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第11章 道化師は狩る
第234話 意外と重要案件
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場所はハザドールの外にある森が近くにある舗装された道。そこに置かれた馬車とともにクラウン達は集まっていた。
すでにシュリエールには挨拶を済ませてあるので、いつでも出発できるのだが.......
「え!? それじゃあ、結局何もしていないの!?」
「そんな驚くことないんじゃないかしら......」
リリスはエキドナの想定通りの驚かれたに思わずため息を吐く。エキドナに伝えたのは昨日クラウンの部屋を訪ねて何があったのかということなのだが、エキドナが期待しているような展開には当然なっていない。
そのことを聞くとエキドナは露骨にがっかりした顔をする。その顔がなんだか腹立たしい。
「あんなに色気ムンムンで性欲マシマシな状態のリリスちゃんが、それもサキュバスのリリスちゃんが何もしないなんて.......何かの病気かしら。でも、こんな症例聞いたことなしい」
「人を勝手に病人扱いしないでよ。というか、別にやるやらないはこっちの自由でしょうが。それはエキドナがどうこう言うもんじゃないと思うけど」
「え? 普通そこまでやったらやるでしょ。少なくとも私は襲う」
「この脳内ピンク竜が.......」
リリスはもはやこれが通常運転のエキドナとわかっていてもため息が絶えなかった。一体脳内はどうなっているのだろうか八割方は変態やまたそれに属する言葉で埋め尽くされていそうだ。
「にしても、それは困ったわね~」
「なにがよ?」
リリスはエキドナが言いそうな言葉を想定しながらも一応聞いた。そして、帰ってきた言葉は十中八九予想通りの言葉であった。
「なにがって、正妻のリリスちゃんがヤってくれないと私がヤれないじゃない。さすがに正妻を出し抜こうだなんてそんな意地汚いことはしないわよ」
「やはり来たか。というか、それが本音だよね? それに全くもってそんな心配はしてないから」
「ふふっ、私はリリスちゃんに愛されてるわね」
「いや、単にクラウンにぶっとばされるだけっていう話なんだけど.......はあ.......」
もはや付き合ってられない。なぜエキドナとの会話にはこんなにも体力が吸われているのだろうか。もし勝てない相手が存在するとすれば、エキドナに他ならない気がする。
「そもそも、私はなんとなくクラウンの言いたい気持ちがわかるのよ」
「言いたいこと?」
リリスはそう言うと他のメンバーが揃っている方へと視線を向けた。そこにはカムイと回復して歩けるようになったルナ、朱里が話していたり、ベルとリルリアーゼが雪姫をからかっていたり。それから、少し外れでクラウンが久々のロキの白い毛並みを堪能している。
そんな戻ってきた日常の一部を喜ぶようにリリスは微笑むと告げる。
「クラウンはね、まだ変化を恐れてるのよ。敵が未だ何を仕掛けてくるかわからない中で、また失ってしまうことが」
「けど、旦那様の私達に対する信頼はもう揺らぎようがないわよ?」
「信頼を失うって話じゃないのよ。それ以前の話。仲間を失うかもしれないってこと。私達の絆はずっときっと確かなものになった。けど、その信頼の鎖は強ければ強いほど千切れた時のリスクが高いのよ。そして、クラウンはそれを二度も経験している」
「一度目は仲間に裏切られた時ね。結局レグリアのせいとわかったわけだけど、その当時は知らなくて、その時に抱いた気持ちや感情は確かに本物だったらしいしわね。そして、二回目は魔王城の話よね」
「そう。あの時の絆は確かに強かった。けど、レグリアによってその絆を切断させられてしまった。その時に引き起こったのがクラウンの魔王化。レグリアが施したであろう呪いなんだろうけど、本来のクラウンなら抑え込めていたものが、その絆が無くなったことにより精神が不安定になった。そして、そこをつけ込まれた」
リリスは思わず俯いて拳を強く握った。悔しさが溢れてくるように、自分の弱さを責めるように拳に力が入っていく。
そんなリリスの肩をエキドナはポンと軽いタッチで置くと優しい笑みで告げる。
「もう過ぎたことだわ。仮定がどうであれ、今がこうして私達のいつも通りが迎えられているなら良いじゃない」
「まあね。でも、ふと一人になると考えてしまうのよ。一人で生きて復讐を果たそうと決意した時の癖かしら。今の幸せが少し眩しいのよ」
エキドナはリリスを自分の正面に向かせると優しく抱き寄せる。すると、リリスの顔はエキドナの豊満な胸に埋まっていく。
「なら、リリスちゃんは今の幸せを噛みしめなさい。そして、その幸せが出来るだけ長く繋いでいくように努力すること。私達も協力するから一緒に頑張りましょう」
「.......うん」
リリスは僅かに頭を縦に振って返事をした。しかし、すぐにエキドナの二つの山脈を鷲掴みにするとエキドナのホールドを無理やり脱出する。
「苦しい」
「ふふふっあら、ごめんなさい」
リリスは羨ましいとも思ったようなジト目でエキドナを見る。そんなリリスの視線をどこ吹く風のようにエキドナは受け流していく。
リリスが乱暴にその胸を離すとさらに落ちたプリンの如くブルンブルンという効果音がつきそうな揺れ方をしていく。なんと忌々しい揺れ方だろうか。こちらには揺れる胸も存在していないというのに。
「ともかく! クラウンはこれ以上絆を強くすることに一定の抵抗感を感じているのよ。二回も経験すれば三回目もあるのではにかと考えるのは実に自然のことだし、そこは仕方ないと思う―――――わ!」
「いやん♡ リリスちゃんのエッチ」
「うっさいわ! 存在がエッチなのはどっちだ!」
リリスはやはり忌々しいその豊満な胸にビンタをかます。すると、マシュマロのような柔らかい胸は右左に弾力ある弾みをしながら揺れていく。
「はっ! 視線!!」
「どうしたの? リリスちゃん?」
リリスはふと背後から降り注ぐ二つの熱視線に気づいた。それはもうある意味痛々しく思えるほどの視線が突き刺さる。
そして、きっと見ているのはリリスとエキドナのやり取りではなく、エキドナの実りしかない果実。その視線の方向にリリスがバッと振り向くと二つの顔がバッとそっぽを向いていく。
言わずもがな、クラウンとカムイである。カムイはシスコンであれど立派な男なので仕方ないと思われるが、クラウンは意外であった。
その反応はもしかしたらクラウンの精神から呪いの部分が消えた証拠なのかもしれないが、逆に言えばそれが無かったらただの男という見方も出来なくもない。
これまでが悪意を心に宿したのがクラウンのデフォルトだったので、その反応に意外性と僅かな驚き、カムイと同じ男なので仕方ないと思われる部分もあるが.......許すかどうかは別問題だ。
そして、リリスが二人の方へと近づこうとすると二人はすでに針のむしろの中にいた。
カムイは朱里、ルナから冷たい視線が送られていて、クラウンは雪姫、ベルに恐怖を感じるような笑顔で迫られている。
先ほどまでクラウンと戯れていたロキは即座にエキドナの方へと避難していて、リルリアーゼに至ってはエキドナに勝るとも劣らない作られた胸を自分の両手で揺らしながら、煽るようにクラウンに見せつけている。
恐らくあの行動は後でお仕置きという名のご褒美をいただくためなのだろうが、その効力は実に素晴らしく、クラウンの肩身が明らかに狭そうだ。
それにしても、よく考えるとこのパーティは平均して胸があまり大きくないように思える。機械のリルリアーゼを除けばエキドナが突出しているだけで他はそれほど.......次に大きいのがルナであってもエキドナに比べれば二回りぐらい小さい。
平均で考えればこのパーティの女性陣の胸の大きさは小さいのだ。にもかかわらず、エキドナ(ついでにリルリアーゼも)という圧倒的な存在によって肩身の狭い思いをしなければいけないのだろうか。
「この世界にバストアップの魔法や魔道具類のものってあったりするかしら」
「――――――あるわよ、伝承だから真実味は薄いけどね」
「「「「「ほんと!?」」」」」
リリスの言葉を聞いたエキドナはふと覚えていることを告げた。その瞬間、リリスだけではなくリルリアーゼ以外の全女性陣が反応した。
胸一つでこれからの生き方が変わるわけでもないが、その言葉一つでこの群がりようはなんとも悲しく映るものさえあった。
エキドナは一先ず聞いたことのある伝承を話すとリリス達は会議をし始めた。少しだけ耳を傾けて聞いてみると全てを成し遂げた時に一緒に探し出そうという約束をしていた。
なんとも微笑ましく、そしてどこか悲しくも感じる約束なのだろうか。そんなリリス達の様子にさすがのエキドナも苦笑いを浮かべた。
「なんか酷いことになってしまったわ」
「「だが、正直助かった」」
エキドナがふらっとクラウンとカムイに近づいてそんなことを言うと二人は割とガチで感謝していた。そんな様子に「どっちもどっちね」とエキドナはため息を吐いた。
「それにしても、私の胸に見惚れるのはいいけど、二人とも! しっかりと中身で見てあげなきゃダメよ」
「それはわかってるんだがな.......」
「あれは男の性というものだ。それに全くないがしろにしているわけじゃない。当然、お前もな」
クラウンはエキドナにそっと頭を近づけると頭をポンッと置いた。そして、そのまま頬の方まで手を滑らせていく。
クラウンの中身はれっきとした「海堂 仁」であっても、どうやら全くもって変わる前に戻ったわけではないらしい。少なくともこのような行動は仁の時代の頃は出来なかっただろう。
そんなクラウンの優しさにエキドナの瞳が潤む。そして、そのまま顔を上気させていく。
「あーもう! 好きっ!」
「あ、おい待て―――――――!」
クラウンはエキドナにその場で押し倒されていく。そのクラウンが倒された音に気付くとリリス、ベル、雪姫が群がってくる。放置されたリルリアーゼは自分で「放置プレイ」と称しながら悶えている。
これまたいつも通りのカオスな状況の出来上がりだ。そして、近くにいたカムイは触らぬ神に祟りなしとでも言うべきか止めようとすらしない。
その時、そのばに一つの妖しい声が響き渡った。
「ふふっ、相変わらずお盛んね。そのくせなにも変わってないのだから不思議ね~」
そう言いながら空中から降りてきたのは古代サキュバスとなったリリスに近しい姿のリゼリアの姿であった。
すでにシュリエールには挨拶を済ませてあるので、いつでも出発できるのだが.......
「え!? それじゃあ、結局何もしていないの!?」
「そんな驚くことないんじゃないかしら......」
リリスはエキドナの想定通りの驚かれたに思わずため息を吐く。エキドナに伝えたのは昨日クラウンの部屋を訪ねて何があったのかということなのだが、エキドナが期待しているような展開には当然なっていない。
そのことを聞くとエキドナは露骨にがっかりした顔をする。その顔がなんだか腹立たしい。
「あんなに色気ムンムンで性欲マシマシな状態のリリスちゃんが、それもサキュバスのリリスちゃんが何もしないなんて.......何かの病気かしら。でも、こんな症例聞いたことなしい」
「人を勝手に病人扱いしないでよ。というか、別にやるやらないはこっちの自由でしょうが。それはエキドナがどうこう言うもんじゃないと思うけど」
「え? 普通そこまでやったらやるでしょ。少なくとも私は襲う」
「この脳内ピンク竜が.......」
リリスはもはやこれが通常運転のエキドナとわかっていてもため息が絶えなかった。一体脳内はどうなっているのだろうか八割方は変態やまたそれに属する言葉で埋め尽くされていそうだ。
「にしても、それは困ったわね~」
「なにがよ?」
リリスはエキドナが言いそうな言葉を想定しながらも一応聞いた。そして、帰ってきた言葉は十中八九予想通りの言葉であった。
「なにがって、正妻のリリスちゃんがヤってくれないと私がヤれないじゃない。さすがに正妻を出し抜こうだなんてそんな意地汚いことはしないわよ」
「やはり来たか。というか、それが本音だよね? それに全くもってそんな心配はしてないから」
「ふふっ、私はリリスちゃんに愛されてるわね」
「いや、単にクラウンにぶっとばされるだけっていう話なんだけど.......はあ.......」
もはや付き合ってられない。なぜエキドナとの会話にはこんなにも体力が吸われているのだろうか。もし勝てない相手が存在するとすれば、エキドナに他ならない気がする。
「そもそも、私はなんとなくクラウンの言いたい気持ちがわかるのよ」
「言いたいこと?」
リリスはそう言うと他のメンバーが揃っている方へと視線を向けた。そこにはカムイと回復して歩けるようになったルナ、朱里が話していたり、ベルとリルリアーゼが雪姫をからかっていたり。それから、少し外れでクラウンが久々のロキの白い毛並みを堪能している。
そんな戻ってきた日常の一部を喜ぶようにリリスは微笑むと告げる。
「クラウンはね、まだ変化を恐れてるのよ。敵が未だ何を仕掛けてくるかわからない中で、また失ってしまうことが」
「けど、旦那様の私達に対する信頼はもう揺らぎようがないわよ?」
「信頼を失うって話じゃないのよ。それ以前の話。仲間を失うかもしれないってこと。私達の絆はずっときっと確かなものになった。けど、その信頼の鎖は強ければ強いほど千切れた時のリスクが高いのよ。そして、クラウンはそれを二度も経験している」
「一度目は仲間に裏切られた時ね。結局レグリアのせいとわかったわけだけど、その当時は知らなくて、その時に抱いた気持ちや感情は確かに本物だったらしいしわね。そして、二回目は魔王城の話よね」
「そう。あの時の絆は確かに強かった。けど、レグリアによってその絆を切断させられてしまった。その時に引き起こったのがクラウンの魔王化。レグリアが施したであろう呪いなんだろうけど、本来のクラウンなら抑え込めていたものが、その絆が無くなったことにより精神が不安定になった。そして、そこをつけ込まれた」
リリスは思わず俯いて拳を強く握った。悔しさが溢れてくるように、自分の弱さを責めるように拳に力が入っていく。
そんなリリスの肩をエキドナはポンと軽いタッチで置くと優しい笑みで告げる。
「もう過ぎたことだわ。仮定がどうであれ、今がこうして私達のいつも通りが迎えられているなら良いじゃない」
「まあね。でも、ふと一人になると考えてしまうのよ。一人で生きて復讐を果たそうと決意した時の癖かしら。今の幸せが少し眩しいのよ」
エキドナはリリスを自分の正面に向かせると優しく抱き寄せる。すると、リリスの顔はエキドナの豊満な胸に埋まっていく。
「なら、リリスちゃんは今の幸せを噛みしめなさい。そして、その幸せが出来るだけ長く繋いでいくように努力すること。私達も協力するから一緒に頑張りましょう」
「.......うん」
リリスは僅かに頭を縦に振って返事をした。しかし、すぐにエキドナの二つの山脈を鷲掴みにするとエキドナのホールドを無理やり脱出する。
「苦しい」
「ふふふっあら、ごめんなさい」
リリスは羨ましいとも思ったようなジト目でエキドナを見る。そんなリリスの視線をどこ吹く風のようにエキドナは受け流していく。
リリスが乱暴にその胸を離すとさらに落ちたプリンの如くブルンブルンという効果音がつきそうな揺れ方をしていく。なんと忌々しい揺れ方だろうか。こちらには揺れる胸も存在していないというのに。
「ともかく! クラウンはこれ以上絆を強くすることに一定の抵抗感を感じているのよ。二回も経験すれば三回目もあるのではにかと考えるのは実に自然のことだし、そこは仕方ないと思う―――――わ!」
「いやん♡ リリスちゃんのエッチ」
「うっさいわ! 存在がエッチなのはどっちだ!」
リリスはやはり忌々しいその豊満な胸にビンタをかます。すると、マシュマロのような柔らかい胸は右左に弾力ある弾みをしながら揺れていく。
「はっ! 視線!!」
「どうしたの? リリスちゃん?」
リリスはふと背後から降り注ぐ二つの熱視線に気づいた。それはもうある意味痛々しく思えるほどの視線が突き刺さる。
そして、きっと見ているのはリリスとエキドナのやり取りではなく、エキドナの実りしかない果実。その視線の方向にリリスがバッと振り向くと二つの顔がバッとそっぽを向いていく。
言わずもがな、クラウンとカムイである。カムイはシスコンであれど立派な男なので仕方ないと思われるが、クラウンは意外であった。
その反応はもしかしたらクラウンの精神から呪いの部分が消えた証拠なのかもしれないが、逆に言えばそれが無かったらただの男という見方も出来なくもない。
これまでが悪意を心に宿したのがクラウンのデフォルトだったので、その反応に意外性と僅かな驚き、カムイと同じ男なので仕方ないと思われる部分もあるが.......許すかどうかは別問題だ。
そして、リリスが二人の方へと近づこうとすると二人はすでに針のむしろの中にいた。
カムイは朱里、ルナから冷たい視線が送られていて、クラウンは雪姫、ベルに恐怖を感じるような笑顔で迫られている。
先ほどまでクラウンと戯れていたロキは即座にエキドナの方へと避難していて、リルリアーゼに至ってはエキドナに勝るとも劣らない作られた胸を自分の両手で揺らしながら、煽るようにクラウンに見せつけている。
恐らくあの行動は後でお仕置きという名のご褒美をいただくためなのだろうが、その効力は実に素晴らしく、クラウンの肩身が明らかに狭そうだ。
それにしても、よく考えるとこのパーティは平均して胸があまり大きくないように思える。機械のリルリアーゼを除けばエキドナが突出しているだけで他はそれほど.......次に大きいのがルナであってもエキドナに比べれば二回りぐらい小さい。
平均で考えればこのパーティの女性陣の胸の大きさは小さいのだ。にもかかわらず、エキドナ(ついでにリルリアーゼも)という圧倒的な存在によって肩身の狭い思いをしなければいけないのだろうか。
「この世界にバストアップの魔法や魔道具類のものってあったりするかしら」
「――――――あるわよ、伝承だから真実味は薄いけどね」
「「「「「ほんと!?」」」」」
リリスの言葉を聞いたエキドナはふと覚えていることを告げた。その瞬間、リリスだけではなくリルリアーゼ以外の全女性陣が反応した。
胸一つでこれからの生き方が変わるわけでもないが、その言葉一つでこの群がりようはなんとも悲しく映るものさえあった。
エキドナは一先ず聞いたことのある伝承を話すとリリス達は会議をし始めた。少しだけ耳を傾けて聞いてみると全てを成し遂げた時に一緒に探し出そうという約束をしていた。
なんとも微笑ましく、そしてどこか悲しくも感じる約束なのだろうか。そんなリリス達の様子にさすがのエキドナも苦笑いを浮かべた。
「なんか酷いことになってしまったわ」
「「だが、正直助かった」」
エキドナがふらっとクラウンとカムイに近づいてそんなことを言うと二人は割とガチで感謝していた。そんな様子に「どっちもどっちね」とエキドナはため息を吐いた。
「それにしても、私の胸に見惚れるのはいいけど、二人とも! しっかりと中身で見てあげなきゃダメよ」
「それはわかってるんだがな.......」
「あれは男の性というものだ。それに全くないがしろにしているわけじゃない。当然、お前もな」
クラウンはエキドナにそっと頭を近づけると頭をポンッと置いた。そして、そのまま頬の方まで手を滑らせていく。
クラウンの中身はれっきとした「海堂 仁」であっても、どうやら全くもって変わる前に戻ったわけではないらしい。少なくともこのような行動は仁の時代の頃は出来なかっただろう。
そんなクラウンの優しさにエキドナの瞳が潤む。そして、そのまま顔を上気させていく。
「あーもう! 好きっ!」
「あ、おい待て―――――――!」
クラウンはエキドナにその場で押し倒されていく。そのクラウンが倒された音に気付くとリリス、ベル、雪姫が群がってくる。放置されたリルリアーゼは自分で「放置プレイ」と称しながら悶えている。
これまたいつも通りのカオスな状況の出来上がりだ。そして、近くにいたカムイは触らぬ神に祟りなしとでも言うべきか止めようとすらしない。
その時、そのばに一つの妖しい声が響き渡った。
「ふふっ、相変わらずお盛んね。そのくせなにも変わってないのだから不思議ね~」
そう言いながら空中から降りてきたのは古代サキュバスとなったリリスに近しい姿のリゼリアの姿であった。
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