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第二章
暗躍するハゲ
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「それで? 私に話というのは?」
この忙しい時にわざわざ呼びつけよって。
一体どういうつもりだ?
「はっ! この度は私の唐突な申し出を受けてくださり、恐悦至極に存じます! このように御尊顔を拝せました事、このノイマイスター、末代までの栄叡とさせていただきたく存じます!」
そう思うなら何の前触れもなく謁見の申し出などするな!
無礼を承知での行いというのならお前をその末代にしてやろうか?
こいつはヴォルドン派閥のナンバー2だが大将の器ではない。
せいぜい大佐あたりが良いところだろう。
それがヴォルドンに使われるようになり、今の地位と引き換えに奴のスピーカーとなった。
矢面に出され、失敗すれば責任ごと葬られる。
そんな事にも気づけない使えない男だ。
いなくなってもそれ程困る奴でもない。
「世辞はよい。それより何用か?」
「はっ! 実は帝国内における不穏な動きが御座いまして、陛下のお耳に入れておくべきかと愚考した次第です!」
愚考ではない。
愚かなのはお前自身だ。
考えるだけ思考の無駄だ。
「……続けよ」
「はっ! 実は帝国北東部に出没していた虎龍の討伐についてなのですが、その際にワイヴァーンも一緒に討伐されたと報告が上がっております」
「その報ならすでに聞いている。虎龍とワイヴァーンを仕留めた強者がいるとな」
「はっ! 帝国軍人として素晴らしい成果だと思います。ですが、その件につきまして奇怪な噂が流れております」
奇怪な噂か。
その情報源が何処からなのかは言わぬのだろうな。
「虎龍とワイヴァーンを相手にたった3人で挑むのは無理があるのではないか、もしや帝国軍の士気高揚のための宣伝ではないか、と」
「根も葉もない噂だな。北方方面軍が討伐成果を確認した以上、疑うべきは噂の方ではないか? 即刻噂の出所を押さえよ」
「勿論でございます! ですが一応、3名の方も調べた方がよろしいと考えます。北方方面軍が謀られた可能性もありますので」
何を言ってるんだ、こいつは?
「どういう事か?」
「此度の戦果、本当に士官3名だけのものでしょうか?」
「なに?」
「ワイヴァーンだけなら討伐も可能でしょう。しかし、同時に虎龍がいるとなれば話は別です。本来であれば中隊規模の戦力が必要な魔物です。それを3名、しかも全員が10代と言うのは。例え信用厚き北方方面軍の報告といえど容易には信じる事はできません。」
なるほど、筋は通っている。
帝都中央軍から選りすぐった強者達であっても、3名だけで虎龍とワイヴァーンを討伐するのは極めて困難だからな。
特に目の前の男では1秒と保たないだろう。
「加えて3名全員がウォーレイク元帥閣下の部下というのも噂の火種となっております。ウォーレイク閣下が密かに手を回したとは考えたくありませんが、口さがない者は何処にでもおりますれば……」
その先方が貴様であろうに。
やれやれ、話が面倒になってきたな。
「前置きが長い。どうしたいのだ?」
「し、失礼致しました! 単刀直入に申しまして、実力を測るためにアリシア・フォン・ヴォルガング少佐、ファンティーヌ・フォン・リンテール中尉、そしてリクト・フォン・シュナイデン大尉の3名の《ヴァランタイン四勲章競合戦》への参加を承認していただきたいのです」
「なんだと?」
おいおい……こいつ、なんて事を言うんだ?
なかなか良いこと言うじゃないか!
この忙しい時にわざわざ呼びつけよって。
一体どういうつもりだ?
「はっ! この度は私の唐突な申し出を受けてくださり、恐悦至極に存じます! このように御尊顔を拝せました事、このノイマイスター、末代までの栄叡とさせていただきたく存じます!」
そう思うなら何の前触れもなく謁見の申し出などするな!
無礼を承知での行いというのならお前をその末代にしてやろうか?
こいつはヴォルドン派閥のナンバー2だが大将の器ではない。
せいぜい大佐あたりが良いところだろう。
それがヴォルドンに使われるようになり、今の地位と引き換えに奴のスピーカーとなった。
矢面に出され、失敗すれば責任ごと葬られる。
そんな事にも気づけない使えない男だ。
いなくなってもそれ程困る奴でもない。
「世辞はよい。それより何用か?」
「はっ! 実は帝国内における不穏な動きが御座いまして、陛下のお耳に入れておくべきかと愚考した次第です!」
愚考ではない。
愚かなのはお前自身だ。
考えるだけ思考の無駄だ。
「……続けよ」
「はっ! 実は帝国北東部に出没していた虎龍の討伐についてなのですが、その際にワイヴァーンも一緒に討伐されたと報告が上がっております」
「その報ならすでに聞いている。虎龍とワイヴァーンを仕留めた強者がいるとな」
「はっ! 帝国軍人として素晴らしい成果だと思います。ですが、その件につきまして奇怪な噂が流れております」
奇怪な噂か。
その情報源が何処からなのかは言わぬのだろうな。
「虎龍とワイヴァーンを相手にたった3人で挑むのは無理があるのではないか、もしや帝国軍の士気高揚のための宣伝ではないか、と」
「根も葉もない噂だな。北方方面軍が討伐成果を確認した以上、疑うべきは噂の方ではないか? 即刻噂の出所を押さえよ」
「勿論でございます! ですが一応、3名の方も調べた方がよろしいと考えます。北方方面軍が謀られた可能性もありますので」
何を言ってるんだ、こいつは?
「どういう事か?」
「此度の戦果、本当に士官3名だけのものでしょうか?」
「なに?」
「ワイヴァーンだけなら討伐も可能でしょう。しかし、同時に虎龍がいるとなれば話は別です。本来であれば中隊規模の戦力が必要な魔物です。それを3名、しかも全員が10代と言うのは。例え信用厚き北方方面軍の報告といえど容易には信じる事はできません。」
なるほど、筋は通っている。
帝都中央軍から選りすぐった強者達であっても、3名だけで虎龍とワイヴァーンを討伐するのは極めて困難だからな。
特に目の前の男では1秒と保たないだろう。
「加えて3名全員がウォーレイク元帥閣下の部下というのも噂の火種となっております。ウォーレイク閣下が密かに手を回したとは考えたくありませんが、口さがない者は何処にでもおりますれば……」
その先方が貴様であろうに。
やれやれ、話が面倒になってきたな。
「前置きが長い。どうしたいのだ?」
「し、失礼致しました! 単刀直入に申しまして、実力を測るためにアリシア・フォン・ヴォルガング少佐、ファンティーヌ・フォン・リンテール中尉、そしてリクト・フォン・シュナイデン大尉の3名の《ヴァランタイン四勲章競合戦》への参加を承認していただきたいのです」
「なんだと?」
おいおい……こいつ、なんて事を言うんだ?
なかなか良いこと言うじゃないか!
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