36 / 303
第12章 道化師は集めきる
第268話 海底の箱舟 ウォルテジア#2
しおりを挟む
「どうする? 危険な感じしかしないんだが」
「しかし、本体に接触するにはどれかの渦潮に行くしかない。ただし、正解でもハズレでも行った先は最悪な可能性が高いがな」
クラウン達の下にある大穴には五つの渦潮が下に伸びている。そして、その渦潮に絡みつくように別の渦潮が存在している。
その渦潮に隙間は存在しない。ならば、どれかに入って当たりを引くしかないのだろうが、問題はどれが当たりであるかということだ。
いや、もっと言えばこれに当たりがあるのかどうかも疑わしい。この入り口が存在する五つの渦潮に対してなんらかのギミックを活用しないと移動できないとか。
それに対する情報はゼロだ。そもそもこの神殿に立ち寄る機会がありそうなのはクラウンぐらいであろうから仕方ないと言えば、仕方ないのだろう。
とはいえ、ここで足踏みしている時間もない。どれかは進んで確かめなければいけないのだ。
クラウンは左端の一つに入ることを告げるとそこから順番にベルの部隊、ラグナの部隊を作って渦潮に入るよう命令した。
ラグナは少し逡巡しながらも、湧き上がった負の感情を払拭するように頬を叩くと覚悟を決めた。そして、クラウン達はそれぞれ一つの渦潮に突入した。
グルグルと目まぐるしく回転する。くねくねとうねり、曲がっていて似たような景色でどこを通ったいるのかわからない。しかし、なんとなく下に向かっていることはわかる。
渦潮の激流のおかげか移動中に敵に襲われるということはなかった。いや、襲ってくる敵もこの渦潮では分が悪いだろうから当然の話か。
しばらくして、渦潮は最終部分に辿り着いたのか、勢いよく体が投げ出される。そして、ふと周囲を確認してみれば――――――モンスターハウスであった。
巨大な茨の足をもつタコやアイスピックのような鋭さを持つダツ。ヒレに極小の剣を持つイワシの群れ。一目でハズレとわかる光景であった。
すると、すぐさま十数体のダツによる投身射撃が始められた。水中にもかかわらず弾丸のような速度でクラウン達に襲いかかる。
突然投げ出された魚人兵の数名はそのダツに被弾。数名は当たりどころが悪かったのか血で周囲を濁らせながら絶命した。
クラウンは<超集中>を使って魚人兵の前方に踊り立つと二投射目のダツを斬り払っていく。水中での刀の振りの感覚も覚えてきたので、苦も無く成し遂げた。
その光景を見ていたタコはすぐさまイワシの群れに突撃するよう告げた。恐らくあの三メートルほどの大きさのタコが司令塔なのだろう。
イワシの群れは総数が五万匹にもなる数を活かして、まさに数で押すようにクラウン達に襲いかかった。
クラウンはすぐさま斬撃を放っていくが、イワシは統率された動きで斬撃の軌道を読み、二手に分かれて避けていく。
クラウンがさらに斬撃の数を増やしても結果は変わらなかった。一糸乱れぬ動きと小さな体が全回避を可能とし、同時に物量で襲いかかった。
体のそばというそばから大量のイワシが通り過ぎていく。差し込んでくる光もほとんどない中、着いた時に咄嗟にばら撒いた光を反射するウロコがイワシの体を光で当てていき、銀色の世界を作り出す。
イワシの一匹一匹にはとても小さな剣を持っている。それは決して致命傷に至る長さを持っていない。しかし、切り傷を作るのには最適であった。
細かな攻撃が無数にも体を傷つけていく。その傷口から血がどんどんと滲み出ていく。体の周りだけ少し赤黒くなり始めた。
あまりの数に反撃の余地がない。致命傷といかなくても顔を防がなければ目を潰されてしまうし、海中であるため出来た傷口が塞ぐことも無く血が溢れ出ていく。しかし、それはたった一人には違った。
クラウンは顔にクロスさせていた腕を勢いよく広げた。するとその瞬間、クラウンの周りにいたイワシだけ衝撃で吹き飛んでいった。
全方位に<極震>を放ったのだ。魔法の反動で体が僅かに微振動していく。しかし、それでも一時的に自分が動けるスペースは作り出した。
クラウンはその隙を逃さない。右手に持った刀の柄を左手でも掴むとバッターがフルスイングする勢いで自身ごとその場で回転し始めたのだ。
その勢いは次第に増していき、クラウンを中心に小規模な渦潮が発生する。そして、その渦潮にはクラウンの斬撃が螺旋状に上っていくようにともなっている。
「一刀流狼の型――――――――流旋牙」
クラウンが刀を勢いよく薙ぎ払っていくと群れを成したオオカミが獲物を中心に囲って襲うように、渦潮の中心にイワシの群れのほとんどを閉じ込めていく。
そして、その中心に集められたイワシの群れに渦潮に伴った螺旋状の斬撃が中心に向かって放たれる。まさに一網打尽。イワシの悉くが細切れにされていく。
ギリギリ渦潮に飲まれなかったイワシもいるが数は三百ほどにまで激減した。残りは兵士に負かしてもいいだろう。そう考えるとクラウンは司令塔であるタコに向かって行った。
タコはクラウンを近づけさせまいと鞭のようにしならせた足を素早く振るう。八本足の茨の足が縦横無尽に駆け巡り、四方八方から襲いかかる。
さながらタコ足の結界と言うべきか。タコ本体へ至るにはこの結界を突破するか―――――――
「誰が馬鹿正直に向かって行くかよ」
そのタコ足を利用するか。
クラウンは<超集中>で軌道を読みながら、左手の指の一つ一つから最高強度の糸を射出する。その糸はタコ足の八本中五本にくっついていく。
タコはその糸に警戒して一瞬動きを止めたが、それが何もないものだとすぐに判断するとその糸を逆に利用しようと繋がった五本足を絡め始めた。
タコはクラウンが繋げた糸を一つによじらせて、その状態で残りの三本で袋叩きにしたり、振り回そうと考えたのだろう。
しかし、それはむしろクラウンの思う壺であった。なぜなら、クラウンも考えていることが全く一緒であったからだ。
クラウンの放った五本の糸はどんどんとよじれていく。タコ自身もそのよじれに体の回転を加えることで、さらに一本の糸にしていく。
やがて、クラウンの左手は指先がすぼむまでに糸がよじれてしまった。それを確認したタコはその状態のままクラウンを引っ張り上げようとする。
しかし、そのタコは忘れていた。足に糸を繋げたのはクラウンであり、そもそも糸を作り出したのもクラウンであることを。
クラウンは左手が軽く開くぐらいに糸を伸ばすとそのまま太い一本になった綱を掴んだ。そして、綱引きをするように引っ張りの力比べに応じる。
「よえぇな!」
クラウンは体の向きを反対にして、勢いよく背負い投げた。タコの体は近くにあった岩盤に張り付いていたが、一本また一本と引き離されていく。
そして、全ての足が岩盤から離れるとクラウンはそのままグルグルとよじれた糸が解けていく勢いをつけながら岩盤にぶつけていく。
さらに、勢いよく手前に引くと右手は突きの構えにした。タコは強くねじれた糸が解放されていく勢いで自身の体を回転させながら、クラウンに糸で引き寄せられる。
「一刀流牛の型――――――迫貫角」
タイミングを計りながら一気に突いた。その瞬間、タコの頭に刀の数百倍もの大きさの風穴が空いた。そして、そのタコは自重沈んでいく。
左手の指から糸を切り離していくとふとすぐ近くに別の渦巻きが発生していることに気が付いたその渦巻は入り口から出口にかけて上向きに繋がっている。
上向きということは最初にいた場所に戻されるということなのか。周囲を見渡しても他に何もないので戻るしかないのだろう。
数名の兵士を失ってしまったが、進むためには背に腹は代えられない時もある。
利害の一致とはいえ、自分の都合に付き合ってくれたことに感謝しながら、軽く黙とうを捧げて渦潮の中に入っていく。
そして、上に変わらず回転しながら登っていく。その間、クラウンは僅かに見える他の渦潮について観察していた。
また自分が思わず吐き出した「あみだくじ」という言葉。あの言葉は実に言い得て妙な言葉かもしれない。
というのも、全部五つの通りがある渦潮であったが、あれには恐らく正解はない。どれも複雑に動いてはハズレに辿り着く。
しかし、あの中に正解はなくても「正解」自体は存在する。なぜなら、この渦潮が発生したのはこの神殿るであろう黒幕(守護者の可能性もあるが)のせいである。
となれば、少なからずその本体へと辿り着く渦潮もあるということだ。しかし、その場所に至る渦潮はない可能性が高い。残り二つも確かめて見てもいいが無駄足になる可能性が高い。
ならば、作るしかないのだ。本体に辿り着くための渦潮を。五本しかない道で六本目の正解へと辿り着く道を。
そこで重要になってくるのが、あの時不自然に中途半端に浮いていたブロックであろう。その他にもいろんな場所にあった正方形のもの。
あれは恐らく動かせるのではないか? 確証はない。こればっかりは試してみないとわからないが、恐らくその可能性の方が高い。あの不自然な浮き方からしても。
だとすれば、これからやることはやはり道を作ることなのだろう。あみだくじの辿るべき道を書き換えて、至るべき場所への道に書き足していく。
やがて、クラウンはもとの場所へと戻ってきた。すると、先にベルやラグナ達の姿が見えた。無事生きていたようで良かった。
「ラグナ。お前の方ではどうだった?」
「ハズレもハズレだな。たくさんの貝が殻を盾に突っ込んできやがる。なんというか、殻を上手く動かしてジェット噴射するかの如く。だが、貝柱とか斬ってなんとか倒したら新たな渦潮を発見して入ってみれば戻ってきたって感じだ」
「ベルの方は?」
「私の方でも同じ感じです。モンスターハウスで肉食のサメがなりふり構わず突っ込んできてウザかったです。そして、倒していた以降は同文です」
「そうか。俺の方でも同じだ。あとこれは推測だが、恐らく残りの二つを確かめに行っても結果は変わらない可能性がある」
「それは同感だ。だとすれば、あの不自然なブロックがあからさまなヒントってことだ」
「ああ、だからそれについて一つ俺に任せてくれないか? そのためにはお前らの協力が必要だがな」
「しかし、本体に接触するにはどれかの渦潮に行くしかない。ただし、正解でもハズレでも行った先は最悪な可能性が高いがな」
クラウン達の下にある大穴には五つの渦潮が下に伸びている。そして、その渦潮に絡みつくように別の渦潮が存在している。
その渦潮に隙間は存在しない。ならば、どれかに入って当たりを引くしかないのだろうが、問題はどれが当たりであるかということだ。
いや、もっと言えばこれに当たりがあるのかどうかも疑わしい。この入り口が存在する五つの渦潮に対してなんらかのギミックを活用しないと移動できないとか。
それに対する情報はゼロだ。そもそもこの神殿に立ち寄る機会がありそうなのはクラウンぐらいであろうから仕方ないと言えば、仕方ないのだろう。
とはいえ、ここで足踏みしている時間もない。どれかは進んで確かめなければいけないのだ。
クラウンは左端の一つに入ることを告げるとそこから順番にベルの部隊、ラグナの部隊を作って渦潮に入るよう命令した。
ラグナは少し逡巡しながらも、湧き上がった負の感情を払拭するように頬を叩くと覚悟を決めた。そして、クラウン達はそれぞれ一つの渦潮に突入した。
グルグルと目まぐるしく回転する。くねくねとうねり、曲がっていて似たような景色でどこを通ったいるのかわからない。しかし、なんとなく下に向かっていることはわかる。
渦潮の激流のおかげか移動中に敵に襲われるということはなかった。いや、襲ってくる敵もこの渦潮では分が悪いだろうから当然の話か。
しばらくして、渦潮は最終部分に辿り着いたのか、勢いよく体が投げ出される。そして、ふと周囲を確認してみれば――――――モンスターハウスであった。
巨大な茨の足をもつタコやアイスピックのような鋭さを持つダツ。ヒレに極小の剣を持つイワシの群れ。一目でハズレとわかる光景であった。
すると、すぐさま十数体のダツによる投身射撃が始められた。水中にもかかわらず弾丸のような速度でクラウン達に襲いかかる。
突然投げ出された魚人兵の数名はそのダツに被弾。数名は当たりどころが悪かったのか血で周囲を濁らせながら絶命した。
クラウンは<超集中>を使って魚人兵の前方に踊り立つと二投射目のダツを斬り払っていく。水中での刀の振りの感覚も覚えてきたので、苦も無く成し遂げた。
その光景を見ていたタコはすぐさまイワシの群れに突撃するよう告げた。恐らくあの三メートルほどの大きさのタコが司令塔なのだろう。
イワシの群れは総数が五万匹にもなる数を活かして、まさに数で押すようにクラウン達に襲いかかった。
クラウンはすぐさま斬撃を放っていくが、イワシは統率された動きで斬撃の軌道を読み、二手に分かれて避けていく。
クラウンがさらに斬撃の数を増やしても結果は変わらなかった。一糸乱れぬ動きと小さな体が全回避を可能とし、同時に物量で襲いかかった。
体のそばというそばから大量のイワシが通り過ぎていく。差し込んでくる光もほとんどない中、着いた時に咄嗟にばら撒いた光を反射するウロコがイワシの体を光で当てていき、銀色の世界を作り出す。
イワシの一匹一匹にはとても小さな剣を持っている。それは決して致命傷に至る長さを持っていない。しかし、切り傷を作るのには最適であった。
細かな攻撃が無数にも体を傷つけていく。その傷口から血がどんどんと滲み出ていく。体の周りだけ少し赤黒くなり始めた。
あまりの数に反撃の余地がない。致命傷といかなくても顔を防がなければ目を潰されてしまうし、海中であるため出来た傷口が塞ぐことも無く血が溢れ出ていく。しかし、それはたった一人には違った。
クラウンは顔にクロスさせていた腕を勢いよく広げた。するとその瞬間、クラウンの周りにいたイワシだけ衝撃で吹き飛んでいった。
全方位に<極震>を放ったのだ。魔法の反動で体が僅かに微振動していく。しかし、それでも一時的に自分が動けるスペースは作り出した。
クラウンはその隙を逃さない。右手に持った刀の柄を左手でも掴むとバッターがフルスイングする勢いで自身ごとその場で回転し始めたのだ。
その勢いは次第に増していき、クラウンを中心に小規模な渦潮が発生する。そして、その渦潮にはクラウンの斬撃が螺旋状に上っていくようにともなっている。
「一刀流狼の型――――――――流旋牙」
クラウンが刀を勢いよく薙ぎ払っていくと群れを成したオオカミが獲物を中心に囲って襲うように、渦潮の中心にイワシの群れのほとんどを閉じ込めていく。
そして、その中心に集められたイワシの群れに渦潮に伴った螺旋状の斬撃が中心に向かって放たれる。まさに一網打尽。イワシの悉くが細切れにされていく。
ギリギリ渦潮に飲まれなかったイワシもいるが数は三百ほどにまで激減した。残りは兵士に負かしてもいいだろう。そう考えるとクラウンは司令塔であるタコに向かって行った。
タコはクラウンを近づけさせまいと鞭のようにしならせた足を素早く振るう。八本足の茨の足が縦横無尽に駆け巡り、四方八方から襲いかかる。
さながらタコ足の結界と言うべきか。タコ本体へ至るにはこの結界を突破するか―――――――
「誰が馬鹿正直に向かって行くかよ」
そのタコ足を利用するか。
クラウンは<超集中>で軌道を読みながら、左手の指の一つ一つから最高強度の糸を射出する。その糸はタコ足の八本中五本にくっついていく。
タコはその糸に警戒して一瞬動きを止めたが、それが何もないものだとすぐに判断するとその糸を逆に利用しようと繋がった五本足を絡め始めた。
タコはクラウンが繋げた糸を一つによじらせて、その状態で残りの三本で袋叩きにしたり、振り回そうと考えたのだろう。
しかし、それはむしろクラウンの思う壺であった。なぜなら、クラウンも考えていることが全く一緒であったからだ。
クラウンの放った五本の糸はどんどんとよじれていく。タコ自身もそのよじれに体の回転を加えることで、さらに一本の糸にしていく。
やがて、クラウンの左手は指先がすぼむまでに糸がよじれてしまった。それを確認したタコはその状態のままクラウンを引っ張り上げようとする。
しかし、そのタコは忘れていた。足に糸を繋げたのはクラウンであり、そもそも糸を作り出したのもクラウンであることを。
クラウンは左手が軽く開くぐらいに糸を伸ばすとそのまま太い一本になった綱を掴んだ。そして、綱引きをするように引っ張りの力比べに応じる。
「よえぇな!」
クラウンは体の向きを反対にして、勢いよく背負い投げた。タコの体は近くにあった岩盤に張り付いていたが、一本また一本と引き離されていく。
そして、全ての足が岩盤から離れるとクラウンはそのままグルグルとよじれた糸が解けていく勢いをつけながら岩盤にぶつけていく。
さらに、勢いよく手前に引くと右手は突きの構えにした。タコは強くねじれた糸が解放されていく勢いで自身の体を回転させながら、クラウンに糸で引き寄せられる。
「一刀流牛の型――――――迫貫角」
タイミングを計りながら一気に突いた。その瞬間、タコの頭に刀の数百倍もの大きさの風穴が空いた。そして、そのタコは自重沈んでいく。
左手の指から糸を切り離していくとふとすぐ近くに別の渦巻きが発生していることに気が付いたその渦巻は入り口から出口にかけて上向きに繋がっている。
上向きということは最初にいた場所に戻されるということなのか。周囲を見渡しても他に何もないので戻るしかないのだろう。
数名の兵士を失ってしまったが、進むためには背に腹は代えられない時もある。
利害の一致とはいえ、自分の都合に付き合ってくれたことに感謝しながら、軽く黙とうを捧げて渦潮の中に入っていく。
そして、上に変わらず回転しながら登っていく。その間、クラウンは僅かに見える他の渦潮について観察していた。
また自分が思わず吐き出した「あみだくじ」という言葉。あの言葉は実に言い得て妙な言葉かもしれない。
というのも、全部五つの通りがある渦潮であったが、あれには恐らく正解はない。どれも複雑に動いてはハズレに辿り着く。
しかし、あの中に正解はなくても「正解」自体は存在する。なぜなら、この渦潮が発生したのはこの神殿るであろう黒幕(守護者の可能性もあるが)のせいである。
となれば、少なからずその本体へと辿り着く渦潮もあるということだ。しかし、その場所に至る渦潮はない可能性が高い。残り二つも確かめて見てもいいが無駄足になる可能性が高い。
ならば、作るしかないのだ。本体に辿り着くための渦潮を。五本しかない道で六本目の正解へと辿り着く道を。
そこで重要になってくるのが、あの時不自然に中途半端に浮いていたブロックであろう。その他にもいろんな場所にあった正方形のもの。
あれは恐らく動かせるのではないか? 確証はない。こればっかりは試してみないとわからないが、恐らくその可能性の方が高い。あの不自然な浮き方からしても。
だとすれば、これからやることはやはり道を作ることなのだろう。あみだくじの辿るべき道を書き換えて、至るべき場所への道に書き足していく。
やがて、クラウンはもとの場所へと戻ってきた。すると、先にベルやラグナ達の姿が見えた。無事生きていたようで良かった。
「ラグナ。お前の方ではどうだった?」
「ハズレもハズレだな。たくさんの貝が殻を盾に突っ込んできやがる。なんというか、殻を上手く動かしてジェット噴射するかの如く。だが、貝柱とか斬ってなんとか倒したら新たな渦潮を発見して入ってみれば戻ってきたって感じだ」
「ベルの方は?」
「私の方でも同じ感じです。モンスターハウスで肉食のサメがなりふり構わず突っ込んできてウザかったです。そして、倒していた以降は同文です」
「そうか。俺の方でも同じだ。あとこれは推測だが、恐らく残りの二つを確かめに行っても結果は変わらない可能性がある」
「それは同感だ。だとすれば、あの不自然なブロックがあからさまなヒントってことだ」
「ああ、だからそれについて一つ俺に任せてくれないか? そのためにはお前らの協力が必要だがな」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説

未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)
京衛武百十
ファンタジー
俺の名は錬是(れんぜ)。開拓や開発に適した惑星を探す惑星ハンターだ。
だが、宇宙船の故障である未開の惑星に不時着。宇宙船の頭脳体でもあるメイトギアのエレクシアYM10と共にサバイバル生活をすることになった。
と言っても、メイトギアのエレクシアYM10がいれば身の回りの世話は完璧にしてくれるし食料だってエレクシアが確保してくれるしで、存外、快適な生活をしてる。
しかもこの惑星、どうやらかつて人間がいたらしく、その成れの果てなのか何なのか、やけに人間っぽいクリーチャーが多数生息してたんだ。
地球人以外の知的生命体、しかも人類らしいものがいた惑星となれば歴史に残る大発見なんだが、いかんせん帰る当てもない俺は、そこのクリーチャー達と仲良くなることで残りの人生を楽しむことにしたのだった。
筆者より。
なろうで連載中の「未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます」に若干の手直しを加えたVer.02として連載します。
なお、連載も長くなりましたが、第五章の「幸せ」までで錬是を主人公とした物語自体はいったん完結しています。それ以降は<錬是視点の別の物語>と捉えていただいても間違いではないでしょう。

オークと女騎士、死闘の末に幼馴染みとなる
坂森大我
ファンタジー
幼馴染みである奥田一八と岸野玲奈には因縁があった。
なぜなら二人は共に転生者。前世で一八は災厄と呼ばれたオークキングであり、玲奈は姫君を守護する女騎士だった。当然のこと出会いの場面は戦闘であったのだが、二人は女神マナリスによる神雷の誤爆を受けて戦いの最中に失われている。
女神マナリスは天界にて自らの非を認め、二人が希望する転生と記憶の引き継ぎを約束する。それを受けてオークキングはハンサムな人族への転生を希望し、一方で女騎士は来世でオークキングと出会わぬようにと願う。
転生を果たした二人。オークキングは望み通り人族に転生したものの、女騎士の希望は叶わなかった。あろうことかオークキングであった一八は彼女の隣人となっていたのだ。
一八と玲奈の新しい人生は波乱の幕開けとなっていた……。

雑貨屋リコリスの日常記録
猫餅
ファンタジー
長い旅行を終えて、四百年ぶりに自宅のある島へと帰宅した伊織。しかし、そこには見知らぬ学園があった。更には不審者として拘束されかけ──そんな一日を乗り越えて、伊織は学園内に自分の店舗を構えることとなった。
雑貨屋リコリス。
学園に元々ある購買部の店舗や、魔術都市の店とは異なる品揃えで客を出迎える。……のだが、異世界の青年が現れ、彼の保護者となることになったのだ。
更にもう一人の青年も店員として、伊織のパーティメンバーとして加わり、雑貨屋リコリスは賑わいを増して行く。
雑貨屋の店主・伊織と、異世界から転移して来た青年・獅童憂、雪豹の獣人アレクセイ・ヴィクロフの、賑やかで穏やかな日常のお話。
小説家になろう様、カクヨム様に先行投稿しております。
おっさん、異世界でドラゴンを育てる。
鈴木竜一
ファンタジー
【書籍化決定!!】 2019年3月22日に発売予定です!
※旧題「おっさん、異世界でドラゴンを育てる」から書籍化に伴い、題名に「。」が追加されました。
※おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」の書籍第1巻が3月22日に発売となります!
とらのあな様でご購入された場合は特典ssがついてきます!
この特典ssでしか見られないお話しになっていますよ!
よろしくお願いします!
《本編終了済みです》
34歳のサラリーマン・高峰颯太は会社に嫌気がさし、退職届を叩きつけてやろうと一大決心をして出勤するが、その途中で目眩に襲われ、気がつくと異世界にある怪しい森へと迷い込んでいた。その森で偶然出会った老竜レグジートと意気投合。寿命が尽きようとしていたレグジートは、最後に出会った人間の颯太を気に入り、死の間際、彼に「竜の言霊」を託す。これにより、どんなドラゴンとも会話できる能力を身に付けた颯太は、その能力を買われて王国竜騎士団用ドラゴン育成牧場の新オーナーに就任することとなる。こうして、颯太の異世界でのセカンドライフがスタートした。
装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます
tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中!
※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father
※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中!
※書影など、公開中!
ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。
勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。
スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。
途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。
なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。
その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
超能力者は異世界にて人類に牙を剥く
arice
ファンタジー
普通の人生を望んだ主人公の雨宮 乃亜。
しかし、彼女は人には無い力を授かり生を受けた為、生まれた時から普通とはかけ離れた生活を送る事となった。
18歳のある日、自身の力である瞬間移動が暴走し乃亜は異世界《ライティス》へと転移し、そこでエルフ族であるローズ・アリアハートと知り合い、幸せに暮らしていた。
永遠に続くかと思われた、幸せは約一年後崩れる事となった。
乃亜が突如として元の世界へと戻ってしまったのだ。
乃亜が戻ってから四年後、乃亜は再度ライティスへと降り立つが、そこで聞いたのは400年前にローズが殺されたとの事だった。
犯人は異界の者。転移者、転生者、召喚者所謂、違う世界から来た者と言う情報を得た乃亜は、ローズの復讐の為、ローズが残した魔道具を集める為、雨宮 乃亜の名前を捨て「ノア・アリアハート」と名前を変え人類へと牙を剥くのだった。
感想などお待ちしております。
ノア達のプロフィール、世界の設定はまた、別紙に書く予定です。
気になる人はそちらもどうぞ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる