83 / 303
第10章 決戦
第221話 久々の再会
しおりを挟む
リリス達がハザドールに現れてから翌日、普段無口なの方であるベルの叱咤激励を受けたからか、全員の心持は明るい兆しを見せ始めた。
といっても、事態は深刻だ。現状のままで突っ込んだとしても返り討ちにあうだけ。無策でゴリ押しというのはクラウンが案外とそうであったからかそう言う風潮になっているが、ここでは改めなければなるまい。
とはいえ、そのためには些か情報不足だ。自分達が動けなくなったり、体が勝手に操られる現象についてはわかったけれど、それに対する対策があまり見つからない。
加えて、クラウンはまだ何か隠している感じがあった。それに見る限りおかしな現象という場面はいくつもあった。
これまでの旅をいろいろと思い出しながら、リリス達は客間の一室で集まって考えているがかれこれ一時間も無駄とも言えるほど有効な案が出てきていない。
すると、「少し休憩」と疲れた息を吐きながら背もたれにだらしなく寄り掛かるリリスは正面に座っているベルにふとあることを聞いた。
「そういえば、私が転移石を使ったのってベルから指示されてやったんだけど、ベルはよく咄嗟に脱出手段を思いついたわね」
「そうだな。でも待てよ? あれって確か前回使った時は全員が使用者の体に触れてて一緒に転移したって感じだったけど、今回は動けなかったから触れてないはずだが?」
カムイは思わず疑問を口にする。確かにその疑問は最もであろう。あの時はレグリアの神言によって体を強制的に操られていた。
その時、誰一人使用者のリリスに触れていた者はいなかった。なら、その場で消えるのはリリスだけということになる。
僅かに空いた窓から風が流れ込む。その風は部屋中に新鮮な空気を届けていく。昨日よりも何十倍に美味しく感じる空気だ。
その風に当てられ、僅かに気持ちよさそうに耳を揺らすベルはその疑問い対して答えを告げた。
「それは主様が保険として私に魔法を授けてくれたからです。レグリアの命令は移動自体の束縛でしたから、手は辛うじて動いたです。それからバレないように全員に糸を飛ばしたです。ちなみに、私が転移石を使うことを思いついていたのは主様が保険として私だけに伝えてくれたからです」
「旦那様がそんなことを.......それはいつの話なのかしら?」
「魔王が.......レグリアがいる場所の途中の移動道の時です。主様はその時から何か嫌な予感がしてると感じ取っていたらしいです。だから、その保険を私に授けました」
ベルはその時のことを思い出して、結局こうなってしまっていることに歯噛みした。クラウンの直感は外れたことはない。それは戦いの時であればあるほどに。
そして、それは現実になってしまった、不甲斐ないことに。当たってしまった、祈ったこともないのに。すると、その言葉に朱里が思わず反発する。
「待って、それならどうして海堂君は朱里達に言わなかったの!? 言ってくれればもしかしらた海堂君も一緒に逃げられたかもしれないのに」
「だからこそ、マスターはあえてミス・ベルにだけ伝えたのでしょう」
「どういうこと?」
「つまり私達は自分達が思っている以上に仲間意識が強いということよ。それは朱里自身が言葉として証明したじゃない。『一緒に逃げられたかも』って」
「.......」
「納得していない顔ね。いい? そもそもレグリアの狙いはカムイの妹のルナさんと思わせたクラウン狙い。それで何がしたかったのかはまだよくわかっていないけど、クラウン自身は自分が狙われていることがよくわかっていた」
リリスは机を囲っているソファから腰を上げると窓へと歩いて行く。そして、取っ手に手をかけると僅かに空いていた隙間を全開に広げた。
風はあまり吹いていないのか僅かに髪を揺らす程度。その眼下に広がる城下町は自分達が見てきたおぞましさなど一切なく眩しいほどに輝いて見えていた。
その景色を見ながらリリスは言葉を続けていく。
「私達は仲間意識が強い。仲間なら必ず助けに行く。けど、それは相手次第。レグリアのような相手には特に分が悪いかもね。だからこそ、クラウンはベルに保険を授けたのよ。そして、クラウン自身は賭けた」
「.......何を?」
「レグリアはクラウンを生きたまま何かをする気なのをクラウンは気づいていた。だから、殺されないという賭け。そして、自分が授けた保険によってきっと仲間が助けてくれるという信用の賭けよ」
「主様は私にその脱出案を告げた時、最後に告げたです。『お前らを信じている』とです。だからこそ、私達は立ち止まってはいけないです。私はもう一度主様に会いたい。その気持ちは皆だって一緒のはずです。だから―――――――諦めたくなかったのです」
「全く、ベルも最初っからそれを言ってくれれば私は顔をはたかれることもなかったってのに」
「あの言葉は単純にムカついたです。罰の意味も含まっているので悪気は一切ないです」
「わかってるわよ。あの時は私がどうかしてたわね」
「全く、旦那様のことが大好きなんだから。これじゃあ、いつ病んでもおかしくないわよ?」
「だ、大好きとかそんじゃないし!!」
「ツンデレ乙だよ、リリスちゃん」
「ゆーきーひーめぇ~~~~~~!」
そう言いつつもリリスの顔は赤くもありながら、笑いに溢れていたそれだけ精神的に安定してきたということなのだろう。
それは当然ながら良いことだ。何を行うにしても切り詰めて行えば、やがて無理が生じる。その無理はその次の無理を生む。
それが連鎖的に続いてしまえばそれは今のリリス達にとって絶望的な状況になりかねない。だからこそ、心に余裕が必要なのだ。
余裕は思考や行動を円滑に回していく。円滑に回ればそれだけ時間に余裕が生まれる。その時間はその時その時で有意義に使える。
クラウンを救うことは絶対案件。でも、その前に自分達がしっかりと前を向いていなければ誰も救うことは出来ないだろう。
そんな中、一人だけ未だ笑いきれないでいた人物がいた。その人物―――――カムイは「お手洗いを済ませてくる」と告げて部屋を出ていくとトイレとは真反対の廊下を歩き始めた。
そして、向かった場所は城内にある衛生室。いわゆる病室のような場所だ。その一室のドアをノックすると「入るぞ」と声をかけながら入室する。
そして、すぐに目に入るのは白いベッドで眠る妹のルナの姿が。胸のあたりが上下しているので呼吸は安定しているようだ。
しかし、昨日から未だ目覚めていない。だが、昨日はかなりの衰弱であったので、最悪死んでいることも覚悟していたのでまだ目覚めるほど体力が回復していないのだろうと思っている。
「俺がいてももしかしたらあんな感じだったのかな.......」
カムイは思わずルナを助けられなかったことをクラウンの件と重ねてしまった。それはある意味仕方のないことかもしれない。
カムイがルナを探す旅を始めたのは自国が襲撃され、ルナが攫われてからである。その時は何度も考えた。なぜルナが攫われるときに自分は鬼ヶ島にいなかったのかと。
しかし、今回の件は全く反対であった。自分はしっかり助けられる場面にいたにもかかわらず、結果は逃げて帰ってきた。
なら、自分が鬼ヶ島にいても実は同じ結果であったのではないかと思ってしまう。それほどまでに自分は弱かった。
あまり嘆きたくない言葉は勝手に言葉から漏れていく。これこそ自分の意志に反して。
カムイは近くの椅子を引き寄せると腰かける。そして、そっと頭を撫でていく。しばらく見なかった間に随分と髪が細くなってしまっているようだ。
あの美しくサラサラと風になびく髪は今は見る影もない。仕方ない、人質だったのだから。生かす程度の食事しか与えられていなかったということぐらい。
しかし、嘆かずにはいられない。どうして自分の妹なのだろうかと。クラウンとかかわる未来だったからという結論はでているのに、その言葉に納得できない。出来るはずもない。
「俺さ、少しだけ弱くなってるかもしれない。いろいろと精神的にハードすぎてさ、心と思考と行動が上手く連動していないんだわ」
カムイは撫でる手を止めると今度はルナの手に触れる。またもや随分と細く感じる。加えて、前よりも小さくも。
仕方ないと思いつつも、その仕方ないをそのままにしておくことも出来ない。しかし、今のままでは変わらないし、どうすればいいかもわからない。
冷たい手だ。この冷たい手で一体どれだけの辛い目に合ってきたのだろう。どれだけ心細くしていただろう。
結局助けられるのは今になってしまった。随分とかかってしまった。随分とかけてしまった。それだけで自分は――――――
「兄として失格だな」
「――――――そんなことないですよ」
「!」
思わず俯かせていた顔を上げるとすぐにルナの顔を見る。すると、まだ顔色は悪いがそれでも確かにしっかりと目を開けたルナの姿がそこにあった。
ルナは僅かに開いた目だけをゆっくりとカムイへと向けていく。そして、カムイを視認すると嬉しそうに微笑した。
それだけでカムイは思わずルナに抱きつこうとしたが、ふと寸前で止まって我に返る。病人相手に、それも目覚めたばっかの妹に抱きつくのは妹が可哀そうだ。
「おはよう。お目覚めかい?」
「はい、お目覚めです。実はさっきまで起きてたんですよ? でも、兄さんの撫でる手が気持ち良かったので思わず目を細めてしまいました」
「いつもは嫌がるのにな」
「恥ずかしいからですよ。でも、今は病人だから甘える時に甘えるんです」
「はは、甘え上手なことで」
「兄さん?」
カムイは久々のルナとの会話に思わず涙ぐむ。まさか会話するだけでこんなにも胸を打つものがあるとは。それはルナが目覚めたからなのか、単にシスコンのカムイが感情豊かになっているのか。
どちらにせよ、カムイにとっても、ルナにとっても感動の再会であることには変わりなかった。兄妹で会ったのは一体いつぶりなのだろうか。
ともあれ、今は互いに言うべきは一つだけであった。
「お帰り、ルナ」
「ただいまです、兄さん」
といっても、事態は深刻だ。現状のままで突っ込んだとしても返り討ちにあうだけ。無策でゴリ押しというのはクラウンが案外とそうであったからかそう言う風潮になっているが、ここでは改めなければなるまい。
とはいえ、そのためには些か情報不足だ。自分達が動けなくなったり、体が勝手に操られる現象についてはわかったけれど、それに対する対策があまり見つからない。
加えて、クラウンはまだ何か隠している感じがあった。それに見る限りおかしな現象という場面はいくつもあった。
これまでの旅をいろいろと思い出しながら、リリス達は客間の一室で集まって考えているがかれこれ一時間も無駄とも言えるほど有効な案が出てきていない。
すると、「少し休憩」と疲れた息を吐きながら背もたれにだらしなく寄り掛かるリリスは正面に座っているベルにふとあることを聞いた。
「そういえば、私が転移石を使ったのってベルから指示されてやったんだけど、ベルはよく咄嗟に脱出手段を思いついたわね」
「そうだな。でも待てよ? あれって確か前回使った時は全員が使用者の体に触れてて一緒に転移したって感じだったけど、今回は動けなかったから触れてないはずだが?」
カムイは思わず疑問を口にする。確かにその疑問は最もであろう。あの時はレグリアの神言によって体を強制的に操られていた。
その時、誰一人使用者のリリスに触れていた者はいなかった。なら、その場で消えるのはリリスだけということになる。
僅かに空いた窓から風が流れ込む。その風は部屋中に新鮮な空気を届けていく。昨日よりも何十倍に美味しく感じる空気だ。
その風に当てられ、僅かに気持ちよさそうに耳を揺らすベルはその疑問い対して答えを告げた。
「それは主様が保険として私に魔法を授けてくれたからです。レグリアの命令は移動自体の束縛でしたから、手は辛うじて動いたです。それからバレないように全員に糸を飛ばしたです。ちなみに、私が転移石を使うことを思いついていたのは主様が保険として私だけに伝えてくれたからです」
「旦那様がそんなことを.......それはいつの話なのかしら?」
「魔王が.......レグリアがいる場所の途中の移動道の時です。主様はその時から何か嫌な予感がしてると感じ取っていたらしいです。だから、その保険を私に授けました」
ベルはその時のことを思い出して、結局こうなってしまっていることに歯噛みした。クラウンの直感は外れたことはない。それは戦いの時であればあるほどに。
そして、それは現実になってしまった、不甲斐ないことに。当たってしまった、祈ったこともないのに。すると、その言葉に朱里が思わず反発する。
「待って、それならどうして海堂君は朱里達に言わなかったの!? 言ってくれればもしかしらた海堂君も一緒に逃げられたかもしれないのに」
「だからこそ、マスターはあえてミス・ベルにだけ伝えたのでしょう」
「どういうこと?」
「つまり私達は自分達が思っている以上に仲間意識が強いということよ。それは朱里自身が言葉として証明したじゃない。『一緒に逃げられたかも』って」
「.......」
「納得していない顔ね。いい? そもそもレグリアの狙いはカムイの妹のルナさんと思わせたクラウン狙い。それで何がしたかったのかはまだよくわかっていないけど、クラウン自身は自分が狙われていることがよくわかっていた」
リリスは机を囲っているソファから腰を上げると窓へと歩いて行く。そして、取っ手に手をかけると僅かに空いていた隙間を全開に広げた。
風はあまり吹いていないのか僅かに髪を揺らす程度。その眼下に広がる城下町は自分達が見てきたおぞましさなど一切なく眩しいほどに輝いて見えていた。
その景色を見ながらリリスは言葉を続けていく。
「私達は仲間意識が強い。仲間なら必ず助けに行く。けど、それは相手次第。レグリアのような相手には特に分が悪いかもね。だからこそ、クラウンはベルに保険を授けたのよ。そして、クラウン自身は賭けた」
「.......何を?」
「レグリアはクラウンを生きたまま何かをする気なのをクラウンは気づいていた。だから、殺されないという賭け。そして、自分が授けた保険によってきっと仲間が助けてくれるという信用の賭けよ」
「主様は私にその脱出案を告げた時、最後に告げたです。『お前らを信じている』とです。だからこそ、私達は立ち止まってはいけないです。私はもう一度主様に会いたい。その気持ちは皆だって一緒のはずです。だから―――――――諦めたくなかったのです」
「全く、ベルも最初っからそれを言ってくれれば私は顔をはたかれることもなかったってのに」
「あの言葉は単純にムカついたです。罰の意味も含まっているので悪気は一切ないです」
「わかってるわよ。あの時は私がどうかしてたわね」
「全く、旦那様のことが大好きなんだから。これじゃあ、いつ病んでもおかしくないわよ?」
「だ、大好きとかそんじゃないし!!」
「ツンデレ乙だよ、リリスちゃん」
「ゆーきーひーめぇ~~~~~~!」
そう言いつつもリリスの顔は赤くもありながら、笑いに溢れていたそれだけ精神的に安定してきたということなのだろう。
それは当然ながら良いことだ。何を行うにしても切り詰めて行えば、やがて無理が生じる。その無理はその次の無理を生む。
それが連鎖的に続いてしまえばそれは今のリリス達にとって絶望的な状況になりかねない。だからこそ、心に余裕が必要なのだ。
余裕は思考や行動を円滑に回していく。円滑に回ればそれだけ時間に余裕が生まれる。その時間はその時その時で有意義に使える。
クラウンを救うことは絶対案件。でも、その前に自分達がしっかりと前を向いていなければ誰も救うことは出来ないだろう。
そんな中、一人だけ未だ笑いきれないでいた人物がいた。その人物―――――カムイは「お手洗いを済ませてくる」と告げて部屋を出ていくとトイレとは真反対の廊下を歩き始めた。
そして、向かった場所は城内にある衛生室。いわゆる病室のような場所だ。その一室のドアをノックすると「入るぞ」と声をかけながら入室する。
そして、すぐに目に入るのは白いベッドで眠る妹のルナの姿が。胸のあたりが上下しているので呼吸は安定しているようだ。
しかし、昨日から未だ目覚めていない。だが、昨日はかなりの衰弱であったので、最悪死んでいることも覚悟していたのでまだ目覚めるほど体力が回復していないのだろうと思っている。
「俺がいてももしかしたらあんな感じだったのかな.......」
カムイは思わずルナを助けられなかったことをクラウンの件と重ねてしまった。それはある意味仕方のないことかもしれない。
カムイがルナを探す旅を始めたのは自国が襲撃され、ルナが攫われてからである。その時は何度も考えた。なぜルナが攫われるときに自分は鬼ヶ島にいなかったのかと。
しかし、今回の件は全く反対であった。自分はしっかり助けられる場面にいたにもかかわらず、結果は逃げて帰ってきた。
なら、自分が鬼ヶ島にいても実は同じ結果であったのではないかと思ってしまう。それほどまでに自分は弱かった。
あまり嘆きたくない言葉は勝手に言葉から漏れていく。これこそ自分の意志に反して。
カムイは近くの椅子を引き寄せると腰かける。そして、そっと頭を撫でていく。しばらく見なかった間に随分と髪が細くなってしまっているようだ。
あの美しくサラサラと風になびく髪は今は見る影もない。仕方ない、人質だったのだから。生かす程度の食事しか与えられていなかったということぐらい。
しかし、嘆かずにはいられない。どうして自分の妹なのだろうかと。クラウンとかかわる未来だったからという結論はでているのに、その言葉に納得できない。出来るはずもない。
「俺さ、少しだけ弱くなってるかもしれない。いろいろと精神的にハードすぎてさ、心と思考と行動が上手く連動していないんだわ」
カムイは撫でる手を止めると今度はルナの手に触れる。またもや随分と細く感じる。加えて、前よりも小さくも。
仕方ないと思いつつも、その仕方ないをそのままにしておくことも出来ない。しかし、今のままでは変わらないし、どうすればいいかもわからない。
冷たい手だ。この冷たい手で一体どれだけの辛い目に合ってきたのだろう。どれだけ心細くしていただろう。
結局助けられるのは今になってしまった。随分とかかってしまった。随分とかけてしまった。それだけで自分は――――――
「兄として失格だな」
「――――――そんなことないですよ」
「!」
思わず俯かせていた顔を上げるとすぐにルナの顔を見る。すると、まだ顔色は悪いがそれでも確かにしっかりと目を開けたルナの姿がそこにあった。
ルナは僅かに開いた目だけをゆっくりとカムイへと向けていく。そして、カムイを視認すると嬉しそうに微笑した。
それだけでカムイは思わずルナに抱きつこうとしたが、ふと寸前で止まって我に返る。病人相手に、それも目覚めたばっかの妹に抱きつくのは妹が可哀そうだ。
「おはよう。お目覚めかい?」
「はい、お目覚めです。実はさっきまで起きてたんですよ? でも、兄さんの撫でる手が気持ち良かったので思わず目を細めてしまいました」
「いつもは嫌がるのにな」
「恥ずかしいからですよ。でも、今は病人だから甘える時に甘えるんです」
「はは、甘え上手なことで」
「兄さん?」
カムイは久々のルナとの会話に思わず涙ぐむ。まさか会話するだけでこんなにも胸を打つものがあるとは。それはルナが目覚めたからなのか、単にシスコンのカムイが感情豊かになっているのか。
どちらにせよ、カムイにとっても、ルナにとっても感動の再会であることには変わりなかった。兄妹で会ったのは一体いつぶりなのだろうか。
ともあれ、今は互いに言うべきは一つだけであった。
「お帰り、ルナ」
「ただいまです、兄さん」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界ライフは山あり谷あり
常盤今
ファンタジー
会社員の川端努は交通事故で死亡後に超常的存在から異世界に行くことを提案される。これは『魔法の才能』というチートぽくないスキルを手に入れたツトムが15歳に若返り異世界で年上ハーレムを目指し、冒険者として魔物と戦ったり対人バトルしたりするお話です。
※ヒロインは10話から登場します。
※火曜日と土曜日の8時30分頃更新
※小説家になろう(運営非公開措置)・カクヨムにも掲載しています。
【無断転載禁止】
アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~
志位斗 茂家波
ファンタジー
新入社員として社会の波にもまれていた「青葉 春」。
社会人としての苦労を味わいつつ、のんびりと過ごしたいと思い、VRMMOなるものに手を出し、ゆったりとした生活をゲームの中に「ハル」としてのプレイヤーになって求めてみることにした。
‥‥‥でも、その想いとは裏腹に、日常生活では出てこないであろう才能が開花しまくり、何かと注目されるようになってきてしまう…‥‥のんびりはどこへいった!?
――
作者が初めて挑むVRMMOもの。初めての分野ゆえに稚拙な部分もあるかもしれないし、投稿頻度は遅めだけど、読者の皆様はのんびりと待てるようにしたいと思います。
コメントや誤字報告に指摘、アドバイスなどもしっかりと受け付けますのでお楽しみください。
小説家になろう様でも掲載しています。
一話あたり1500~6000字を目途に頑張ります。
カフェ・ユグドラシル
白雪の雫
ファンタジー
辺境のキルシュブリューテ王国に、美味い料理とデザートを出すカフェ・ユグドラシルという店があった。
この店を経営しているのは、とある準男爵夫妻である。
準男爵の妻である女性は紗雪といい、数年前にウィスティリア王国の王太子であるエドワード、彼女と共に異世界召喚された近藤 茉莉花、王国騎士であるギルバードとラルク、精霊使いのカーラと共に邪神を倒したのだ。
表向きはそう伝わっているが、事実は大いに異なる。
エドワードとギルバード、そして茉莉花は戦いと邪神の恐ろしさにgkbrしながら粗相をしていただけで、紗雪一人で倒したのだ。
邪神を倒しウィスティリア王国に凱旋したその日、紗雪はエドワードから「未来の王太子妃にして聖女である純粋無垢で可憐なマリカに嫉妬して虐めた」という事実無根な言いがかりをつけられた挙句、国外追放を言い渡されてしまう。
(純粋無垢?可憐?プフー。近藤さんってすぐにやらせてくれるから、大学では『ヤリマン』とか『サセコ』って呼ばれていたのですけどね。それが原因で、現在は性病に罹っているのよ?しかも、高校時代に堕胎をしている女を聖女って・・・。性女の間違いではないの?それなのに、お二人はそれを知らずにヤリマン・・・ではなく、近藤さんに手を出しちゃったのね・・・。王太子殿下と騎士さんの婚約者には、国を出る前に真実を伝えた上で婚約を解消する事を勧めておくとしましょうか)
「王太子殿下のお言葉に従います」
羽衣と霊剣・蜉蝣を使って九尾の一族を殲滅させた直後の自分を聖女召喚に巻き込んだウィスティリア王国に恨みを抱えていた紗雪は、その時に付与されたスキル【ネットショップ】を使って異世界で生き抜いていく決意をする。
紗雪は天女の血を引くとも言われている千年以上続く陰陽師の家に生まれた巫女にして最強の退魔師です。
篁家についてや羽衣の力を借りて九尾を倒した辺りは、後に語って行こうかと思っています。
不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~
足将軍
ファンタジー
【旧タイトル】不死鳥が契約してと言ったので契約してみた。
五歳になると魔法適性がないと思われ家族からその存在を抹消させられた。
そしてその日、俺は不死鳥と呼ばれる存在に出会った。
あの時から俺は、家族と呼んでいたあのゴミ達には関わらず生きていくと誓った。
何故?会ったらつい、ボコりたくなっちまうからだ。
なろうにも同時投稿中
最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜
フウ
ファンタジー
※30話あたりで、タイトルにあるお節介があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これは、最強な幼女が気の赴くままに自堕落ライフを手に入を手に入れる物語。
「……そこまでテンプレ守らなくていいんだよ!?」
絶叫から始まる異世界暗躍! レッツ裏世界の頂点へ!!
異世界に召喚されながらも神様達の思い込みから巻き込まれた事が発覚、お詫びにユニークスキルを授けて貰ったのだが…
「このスキル、チートすぎじゃないですか?」
ちょろ神様が力を込めすぎた結果ユニークスキルは、神の域へ昇格していた!!
これは、そんな公式チートスキルを駆使し異世界で成り上が……らない!?
「圧倒的な力で復讐を成し遂げる?メンド臭いんで結構です。
そんな事なら怠惰に毎日を過ごす為に金の力で裏から世界を支配します!」
そんな唐突に発想が飛躍した主人公が裏から世界を牛耳る物語です。
※やっぱり成り上がってるじゃねぇか。 と思われたそこの方……そこは見なかった事にした下さい。
この小説は「小説家になろう」 「カクヨム」でも公開しております。
上記サイトでは完結済みです。
上記サイトでの総PV1000万越え!
美しくも残酷な世界に花嫁(仮)として召喚されたようです~酒好きアラサーは食糧難の世界で庭を育てて煩悩のままに生活する
くみたろう
ファンタジー
いつもと変わらない日常が一変するのをただの会社員である芽依はその身をもって知った。
世界が違った、価値観が違った、常識が違った、何もかもが違った。
意味がわからなかったが悲観はしなかった。
花嫁だと言われ、その甘い香りが人外者を狂わすと言われても、芽依の周りは優しさに包まれている。
そばに居るのは巨大な蟻で、いつも優しく格好良く守ってくれる。
奴隷となった大好きな二人は本心から芽依を愛して側にいてくれる。
麗しい領主やその周りの人外者達も、話を聞いてくれる。
周りは酷く残酷な世界だけれども、芽依はたまにセクハラをして齧りつきながら穏やかに心を育み生きていく。
それはこの美しく清廉で、残酷でいておぞましい御伽噺の世界の中でも慈しみ育む人外者達や異世界の人間が芽依を育て守ってくれる。
お互いの常識や考えを擦り合わせ歩み寄り、等価交換を基盤とした世界の中で、優しさを育てて自分の居場所作りに励む。
全ては幸せな気持ちで大好きなお酒を飲む為であり、素敵な酒のつまみを開発する日々を送るためだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる