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第二章
飢えた獣
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夕暮れのマルタン商会の一室は、さながら新作発表会と言わんばかりに真新しい服がズラリと並んでいた。
「なんと……これだけの物が揃うとはっ! どれが今年の流行になってもおかしくない素晴らしい出来栄えじゃないか! 今年の社交界は我がマルタン商会の服一色になるやもしれんぞ!」
落ち着いた感じだった初老の支配人は興奮冷めやらぬと言った状態で、服を見回している。
まぁ、新しいデザインの服が急に16着も出来たらびっくりはするだろうけど、それにしても喜びすぎじゃないか?
「しかし、服ってこんなに簡単に出来るもんなんですね」
俺は素朴は疑問を述べた。
なんせダウスターでは衣服は全て手縫いで、1着仕上げるだけでも1日かかる。
それをミレーヌさんは16着をたったの小一時間ほどで完成させた。
代わりにぶっ倒れてるけど。
「これは魔法だよぉ。創造系の魔法の応用でぇ、イメージを具現化して製作しているのぉ」
へぇ、そう言った魔法もあるのか。
火とか水とかの属性じゃない魔法なんて聞いた事もなかった。
「そこでぶっ倒れているミレーヌ・マルタンは魔法学院の元生徒でな。この《創造・洋服》の魔法を作ったのも彼女だ。本来なら創造魔法では緻密な衣服のデザインなど困難だが、製作時の作業工程までも正確にイメージする事でそれを可能としるらしい」
へぇ、少尉はともかく中将も魔法に詳しいんだな。
でも、これだけ便利な魔法なのに何で普及してないんだろう?
あっ、ミレーヌさんが起きた。
「簡単に言ってくれるね、シャーロット。その正確に作業工程までイメージするの難しいんだよ。私みたいにガキの頃から布と戯れ、針と糸を手足と同じ感覚で操り、目を瞑ったままでも服が縫えるぐらいじゃないと扱えやしないんだよ。私だけのオリジナル魔法と言ってもいいくらいさ」
ミレーヌが頭を掻きながら自画自賛している。
うーん、そんな薄着でボリボリ頭掻いてると乳房が溢れますよ?
「それは失礼したな。だが、これだけの物をこの短時間で作り上げるとは、さすがは《帝都一のデザイナー》だな」
中将の称賛に喜びもせず、ミレーヌは少しはにかんだだけだった。
「私にも限界はあるさ。新しい服のデザインには常に斬新なアイデアと発想の転換が必要でね。流石に簡単にとはいかないよ」
「マルタン商会はミレーヌのおかげで、ここまで大きくなりました。今も常に新作を求めて貴族の方々が我が商会に来られます。ですが、新作がないとなると、廃れるのも早いものでして……」
ミレーヌと初老の支配人は寂しそうに言った。
名前からしてもこの2人は親子だろう。
帝都ってのは競争が激しいところなんだな。
ダウスターでは服屋なんか二軒しかないから競争とは縁遠いもんだ。
「しかし、あんたの身体はいい刺激になったよ。おかげで16着も新作が出来たんだ。礼と言っちゃなんだが、出来る事ならさせてもらうよ」
「身体がいい刺激ってのがよくわかりませんが、礼は不要です。オーダーメイドの服を戴けるだけで十分ですよ」
変な言い回しは気になるけど、こっちもタダで服を貰うんだから気にしないでおこう。
「欲がないねぇ。どうだい? 一晩付き合えってんなら大歓迎だよ? 私も身体にはそこそこ自信があるし、それにあんたの身体を抱けるなら……何着新作が出来るか想像もできないからねえ」
舌舐めずりして人の身体をジロジロ見ないで欲しい……。
森で腹を空かせた猛獣に遭った感覚を思い出すなぁ。
「なんと……これだけの物が揃うとはっ! どれが今年の流行になってもおかしくない素晴らしい出来栄えじゃないか! 今年の社交界は我がマルタン商会の服一色になるやもしれんぞ!」
落ち着いた感じだった初老の支配人は興奮冷めやらぬと言った状態で、服を見回している。
まぁ、新しいデザインの服が急に16着も出来たらびっくりはするだろうけど、それにしても喜びすぎじゃないか?
「しかし、服ってこんなに簡単に出来るもんなんですね」
俺は素朴は疑問を述べた。
なんせダウスターでは衣服は全て手縫いで、1着仕上げるだけでも1日かかる。
それをミレーヌさんは16着をたったの小一時間ほどで完成させた。
代わりにぶっ倒れてるけど。
「これは魔法だよぉ。創造系の魔法の応用でぇ、イメージを具現化して製作しているのぉ」
へぇ、そう言った魔法もあるのか。
火とか水とかの属性じゃない魔法なんて聞いた事もなかった。
「そこでぶっ倒れているミレーヌ・マルタンは魔法学院の元生徒でな。この《創造・洋服》の魔法を作ったのも彼女だ。本来なら創造魔法では緻密な衣服のデザインなど困難だが、製作時の作業工程までも正確にイメージする事でそれを可能としるらしい」
へぇ、少尉はともかく中将も魔法に詳しいんだな。
でも、これだけ便利な魔法なのに何で普及してないんだろう?
あっ、ミレーヌさんが起きた。
「簡単に言ってくれるね、シャーロット。その正確に作業工程までイメージするの難しいんだよ。私みたいにガキの頃から布と戯れ、針と糸を手足と同じ感覚で操り、目を瞑ったままでも服が縫えるぐらいじゃないと扱えやしないんだよ。私だけのオリジナル魔法と言ってもいいくらいさ」
ミレーヌが頭を掻きながら自画自賛している。
うーん、そんな薄着でボリボリ頭掻いてると乳房が溢れますよ?
「それは失礼したな。だが、これだけの物をこの短時間で作り上げるとは、さすがは《帝都一のデザイナー》だな」
中将の称賛に喜びもせず、ミレーヌは少しはにかんだだけだった。
「私にも限界はあるさ。新しい服のデザインには常に斬新なアイデアと発想の転換が必要でね。流石に簡単にとはいかないよ」
「マルタン商会はミレーヌのおかげで、ここまで大きくなりました。今も常に新作を求めて貴族の方々が我が商会に来られます。ですが、新作がないとなると、廃れるのも早いものでして……」
ミレーヌと初老の支配人は寂しそうに言った。
名前からしてもこの2人は親子だろう。
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「欲がないねぇ。どうだい? 一晩付き合えってんなら大歓迎だよ? 私も身体にはそこそこ自信があるし、それにあんたの身体を抱けるなら……何着新作が出来るか想像もできないからねえ」
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