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第11章 道化師は狩る
第238話 見透かした心
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少し時は時は進み、クラウン達は竜王の前にやって来ていた。その竜王は一昔前の中華の戦乱時代の皇帝のような服装をしていて、口には立派な髭を生やしている。
そして、妃の恰好も肌の露出があまり多くないにもかかわらず、色気のようなものを感じる服装であった。
エキドナが街の人々から胴上げされた一件から皇帝に直接呼出しを食らったクラウン達は未だ呼ばれた理由を明らかにされていない。
そして、ここに現在エキドナがいないため、呼ばれた理由の大まかな推測すら全く立たない状況だ。とはいえ、雰囲気から察するに歓迎されている様子ではある。
「初めましてだな。私がこの国の竜王をしている者だ。といっても、そこまで大層なものじゃない。いわば、民の中から選出された村長という認識の方が貴殿らには伝わりやすいだろう。地域密着型とでも言うべきかな」
「それで? 竜王が俺達を呼び出して何の用だ? 俺達はお前達の国に何かしたような覚えはないぞ?」
「謙遜はしなくていい。たとえお前達がもたらしくれたものではなくてもこの国の驚異的な危機を取り除いてくれたのだ。あの淫乱娘ともども感謝せねばなるまい」
竜王はクラウンの相変わらずな不遜な態度にも全く腹を立てる様子はなく、むしろその大柄な態度を気に入った様子で話していく。
その一方で、クラウンは「竜王にも淫乱娘と呼ばれているのか」ともはやエキドナの過去について興味が尽きない様子であった。
すると、リリスは竜王について質問し始める。
「感謝って言われてもね.......その感謝の理由が私達にはあんまりハッキリしないから教えてくれた方が安心して喜べると思うから教えて欲しいわ。そもそもエキドナはどこに行ったのかしら?」
実のところ、クラウン達はエキドナの現在の居場所を全く知らない。なぜなら、竜王に呼び出しが来る少し前に妹のシルヴィーから耳打ちされたエキドナは二人で急いでどこかへ行ってしまったからだ。ちなみに、ロキは外で竜人族の子供達と戯れていたりする。
その質問に竜王は心置きなく答えていく。
「淫乱娘は息子の様子を見に行ったんだ。彼女の息子はまだ幼い。故に、私がシルヴィーに息子のところへ行くよう伝言を頼んだのだ。そして、貴殿らに感謝することはこのことにも起因している。実は昔に――――――」
「黒い竜に襲われたんだろ?」
「!――――――淫乱娘から聞いたのか?」
「事情も知らずに協力するほど俺もその時は信じやすくなかったからな。確か、突然黒い竜に襲われて、手も足も出ずに、挙句の果てに毒のブレスでやられたんだっけな?」
「クラウン! そのことが事実であってももう少し言い方があるでしょ!」
「主様、そこはデリケートな内容です」
クラウンの遠慮のない言い方にさすがのリリスとベルも思わず苦言を呈する。しかし、言ったところで今更変わるような人物ではないが。
その言葉を聞いた竜王は軽快に笑うと「大丈夫だ。問題ない」と答えていく。加えて、なぜかクラウンの評価が増々上がっているような感じだ。
「どうやらあの淫乱娘は貴殿なら信用できると踏んだらしいな。そして、その結果は正しかったと今まさに証明されたわけだ」
「言っておくが今の俺はエキドナと出会った当初の俺とは違うぞ。俺はエキドナを全く信用していなかったし、ましてや利用するための駒と考えていた。少なからず、エキドナに信用される覚えはない。あいつも利用のために話しただけかもしれない」
「淫乱娘は貴殿が思っているよりも疑り深い.......いや、表を見せないと言った方が正しいな。彼女は基本的に自分の本来の姿を見せない。今現在でも限られた人にしか彼女の本当の姿を知らないだろう。それにその一人は無くなってしまったしな。故に、彼女はおどける。あまり上手く自分の本音を語れないことがわざわいして、おどける彼女が常となってしまった。そう考えると同じ道化師としては貴殿の寄り心地が良かったのだろうな」
「あいつが本音を隠すだと? なら、普段のあの淫乱さは何だというんだ? それに、だとすればあいつの本音の部分とはどういう状況なんだ?」
竜王は一回目を閉じる。まるで過去のエキドナとの思い出を思い返しているみたいだ。そして、ゆっくり開けるとエキドナに告げていく。
「彼女のああいう姿は一種のパフォーマンスに近いかもな。もしくは、自分の本音を悟られないための防護服と言ったところか。確かに、彼女はそういう方向に強い興味があったのは事実だ。けど、恐らく幼い頃に両親を亡くしてからだろうな。たった一人の妹を守るために彼女は自分のあらゆるものを犠牲にし過ぎた」
「.......」
「相手と話している時、どうしても感情というのは言葉よりも先行してしまう。それを上手く隠すには自分の行動を抑制するよりも、自分ごとおどけてしまって相手に悟らせないというのが一番楽なのだ。相手は傷つけずに、傷つくのは自分だけ。私達は諸外国から厳格な性格をしていると思われがちだが、それは一部であり、同時に竜人族という強い特徴を生かして悪いことをするやからもいる。心は推測するものであって、読めるものじゃないからな。彼女なりの処世術の方法だったかもしれない」
「面倒だな」
「ああ、その通りだ。それは一見人とうまく付き合っているように見えるかもしれない。しかし、結果から見れば相手に自分の本心をさらけ出せないと同じことだ。その行為を繰り返せば繰り返すほど、自分の心を縛る鎖は大きくなり、増えていく。故に、彼女が本音をさらけ出せる相手は実に稀だった」
「その初めての相手があいつの亡くなった旦那ってことだよな?」
クラウンはエキドナの見方が少し変わったような気がした。それは恐らくこれからも変わらない不変の事実として。
エキドナは自分と似ていた。その出来事はでどうであれ、同じく人を信用できないことは。だから、エキドナは自分に拠り所を求めたのかもしれない.......そう感じているだけだが。
クラウンの言葉に竜王はそっとうなづく。そして、告げていく。
「我々は心配していたのだ。いつまでも人に心を見せようとしないあの淫乱娘に対してな。いつまでも放っておけば自分で無意識に押さえつけている圧力で心が壊れかねない。いわば、心の病だな。そして、心の病は深刻だ。腕に出来た切り傷ならすぐ治るが、心に出来た切り傷は直りが非常に悪い。人によっては一年、二年なんかは平気でかかる。それは恐らく貴殿も同じ口だろう?」
「俺の場合は放っておかれなかった場合だがな」
竜王はクラウンの心を見透かしたように質問するとクラウンはリリスの方向を見て微笑んでから竜王に告げた。その不意打ち的な笑みにリリスは思わずドキッとさせて頬を赤らめる。
すると、ベルも同じことを求めるようにクラウンの腕の裾をチョイチョイと引いてアピール。クラウンはため息を吐きながらも、同じように微笑みながら頭を撫でる。
その光景に竜王はなぜか納得したようにうんうんと唸り、妃は目をウルウルとさせながら、ハンカチを上品に口に当てている。
「やはり、あの淫乱娘は男を見る目があるらしいな。それがよもや人族とは思わなかったし、魔族や獣人族も連れているとは思わなんだが、彼女がそれを受け入れた上でなら私が何かを言う必要もあるまい」
「俺に見る目があるならそれは買いかぶりだ。だがまあ、俺とてあいつには恩がある。少なからず、あいつのためにも何かしてやれることがあればしてやるつもりだ。とはいえ、さっきから言っていたがあいつの本音ってどういう状態なんだ?」
「む? 貴殿は気づいていないのか? 貴殿らがここに来るまでの間に聞いた話から察すれば、少なからずそう言う場面はあったと思うが」
「まあ.......ないこともないだろうが、どれがどれかと言われるとあまりピンと来ないな。あいつはあいつだった。それはたとえどんな時であっても」
「ふむ、そういうところなのかもしれんな。彼女は先ほども言った通り基本的にはおどけたような発言しかしない。まあ、もちろん時と場合ということもあるだろうが。少なからず、彼女が他に感情を見せるという姿はないだろう。簡単に言えば弱音を吐くとか、感情的に涙を流してしまうとか」
「それはあったな」
思い返してみればエキドナはそれなりに感情的だったのかもしれない。それは本来のエキドナの姿を知らないで、それを当たり前だと思っていたからかもしれないが、竜王から聞いている印象の限りだとそう思ってもおかしくない。
「彼女に必要だったのは、強い精神とどんなことでも受け止めてくれる包容力。それさえあれば、たとえどんなに力が弱かろうと旦那にするには問題ない」
「待て、それなら俺はエキドナ本人に強さでくっつかれた男だぞ? あいつは言っていた『竜人族の女性は自分より強い人と子を成したいと思うもの』ってな。それはつまり竜人族も力で上下関係を決めるということだ。まさかあの言葉が嘘だったのか?」
「確かに、その言葉も一つの道理ではある。強い種になるためにはより強い者とつがいになり、子を成すことが一番手っ取り早いしな。時に貴殿よ、そう言えば貴殿は『エキドナを全く信用していなかった』と言っていたが、どうしてその言葉は信用したんだ? 今も間違えるほどにな」
「――――――――!」
「そうさ、心は読めるわけではない。当然、魔法を使えば話は変わってくるけどな。しかし、誰しもがそんな万能な魔法を持っているわけでもなく、持っていたとしてそんなあけすけな心を逆に誰が信用できるというのだろうか。心とは実に厄介なものであり、またそれは信用とて同じこと。『信用』は少なからず、相手の心を知ろうとしなければ意味を成さないものだからな」
「.......」
「見る限り、貴殿はようやく心の在り方が定まり、『信用』を本当の意味で捉え始めたように思える。人生これからじゃよ。私らには数秒にも感じる時は貴殿らには大切な一生なのだ。その気持ちをその大切な時間の中で大切にせよ」
「.......エスパーかよ」
「伊達に長生きしとらんよ」
愉快そうに笑う竜王を見てクラウンはエキドナ以上の厄介さをヒシヒシと感じていた。
そして、妃の恰好も肌の露出があまり多くないにもかかわらず、色気のようなものを感じる服装であった。
エキドナが街の人々から胴上げされた一件から皇帝に直接呼出しを食らったクラウン達は未だ呼ばれた理由を明らかにされていない。
そして、ここに現在エキドナがいないため、呼ばれた理由の大まかな推測すら全く立たない状況だ。とはいえ、雰囲気から察するに歓迎されている様子ではある。
「初めましてだな。私がこの国の竜王をしている者だ。といっても、そこまで大層なものじゃない。いわば、民の中から選出された村長という認識の方が貴殿らには伝わりやすいだろう。地域密着型とでも言うべきかな」
「それで? 竜王が俺達を呼び出して何の用だ? 俺達はお前達の国に何かしたような覚えはないぞ?」
「謙遜はしなくていい。たとえお前達がもたらしくれたものではなくてもこの国の驚異的な危機を取り除いてくれたのだ。あの淫乱娘ともども感謝せねばなるまい」
竜王はクラウンの相変わらずな不遜な態度にも全く腹を立てる様子はなく、むしろその大柄な態度を気に入った様子で話していく。
その一方で、クラウンは「竜王にも淫乱娘と呼ばれているのか」ともはやエキドナの過去について興味が尽きない様子であった。
すると、リリスは竜王について質問し始める。
「感謝って言われてもね.......その感謝の理由が私達にはあんまりハッキリしないから教えてくれた方が安心して喜べると思うから教えて欲しいわ。そもそもエキドナはどこに行ったのかしら?」
実のところ、クラウン達はエキドナの現在の居場所を全く知らない。なぜなら、竜王に呼び出しが来る少し前に妹のシルヴィーから耳打ちされたエキドナは二人で急いでどこかへ行ってしまったからだ。ちなみに、ロキは外で竜人族の子供達と戯れていたりする。
その質問に竜王は心置きなく答えていく。
「淫乱娘は息子の様子を見に行ったんだ。彼女の息子はまだ幼い。故に、私がシルヴィーに息子のところへ行くよう伝言を頼んだのだ。そして、貴殿らに感謝することはこのことにも起因している。実は昔に――――――」
「黒い竜に襲われたんだろ?」
「!――――――淫乱娘から聞いたのか?」
「事情も知らずに協力するほど俺もその時は信じやすくなかったからな。確か、突然黒い竜に襲われて、手も足も出ずに、挙句の果てに毒のブレスでやられたんだっけな?」
「クラウン! そのことが事実であってももう少し言い方があるでしょ!」
「主様、そこはデリケートな内容です」
クラウンの遠慮のない言い方にさすがのリリスとベルも思わず苦言を呈する。しかし、言ったところで今更変わるような人物ではないが。
その言葉を聞いた竜王は軽快に笑うと「大丈夫だ。問題ない」と答えていく。加えて、なぜかクラウンの評価が増々上がっているような感じだ。
「どうやらあの淫乱娘は貴殿なら信用できると踏んだらしいな。そして、その結果は正しかったと今まさに証明されたわけだ」
「言っておくが今の俺はエキドナと出会った当初の俺とは違うぞ。俺はエキドナを全く信用していなかったし、ましてや利用するための駒と考えていた。少なからず、エキドナに信用される覚えはない。あいつも利用のために話しただけかもしれない」
「淫乱娘は貴殿が思っているよりも疑り深い.......いや、表を見せないと言った方が正しいな。彼女は基本的に自分の本来の姿を見せない。今現在でも限られた人にしか彼女の本当の姿を知らないだろう。それにその一人は無くなってしまったしな。故に、彼女はおどける。あまり上手く自分の本音を語れないことがわざわいして、おどける彼女が常となってしまった。そう考えると同じ道化師としては貴殿の寄り心地が良かったのだろうな」
「あいつが本音を隠すだと? なら、普段のあの淫乱さは何だというんだ? それに、だとすればあいつの本音の部分とはどういう状況なんだ?」
竜王は一回目を閉じる。まるで過去のエキドナとの思い出を思い返しているみたいだ。そして、ゆっくり開けるとエキドナに告げていく。
「彼女のああいう姿は一種のパフォーマンスに近いかもな。もしくは、自分の本音を悟られないための防護服と言ったところか。確かに、彼女はそういう方向に強い興味があったのは事実だ。けど、恐らく幼い頃に両親を亡くしてからだろうな。たった一人の妹を守るために彼女は自分のあらゆるものを犠牲にし過ぎた」
「.......」
「相手と話している時、どうしても感情というのは言葉よりも先行してしまう。それを上手く隠すには自分の行動を抑制するよりも、自分ごとおどけてしまって相手に悟らせないというのが一番楽なのだ。相手は傷つけずに、傷つくのは自分だけ。私達は諸外国から厳格な性格をしていると思われがちだが、それは一部であり、同時に竜人族という強い特徴を生かして悪いことをするやからもいる。心は推測するものであって、読めるものじゃないからな。彼女なりの処世術の方法だったかもしれない」
「面倒だな」
「ああ、その通りだ。それは一見人とうまく付き合っているように見えるかもしれない。しかし、結果から見れば相手に自分の本心をさらけ出せないと同じことだ。その行為を繰り返せば繰り返すほど、自分の心を縛る鎖は大きくなり、増えていく。故に、彼女が本音をさらけ出せる相手は実に稀だった」
「その初めての相手があいつの亡くなった旦那ってことだよな?」
クラウンはエキドナの見方が少し変わったような気がした。それは恐らくこれからも変わらない不変の事実として。
エキドナは自分と似ていた。その出来事はでどうであれ、同じく人を信用できないことは。だから、エキドナは自分に拠り所を求めたのかもしれない.......そう感じているだけだが。
クラウンの言葉に竜王はそっとうなづく。そして、告げていく。
「我々は心配していたのだ。いつまでも人に心を見せようとしないあの淫乱娘に対してな。いつまでも放っておけば自分で無意識に押さえつけている圧力で心が壊れかねない。いわば、心の病だな。そして、心の病は深刻だ。腕に出来た切り傷ならすぐ治るが、心に出来た切り傷は直りが非常に悪い。人によっては一年、二年なんかは平気でかかる。それは恐らく貴殿も同じ口だろう?」
「俺の場合は放っておかれなかった場合だがな」
竜王はクラウンの心を見透かしたように質問するとクラウンはリリスの方向を見て微笑んでから竜王に告げた。その不意打ち的な笑みにリリスは思わずドキッとさせて頬を赤らめる。
すると、ベルも同じことを求めるようにクラウンの腕の裾をチョイチョイと引いてアピール。クラウンはため息を吐きながらも、同じように微笑みながら頭を撫でる。
その光景に竜王はなぜか納得したようにうんうんと唸り、妃は目をウルウルとさせながら、ハンカチを上品に口に当てている。
「やはり、あの淫乱娘は男を見る目があるらしいな。それがよもや人族とは思わなかったし、魔族や獣人族も連れているとは思わなんだが、彼女がそれを受け入れた上でなら私が何かを言う必要もあるまい」
「俺に見る目があるならそれは買いかぶりだ。だがまあ、俺とてあいつには恩がある。少なからず、あいつのためにも何かしてやれることがあればしてやるつもりだ。とはいえ、さっきから言っていたがあいつの本音ってどういう状態なんだ?」
「む? 貴殿は気づいていないのか? 貴殿らがここに来るまでの間に聞いた話から察すれば、少なからずそう言う場面はあったと思うが」
「まあ.......ないこともないだろうが、どれがどれかと言われるとあまりピンと来ないな。あいつはあいつだった。それはたとえどんな時であっても」
「ふむ、そういうところなのかもしれんな。彼女は先ほども言った通り基本的にはおどけたような発言しかしない。まあ、もちろん時と場合ということもあるだろうが。少なからず、彼女が他に感情を見せるという姿はないだろう。簡単に言えば弱音を吐くとか、感情的に涙を流してしまうとか」
「それはあったな」
思い返してみればエキドナはそれなりに感情的だったのかもしれない。それは本来のエキドナの姿を知らないで、それを当たり前だと思っていたからかもしれないが、竜王から聞いている印象の限りだとそう思ってもおかしくない。
「彼女に必要だったのは、強い精神とどんなことでも受け止めてくれる包容力。それさえあれば、たとえどんなに力が弱かろうと旦那にするには問題ない」
「待て、それなら俺はエキドナ本人に強さでくっつかれた男だぞ? あいつは言っていた『竜人族の女性は自分より強い人と子を成したいと思うもの』ってな。それはつまり竜人族も力で上下関係を決めるということだ。まさかあの言葉が嘘だったのか?」
「確かに、その言葉も一つの道理ではある。強い種になるためにはより強い者とつがいになり、子を成すことが一番手っ取り早いしな。時に貴殿よ、そう言えば貴殿は『エキドナを全く信用していなかった』と言っていたが、どうしてその言葉は信用したんだ? 今も間違えるほどにな」
「――――――――!」
「そうさ、心は読めるわけではない。当然、魔法を使えば話は変わってくるけどな。しかし、誰しもがそんな万能な魔法を持っているわけでもなく、持っていたとしてそんなあけすけな心を逆に誰が信用できるというのだろうか。心とは実に厄介なものであり、またそれは信用とて同じこと。『信用』は少なからず、相手の心を知ろうとしなければ意味を成さないものだからな」
「.......」
「見る限り、貴殿はようやく心の在り方が定まり、『信用』を本当の意味で捉え始めたように思える。人生これからじゃよ。私らには数秒にも感じる時は貴殿らには大切な一生なのだ。その気持ちをその大切な時間の中で大切にせよ」
「.......エスパーかよ」
「伊達に長生きしとらんよ」
愉快そうに笑う竜王を見てクラウンはエキドナ以上の厄介さをヒシヒシと感じていた。
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