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第12章 道化師は集めきる
第264話 考えられる可能性
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クラウンは三等分にされたクラーケンが周囲に血と破れた墨袋から墨をまき散らしながら、海底へとゆっくりと沈んでいく。
ようやく元凶を倒すことが出来た。後はラグナから神殿の場所を聞いてそこから最後の宝玉を手に入れるだけ。
それでようやく、全ての宝玉が手に入る。いわば神への挑戦権を獲得するようなものだ。しかし、それ以降は宝玉を得てから考えるべきことだ。
クラウンは念のため周囲から気配を探っていく。すると、またもや遠くから中規模の反応が迫ってくる。だが、その反応はクラウンの方向というよりもクラーケンの死体の方へと向かっていた。
そのままクラーケンの死体を観察していると次第に何十体ものサメが集まり始める。サメは匂いに敏感で数キロ先の血の匂いを辿ることができるという。恐らくはその理由で集まってきたものだろう。
ならば、気にすることはない。いわば、残飯処理係のようなものだ。クラーケンの死体を消滅させてくれるのならそれに越したことはない。
そして、クラウンがラグナに神殿のありかを聞こうとした時、そこが見えない海底がある方から声が聞こえてくる。
「ギシャアアアア!」「ギシャギシャアアアア!」「ギッシャアアアアアアァァァァ!」
底から響き渡る三つの不協和音を合わせたのような声。その声は先ほどのクラーケンの鳴き声と酷似していた。
気のせいと思いたいが、<気配察知>の反応からしても先ほどのクラーケンと同じだ。しかも、声が聞こえてきた数よりもさらに倍ぐらいいる。
つまり全体で九体ものクラーケンがこちらに向かって迫ってきているのだ。それはあまりにも分が悪い。それに先ほどの戦いを見られていたのなら、絶対に近づけさせないようにイカ爆弾を送りつけてくるだろう。
「ラグナ、これはどういうことだ。あのイカはなぜこんなにもいる。それに仲間が殺されてなぜ戻ってくる」
「わからない。ただ本来なら、群れで動いていたとして、そのうちの一匹が殺されようものなら殺した者の近くには絶対寄り付かないはずだ。かかわらなければ殺されない。それが生物界での強者に出会った時の生き方だからな」
「しかし、奴らの動き方は弔い合戦とでも言いたげだぞ。まさかあの数を全てやらないと外の状況は良くならないのか?」
「わからない。もしかしたら、そうなのかもしれない。しかし、生き物とて知能がないわけじゃない。この行動には何らかの意味を持っているはずだ。それこそ弔い合戦を仕掛けて来るような意味が」
「意味?」
クラウンは向かってくる気配に警戒しながら思考する。一先ずわかることは、今の状況が極めて異例であるということだ。
大きい生物というのはそれだけ知能も発達しているということになる。像とハムスターのどちらの方が知能が上かと聞かれれば絵を描いたりできる像と思うように。
そう考えるならば、二十メートルほどのクラーケンが通常サイズのイカと同じ知能のはずであるわけがない。クラーケンとて生物である以上、生き残ることを最優先にするはず。
確かに一体だから殺られてしまった、ということも考えられる。故に、集団で殲滅しに来たと。
しかし、一体とはいえ、殺られてしまったことには変わらない。少なからず、同じように殺られることを考慮しておかなければいけない。
クラーケンにどこまで知能があるのかわからないが、イカは頭がいい生き物だ。体の大きさと頭脳の発達がイコールだとすれば、下手に動いたりはしないだろう。
あくまで憶測の範疇でしかない。考え過ぎで思っているよりも単細胞な思考の可能性だってなくはない。
しかし、もしそれぐらいの知能があるという前提で特攻しなければいけない理由を考えた場合、集団で戦えば勝てる以外に思いつくことがある。
それは圧倒的な恐怖による支配。つまりは恐怖下で生き続けるよりも、自分の命を犠牲にして特攻した方がマシという狂った思考をせざるを得ない状況のことだ。
この手の話で一番分かりやすい例は響とレグリアの関係性だろう。
響が魔王を必死に殺そうとしていた理由はその魔王一人殺せば、三十人近くいるクラスメイトを全員助けられるため。
クラスメイト全員の命と友を助けることを強制的に天秤に乗せられ、ほとんど選択肢がないような恐怖下においてレグリアは響を支配した。
つまるところクラーケンにも同じように裏から操る黒幕的存在がいるのではないかということだ。確証はないが、確信に近いものはある。なぜなら、生き物は生きるためには嘘をつかないから。
生き物は人間ほど小賢しい生き物ではない。自分が死ぬという立場でその状況でも相手を上手く欺こうとする人間ほど。
それになんとなく伝わってくるのだ。先ほどから聞いている声に恐怖にも似た震え声が。ある程度の仮説を立ててしまったから余計にそう感じてしまっているだけかもしれないが。
「クラウン! 一時撤退だ! これ以上交戦して余計な死者を出すわけにはいかない!」
「.......わかった」
ラグナの言葉に了承するとラグナの後を追って泳ぎ始めた。
*****************************************************
クラウン達は一時的に竜宮城へと戻って来ていた。それは今後の予定を立てるためでもあり、疲弊した兵士達を休ませるためでもある。
そして、クラウン、ラグナ、ベルは別室にいた。ラグナの部屋だ。その部屋にある応接用のソファと机にクラウンとラグナが迎え合うように座る。それから、ベルがクラウンの隣に。
またシスティーナがそれぞれの前に紅茶を置いていくとラグナの隣に座った。そのことにクラウンは怪訝な顔をする。
「ラグナ、どうしてシスティーナがここにいるんだ?」
「ああ、それは―――――――」
「システィと呼びください! それと恐らく私の力が必要なのではないかと思ってここまでやってきた次第です! 兄さんも同じような考えでしたしね!」
「システィーナの力が必要だと? それはどういうことだ? こいつの能力はわかってはいるが、それはあくまであの試練だけのものじゃなかったのか?」
「まあ、色々説明していくことになるけど、まずこの島の周りに守り神が住み着いていることは知っているような? ほら、前に話したやつだ」
「確か、リヴァイアサンという巨大な海蛇のことです? その生物の不審死が続いた後にこの島がこうなってしまったと」
「そうだ。しかし、リヴァイアサンは全滅したわけではない。そもそも先ほど戦った化け物の小型版は守り神の大好物だったわけだしな」
「あのイカの小型版.......ということは、あのイカはもともとあんな大きくないということか? いや、大きくなる前に食われていた?」
「その見解で正しいと思う。恐らく守り神が大きくなり過ぎないところで捕食していてくれたためにこれまでこんなにも海が荒れることがなかったのだと思う」
「しかし、あの生物を食べる存在がいなくなってしまったです。故に、その守り神に代わって私達が数を減らさないといけないってことです?」
「そういうことになるな。しかし、それだとなぜシスティーナが必要なのか説明したことにはならない。けど、大方予想のつく答えは出てるんじゃないか?」
「まあな」
クラウンは紅茶を一口飲むと続けて答える。
「さっきベルが言っていたがこの海で起きたのはあくまでリヴァイアサンという守り神の『不審死』だ。付け加えるなら何者かと争った形跡があるというな。しかし、『全滅』とは言っていない。少なからずどこかに生きているということだろ?」
「その通りだ。そして、その守り神に対して唯一話が出来るのが妹のシスティーナってわけだ」
ラグナは隣にいるシスティーナの頭に手を置くと軽く撫でていく。
「どういうことだ?」
「システィーナは『水の語り部』という特別な能力を持っていることを伝えたよな? それは精霊の姿を見れたり、声を聴いたりすることができるものだ。しかし、それだけではない。守り神とも会話することができるんだ」
「なんとなく先が読めてきたな、ベル」
「はいです。要するにシスティーナの力を借りて守り神を説得して同じく戦ってもらおうということです」
「話が早くて本当に助かるよ。そう、その通りなんだ。あの大きさのものと張り合うのは骨が折れるし、そもそも倒したところで外の状況が変わるとは思えないんだ」
「やはりあのイカを操っている黒幕がいるとお前も考えるか?」
「まあな。そもそもここらの海では巨大な生物ほど群れない。それは自分よりも強い存在を認めないためでもあり、見つけた豊富なエサ場を独り占めしたいと考えるからな。それ故に、たとえ同じ種族がやられようと本来関知しないんだ。むしろ、死んでいる仲間を見つけたら喜んで食いに来る」
「そんな存在が徒党を組んで弔い合戦を挑みに来る。確かにきな臭いことこの上ないな。少なからず、黒幕がいる前提で話を進めていくのがいいだろう。問題はどこにいるのかだが」
「それは守り神のことだって同じだ。いくらシスティーナが守り神の声が聴けるからといっても、そもそも守り神自体がこの島から離れてしまったら元も子もない」
「「はあ.......」」
現状、息詰まったような状況にクラウンとラグナは揃って背もたれに寄り掛かるとため息を吐いた。なんとなくだが進みたい方向の兆しは見えている。
しかし、そのどれもが順調というわけではなく、手探り状態がいいところだ。そもそも打開策すらグラグラなのだから。
一応、守り神を味方につけるという方法はまだ上手くいく可能性がある。しかし、いくら味方につけたとはいえ、黒幕の場所が見つからなかったらまた手探りに戻る羽目になる。
「なあ、そういえば、ここにある神殿はどこなんだ?」
「神殿か.......そうだな、神殿.......ん? 神殿?」
クラウンが何気なく発した言葉にラグナは何度も「神殿」という言葉を繰り返しながら何かを考える。そして、思わず叫んだ。
「そうか、そこがあった! 盲点だった!」
ガバッと姿勢を正すと再び顎に手を付け何かを考え始める。その様子にクラウンは思わず笑みを見せた。
ようやく元凶を倒すことが出来た。後はラグナから神殿の場所を聞いてそこから最後の宝玉を手に入れるだけ。
それでようやく、全ての宝玉が手に入る。いわば神への挑戦権を獲得するようなものだ。しかし、それ以降は宝玉を得てから考えるべきことだ。
クラウンは念のため周囲から気配を探っていく。すると、またもや遠くから中規模の反応が迫ってくる。だが、その反応はクラウンの方向というよりもクラーケンの死体の方へと向かっていた。
そのままクラーケンの死体を観察していると次第に何十体ものサメが集まり始める。サメは匂いに敏感で数キロ先の血の匂いを辿ることができるという。恐らくはその理由で集まってきたものだろう。
ならば、気にすることはない。いわば、残飯処理係のようなものだ。クラーケンの死体を消滅させてくれるのならそれに越したことはない。
そして、クラウンがラグナに神殿のありかを聞こうとした時、そこが見えない海底がある方から声が聞こえてくる。
「ギシャアアアア!」「ギシャギシャアアアア!」「ギッシャアアアアアアァァァァ!」
底から響き渡る三つの不協和音を合わせたのような声。その声は先ほどのクラーケンの鳴き声と酷似していた。
気のせいと思いたいが、<気配察知>の反応からしても先ほどのクラーケンと同じだ。しかも、声が聞こえてきた数よりもさらに倍ぐらいいる。
つまり全体で九体ものクラーケンがこちらに向かって迫ってきているのだ。それはあまりにも分が悪い。それに先ほどの戦いを見られていたのなら、絶対に近づけさせないようにイカ爆弾を送りつけてくるだろう。
「ラグナ、これはどういうことだ。あのイカはなぜこんなにもいる。それに仲間が殺されてなぜ戻ってくる」
「わからない。ただ本来なら、群れで動いていたとして、そのうちの一匹が殺されようものなら殺した者の近くには絶対寄り付かないはずだ。かかわらなければ殺されない。それが生物界での強者に出会った時の生き方だからな」
「しかし、奴らの動き方は弔い合戦とでも言いたげだぞ。まさかあの数を全てやらないと外の状況は良くならないのか?」
「わからない。もしかしたら、そうなのかもしれない。しかし、生き物とて知能がないわけじゃない。この行動には何らかの意味を持っているはずだ。それこそ弔い合戦を仕掛けて来るような意味が」
「意味?」
クラウンは向かってくる気配に警戒しながら思考する。一先ずわかることは、今の状況が極めて異例であるということだ。
大きい生物というのはそれだけ知能も発達しているということになる。像とハムスターのどちらの方が知能が上かと聞かれれば絵を描いたりできる像と思うように。
そう考えるならば、二十メートルほどのクラーケンが通常サイズのイカと同じ知能のはずであるわけがない。クラーケンとて生物である以上、生き残ることを最優先にするはず。
確かに一体だから殺られてしまった、ということも考えられる。故に、集団で殲滅しに来たと。
しかし、一体とはいえ、殺られてしまったことには変わらない。少なからず、同じように殺られることを考慮しておかなければいけない。
クラーケンにどこまで知能があるのかわからないが、イカは頭がいい生き物だ。体の大きさと頭脳の発達がイコールだとすれば、下手に動いたりはしないだろう。
あくまで憶測の範疇でしかない。考え過ぎで思っているよりも単細胞な思考の可能性だってなくはない。
しかし、もしそれぐらいの知能があるという前提で特攻しなければいけない理由を考えた場合、集団で戦えば勝てる以外に思いつくことがある。
それは圧倒的な恐怖による支配。つまりは恐怖下で生き続けるよりも、自分の命を犠牲にして特攻した方がマシという狂った思考をせざるを得ない状況のことだ。
この手の話で一番分かりやすい例は響とレグリアの関係性だろう。
響が魔王を必死に殺そうとしていた理由はその魔王一人殺せば、三十人近くいるクラスメイトを全員助けられるため。
クラスメイト全員の命と友を助けることを強制的に天秤に乗せられ、ほとんど選択肢がないような恐怖下においてレグリアは響を支配した。
つまるところクラーケンにも同じように裏から操る黒幕的存在がいるのではないかということだ。確証はないが、確信に近いものはある。なぜなら、生き物は生きるためには嘘をつかないから。
生き物は人間ほど小賢しい生き物ではない。自分が死ぬという立場でその状況でも相手を上手く欺こうとする人間ほど。
それになんとなく伝わってくるのだ。先ほどから聞いている声に恐怖にも似た震え声が。ある程度の仮説を立ててしまったから余計にそう感じてしまっているだけかもしれないが。
「クラウン! 一時撤退だ! これ以上交戦して余計な死者を出すわけにはいかない!」
「.......わかった」
ラグナの言葉に了承するとラグナの後を追って泳ぎ始めた。
*****************************************************
クラウン達は一時的に竜宮城へと戻って来ていた。それは今後の予定を立てるためでもあり、疲弊した兵士達を休ませるためでもある。
そして、クラウン、ラグナ、ベルは別室にいた。ラグナの部屋だ。その部屋にある応接用のソファと机にクラウンとラグナが迎え合うように座る。それから、ベルがクラウンの隣に。
またシスティーナがそれぞれの前に紅茶を置いていくとラグナの隣に座った。そのことにクラウンは怪訝な顔をする。
「ラグナ、どうしてシスティーナがここにいるんだ?」
「ああ、それは―――――――」
「システィと呼びください! それと恐らく私の力が必要なのではないかと思ってここまでやってきた次第です! 兄さんも同じような考えでしたしね!」
「システィーナの力が必要だと? それはどういうことだ? こいつの能力はわかってはいるが、それはあくまであの試練だけのものじゃなかったのか?」
「まあ、色々説明していくことになるけど、まずこの島の周りに守り神が住み着いていることは知っているような? ほら、前に話したやつだ」
「確か、リヴァイアサンという巨大な海蛇のことです? その生物の不審死が続いた後にこの島がこうなってしまったと」
「そうだ。しかし、リヴァイアサンは全滅したわけではない。そもそも先ほど戦った化け物の小型版は守り神の大好物だったわけだしな」
「あのイカの小型版.......ということは、あのイカはもともとあんな大きくないということか? いや、大きくなる前に食われていた?」
「その見解で正しいと思う。恐らく守り神が大きくなり過ぎないところで捕食していてくれたためにこれまでこんなにも海が荒れることがなかったのだと思う」
「しかし、あの生物を食べる存在がいなくなってしまったです。故に、その守り神に代わって私達が数を減らさないといけないってことです?」
「そういうことになるな。しかし、それだとなぜシスティーナが必要なのか説明したことにはならない。けど、大方予想のつく答えは出てるんじゃないか?」
「まあな」
クラウンは紅茶を一口飲むと続けて答える。
「さっきベルが言っていたがこの海で起きたのはあくまでリヴァイアサンという守り神の『不審死』だ。付け加えるなら何者かと争った形跡があるというな。しかし、『全滅』とは言っていない。少なからずどこかに生きているということだろ?」
「その通りだ。そして、その守り神に対して唯一話が出来るのが妹のシスティーナってわけだ」
ラグナは隣にいるシスティーナの頭に手を置くと軽く撫でていく。
「どういうことだ?」
「システィーナは『水の語り部』という特別な能力を持っていることを伝えたよな? それは精霊の姿を見れたり、声を聴いたりすることができるものだ。しかし、それだけではない。守り神とも会話することができるんだ」
「なんとなく先が読めてきたな、ベル」
「はいです。要するにシスティーナの力を借りて守り神を説得して同じく戦ってもらおうということです」
「話が早くて本当に助かるよ。そう、その通りなんだ。あの大きさのものと張り合うのは骨が折れるし、そもそも倒したところで外の状況が変わるとは思えないんだ」
「やはりあのイカを操っている黒幕がいるとお前も考えるか?」
「まあな。そもそもここらの海では巨大な生物ほど群れない。それは自分よりも強い存在を認めないためでもあり、見つけた豊富なエサ場を独り占めしたいと考えるからな。それ故に、たとえ同じ種族がやられようと本来関知しないんだ。むしろ、死んでいる仲間を見つけたら喜んで食いに来る」
「そんな存在が徒党を組んで弔い合戦を挑みに来る。確かにきな臭いことこの上ないな。少なからず、黒幕がいる前提で話を進めていくのがいいだろう。問題はどこにいるのかだが」
「それは守り神のことだって同じだ。いくらシスティーナが守り神の声が聴けるからといっても、そもそも守り神自体がこの島から離れてしまったら元も子もない」
「「はあ.......」」
現状、息詰まったような状況にクラウンとラグナは揃って背もたれに寄り掛かるとため息を吐いた。なんとなくだが進みたい方向の兆しは見えている。
しかし、そのどれもが順調というわけではなく、手探り状態がいいところだ。そもそも打開策すらグラグラなのだから。
一応、守り神を味方につけるという方法はまだ上手くいく可能性がある。しかし、いくら味方につけたとはいえ、黒幕の場所が見つからなかったらまた手探りに戻る羽目になる。
「なあ、そういえば、ここにある神殿はどこなんだ?」
「神殿か.......そうだな、神殿.......ん? 神殿?」
クラウンが何気なく発した言葉にラグナは何度も「神殿」という言葉を繰り返しながら何かを考える。そして、思わず叫んだ。
「そうか、そこがあった! 盲点だった!」
ガバッと姿勢を正すと再び顎に手を付け何かを考え始める。その様子にクラウンは思わず笑みを見せた。
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