穢れの螺旋

どーん

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可哀想な村娘

第24話 - 報復

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スウォームが終わると街は半壊していた

亡くなった人たちの埋葬が行われ、クベアも埋葬した
スウォームを発生させたゴブリンの拠点は必ず破壊すると胸に誓って
一緒に報復を果たそうとクベアの血を一瓶貰った

冒険者ギルド、兵器ギルド、武器屋と防具屋など商業施設は夜人がいないため残っていた
大きな被害を受けたのは宿屋、住宅街などの人が多い施設だ
リンネもゴブリンに犯されていたらしい
救われたそうだが目を離した隙に自刃したという

それ以外の他の女は狂戦士の活躍で被害は少なかったが何人か攫われたと報告された

冒険者ギルド総出でゴブリン拠点の探索が行われ
北の森にある山沿いに大きな拠点があることを知った

武器屋で片手用の長いメイスを二つ買い
冒険者ギルドへ行くとベロニカが心配していた

「エーサーさん、クベアさんは…その…」
「クベアは穢され、死を望んだよ。俺が手伝った」

ベロニカはわっと泣き崩れ、その日は仕事にならなかった
代わりにゾーエという受付が情報を共有してくれた

「ゴブリンの拠点はかなり大規模で大半のゴブリンをスウォームに出したためほとんど残っていないそうですが上位種が複数残っているそうです。ギルドから討伐隊を募っているので参加していただけないでしょうか」
「そっちで勝手にやってくれ。俺は一人で行く」
「一人…さすがに無謀ですよ…どうか仲間たちを頼ってください」

呪印の力を使うところを見たらそうも言っていられないだろう
死者の血を浴びて戦うんだぞ、何も気にせず戦いたい一人でやらせてくれ

ポールがカウンターの側に来る

「ゾーエさん、やらせてやってくれよ。俺たちは素早く討伐隊を編成して旦那を援護しようぜ、きっと俺たちじゃ足手まといだ」
「そんなにお強いんですか…」
「俺くらいじゃ足元にも及ばなかったよ、それに…察してやってくれよ」
「…そう、ですね。せめて命を無駄にするようなことはしないでください」

「ありがとうポール。俺はここにはもう戻らない。報酬は好きに分配してくれ」

家に戻り、保存食、煙玉各種、武器の手入れと防具の手入れをした
馬を借りて北の山へ向かう

◆ ◆ ◆

ゴブリンの拠点

いろんな動物やオーク、そしてゴブリンたちの無数の骨で道や建物が装飾された趣味の悪い外観の砦に着いた

高所へ登り一望してみると見える範囲でゴブリンは100に満たない
ところどころ奥の方で上位種らしき個体がゴブリンを10体ほど引きつれながら練り歩いている
入り口から一気に走り抜ければ30分ほどで一周できるくらいの大きさだろう
戦いながらであれば二時間もあれば一周できる気がする

最初からクベアと共に戦う事にした

入り口に戻り、クベアの血を一口飲み、残りを呪印に注ぐ
燃えるような熱を感じる
筋肉が膨張する
強い飢えと怒りが溢れるように湧いてくる

入り口に堂々と入り、大きな声で叫びながら歩く

「人間が来たぞ!腰抜け共は今のうちに逃げ出すがいい!」

ぞくぞくとゴブリンたちが集まってくる

「肩慣らしにはちょうどいい、気晴らしに付き合ってくれよ」

メイスを両手に構えて突撃した

ゴブリンを8割ほど潰して回った頃ゴブリンチャンピオンたちは残ったゴブリンたちを踏みつぶし、蹴散らしながらエーサーの前に歩いてくる

「《やるなニンゲン!お前の肉を食わせろ!俺はもっと強くなる》」
「《俺は右腕がいい!》」
「《俺は左腕がいい!》」
「《早い者勝ちだ!》」

ゴブリンチャンピオンが4匹というのはさすがに厳しいが…
胸が熱くなり冷静になるのを拒むように激しい飢えと怒りが思考を拒絶していく
気が付けば叫んでいた

「なんでもいい!喰わせろ!」

先制攻撃を仕掛け、左端にいるチャンピオンの腕を砕いた

「《いでぇぇぇ!こいつ卑怯だ!》」
「《バカなやつだ!油断しているお前が弱いんだ!》」

一斉に残りのチャンピオンが攻撃してくる
攻撃をかいくぐり一匹目の頭を潰す

慌てて生き残ったチャンピオンが武器を振ると仲間に当たりもう一匹の頭が潰れる

「《あっ…》」

油断したチャンピオンにメイスを叩きつけ、頭を砕いた
最初に腕を折ったチャンピオンに歩み寄る

命乞いを始めるチャンピオンの頭を潰して先へ進んだ

ゴブリンのバーサーカーとロードが奥に見える
ロードは”棘”だった

ゴブリンが目に入ると激しい怒りに我を忘れる
走り出し、間合いを詰めていく
ロードとバーサーカーがこちらに気づき武器を構えた

「《あの時のニンゲンか!》」

バーサーカーが攻撃を仕掛けてくる
エーサーは躱し、ロードにメイスを叩きつけるとロードは間一髪でガードし、吹き飛んでいく
バーサーカーが残った腕で武器を振り
エーサーに直撃した

吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる
呪印のおかげで痛みはなく、ベキベキと音を立てて折れた胸の骨が矯正されていくのが分かる

(もはや人間ではないな)

自分の体の変化を感じて改めて呪印の異常さを再確認した
再び走り込み、今度はバーサーカーへメイスを叩きつけた
バーサーカーの武器が折れ、二振り目が右腕を砕く

「《ぐぅぅ…こいつはニンゲンなのか…》」

よろよろと後ずさるバーサーカーに追い打ちをかけるように三振り目が足を折るとバーサーカーは崩れ落ちた
右腕を振り上げバーサーカーを見下ろすと命乞いを始めた

「《た、助けてくれ》」

ゴブリンの言葉は学んでいないがなんとなく、そういう気がした、許しはしないが
怒りのままに振り上げた腕を振り下ろすとバーサーカーの頭は潰れた

残ったロードを見つけ、追いかける
エーサーはへメイスを叩きつけるべく武器を振る
ロードも苦し紛れに槍を突き出す

エーサーのメイスがロードの頭を砕き、ゴブリンの拠点は壊滅した
ロードの槍はエーサーの左腕を引きぎちっておりエーサーは両腕を失う事となった
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