神逆のクラウン~運命を狂わせた神をぶっ殺す!~

夜月紅輝

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第12章 道化師は集めきる

第267話 海底の箱舟 ウォルテジア#1

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私はお酒とかカクテルとか全然詳しくありません。
ご容赦ください。

※※※※※※※※※※※※※※※※

『ごめんなさい洋一…私――運命の番を見つけちゃったの…
 だから私達――もう別れましょう…』


女性にしては低い――ハスキーボイスで囁かれた言葉が
洋一の頭の中でリフレーンする…


「グスッ…彼女…っ、
 2年も付き合った俺に向かって平然とこう言ったんだぜ…?
 酷いよなぁ…グスッ、うぅ…」
「ああ…確かに酷いな…」

とあるBARのテーブル席でくだを巻く男、皆瀬 洋一に付き合って
向かいの席で飲んでいる男、篠原 浩介はうんうんと頷きながら
ジン・トニックを傾ける

「でもなぁ…洋一…もう振られてから一か月は経つんだぜ…?
 そろそろお前も前向きにだな…」
「グスッ…お互い結婚まで意識し始めて…これからって時に…っ!
 こんなのって無いよぉ~…あんまりだぁ~…」

洋一はそう言うと、手に握ったままのカシス・オレンジをグイッと一気に飲み干し
テーブルに突っ伏したまま空になったグラスを掲げ、泣きながらオーダーする

「ましゅたぁ~おかわりぃ~!今度はまるがりーたぁ~!」

―――よりにもよってソレかいっ!

「マスター相手しなくていいよ。もう帰るから…
 ホラ、帰るぞ洋一。何時まで泣いてんだっ!
 いい加減シャキッとしろっ!も~…」

浩介が呆れながらテーブルに突っ伏して泣いている洋一を起こそうと
その肩に触れようとしたその時
チリリ…ン…と店のベルが鳴り、一人の女性がBARに入ってきた…

―――?Ω…?

浩介は直感的にそう思い、訝し気にその女性を見つめる

するとその女性はカウンター席の方を一瞥し狙いを澄ましたかのように
一人カウンター席に座ってカクテルを飲んでいる男性の姿を確認すると
カツカツとヒールの小気味いい音を店内に響かせながら
カウンターに向かって歩いていく

「――マスター…モスコミュールを頂けないかしら?」

女性はカウンターに座る男性の方をチラリと見やりながら
少し離れた席に着くと
マスターにカクテルを注文する

「――かしこまりました。」

このBARのマスター(β)も
浩介同様…今しがた入店してきたこの女性に嫌な予感を覚えながらも
注文にあったカクテルを静かに作り始める…すると――

「う”…?」

カウンターで一人飲んでいた男性が呻き声を上げ
飲んでいたグラスから手を離す…


カシャンッ、


「!?」

グラスの割れる音が店内に響き、カクテルを作っていたマスターは動きを止め
近くに座っていた女性は呻き声を上げる男性を見ながら薄い笑みを浮かべている…

「!お客様…いかがなさいましたかっ?!」
「ッ、来るなっ!俺に…っ、う”ぅ…ちかっ、よるな…っ!!」

男性はよろめきながら席を立ち
苦し気に呻きながら2,3歩カウンターから後ずさと
カウンターに座る女性を睨み付ける

「お、まえ……、ッ、おめが、か…っ!」
「さぁ…何の事だか…wでも――」

女性は苦しむ男性に怪し気な笑みを浮かべたまま、男性に向かって手を差しだす

「苦しいのでしたら――
 近くのホテルで…お相手して差し上げてもよろしくってよ…?
 鬼生道財閥の御曹司さん…♪」
「ッ!?こ、いつ…う”ぅぅ…っ、」
「――――え…?」

浩介は女性の言葉に思わず苦しんでいる男性の顔を凝視する
するとそこにはたまにしか見かけないとはいえ
自分達の会社の副社長の顔があり――

―――げっ、マジか!

浩介が驚き、固まっていると

「があああぁぁぁああああっっ!!!」

男性が獣のような奇声を上げる

「ふふっ♪さぁ…いらっしゃ――」

女性が妖艶な笑みを浮かべて男性に両腕を伸ばし、受け入れ万全な体制へ…
しかし男性はそんな女性にクルッと背を向けると――

「があっ!」
「ッ!?洋一っ!!あぶな…」
「うぇ…?」

男性は洋一目がけ、人間では有り得ない程のジャンプ力で飛び掛かり――

―――あの俺に向かって飛んできてるイケメン…αじゃね?
   スゲー…αって空飛べるんだぁ~…

自分に向かって飛んできてる男性を
洋一はふにゃふにゃと笑いながらソレをぼんやりと眺めていた…
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