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第12章 道化師は集めきる
第268話 海底の箱舟 ウォルテジア#2
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「どうする? 危険な感じしかしないんだが」
「しかし、本体に接触するにはどれかの渦潮に行くしかない。ただし、正解でもハズレでも行った先は最悪な可能性が高いがな」
クラウン達の下にある大穴には五つの渦潮が下に伸びている。そして、その渦潮に絡みつくように別の渦潮が存在している。
その渦潮に隙間は存在しない。ならば、どれかに入って当たりを引くしかないのだろうが、問題はどれが当たりであるかということだ。
いや、もっと言えばこれに当たりがあるのかどうかも疑わしい。この入り口が存在する五つの渦潮に対してなんらかのギミックを活用しないと移動できないとか。
それに対する情報はゼロだ。そもそもこの神殿に立ち寄る機会がありそうなのはクラウンぐらいであろうから仕方ないと言えば、仕方ないのだろう。
とはいえ、ここで足踏みしている時間もない。どれかは進んで確かめなければいけないのだ。
クラウンは左端の一つに入ることを告げるとそこから順番にベルの部隊、ラグナの部隊を作って渦潮に入るよう命令した。
ラグナは少し逡巡しながらも、湧き上がった負の感情を払拭するように頬を叩くと覚悟を決めた。そして、クラウン達はそれぞれ一つの渦潮に突入した。
グルグルと目まぐるしく回転する。くねくねとうねり、曲がっていて似たような景色でどこを通ったいるのかわからない。しかし、なんとなく下に向かっていることはわかる。
渦潮の激流のおかげか移動中に敵に襲われるということはなかった。いや、襲ってくる敵もこの渦潮では分が悪いだろうから当然の話か。
しばらくして、渦潮は最終部分に辿り着いたのか、勢いよく体が投げ出される。そして、ふと周囲を確認してみれば――――――モンスターハウスであった。
巨大な茨の足をもつタコやアイスピックのような鋭さを持つダツ。ヒレに極小の剣を持つイワシの群れ。一目でハズレとわかる光景であった。
すると、すぐさま十数体のダツによる投身射撃が始められた。水中にもかかわらず弾丸のような速度でクラウン達に襲いかかる。
突然投げ出された魚人兵の数名はそのダツに被弾。数名は当たりどころが悪かったのか血で周囲を濁らせながら絶命した。
クラウンは<超集中>を使って魚人兵の前方に踊り立つと二投射目のダツを斬り払っていく。水中での刀の振りの感覚も覚えてきたので、苦も無く成し遂げた。
その光景を見ていたタコはすぐさまイワシの群れに突撃するよう告げた。恐らくあの三メートルほどの大きさのタコが司令塔なのだろう。
イワシの群れは総数が五万匹にもなる数を活かして、まさに数で押すようにクラウン達に襲いかかった。
クラウンはすぐさま斬撃を放っていくが、イワシは統率された動きで斬撃の軌道を読み、二手に分かれて避けていく。
クラウンがさらに斬撃の数を増やしても結果は変わらなかった。一糸乱れぬ動きと小さな体が全回避を可能とし、同時に物量で襲いかかった。
体のそばというそばから大量のイワシが通り過ぎていく。差し込んでくる光もほとんどない中、着いた時に咄嗟にばら撒いた光を反射するウロコがイワシの体を光で当てていき、銀色の世界を作り出す。
イワシの一匹一匹にはとても小さな剣を持っている。それは決して致命傷に至る長さを持っていない。しかし、切り傷を作るのには最適であった。
細かな攻撃が無数にも体を傷つけていく。その傷口から血がどんどんと滲み出ていく。体の周りだけ少し赤黒くなり始めた。
あまりの数に反撃の余地がない。致命傷といかなくても顔を防がなければ目を潰されてしまうし、海中であるため出来た傷口が塞ぐことも無く血が溢れ出ていく。しかし、それはたった一人には違った。
クラウンは顔にクロスさせていた腕を勢いよく広げた。するとその瞬間、クラウンの周りにいたイワシだけ衝撃で吹き飛んでいった。
全方位に<極震>を放ったのだ。魔法の反動で体が僅かに微振動していく。しかし、それでも一時的に自分が動けるスペースは作り出した。
クラウンはその隙を逃さない。右手に持った刀の柄を左手でも掴むとバッターがフルスイングする勢いで自身ごとその場で回転し始めたのだ。
その勢いは次第に増していき、クラウンを中心に小規模な渦潮が発生する。そして、その渦潮にはクラウンの斬撃が螺旋状に上っていくようにともなっている。
「一刀流狼の型――――――――流旋牙」
クラウンが刀を勢いよく薙ぎ払っていくと群れを成したオオカミが獲物を中心に囲って襲うように、渦潮の中心にイワシの群れのほとんどを閉じ込めていく。
そして、その中心に集められたイワシの群れに渦潮に伴った螺旋状の斬撃が中心に向かって放たれる。まさに一網打尽。イワシの悉くが細切れにされていく。
ギリギリ渦潮に飲まれなかったイワシもいるが数は三百ほどにまで激減した。残りは兵士に負かしてもいいだろう。そう考えるとクラウンは司令塔であるタコに向かって行った。
タコはクラウンを近づけさせまいと鞭のようにしならせた足を素早く振るう。八本足の茨の足が縦横無尽に駆け巡り、四方八方から襲いかかる。
さながらタコ足の結界と言うべきか。タコ本体へ至るにはこの結界を突破するか―――――――
「誰が馬鹿正直に向かって行くかよ」
そのタコ足を利用するか。
クラウンは<超集中>で軌道を読みながら、左手の指の一つ一つから最高強度の糸を射出する。その糸はタコ足の八本中五本にくっついていく。
タコはその糸に警戒して一瞬動きを止めたが、それが何もないものだとすぐに判断するとその糸を逆に利用しようと繋がった五本足を絡め始めた。
タコはクラウンが繋げた糸を一つによじらせて、その状態で残りの三本で袋叩きにしたり、振り回そうと考えたのだろう。
しかし、それはむしろクラウンの思う壺であった。なぜなら、クラウンも考えていることが全く一緒であったからだ。
クラウンの放った五本の糸はどんどんとよじれていく。タコ自身もそのよじれに体の回転を加えることで、さらに一本の糸にしていく。
やがて、クラウンの左手は指先がすぼむまでに糸がよじれてしまった。それを確認したタコはその状態のままクラウンを引っ張り上げようとする。
しかし、そのタコは忘れていた。足に糸を繋げたのはクラウンであり、そもそも糸を作り出したのもクラウンであることを。
クラウンは左手が軽く開くぐらいに糸を伸ばすとそのまま太い一本になった綱を掴んだ。そして、綱引きをするように引っ張りの力比べに応じる。
「よえぇな!」
クラウンは体の向きを反対にして、勢いよく背負い投げた。タコの体は近くにあった岩盤に張り付いていたが、一本また一本と引き離されていく。
そして、全ての足が岩盤から離れるとクラウンはそのままグルグルとよじれた糸が解けていく勢いをつけながら岩盤にぶつけていく。
さらに、勢いよく手前に引くと右手は突きの構えにした。タコは強くねじれた糸が解放されていく勢いで自身の体を回転させながら、クラウンに糸で引き寄せられる。
「一刀流牛の型――――――迫貫角」
タイミングを計りながら一気に突いた。その瞬間、タコの頭に刀の数百倍もの大きさの風穴が空いた。そして、そのタコは自重沈んでいく。
左手の指から糸を切り離していくとふとすぐ近くに別の渦巻きが発生していることに気が付いたその渦巻は入り口から出口にかけて上向きに繋がっている。
上向きということは最初にいた場所に戻されるということなのか。周囲を見渡しても他に何もないので戻るしかないのだろう。
数名の兵士を失ってしまったが、進むためには背に腹は代えられない時もある。
利害の一致とはいえ、自分の都合に付き合ってくれたことに感謝しながら、軽く黙とうを捧げて渦潮の中に入っていく。
そして、上に変わらず回転しながら登っていく。その間、クラウンは僅かに見える他の渦潮について観察していた。
また自分が思わず吐き出した「あみだくじ」という言葉。あの言葉は実に言い得て妙な言葉かもしれない。
というのも、全部五つの通りがある渦潮であったが、あれには恐らく正解はない。どれも複雑に動いてはハズレに辿り着く。
しかし、あの中に正解はなくても「正解」自体は存在する。なぜなら、この渦潮が発生したのはこの神殿るであろう黒幕(守護者の可能性もあるが)のせいである。
となれば、少なからずその本体へと辿り着く渦潮もあるということだ。しかし、その場所に至る渦潮はない可能性が高い。残り二つも確かめて見てもいいが無駄足になる可能性が高い。
ならば、作るしかないのだ。本体に辿り着くための渦潮を。五本しかない道で六本目の正解へと辿り着く道を。
そこで重要になってくるのが、あの時不自然に中途半端に浮いていたブロックであろう。その他にもいろんな場所にあった正方形のもの。
あれは恐らく動かせるのではないか? 確証はない。こればっかりは試してみないとわからないが、恐らくその可能性の方が高い。あの不自然な浮き方からしても。
だとすれば、これからやることはやはり道を作ることなのだろう。あみだくじの辿るべき道を書き換えて、至るべき場所への道に書き足していく。
やがて、クラウンはもとの場所へと戻ってきた。すると、先にベルやラグナ達の姿が見えた。無事生きていたようで良かった。
「ラグナ。お前の方ではどうだった?」
「ハズレもハズレだな。たくさんの貝が殻を盾に突っ込んできやがる。なんというか、殻を上手く動かしてジェット噴射するかの如く。だが、貝柱とか斬ってなんとか倒したら新たな渦潮を発見して入ってみれば戻ってきたって感じだ」
「ベルの方は?」
「私の方でも同じ感じです。モンスターハウスで肉食のサメがなりふり構わず突っ込んできてウザかったです。そして、倒していた以降は同文です」
「そうか。俺の方でも同じだ。あとこれは推測だが、恐らく残りの二つを確かめに行っても結果は変わらない可能性がある」
「それは同感だ。だとすれば、あの不自然なブロックがあからさまなヒントってことだ」
「ああ、だからそれについて一つ俺に任せてくれないか? そのためにはお前らの協力が必要だがな」
「しかし、本体に接触するにはどれかの渦潮に行くしかない。ただし、正解でもハズレでも行った先は最悪な可能性が高いがな」
クラウン達の下にある大穴には五つの渦潮が下に伸びている。そして、その渦潮に絡みつくように別の渦潮が存在している。
その渦潮に隙間は存在しない。ならば、どれかに入って当たりを引くしかないのだろうが、問題はどれが当たりであるかということだ。
いや、もっと言えばこれに当たりがあるのかどうかも疑わしい。この入り口が存在する五つの渦潮に対してなんらかのギミックを活用しないと移動できないとか。
それに対する情報はゼロだ。そもそもこの神殿に立ち寄る機会がありそうなのはクラウンぐらいであろうから仕方ないと言えば、仕方ないのだろう。
とはいえ、ここで足踏みしている時間もない。どれかは進んで確かめなければいけないのだ。
クラウンは左端の一つに入ることを告げるとそこから順番にベルの部隊、ラグナの部隊を作って渦潮に入るよう命令した。
ラグナは少し逡巡しながらも、湧き上がった負の感情を払拭するように頬を叩くと覚悟を決めた。そして、クラウン達はそれぞれ一つの渦潮に突入した。
グルグルと目まぐるしく回転する。くねくねとうねり、曲がっていて似たような景色でどこを通ったいるのかわからない。しかし、なんとなく下に向かっていることはわかる。
渦潮の激流のおかげか移動中に敵に襲われるということはなかった。いや、襲ってくる敵もこの渦潮では分が悪いだろうから当然の話か。
しばらくして、渦潮は最終部分に辿り着いたのか、勢いよく体が投げ出される。そして、ふと周囲を確認してみれば――――――モンスターハウスであった。
巨大な茨の足をもつタコやアイスピックのような鋭さを持つダツ。ヒレに極小の剣を持つイワシの群れ。一目でハズレとわかる光景であった。
すると、すぐさま十数体のダツによる投身射撃が始められた。水中にもかかわらず弾丸のような速度でクラウン達に襲いかかる。
突然投げ出された魚人兵の数名はそのダツに被弾。数名は当たりどころが悪かったのか血で周囲を濁らせながら絶命した。
クラウンは<超集中>を使って魚人兵の前方に踊り立つと二投射目のダツを斬り払っていく。水中での刀の振りの感覚も覚えてきたので、苦も無く成し遂げた。
その光景を見ていたタコはすぐさまイワシの群れに突撃するよう告げた。恐らくあの三メートルほどの大きさのタコが司令塔なのだろう。
イワシの群れは総数が五万匹にもなる数を活かして、まさに数で押すようにクラウン達に襲いかかった。
クラウンはすぐさま斬撃を放っていくが、イワシは統率された動きで斬撃の軌道を読み、二手に分かれて避けていく。
クラウンがさらに斬撃の数を増やしても結果は変わらなかった。一糸乱れぬ動きと小さな体が全回避を可能とし、同時に物量で襲いかかった。
体のそばというそばから大量のイワシが通り過ぎていく。差し込んでくる光もほとんどない中、着いた時に咄嗟にばら撒いた光を反射するウロコがイワシの体を光で当てていき、銀色の世界を作り出す。
イワシの一匹一匹にはとても小さな剣を持っている。それは決して致命傷に至る長さを持っていない。しかし、切り傷を作るのには最適であった。
細かな攻撃が無数にも体を傷つけていく。その傷口から血がどんどんと滲み出ていく。体の周りだけ少し赤黒くなり始めた。
あまりの数に反撃の余地がない。致命傷といかなくても顔を防がなければ目を潰されてしまうし、海中であるため出来た傷口が塞ぐことも無く血が溢れ出ていく。しかし、それはたった一人には違った。
クラウンは顔にクロスさせていた腕を勢いよく広げた。するとその瞬間、クラウンの周りにいたイワシだけ衝撃で吹き飛んでいった。
全方位に<極震>を放ったのだ。魔法の反動で体が僅かに微振動していく。しかし、それでも一時的に自分が動けるスペースは作り出した。
クラウンはその隙を逃さない。右手に持った刀の柄を左手でも掴むとバッターがフルスイングする勢いで自身ごとその場で回転し始めたのだ。
その勢いは次第に増していき、クラウンを中心に小規模な渦潮が発生する。そして、その渦潮にはクラウンの斬撃が螺旋状に上っていくようにともなっている。
「一刀流狼の型――――――――流旋牙」
クラウンが刀を勢いよく薙ぎ払っていくと群れを成したオオカミが獲物を中心に囲って襲うように、渦潮の中心にイワシの群れのほとんどを閉じ込めていく。
そして、その中心に集められたイワシの群れに渦潮に伴った螺旋状の斬撃が中心に向かって放たれる。まさに一網打尽。イワシの悉くが細切れにされていく。
ギリギリ渦潮に飲まれなかったイワシもいるが数は三百ほどにまで激減した。残りは兵士に負かしてもいいだろう。そう考えるとクラウンは司令塔であるタコに向かって行った。
タコはクラウンを近づけさせまいと鞭のようにしならせた足を素早く振るう。八本足の茨の足が縦横無尽に駆け巡り、四方八方から襲いかかる。
さながらタコ足の結界と言うべきか。タコ本体へ至るにはこの結界を突破するか―――――――
「誰が馬鹿正直に向かって行くかよ」
そのタコ足を利用するか。
クラウンは<超集中>で軌道を読みながら、左手の指の一つ一つから最高強度の糸を射出する。その糸はタコ足の八本中五本にくっついていく。
タコはその糸に警戒して一瞬動きを止めたが、それが何もないものだとすぐに判断するとその糸を逆に利用しようと繋がった五本足を絡め始めた。
タコはクラウンが繋げた糸を一つによじらせて、その状態で残りの三本で袋叩きにしたり、振り回そうと考えたのだろう。
しかし、それはむしろクラウンの思う壺であった。なぜなら、クラウンも考えていることが全く一緒であったからだ。
クラウンの放った五本の糸はどんどんとよじれていく。タコ自身もそのよじれに体の回転を加えることで、さらに一本の糸にしていく。
やがて、クラウンの左手は指先がすぼむまでに糸がよじれてしまった。それを確認したタコはその状態のままクラウンを引っ張り上げようとする。
しかし、そのタコは忘れていた。足に糸を繋げたのはクラウンであり、そもそも糸を作り出したのもクラウンであることを。
クラウンは左手が軽く開くぐらいに糸を伸ばすとそのまま太い一本になった綱を掴んだ。そして、綱引きをするように引っ張りの力比べに応じる。
「よえぇな!」
クラウンは体の向きを反対にして、勢いよく背負い投げた。タコの体は近くにあった岩盤に張り付いていたが、一本また一本と引き離されていく。
そして、全ての足が岩盤から離れるとクラウンはそのままグルグルとよじれた糸が解けていく勢いをつけながら岩盤にぶつけていく。
さらに、勢いよく手前に引くと右手は突きの構えにした。タコは強くねじれた糸が解放されていく勢いで自身の体を回転させながら、クラウンに糸で引き寄せられる。
「一刀流牛の型――――――迫貫角」
タイミングを計りながら一気に突いた。その瞬間、タコの頭に刀の数百倍もの大きさの風穴が空いた。そして、そのタコは自重沈んでいく。
左手の指から糸を切り離していくとふとすぐ近くに別の渦巻きが発生していることに気が付いたその渦巻は入り口から出口にかけて上向きに繋がっている。
上向きということは最初にいた場所に戻されるということなのか。周囲を見渡しても他に何もないので戻るしかないのだろう。
数名の兵士を失ってしまったが、進むためには背に腹は代えられない時もある。
利害の一致とはいえ、自分の都合に付き合ってくれたことに感謝しながら、軽く黙とうを捧げて渦潮の中に入っていく。
そして、上に変わらず回転しながら登っていく。その間、クラウンは僅かに見える他の渦潮について観察していた。
また自分が思わず吐き出した「あみだくじ」という言葉。あの言葉は実に言い得て妙な言葉かもしれない。
というのも、全部五つの通りがある渦潮であったが、あれには恐らく正解はない。どれも複雑に動いてはハズレに辿り着く。
しかし、あの中に正解はなくても「正解」自体は存在する。なぜなら、この渦潮が発生したのはこの神殿るであろう黒幕(守護者の可能性もあるが)のせいである。
となれば、少なからずその本体へと辿り着く渦潮もあるということだ。しかし、その場所に至る渦潮はない可能性が高い。残り二つも確かめて見てもいいが無駄足になる可能性が高い。
ならば、作るしかないのだ。本体に辿り着くための渦潮を。五本しかない道で六本目の正解へと辿り着く道を。
そこで重要になってくるのが、あの時不自然に中途半端に浮いていたブロックであろう。その他にもいろんな場所にあった正方形のもの。
あれは恐らく動かせるのではないか? 確証はない。こればっかりは試してみないとわからないが、恐らくその可能性の方が高い。あの不自然な浮き方からしても。
だとすれば、これからやることはやはり道を作ることなのだろう。あみだくじの辿るべき道を書き換えて、至るべき場所への道に書き足していく。
やがて、クラウンはもとの場所へと戻ってきた。すると、先にベルやラグナ達の姿が見えた。無事生きていたようで良かった。
「ラグナ。お前の方ではどうだった?」
「ハズレもハズレだな。たくさんの貝が殻を盾に突っ込んできやがる。なんというか、殻を上手く動かしてジェット噴射するかの如く。だが、貝柱とか斬ってなんとか倒したら新たな渦潮を発見して入ってみれば戻ってきたって感じだ」
「ベルの方は?」
「私の方でも同じ感じです。モンスターハウスで肉食のサメがなりふり構わず突っ込んできてウザかったです。そして、倒していた以降は同文です」
「そうか。俺の方でも同じだ。あとこれは推測だが、恐らく残りの二つを確かめに行っても結果は変わらない可能性がある」
「それは同感だ。だとすれば、あの不自然なブロックがあからさまなヒントってことだ」
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