穢れの螺旋

どーん

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聖騎士と異端者

第41話 - オーク軍団 6

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決戦当日の朝になった

前日の夜は寝ているオーク達を起こさないように、静かに鍋へ死なない程度の毒を仕込んでおいた
ゴズ陣営のオーク達は今日はほとんど何もできんだろう

正午になると全てのオーク達が隊列を組み始める

シンラが俺の側へやってきた

「《プゴッ、エーサー様、準備はできました。号令をお願いします》」

俺は小さく頷き、メイスを天高く掲げ号令を発する

「《全軍進め!》」

シンラ軍団が動くと同時に他のジェネラル達も号令を出し、全てのオーク達が動き出す
シンラは予定通りゴズ方面を守るように構えさせた

モル方面はシンラ軍へもオーク達が来ているがひときわ大きなモルがズールの方へ走るのが見える
俺は建物の上を走り、モルのところへ一直線に走って行った

◆ ◆ ◆

モルのところへたどり着くとズールも前に出てきており、すぐ近くにいるにも関わらず何か話しこんでいる

「《”屑拾い”ズール、俺と組んでシンラを潰さねえか?》」
「《悪くないな。シンラはニンゲンに命乞いした恥知らずだ、懲らしめてやろう》」

予想外だ、モルに知恵があるとは思っていなかった
建物の上からシャーマンのいる塔に目をやるとシャーマンは首を大きく振っていた

シャーマンも知らなかったのか
このまま黙っているのはまずい、この場でどちらかを殺さねば

大きく飛び上がり、メイスを構えて両腕を振り下ろす
メイスはモルの頭を砕き、ゆっくりと倒れていった

突然現れた俺にズールは驚き、槍を振り回しながら逃げていく

「《ニンゲン!?クソッ!モルのオーク達!シンラを殺したい奴はこっちにこい!》」

モルが事前に話を通していたかのようにモルの軍勢はズール達に合流していった

これも予想外だ、シンラ軍団に引き入れるつもりがほとんどズールに持っていかれてしまった
このままではまずい、すぐにゴズを倒してあいつの軍を吸収しなければ
人間に命乞いをした、というシンラの評判は思ったより悪く
ズールに合流したオーク達は口々にシンラのところに行くくらいなら、と言っていた
それでも50体ほどはシンラ軍へ合流したが100体近い兵数差が着いてしまったのは痛い

急いでゴズの陣営に急ぐと事前に毒を盛っていたのが裏目に出た
かなりの兵数が削られている

これでは吸収できたとしても50体くらいだ
これ以上差が開く前に仕留めないと

ゴズはシンラと戦っており、盾を持つシンラを相手に苦戦していた
シンラも攻撃の手段に乏しくお互い無傷のまま切り結んでいる

建物の上で様子をうかがっているとシンラが盾を構えて突進し、ゴズが地面に転がる
これをチャンスと見て俺は飛び降り、ゴズの後ろへ回る
ゴズの前からシンラが盾を構えて迫り
ゴズは急いで立ち上がる

立ち上がると同時に俺はゴズの足をメイスで殴り、足が砕けたゴズは地面に伏せる
シンラが隙をついてゴズの頭を潰し
シンラとゴズの決戦は決着がついた

ゴズの軍勢は全てシンラ軍に合流したが兵数の差は思ったよりひどいものだった
おおよその数で以下

シンラ軍団:250
ズール軍団:350

ゴズと戦っている間にシンラ軍と元モル軍が戦っており兵数が減ったのだ
二匹のジェネラルが死んだことにより決戦は決着を迎え、次回持ち越しとなる

◆ ◆ ◆

拠点へ戻りシンラと今後について話し合った
テーブルを囲み、遺跡の地図を広げて駒を並べる

「《プゴッ結構兵数に差がついてしまいましたね》」

その通りだ、さらに悪いことにバーサーカーの数が違う
ズール軍団は40体ほどいるがシンラ軍は20体ほどなのだ
シンラ軍団の強みはジェネラルクラスが二人いるという所だけだ
しかもオークジェネラルならいいが俺は正面からぶつかり合えない
一人で100体殺すのも時間がかかり、軍隊同士の正面衝突ではシンラに劣る
巨大な体を持たない俺はどうしても不利だった

こうなっては次の決戦まで待つと不利だ
女たちは同じくらいの数を所有しているがバーサーカーが多いほうが有利で軍団の総数が増えるほど戦闘が長引きジェネラルを倒すのが難しくなる
それに女たちをより長く苦しめる事になる
ここはジェネラルクラスが二人いるという優位性を生かして一気に勝負を仕掛けよう

「《シンラ、明日総攻撃を仕掛けるぞ》」
「《プゴッ!明日?次まで待たないんですか?》」
「《次まで待てばズールを殺すのが難しくなる、兵数が増えすぎてな》」
「《なるほど》」

俺は地図のに駒を並べて説明する

「《部隊を二つに分けて突撃する、シンラと俺は同じ部隊だ。西側から仕掛ける、シンラは前線に立ってバーサーカーを中心に潰せ。力を温存した俺がズールを殺す》」

シンラはうんうんと頷きながら返事をした

「《ジェネラルの力を見せつける時ですな!プゴッ!任されました!》」
「《北側はマドロアに指揮をさせる、俺とシンラでズールの首を取るまで耐えろ》」

マドロアは力強く頷いた

「《お任せください!》」

夜のうちにズール軍団の鍋に毒を入れて回ろう
一気に勝負を決めるために雑魚の処理に手こずっているわけにはいかない
これが終わればマドロアを逃がして最後の仕上げをしなければいけないな

なんにせよまずは明日だ
ズールを倒すまでは集中しよう
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