだ。
だから俺の前にはすり鉢状に抉られた大地が広がっている。
当然、それだけの威力となると使った俺自身もタダでは済まない。
刀は折れるし、振るった腕はボロボロだ。
まぁ、初めて使った時よりはマシだけどね。
あの時は魔力をうまく収束できなくて途中で暴発。
半身が吹っ飛ぶ大怪我を負った。
運良く家に回復魔法薬があったから一命をとり止めたけど、アレは痛かった。
あの時に比べたらこれぐらいはまだマシな方だ。
「それにしてもタフだな、あの人は」
俺とは穴を挟んで反対側で座り込んでいる奴がいる。
傷だらけだけど、よく人として原形を留めているものだ。
それに息もあるようだ。
「うっ……ゲホッゲホッ! はぁはぁ……」
全身は血だらけ、左腕と左足は変な方向に曲がってるな。
呼吸も荒いし、肺を損傷しているようだ。
「生きてるとは思わなかったよ。流石は共和国の大英雄だ」
「はぁはぁ……こ、こんなザマじゃ……だ、大英雄って言われるのが恥ずかしくなるわね……」
「そんな事ないさ。俺だってフラフラだもん」
「と、当然よ……あんな技を何回も何回も使われたんじゃ堪らないわ」
俺だって使いたくない。
そもそも魔刃一刀流は刀でないと使えないから、今は使いたくても使えない。
だって折れてるもん。
「さあ、女に恥をかかせるもんじゃないわよ? 殺しなさい」
「随分と潔いんだね」
「正々堂々と戦って負けたのよ。悔いなんかないわ。それに貴方の栄光の一部になるのも悪い気がしないのよ」
「栄光の一部?」
「私の首があれば地位も名誉も思いのまま。私は貴方の栄光の一部となるのよ。ふふふっ、そうなれば貴方と私はいつまでも一緒……悪くない、悪くないわ!」
血だらけのくせに随分と余裕のある人だな。
そうか、この人を殺せば潰された小隊の無念は晴らせるだろうし、俺の出世にもなるわけか。
でも、なぁ……うーん……
「やっぱりいいか」
俺は腕を振り上げてから、一気に振り下ろした。
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