43 / 303
第12章 道化師は集めきる
第261話 優しい言葉
しおりを挟む
「クラウン。おい、クラウン!」
「!」
「クラウン様、いかがされましたか!?」
「大精霊様を見てずっと意識もなくボーとしていたです」
「......そうだったか」
クラウンが意識を取り戻すとラグナ、システィーナ、ベルから心配の声が寄せられた。どうやら大精霊と精神世界で話している間、こっちの意識は置き去りにされていたらしい。
精神世界で話したことを思い出そうとしても、寝ている間に見た夢のようにぼんやりとしていてハッキリと思い出せないし、時間経過とともにさらに思い出せなくなってくる。
結局、最後に精霊は何と言ったのだろうか。何かお願いをされたような気がしなくもないが.......目の前の精霊の顔を見ても微笑んだ顔で返されるだけだ。
何かあったのは確定な気がする。そして、その願いは今は叶えられないということもなんとなくわかる。とはいえ、その内容がわからなければ叶えようがないと思われるが。
「俺が呆けている間、お前らは何をしてたんだ?」
「僕達はただずっと精霊様の話を聞いていただけだ。そして、気が付けば君だけが魂を抜かれたように意識なく突っ立ってた」
「私、心配しました! クラウン様の身に大変なことが起こったのではないかと! だとすれば、英雄を助けるのは姫の務めと相場が決まっています! なので、意識を取り戻すためのキスをしようと思っていたんですが.......この浅ましい女狐が!」
「誰が浅ましい女狐です! 浅ましいのはそっちです! 大体主様はベルの主様です! 見ず知らずの関りもほとんどない一国の姫ごときが主様に手出ししようなど一度死んでも、生まれ変わってからもう一度死ぬべきです!」
「なんてことを言うんですか! この女狐は! それじゃあ、生まれ変わってもただの死に損じゃないですか! 従者が主を守るのは結構なことなんですけどね! 従者はあくまで従者! 殿方との話に勝手に割り込んでこないでもらえます!? 立場をわきまえなさい!」
「立場をわきまえてないのはそっちです!」
「私のどこがわきまえてないですって!」
「ふふっ、短き命は活気が溢れてないとやはりだめですね」
「活気って言うか.......」
「こいつらの場合はどちらがマウントを取るかで張り合っているだけだと思うんだが」
ベルとシスティーナの相変わらずな言い合いに大精霊は微笑ましそうに笑う。そのことにラグナはもう身内の恥が恥ずかしすぎて顔をうつむき、クラウンは二人の頭にチョップする。
「お前ら、言い合いなら後でしろ。今はここを出ることが先だ。それでいいんだよな?」
「ええ。もう私が伝えるべきことは伝えましたし、やることもやりましたからね。個人的には俗世の話を聞かせて欲しいところですが、外の大変な状況に悠長にしている時間はありません。また会いに来てください。あなた様方はもう試練にはクリアしましたので、下手に空間を弄ることはありませんよ」
「おい、そういえば、この空間を操作しているがお前だったのなら、次元をこじ開けることぐらい―――――――むっ!」
クラウンが断片的に思い出したないようについて思わず苦言を吐くと突然大精霊の手によって口が塞がれた。いつ間にかスッと近づいて来ていたようだ。
そして、大精霊はそのままクラウンの耳に口を近づける。すると、森で嗅ぐような樹木の香りが鼻孔をくすぐる。
「それだとそばにいられる時間が無くなってしまいますから」
「?」
大精霊は意味深な言葉を吐くとゆっくりとその場から離れていく。クラウンはその内容について思い当たることはなかったが、恐らく精神世界の話のことだろうと理解した。
それから、大精霊は両腕を軽く上げて「精霊のご加護があらんことを」と告げるとゆっくりと後退し始め―――――立った状態のままだんだん離れていった。
大精霊がいた泉の空間自体が遠くなり始めたのだ。まるで泉とクラウン達がいた場所にはさらに長い一本道があったかのように。
恐らく大精霊が空間を弄って大精霊とクラウン達の間にあった地面を伸ばしていたりするのだろう。そして、自分達の居場所は他の場所に繋がっていく。
この地下空間限定の魔法とかなのだろうが、なんとも凄まじいことだ。なんせあれだけ進んだ距離をゼロにするかのように入り口まで送り返してしまうのだから。
クラウンは背後を見る。すると、今度は最初に入ってきた入り口がどんどん近づいてきた。そして、入り口とクラウン達の距離は数メートルぐらいで止まった。
大精霊なりのアフターサービスなのだろう。ともあれ、それに驚いている三人は先ほどの自分とは違ったで放心状態であるが。
*****************************************************
「なんとか手に入れられて良かったな」
「ですです! あの女もいないですし、主様の隣ですし!」
「もう少し仲良くする気はないのか.......」
「その言葉を自分で言うのもなんだがな」と心の中で思いながらそれに対して苦笑いするクラウンはベルと一緒に城のベランダから見える嵐を見ていた。
相変わらずの曇天模様からの基本突っ立っていられないような強風、雨がないのに雨のように降り続けている雷、一つの生き物のようにうねっている大シケの海、そして所々に見える竜巻。
見る限り今までで一番酷い自然現象だと思うのは当然だった。そして、その元凶である敵を数日後に討伐しに行く。現在はその段階まで来ていた。
魔国大陸にように常に夜がはびこっているような暗さであるために今が朝なのか昼なのか夜なのか外の環境から目視で判断することは敵わない。
いつまでも魔物や環境に怯えて海に出れず、ただでさえ減っている食料がこれ以上減るのは考えたくもない。
そう思っているのはこの国の全員と言っても過言ではないだろう。だからこそ、討伐するための準備をしなければいけないのだが.......クラウンはいまいち集中力が湧かなかった。
大精霊と精神世界で話してから、もう大半の内容も思い出せないが、ふと気がつくとラズリとの戦いを思い出していた。
そして、そのラズリによって散り散りになった仲間達と失った大切な相棒。特に仲間の状況が気になって仕方がないのだ。
この世界はデジタルが発達していないので、当たり前ながら携帯のような長距離連絡用手段がない。手紙を送ろうにも個人を特定して送り届ける伝書鳩もいなければ、まずこんな所までやって来ない。
「大丈夫だ」と信じているが心配になるものは心配になるのだ。せめて仲間の安否ぐらいは確認したいところだ。もうロキのように失って欲しくないから。
「主様?」
「ん? 少し耽っていただけだ。あいつらは大丈夫なのかってな。今頃、あの島周辺の場所をくまなく探していたりするんだろうけど、まさか海で流されているとは思わないだろう」
「エキドナ様ならそういうところにも気づくかもしれないです」
「かもな。だけど、海は広い。海底に沈んでいる可能性だって考えられなくはない。まあ、エキドナにしてもリリスにしてもシルヴィーにしてもその考えが浮かんでもすぐにないと切り捨てるだろうけどな」
「そうです。主様の運は人間を辞めてるです」
「過大評価だな。それにただの運じゃない悪運だ。それに仮に流れ着きそうな場所に予測がついて、その場所がここだとしてもさすがにここまで近づけない。撃ち落とされる可能性が高い」
「主様は助けに来てくれることを信じてないです?」
「いや、信じている。信じてはいるが.......いや、こんな考えをする時点でまだちょっと抵抗があるのかもな。俺の中の無意識の抵抗。あの操られたクラスメイトによって刻み付けられた恐怖を体が、心が忘れられないでいるのかもしれない。さすがに先ほどの言葉は否定的すぎたよな、悪い」
「いいえ。主様が謝ることではないです。主様は被害者なのです。そう考えるのも無理はないのかもしれません。ですが、もう少し信用に一歩踏み出してはいかがです?」
「.......立ち止まっていたりしているのか?」
「はいです。主様の歩みはこれまで順調な足取りで進んでいました。ですが、最後のラズリ戦においてロキ様という大切な相棒を失い、自分のせいで失っているとどこかで思い続け、失う恐怖にまた怯えてしまったです。幸いなのは心がまた闇に染まらないで、扉を閉じようとしなかったことですが、代わりにそれ以上進まなくなってしまったです」
「確かに.......ベルの言う通りかもな。ロキの死は俺が思っている以上に俺自身に堪えているかもしれない。『信用』という言葉で仲間に対する『死んでいるかもしれない可能性』を排除するために、塗り潰すために、騙すために自分は仲間を信用しているんだと半ば誤魔かすようなことをしていたかもしれない」
「主様が心配に思う気持ちはその誤魔かしから出た本音のような部分かもしれないです。もちろん、私も心配していていますが、恐らく私と主様には僅かながらに『信用と心配』に違いがあるのかもしれないです」
「その心配がどのようなものなのか見当もつかないがな。全く心とは厄介なものだ」
「そうです?」
ベルは疑問そうに小首を傾げるとベランダの柵に上った。そして、その柵の上を歩いて行き、クラウンの目の間に立つと両手で頬に触れる。
「私が思うことですが、心とは願う気持ちのことでもあると思うです。願う.......すなわちその想いを叶えたいという気持ち。主様がエキドナ様、リリス様、シルヴィー様のことを心配する気持ちは『自分が近くにいればすぐにでも助けに行くし、探しに行くのに』という気持ちの裏返しのような気がするです」
ベルのキラキラした瞳にクラウンは吸い込まれるように目を合わせた。光はほとんどなく、雷が空を一瞬青白く光らせるぐらいしかない中、ベルの瞳は満天の星空でも見ているような気分であった。
「助けに行くです。探しに行くです。ですから、一刻も早くこの国の問題を解決するです」
「......ああ、そうだな」
クラウンは微笑するとベルの頭を撫でる。その撫でにベルは気持ちよさそうに目を細め、尻尾を揺らしていく。
二人の間には嵐などないに等しいものだったかもしれない。
「!」
「クラウン様、いかがされましたか!?」
「大精霊様を見てずっと意識もなくボーとしていたです」
「......そうだったか」
クラウンが意識を取り戻すとラグナ、システィーナ、ベルから心配の声が寄せられた。どうやら大精霊と精神世界で話している間、こっちの意識は置き去りにされていたらしい。
精神世界で話したことを思い出そうとしても、寝ている間に見た夢のようにぼんやりとしていてハッキリと思い出せないし、時間経過とともにさらに思い出せなくなってくる。
結局、最後に精霊は何と言ったのだろうか。何かお願いをされたような気がしなくもないが.......目の前の精霊の顔を見ても微笑んだ顔で返されるだけだ。
何かあったのは確定な気がする。そして、その願いは今は叶えられないということもなんとなくわかる。とはいえ、その内容がわからなければ叶えようがないと思われるが。
「俺が呆けている間、お前らは何をしてたんだ?」
「僕達はただずっと精霊様の話を聞いていただけだ。そして、気が付けば君だけが魂を抜かれたように意識なく突っ立ってた」
「私、心配しました! クラウン様の身に大変なことが起こったのではないかと! だとすれば、英雄を助けるのは姫の務めと相場が決まっています! なので、意識を取り戻すためのキスをしようと思っていたんですが.......この浅ましい女狐が!」
「誰が浅ましい女狐です! 浅ましいのはそっちです! 大体主様はベルの主様です! 見ず知らずの関りもほとんどない一国の姫ごときが主様に手出ししようなど一度死んでも、生まれ変わってからもう一度死ぬべきです!」
「なんてことを言うんですか! この女狐は! それじゃあ、生まれ変わってもただの死に損じゃないですか! 従者が主を守るのは結構なことなんですけどね! 従者はあくまで従者! 殿方との話に勝手に割り込んでこないでもらえます!? 立場をわきまえなさい!」
「立場をわきまえてないのはそっちです!」
「私のどこがわきまえてないですって!」
「ふふっ、短き命は活気が溢れてないとやはりだめですね」
「活気って言うか.......」
「こいつらの場合はどちらがマウントを取るかで張り合っているだけだと思うんだが」
ベルとシスティーナの相変わらずな言い合いに大精霊は微笑ましそうに笑う。そのことにラグナはもう身内の恥が恥ずかしすぎて顔をうつむき、クラウンは二人の頭にチョップする。
「お前ら、言い合いなら後でしろ。今はここを出ることが先だ。それでいいんだよな?」
「ええ。もう私が伝えるべきことは伝えましたし、やることもやりましたからね。個人的には俗世の話を聞かせて欲しいところですが、外の大変な状況に悠長にしている時間はありません。また会いに来てください。あなた様方はもう試練にはクリアしましたので、下手に空間を弄ることはありませんよ」
「おい、そういえば、この空間を操作しているがお前だったのなら、次元をこじ開けることぐらい―――――――むっ!」
クラウンが断片的に思い出したないようについて思わず苦言を吐くと突然大精霊の手によって口が塞がれた。いつ間にかスッと近づいて来ていたようだ。
そして、大精霊はそのままクラウンの耳に口を近づける。すると、森で嗅ぐような樹木の香りが鼻孔をくすぐる。
「それだとそばにいられる時間が無くなってしまいますから」
「?」
大精霊は意味深な言葉を吐くとゆっくりとその場から離れていく。クラウンはその内容について思い当たることはなかったが、恐らく精神世界の話のことだろうと理解した。
それから、大精霊は両腕を軽く上げて「精霊のご加護があらんことを」と告げるとゆっくりと後退し始め―――――立った状態のままだんだん離れていった。
大精霊がいた泉の空間自体が遠くなり始めたのだ。まるで泉とクラウン達がいた場所にはさらに長い一本道があったかのように。
恐らく大精霊が空間を弄って大精霊とクラウン達の間にあった地面を伸ばしていたりするのだろう。そして、自分達の居場所は他の場所に繋がっていく。
この地下空間限定の魔法とかなのだろうが、なんとも凄まじいことだ。なんせあれだけ進んだ距離をゼロにするかのように入り口まで送り返してしまうのだから。
クラウンは背後を見る。すると、今度は最初に入ってきた入り口がどんどん近づいてきた。そして、入り口とクラウン達の距離は数メートルぐらいで止まった。
大精霊なりのアフターサービスなのだろう。ともあれ、それに驚いている三人は先ほどの自分とは違ったで放心状態であるが。
*****************************************************
「なんとか手に入れられて良かったな」
「ですです! あの女もいないですし、主様の隣ですし!」
「もう少し仲良くする気はないのか.......」
「その言葉を自分で言うのもなんだがな」と心の中で思いながらそれに対して苦笑いするクラウンはベルと一緒に城のベランダから見える嵐を見ていた。
相変わらずの曇天模様からの基本突っ立っていられないような強風、雨がないのに雨のように降り続けている雷、一つの生き物のようにうねっている大シケの海、そして所々に見える竜巻。
見る限り今までで一番酷い自然現象だと思うのは当然だった。そして、その元凶である敵を数日後に討伐しに行く。現在はその段階まで来ていた。
魔国大陸にように常に夜がはびこっているような暗さであるために今が朝なのか昼なのか夜なのか外の環境から目視で判断することは敵わない。
いつまでも魔物や環境に怯えて海に出れず、ただでさえ減っている食料がこれ以上減るのは考えたくもない。
そう思っているのはこの国の全員と言っても過言ではないだろう。だからこそ、討伐するための準備をしなければいけないのだが.......クラウンはいまいち集中力が湧かなかった。
大精霊と精神世界で話してから、もう大半の内容も思い出せないが、ふと気がつくとラズリとの戦いを思い出していた。
そして、そのラズリによって散り散りになった仲間達と失った大切な相棒。特に仲間の状況が気になって仕方がないのだ。
この世界はデジタルが発達していないので、当たり前ながら携帯のような長距離連絡用手段がない。手紙を送ろうにも個人を特定して送り届ける伝書鳩もいなければ、まずこんな所までやって来ない。
「大丈夫だ」と信じているが心配になるものは心配になるのだ。せめて仲間の安否ぐらいは確認したいところだ。もうロキのように失って欲しくないから。
「主様?」
「ん? 少し耽っていただけだ。あいつらは大丈夫なのかってな。今頃、あの島周辺の場所をくまなく探していたりするんだろうけど、まさか海で流されているとは思わないだろう」
「エキドナ様ならそういうところにも気づくかもしれないです」
「かもな。だけど、海は広い。海底に沈んでいる可能性だって考えられなくはない。まあ、エキドナにしてもリリスにしてもシルヴィーにしてもその考えが浮かんでもすぐにないと切り捨てるだろうけどな」
「そうです。主様の運は人間を辞めてるです」
「過大評価だな。それにただの運じゃない悪運だ。それに仮に流れ着きそうな場所に予測がついて、その場所がここだとしてもさすがにここまで近づけない。撃ち落とされる可能性が高い」
「主様は助けに来てくれることを信じてないです?」
「いや、信じている。信じてはいるが.......いや、こんな考えをする時点でまだちょっと抵抗があるのかもな。俺の中の無意識の抵抗。あの操られたクラスメイトによって刻み付けられた恐怖を体が、心が忘れられないでいるのかもしれない。さすがに先ほどの言葉は否定的すぎたよな、悪い」
「いいえ。主様が謝ることではないです。主様は被害者なのです。そう考えるのも無理はないのかもしれません。ですが、もう少し信用に一歩踏み出してはいかがです?」
「.......立ち止まっていたりしているのか?」
「はいです。主様の歩みはこれまで順調な足取りで進んでいました。ですが、最後のラズリ戦においてロキ様という大切な相棒を失い、自分のせいで失っているとどこかで思い続け、失う恐怖にまた怯えてしまったです。幸いなのは心がまた闇に染まらないで、扉を閉じようとしなかったことですが、代わりにそれ以上進まなくなってしまったです」
「確かに.......ベルの言う通りかもな。ロキの死は俺が思っている以上に俺自身に堪えているかもしれない。『信用』という言葉で仲間に対する『死んでいるかもしれない可能性』を排除するために、塗り潰すために、騙すために自分は仲間を信用しているんだと半ば誤魔かすようなことをしていたかもしれない」
「主様が心配に思う気持ちはその誤魔かしから出た本音のような部分かもしれないです。もちろん、私も心配していていますが、恐らく私と主様には僅かながらに『信用と心配』に違いがあるのかもしれないです」
「その心配がどのようなものなのか見当もつかないがな。全く心とは厄介なものだ」
「そうです?」
ベルは疑問そうに小首を傾げるとベランダの柵に上った。そして、その柵の上を歩いて行き、クラウンの目の間に立つと両手で頬に触れる。
「私が思うことですが、心とは願う気持ちのことでもあると思うです。願う.......すなわちその想いを叶えたいという気持ち。主様がエキドナ様、リリス様、シルヴィー様のことを心配する気持ちは『自分が近くにいればすぐにでも助けに行くし、探しに行くのに』という気持ちの裏返しのような気がするです」
ベルのキラキラした瞳にクラウンは吸い込まれるように目を合わせた。光はほとんどなく、雷が空を一瞬青白く光らせるぐらいしかない中、ベルの瞳は満天の星空でも見ているような気分であった。
「助けに行くです。探しに行くです。ですから、一刻も早くこの国の問題を解決するです」
「......ああ、そうだな」
クラウンは微笑するとベルの頭を撫でる。その撫でにベルは気持ちよさそうに目を細め、尻尾を揺らしていく。
二人の間には嵐などないに等しいものだったかもしれない。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる