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第12章 道化師は集めきる
第263話 討伐クラーケン#2
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ラグナがクラーケンの足と激闘中の一方でクラウンも同じく迫り来る三本の足と格闘していた。
ようやく水中での動き方に慣れてきたクラウンだが、やはり生まれた時から水中で暮らしている生物は手強いらしい。
まず動き方が違う。クラーケンは軟体生物であるために動かす足に骨がなく鞭のように動くのはわかっているが、それでも水中での抵抗をものともせずに足を襲わせる。
恐らく筋肉が違うのだろう。水中トレーニングというのがもとの世界でもあるぐらいだ。普通に重量下でトレーニングで鍛えた筋肉と使う部分が違うのかもしれない。
それにそもそも肉体からして違う。水中生物は水中で生きるために自己進化を繰り返してきたのだ。もはや、自分が水中の一部となっているように。
馴染み方が違う。地上に打ち上げられた魚が何も出来ないように、慣れてきて動けるとはいえ圧倒的に水中戦での練度が違うのだ。
一応対応は出来ているが、水中戦を得意とする魚人族が一度敗北しているのだ。油断など御法度も御法度だろう。
しかし、それはあくまでも一芸に秀でていない一般的な人の話だ。クラウンは幾度と無い死線と死戦をくぐり抜けてきたのだ。
それは力なきものは死ぬという運命しか待ち受けていない世界。生きるために血の一滴まで力を振り絞らなければいけない時だってあった。
そんな状況を「突破」という二文字で終わらせてきたクラウンにとって、水中で動きずらいのは些細なデメリットでしかない。
いくらクラーケンが手強くてもそれはあくまで水中というアドバンテージを持っているからこそ。自分を同じ土俵に持っていけば結構は歴然となる。
現状はまだクラーケンの方が優勢、ならすぐにでも追い抜いて圧倒的力で持ってねじ伏せるのみ。
クラウンは水中を蹴ってクラーケンの足を避けていく。しかし、抜けていった足から反転して背後から再び襲いかかる。
その動きは想定済みだ。タイミングを伺いつつ、思いっきり正面の水中を蹴って壁宙をするように体を反らしていく。
クラウンがいた場所には白い大蛇のような長い足が鋭く通り抜けていく。しかし、それだけではなくもう二本の足が横からクラウンを挟み撃ちにしようとする。
どうやら三本の足を使っている時点でクラウンを集中狙いすることに決めたようだ。
それぞれの足で三分隊を相手しているのは凄まじいと言えるが、たった三本とは舐めすぎである。
クラウンは一度刀を鞘に収めると左手でいつでも抜刀できるように親指を鍔にかけながら動き回る。
そして、同時に挟み込む二本の足は真下に潜ることで回避する。すると、正面からもう一本の足が迫ってくる。
先程よりも向かってくる速さは速くどうやら避けられることを前提で、狙い撃ちするタイミングを合わせていたようだ。
しかし、それはクラウンとて同じこと。正面から馬鹿正直に向かってくるのを待っていたのだ。
右手をそっと刀の柄に構える。そして、鍔を押し上げる指に意識を向けながらも、自身の間合いへと足が入り込むタイミングを探っていく。
足が近づく度にクラウンの口角の上がった不敵な笑みはその不気味さを深めていく。それから、間合いに入った瞬間、刀を一気に振り抜いた。
水という液体ですら切り裂いていくような一閃はキレイな線を作り出す。やや下めから上に切り上げたために向かってきた足はまさに一刀両断された。
クラーケンはその突然の事実と斬られた痛みに思わず叫んだ。細かくがキリキリと軋むような音だが、それよりもクラーケンにダメージが与えられた方がクラウンは愉悦であった。
「この世界のクラーケンはそんな鳴き方するのか。まあ、知ってるわけじゃねぇけどな」
ふと周囲を見てみる。すると、ベルの方でも同じようなことが起きていた。つまりは同じく足が両断されているということだ。
どうやら水中戦もこの程度らしい。皮肉なものだがラズリを相手にした後だと図体はデカくても所詮小物と戯れているようにしか感じない。
クラウンはクラーケンの叫び声もいい加減ウザくなってきたので、さっさと止めを刺そうと中心に向かって駆け出していく。
その瞬間、クラーケンは突然口をクラウンの方へと向けながら、足を大きくうねらせていく。そして、大量の真っ黒い墨を吐き出した。
周囲が黒一色で染まっていく。黒い霧にでも覆われたようだ。もこもことしていつまでもそこに滞留し続け、波の揺れ動くままに少しずつ拡散している。
墨が体に纏わりついてくる。ややベトッとしていて身動きがとりづらいような印象を受ける。そういえば、イカの墨についてこんなことを聞いたことがあった。
イカの墨はタコの墨より粘着性が高いため、その場に残り続けると。とはいえ、墨を吐くと言えばそれは逃げるためのもの。
ということは、クラーケンは逃げるつもりで墨を吐いたということになる。しかし、ここで逃がしてしまえば、せっかくここまで準備してきたのが水の泡になるし、脅威を知ってその場から消えてしまうかもしれない。
それで立ち去って外の状況が改善されればいいが、そうではなく単なる雲隠れのみだったらこの場で逃がすわけにはいかない。
クラウンは咄嗟に刀をやたらめったらに振るい斬撃を飛ばしていく。しかし、イカの墨はタコの墨のように簡単には消えず、多少視覚情報の範囲が広くなっただけで意味がない。
<気配察知>で確認できない仲間の情報を得ようとする。すると、得られた情報は仲間だけではなく――――――正面から来る大量の小規模反応だった。
数は百を超えているだろうか。しかし、それらの反応は移動途中にいた魚の反応と大して変わらない。もしかして、先ほどの叫びで周囲から仲間を呼んだのか。
そうだとしても、数がやたらと多いだけで小さい反応ばかりだ。いくら狂暴な、それこそ毒のある魚をやってきたところで、自分が殺られることないし、海の武人である魚人族もベルも殺られることはないだろう。
それに、そもそも墨で姿を隠した状態から不意を突いて殴った方が脅威的だ。ということは、何か別の理由があって魚を飛ばしているか、その魚の方が有効的にダメージを与えられるかのどちらか。
クラウンは気配で感知した情報からすぐさま大まかな推測を立てると今度はその推測の立証に取り掛かった。
とはいえ、未だ色濃く残る墨が邪魔で姿が見えない―――――――とその時、その墨から一匹の白い魚が抜けてきた。
いや、魚というよりも通常サイズのイカであった。もとの世界でもよく見るアオリイカみたいなイカだ。もしかして、このイカが秘策とでもいうのだろうか。
「邪魔だ」
クラウンがそのイカを斬ろうとしたその瞬間、その光景を見ていたラグナはクラウンに向かって咄嗟に叫んだ。
「斬ってはダメだ! その場から離れるか! 弾き飛ばせ!」
クラウンはその声が耳に入った瞬間刀を止め、代わりに柄で弾き飛ばした。
―――――――ドボオオオオォォォォンッ!
その瞬間、現代兵器のC4爆弾にも匹敵するような爆発を見せた。海面近くで爆破したその衝撃は海面を大きく打ち上げて水しぶきを降らせていく。
どうやらクラウンの考えでは後者に当たるらしい。しかも、最悪な類な後者だ。いくら防御が高くたってクラウンとて人間だ。容易に腕や脚が吹き飛ぶことさえある。ただ通常の人よりも簡単に死なないだけであって。
それが百単位である。出来ることなら一掃したいが、クラウンにはそのような便利な技はない。ならば、別の手を使おう。
クラウンは咄嗟にその場から後方へ下がっていく。すると、墨の霧を突き抜けて数十体ものイカの群れが現れた。
そのイカの群れに向かってクラウンは斬撃を飛ばす。しかし、その斬撃を躱しながら平然と向かってくる。
どうやらある程度の知能は持っているらしい。ということは、クラーケンが作り出した魚雷のようではなく、本物の生物らしい。
しかし、そのことはなんとなく予想がついている。だから、今の斬撃はデコイだ。本命は二撃目の衝撃波。
クラウンは左拳を振りかぶるとそのまま水面を殴った。<極震>によって強制的に水の波動を作り出したのだ。
衝撃が伝わる速度なら普通の魚が泳ぐスピードよりも圧倒的に速い。そして、衝撃波は一直線ではなく拡散していく。
もし小さいイカが本当に爆弾のようなものを中に背負っているとして、現状で突撃しているということは、いわば捨て身特攻というわけだ。
つまりそれはぶつかった振動で爆発するということ。なら、先に振動を与えてしまえば一気に爆破できてしまうわけだ。
後方に下がったのは周囲に魚人兵を巻き込まないため。そして、その条件はすでにクリアされている。
「いけ」
――――――ドドドドドドドドドオオオオオオォォォォン!
クラウンの読み通り衝撃に当たった先頭部隊のイカから爆発していく。そして、その衝撃は波であるために次々と爆発していく。
さらにイカの爆発は並大抵の爆破力を持っているわけではない。C4爆弾並みなのだ。その威力の爆発が怒って、たとえ弱まった衝撃で爆発しない個体がいても、近くの爆発に巻き込まれれば誘爆する。
「いい加減、終わりにしようぜ」
クラウンはそう呟くと体を海面と並行するように水中を蹴った。そして、まるで走っていくかのように何度も蹴りを重ねて加速していく。
正面の爆破で大量の泡が湧き起こっているゾーンを抜け、さらに墨で尾を引くようにしながら突破していくと少し離れたクラーケンに向かって接近していく。
やはりあのクラーケンは安全圏から爆破で殺したかったようだ。しかし、残念だったな。人間には知能があるんだ。伊達に生き延びるための道を歩み続けてきたわけではない。
クラーケンはさらなるイカの群れを呼び集める。しかし、そのそばから拳を突き付けて衝撃波を放つ。すると、イカの群れは爆発、誘爆に襲われクラーケンは叫ぶ。
「さっさと死ね。一刀流虎の型――――――――水斬爪!」
クラウンはダメージを受けて動けないクラーケンに受かって袈裟切りに刀を振り下ろした。その瞬間、一振りの刀に三本の斬撃が放たれる。
そして、その斬撃はクラーケンを三等分にして海の藻屑とさせた。
ようやく水中での動き方に慣れてきたクラウンだが、やはり生まれた時から水中で暮らしている生物は手強いらしい。
まず動き方が違う。クラーケンは軟体生物であるために動かす足に骨がなく鞭のように動くのはわかっているが、それでも水中での抵抗をものともせずに足を襲わせる。
恐らく筋肉が違うのだろう。水中トレーニングというのがもとの世界でもあるぐらいだ。普通に重量下でトレーニングで鍛えた筋肉と使う部分が違うのかもしれない。
それにそもそも肉体からして違う。水中生物は水中で生きるために自己進化を繰り返してきたのだ。もはや、自分が水中の一部となっているように。
馴染み方が違う。地上に打ち上げられた魚が何も出来ないように、慣れてきて動けるとはいえ圧倒的に水中戦での練度が違うのだ。
一応対応は出来ているが、水中戦を得意とする魚人族が一度敗北しているのだ。油断など御法度も御法度だろう。
しかし、それはあくまでも一芸に秀でていない一般的な人の話だ。クラウンは幾度と無い死線と死戦をくぐり抜けてきたのだ。
それは力なきものは死ぬという運命しか待ち受けていない世界。生きるために血の一滴まで力を振り絞らなければいけない時だってあった。
そんな状況を「突破」という二文字で終わらせてきたクラウンにとって、水中で動きずらいのは些細なデメリットでしかない。
いくらクラーケンが手強くてもそれはあくまで水中というアドバンテージを持っているからこそ。自分を同じ土俵に持っていけば結構は歴然となる。
現状はまだクラーケンの方が優勢、ならすぐにでも追い抜いて圧倒的力で持ってねじ伏せるのみ。
クラウンは水中を蹴ってクラーケンの足を避けていく。しかし、抜けていった足から反転して背後から再び襲いかかる。
その動きは想定済みだ。タイミングを伺いつつ、思いっきり正面の水中を蹴って壁宙をするように体を反らしていく。
クラウンがいた場所には白い大蛇のような長い足が鋭く通り抜けていく。しかし、それだけではなくもう二本の足が横からクラウンを挟み撃ちにしようとする。
どうやら三本の足を使っている時点でクラウンを集中狙いすることに決めたようだ。
それぞれの足で三分隊を相手しているのは凄まじいと言えるが、たった三本とは舐めすぎである。
クラウンは一度刀を鞘に収めると左手でいつでも抜刀できるように親指を鍔にかけながら動き回る。
そして、同時に挟み込む二本の足は真下に潜ることで回避する。すると、正面からもう一本の足が迫ってくる。
先程よりも向かってくる速さは速くどうやら避けられることを前提で、狙い撃ちするタイミングを合わせていたようだ。
しかし、それはクラウンとて同じこと。正面から馬鹿正直に向かってくるのを待っていたのだ。
右手をそっと刀の柄に構える。そして、鍔を押し上げる指に意識を向けながらも、自身の間合いへと足が入り込むタイミングを探っていく。
足が近づく度にクラウンの口角の上がった不敵な笑みはその不気味さを深めていく。それから、間合いに入った瞬間、刀を一気に振り抜いた。
水という液体ですら切り裂いていくような一閃はキレイな線を作り出す。やや下めから上に切り上げたために向かってきた足はまさに一刀両断された。
クラーケンはその突然の事実と斬られた痛みに思わず叫んだ。細かくがキリキリと軋むような音だが、それよりもクラーケンにダメージが与えられた方がクラウンは愉悦であった。
「この世界のクラーケンはそんな鳴き方するのか。まあ、知ってるわけじゃねぇけどな」
ふと周囲を見てみる。すると、ベルの方でも同じようなことが起きていた。つまりは同じく足が両断されているということだ。
どうやら水中戦もこの程度らしい。皮肉なものだがラズリを相手にした後だと図体はデカくても所詮小物と戯れているようにしか感じない。
クラウンはクラーケンの叫び声もいい加減ウザくなってきたので、さっさと止めを刺そうと中心に向かって駆け出していく。
その瞬間、クラーケンは突然口をクラウンの方へと向けながら、足を大きくうねらせていく。そして、大量の真っ黒い墨を吐き出した。
周囲が黒一色で染まっていく。黒い霧にでも覆われたようだ。もこもことしていつまでもそこに滞留し続け、波の揺れ動くままに少しずつ拡散している。
墨が体に纏わりついてくる。ややベトッとしていて身動きがとりづらいような印象を受ける。そういえば、イカの墨についてこんなことを聞いたことがあった。
イカの墨はタコの墨より粘着性が高いため、その場に残り続けると。とはいえ、墨を吐くと言えばそれは逃げるためのもの。
ということは、クラーケンは逃げるつもりで墨を吐いたということになる。しかし、ここで逃がしてしまえば、せっかくここまで準備してきたのが水の泡になるし、脅威を知ってその場から消えてしまうかもしれない。
それで立ち去って外の状況が改善されればいいが、そうではなく単なる雲隠れのみだったらこの場で逃がすわけにはいかない。
クラウンは咄嗟に刀をやたらめったらに振るい斬撃を飛ばしていく。しかし、イカの墨はタコの墨のように簡単には消えず、多少視覚情報の範囲が広くなっただけで意味がない。
<気配察知>で確認できない仲間の情報を得ようとする。すると、得られた情報は仲間だけではなく――――――正面から来る大量の小規模反応だった。
数は百を超えているだろうか。しかし、それらの反応は移動途中にいた魚の反応と大して変わらない。もしかして、先ほどの叫びで周囲から仲間を呼んだのか。
そうだとしても、数がやたらと多いだけで小さい反応ばかりだ。いくら狂暴な、それこそ毒のある魚をやってきたところで、自分が殺られることないし、海の武人である魚人族もベルも殺られることはないだろう。
それに、そもそも墨で姿を隠した状態から不意を突いて殴った方が脅威的だ。ということは、何か別の理由があって魚を飛ばしているか、その魚の方が有効的にダメージを与えられるかのどちらか。
クラウンは気配で感知した情報からすぐさま大まかな推測を立てると今度はその推測の立証に取り掛かった。
とはいえ、未だ色濃く残る墨が邪魔で姿が見えない―――――――とその時、その墨から一匹の白い魚が抜けてきた。
いや、魚というよりも通常サイズのイカであった。もとの世界でもよく見るアオリイカみたいなイカだ。もしかして、このイカが秘策とでもいうのだろうか。
「邪魔だ」
クラウンがそのイカを斬ろうとしたその瞬間、その光景を見ていたラグナはクラウンに向かって咄嗟に叫んだ。
「斬ってはダメだ! その場から離れるか! 弾き飛ばせ!」
クラウンはその声が耳に入った瞬間刀を止め、代わりに柄で弾き飛ばした。
―――――――ドボオオオオォォォォンッ!
その瞬間、現代兵器のC4爆弾にも匹敵するような爆発を見せた。海面近くで爆破したその衝撃は海面を大きく打ち上げて水しぶきを降らせていく。
どうやらクラウンの考えでは後者に当たるらしい。しかも、最悪な類な後者だ。いくら防御が高くたってクラウンとて人間だ。容易に腕や脚が吹き飛ぶことさえある。ただ通常の人よりも簡単に死なないだけであって。
それが百単位である。出来ることなら一掃したいが、クラウンにはそのような便利な技はない。ならば、別の手を使おう。
クラウンは咄嗟にその場から後方へ下がっていく。すると、墨の霧を突き抜けて数十体ものイカの群れが現れた。
そのイカの群れに向かってクラウンは斬撃を飛ばす。しかし、その斬撃を躱しながら平然と向かってくる。
どうやらある程度の知能は持っているらしい。ということは、クラーケンが作り出した魚雷のようではなく、本物の生物らしい。
しかし、そのことはなんとなく予想がついている。だから、今の斬撃はデコイだ。本命は二撃目の衝撃波。
クラウンは左拳を振りかぶるとそのまま水面を殴った。<極震>によって強制的に水の波動を作り出したのだ。
衝撃が伝わる速度なら普通の魚が泳ぐスピードよりも圧倒的に速い。そして、衝撃波は一直線ではなく拡散していく。
もし小さいイカが本当に爆弾のようなものを中に背負っているとして、現状で突撃しているということは、いわば捨て身特攻というわけだ。
つまりそれはぶつかった振動で爆発するということ。なら、先に振動を与えてしまえば一気に爆破できてしまうわけだ。
後方に下がったのは周囲に魚人兵を巻き込まないため。そして、その条件はすでにクリアされている。
「いけ」
――――――ドドドドドドドドドオオオオオオォォォォン!
クラウンの読み通り衝撃に当たった先頭部隊のイカから爆発していく。そして、その衝撃は波であるために次々と爆発していく。
さらにイカの爆発は並大抵の爆破力を持っているわけではない。C4爆弾並みなのだ。その威力の爆発が怒って、たとえ弱まった衝撃で爆発しない個体がいても、近くの爆発に巻き込まれれば誘爆する。
「いい加減、終わりにしようぜ」
クラウンはそう呟くと体を海面と並行するように水中を蹴った。そして、まるで走っていくかのように何度も蹴りを重ねて加速していく。
正面の爆破で大量の泡が湧き起こっているゾーンを抜け、さらに墨で尾を引くようにしながら突破していくと少し離れたクラーケンに向かって接近していく。
やはりあのクラーケンは安全圏から爆破で殺したかったようだ。しかし、残念だったな。人間には知能があるんだ。伊達に生き延びるための道を歩み続けてきたわけではない。
クラーケンはさらなるイカの群れを呼び集める。しかし、そのそばから拳を突き付けて衝撃波を放つ。すると、イカの群れは爆発、誘爆に襲われクラーケンは叫ぶ。
「さっさと死ね。一刀流虎の型――――――――水斬爪!」
クラウンはダメージを受けて動けないクラーケンに受かって袈裟切りに刀を振り下ろした。その瞬間、一振りの刀に三本の斬撃が放たれる。
そして、その斬撃はクラーケンを三等分にして海の藻屑とさせた。
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