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第一章
怨恨の眼
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「戯れはそれぐらいにしておけ」
そう言って、俺達の後ろに立ったのは俺の所属するダウスター領軍の司令官にして、領主でもあるアーベル・フォン・ダウスター男爵様だ。
助かったぁ!
「我々の為だけに遣わされた飛空艇とは言え、あまりはしゃいではならん。それにシュナイデン軍曹には謁見の作法について説明もしておかねばならんのだ。遊んでいる暇はないんだぞ? 謁見で失礼があれば極刑もあり得るのだからな」
「謁見とか作法とか、小官はそういった事は苦手です。あまりやりたくは……」
しまった。
また余計な事を言ったようだ。
男爵の眉がピクピクと痙攣している。
「だからやるんだろうが! つべこべ言わずに来い! 時間がない!」
急いでいるのはわかるけど、俺の軍服の襟足を掴んで引っ張らなくてもいいんじゃないかな?
そういえば時間がないって言ってたけど、帝都にはいつ頃着くんだろう?
ダウスターから帝都まで馬車で半月だから……5日くらいか?
「明日には帝都に着く。謁見は明後日だが覚える事は山のようにあるのだ! 寝る間もないと覚悟するんだな!」
早いよ!
めっちゃ早いよ! 飛空艇!
俺が男爵に引き摺られて行く姿を、さっきまで嫉妬の目で見ていた奴らが『ザマァ見ろ』と言った目で見てくる。
何て心の狭い奴らだ。
お前達には情というものがないのか?
「ヴォルガング大尉! リンテール少尉! 貴官らも来い! 俺1人では時間が足らん! 交代でこいつに作法を叩き込んでやってくれ!」
「任せていただきましょう。ヴォルガング家は武門の名家。武と礼は通じるものが多くあります。礼儀を叩き込んでやりますよ」
「リンテール家は魔法関連の事でよく帝室に招かれる事も多いですからねぇ。私も謁見の作法については子どもの頃から厳しく習ってますからぁ、少尉殿にも手とり足とり教えてあげますよぉ~」
「て、手とり足とりだとっ! そ、そんな不埒な真似は私の目の黒い内には絶対させんからなっ!」
「そんなこと言ってぇ~。自分だって手とり足とり、色々やるくせにぃ~」
「ファンティーヌ!」
2人がじゃれ合いながら俺の後を追って来た。
そして、さっきまで『ざまぁみろ』と見ていた周りの奴らの薄ら笑いが消え、また嫉妬と怨みが混じった悍ましい視線が俺に向けられた。
だから俺のせいじゃないって。
結局、それから俺は飛空艇が帝都に到着するまで、男爵と大尉と少尉から代わる代わる礼儀や作法を叩き込まれ、おまけに周りからは怨恨の眼に晒される事になった。
なんて理不尽な話だ。
そう言って、俺達の後ろに立ったのは俺の所属するダウスター領軍の司令官にして、領主でもあるアーベル・フォン・ダウスター男爵様だ。
助かったぁ!
「我々の為だけに遣わされた飛空艇とは言え、あまりはしゃいではならん。それにシュナイデン軍曹には謁見の作法について説明もしておかねばならんのだ。遊んでいる暇はないんだぞ? 謁見で失礼があれば極刑もあり得るのだからな」
「謁見とか作法とか、小官はそういった事は苦手です。あまりやりたくは……」
しまった。
また余計な事を言ったようだ。
男爵の眉がピクピクと痙攣している。
「だからやるんだろうが! つべこべ言わずに来い! 時間がない!」
急いでいるのはわかるけど、俺の軍服の襟足を掴んで引っ張らなくてもいいんじゃないかな?
そういえば時間がないって言ってたけど、帝都にはいつ頃着くんだろう?
ダウスターから帝都まで馬車で半月だから……5日くらいか?
「明日には帝都に着く。謁見は明後日だが覚える事は山のようにあるのだ! 寝る間もないと覚悟するんだな!」
早いよ!
めっちゃ早いよ! 飛空艇!
俺が男爵に引き摺られて行く姿を、さっきまで嫉妬の目で見ていた奴らが『ザマァ見ろ』と言った目で見てくる。
何て心の狭い奴らだ。
お前達には情というものがないのか?
「ヴォルガング大尉! リンテール少尉! 貴官らも来い! 俺1人では時間が足らん! 交代でこいつに作法を叩き込んでやってくれ!」
「任せていただきましょう。ヴォルガング家は武門の名家。武と礼は通じるものが多くあります。礼儀を叩き込んでやりますよ」
「リンテール家は魔法関連の事でよく帝室に招かれる事も多いですからねぇ。私も謁見の作法については子どもの頃から厳しく習ってますからぁ、少尉殿にも手とり足とり教えてあげますよぉ~」
「て、手とり足とりだとっ! そ、そんな不埒な真似は私の目の黒い内には絶対させんからなっ!」
「そんなこと言ってぇ~。自分だって手とり足とり、色々やるくせにぃ~」
「ファンティーヌ!」
2人がじゃれ合いながら俺の後を追って来た。
そして、さっきまで『ざまぁみろ』と見ていた周りの奴らの薄ら笑いが消え、また嫉妬と怨みが混じった悍ましい視線が俺に向けられた。
だから俺のせいじゃないって。
結局、それから俺は飛空艇が帝都に到着するまで、男爵と大尉と少尉から代わる代わる礼儀や作法を叩き込まれ、おまけに周りからは怨恨の眼に晒される事になった。
なんて理不尽な話だ。
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