食うために軍人になりました。

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第三章

シュナイデン

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 シュナイデンの一族?
 ああ、家名で俺がその一族かと勘違いしてるんだな。

「悪いけど違うよ。この家名は名字を名乗る際にある人からもらっただけだ」

「そうなの? 片刃かたはの剣と珍しい剣術だったからてっきり血族なのかと思っちゃった。残念ね。もし、一族だったら殺さずに済んだのに」

 どういう意味だ?
 シュナイデンは帝国建国期に活躍した六剣士の一人だ。
 その一族を共和国の人間が欲しがってるのか?

「さて、おしゃべりはこのくらいにして。また熱く燃えるような濃厚で甘美な刻を一緒に過ごしましょ」

「まだやるの? 好きなんだね~」

「自分より弱い者と戦って勝って、そこに快楽を見出すなんて手慰みもいいところよ。そんなんじゃ熱くなれないわ。自分以上の者と戦って命を賭けて求め合う。身も心も、魂でさえも熱く燃え上がる最高の刻……あぁ、ねぇ? ゾクゾクしてこない?」

 してきません。
 いや、別の意味ではゾクゾクするね。
 刃物握りしめて顔を紅潮させてうっとりした顔されると、本当にやばい人だとわかるから背筋がゾクゾクするよ。
 おまけに強いし、本当に危ない人だ。
 でも、さっきまでの俺とは違うよ。
 もう十分溜まってるからね。
 
「さぁ、行くわよ。私の速度スピードにどこまで保つかしら?」

「次は俺から行くぞ! 《瞬剣しゅんけん閃斬須臾せんざんしゅゆ》」

 この人は確かに危ない人だ。
 俺が今まで戦った中で1番強い。
 だから、勝つには持てる力を全て出し切るしかない。
 出し惜しみはしない!
 確実にその首すっ飛ばしてる!
 そう思って放った最速の技だったけど、刃がルーストレームの首に小さな傷をつけた瞬間に避けられた。
 反応速度が尋常じゃないな。

「やるじゃない! 私以上の速度スピードで斬りつけてくるなんて、想像以上よ!」

 よく言うよ。
 あれを避けたってことはそれより早く動いたって事だ。
 さっきまでの動きも相当なもんだったけど、本気じゃなかったみたいだな。
 こうなったら身体が保つ限り技を出しまくってやる!

穿剣せんけん裏搔うらか!」

「抉るような鋭い突き、凄い、凄いわ! こんなの初めて! ゾクゾクが止まらないのぉ!」

 マジか!?
 この距離の裏搔うらかを避けれるのかよ!

「いいわ! どんどん激しく燃え上がりましょ!」

「消えた!? 連撃が来る!? 仕方ない! 《乱剣らんけん縦横無刃じゅうおうむじん》!」

 姿の見えない2人の剣戟は途切れることなく2時間、森の中に金属音を響かせ続けた。
 
 
 
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