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9話

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カーラはカラドボルグをグリフォンに構え、声を張り上げ飛び掛かる

「やぁぁぁぁ!!!」 ドンッ

地面が割れ、すさまじい速度で跳躍するカーラ

「たぁぁぁ!」 ズバッ

グリフォンは反応できず、カーラの一太刀で首が飛び、絶命してしまった

カーラがすさまじい速度で戻ってくるとアンテに話す
呪文を唱えたアンテが一番びっくりしていた

「アンテすごいじゃん」
「えぇぇぇ…わたくしこんな魔法知らないですぅ…」

カーラは驚いて質問した

「えぇ!?アンテの新しい魔法じゃないの??」
「ち、ちがいますよぉ…るーちんの呪文を真似ただけですぅ。本来わたくしの魔法は詠唱がいらないんですぅ…」

ルーシーが恥ずかしそうに話す

「たぶん、俺のスキルだ…あまりにも美しい呪文についイメージが捗ってしまって…」

カーラが引き気味に話す

「う、美しいかなぁ…」
「恥ずかしいですよぉ」

アンテは顔を赤らめた
ルーシーはアンテに言う

「やっぱバカにしてんだろ」

カーラはハッとした顔で話し出した

「つまりこれは…ルーちんのスキルが反応するような呪文を唱えるとボクたちにも効果が表れるって事?」
「たしかにぃ、実際効果ありましたもんねぇ」

(俺の権能にタダ乗りされてるようで気に食わないが魔物の素材を集めるために我慢するか…)

ルーシーは話し出す

「ま、まぁこれで普段戦えないような魔物とも戦える事になるならいいんじゃないか」

カーラは考える

「ふーむ、ボクも技に名前つけて詠唱するかぁ」
「美しくないとダメだからな。お前らも日記に唄でも書けよ、チェックしてやる」
「くっマニアックな辱めを受ける気がする!」
「どういう意味だよ」

グリフォンを解体し、素材を回収し終えるとルーシーは話す

「これだけデカいと素材持ち帰るのも一苦労だな。いちいち勇育の神殿に持ち帰るのも手間だ」

アンテが話す

「街に行けば女神像を祭っているところがありますよぉ、勇育だけのものではないのですぅ」
「なるほど、それはいいことを聞いた。あとは荷物を載せる馬車もいるなぁ、馬も」
「それでは帰還石で一度帰りましょうよぉ、学園の従魔厩舎から貸して頂きましょぉ」

カーラが話す

「なるほど!それは名案だね、早速帰ろう」
(知ってるなら早く言えよ…)

俺たちは勇育に帰還した

ゾットを通じ、従魔の貸出と馬車の貸出を申請し、新たに旅立つ
道すがらカーラが話す

「今度は地図も貰ってきたし、街を巡って魔物の噂を聞きながら素材集めていこう!」

ルーシーが返答した

「よくよく考えたら俺たち地図も持たずに出たんだな…帰還石があるとはいえ常識が足りないな」
「ボクたち今まで外に出なかったからねー、何事も失敗から学ぶものだ」
「そういえば素材は供えてきたの?」
「ボクとアンテで供えてきたよー!なんか前よりほんのすこーし強くなった気がする」
「そっか」

俺たちは馬車を引きながら街へ向かっている途中また魔物に出くわした
カーラが話す

「ソードベアだ!こいつもグリフォン並みに強いよ!」

ソードベアは伸び縮みする前足の爪が長く発達した熊で体長は5メートルほどある巨大な魔物だった。力が非常に強く、爪を短くして突進する速度は人の走る速度をゆうに上回る

アンテが話す

「攻撃力が高い魔物ですねぇ。じゃあ今度は防護障壁に呪文つけちゃいますぅ」

アンテは本を開き、唱え始める

「天に座します我らの主、敬虔な僕の祈りを捧げたもう!汝が哀れな子らに邪悪な刃を退ける力を!城壁のごとき肉の宴!滾る血潮を!汝が光を分け与え給え!」

ルーシーにイメージが流れ込む
(城壁のごとき肉の宴…?)

アンテの足元に輝く魔法陣が現れ、激しく輝く…

するとアンテの周りに ”にくきゅう” 部隊が現れた、やたら血色がよく血管が浮き出ている
急に召喚されたにくきゅう部隊は周りを見渡し、混乱する様子を見せるがアンテを見つけると一瞬で肉の宮殿を作り上げ、妙な掛け声と共にアンテを担ぎ上げた

エイ!エイ!アッ! エイ!エイ!アッ!

「はわわわ、失敗しちゃいましたぁ」

(城壁のごとき肉の宴がどうしてもこいつらに…すまんアンテ)

カーラが笑い出す

「アハー!まさに城壁のような肉の宴だぁ!」

アンテが慌てて本を開く

「ごめんなさいぃ、にくきゅうの子たちに結界を張りますぅ!」

アンテは目を閉じ本を開くと巨大な光の幕がアンテの周りに展開された

(にくきゅうのやつら半裸だもんな、仕方ない。しかしこの結界だと動けそうにないな)

カーラが楽しそうに剣を構える

「よーし!次はボクの番!」

カーラは大剣を大きく振り上げ空に突きつける

「戦乙女よ!ボクの剣に宿りて敵を打ち滅ぼす刃とならん!邪悪を打ち払う逆巻く炎の断罪を!」

”天炎断魔斬”

カーラが叫び、空にかざした剣を力いっぱい振り下ろす
カラドボルグが強い光を放ち、巨大な光の剣がソードベアを真っ二つにすると大きな炎の柱があがり、一帯の地面は焦げてしまった

カーラがプルプル震えながら話し出す

「なにこれ超きもちいい!」

アンテがうらやましそうに話した

「ほわぁ~ものすごい威力ですねぇ」
「ほんとね、中二病っぽい呪文考えるのがちょっと手間だけど。お手軽で強い!」

ルーシーが顔を赤くして反論する

「くっ…中二病って言うな!」
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