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第7章 道化師は攻略する
第159話 突然の来訪者
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「はあはあはあ......」
クラウンは荒く呼吸をしていた。それはリルリアーゼの戦闘によるものが大きいが残り僅かな体力の消費は現在右腕を覆ているこの―――――
「随分と中二くせぇデザインの籠手だな」
クラウンの右腕には漆黒の闇を体現したかのような細かく鋭い棘がいくつもついた凶悪な籠手だ。この籠手を見るのは二回目。だが、ここまでハッキリ見たのは初めてである。
ラズリ戦で覚えている限りでは前回もこのデザインであった。だが、違う点を挙げるとすれば現在は右腕だけにしかその黒い籠手が装備されていないということだが。
それにクラウンが攻撃する寸前に言ったリルリアーゼの「破壊の共鳴」という言葉。それがどういうことを意味するのかわからないし、どうして体が勝手に反応してしまったかもわからない。
ともかく、色々考えることがあるにしても今は先にやるべきことがある。
クラウンはリルリアーゼへと右腕から視線を移していく。そして、胸元に刺さっている刀を引き抜くとすぐに首を切断した。
「何とか終わったみたいだな」
「この人数で寄ってたかってやっとって全くどうなってるのかしら?」
「ウォン!」
「仁はずっとこんなのを相手にしてきたんだね」
「朱里達なら瞬殺されるね」
「もともとこんなんじゃないです」
「そうよ、ベルちゃんの言う通り。今回は相手が神代兵器ということもあって酷く手こずったという感じだから。前回、前々回の方がまだ余裕があったわよ」
クラウンの近くにリリス達が集まってくる。そして、肩の荷を下ろすように重たい息を吐いていくとそれぞれ思い思いの感想を述べていく。
クラウンはその話している会話を耳で入れながら左手でリルリアーゼを縛り上げるように糸を飛ばした。なぜ倒したのに縛るのか。それは実に簡単な答えだ。
「やはりバレていましたか」
「「「「「「!!!」」」」」」
切断された頭から翡翠色の目がパチリと開いた。その行動と言葉によってリリス達は驚きつつもすぐさま戦闘の構えをする。
だが、クラウンだけは戦闘の構えをせずにリルリアーゼへと聞いた。
「お前のマスターという奴の情報を吐け。バラバラにされたくなかったらな」
「無駄ですよ―――――と言いたい所なのですがそうでもありません。リルのマスター権限はマスターへと譲渡されたのですから」
クラウンは頭を傾げる。
「マスター? 俺がか?」
「はい、リルのマスター譲渡条件はマスターが死ぬまでかリルを倒したものに限りますから。なので、この場合はあんなにも激しい痛みを与えてくれたのはマスターですから////」
そう言うとどういう原理かリルリアーゼは頬を赤らめ、頭のない体をよじらせていく。そんなリルリアーゼにクラウンはイラッとし、周囲からはジト目のような視線が向けられてくる。
なぜこうなったらそうなるのか全くもってわからない。
「あ、基本属性ですからお忘れなきよう」
「すぐに忘れろ」
「い、いらふぃれすまふぅふぁー(い、痛いですマスター)」
クラウンは頭に近づくとそのまま足で踏みつけグリグリとねじっていく。その行為にリルリアーゼは嫌がる言葉を告げているが頬は先ほどよりも赤みを増している。
ドMロボット、これまでにないぐらい必要ない機能だろう。マスター権限で消せないだろうか。
「基本属性は消せません」
「ざけんな」
「ふむぅ」
リルリアーゼがクラウンの思考を先読みしたかのように告げていく。そのエスパーさながらの勘の良さと言葉にクラウンは増々イラッとさせて踏みつけていく。
その光景を少しだけ羨ましそうに見ている雪姫とその思考を必死に止めようとしている朱里の姿があったのはクラウンにも知らないことだ。
「それはそうとマスターは前のマスターの情報を聞きたいのでしたよね? であれば、この糸を解いてくれませんか? 安心してください。一度マスター認証すれば攻撃することはありませんし、前のマスターの命令はリセットされるのでたとえあったとしても従うことはありません」
「そうか」
クラウンは多少の疑いもあったがその言葉を信じることにした。そして、リルリアーゼの糸を解いていくとリルリアーゼは寝転がったまま両手で頭を掴んだ。
それから、立ち上がるとその頭を切断面へとくっつけていく。すると、そのつなぎ目の部分は紫電を走らせていくと何もなかったかのように繋がっていく。
「再生」まさしく人ならざる力、神に代わる力を持った平気だ。敵になれば驚くほどに脅威だが味方になればこれほどまでに安心する存在はいないだろう。
「リルリアーゼ.......長いなリルにする。お前はそもそもマスターに何と命令された?」
「リルは神殿に訪れし者の中で一番『破壊』に近い者を生け捕りにするよう言われました。そして、その他の者達にはここで排除するようにとも」
「破壊に近い者? それで俺がお前が俺を選んだ理由はなんだ?」
「リルが基準にした選考は誰が一番神に近いかです」
クラウンはその言葉に思わず目を細める。どういう意味で言っているのか理解しかねたからだ。
神とはこの世界ではトウマという神のことを指し、その神こそクラウンが復讐すべき最大の敵なのだ。
だが、リルリアーゼの言葉からすると自分はまるで神を殺そうとするほど神に近づいていっていると言っているようなものだ。
なんとも皮肉なことだ。自分が抱いている恨みは同族嫌悪とでも言われているようなものだ。だが、これで確かにハッキリしたことがある。
それはこの神殿からずっと疑問に思っていた現代兵器の存在、そして思い出した以前に聞いたリゼリアの転移者の話、それから神の名前。
「リル、ハッキリ答えろ。お前の神は俺と同じような転移者の神殺しでお前を、お前がいた神殿を作り出したんだな?」
「そう―――――――」
リルリアーゼがクラウンに対して言葉を告げようとした瞬間、突如としてリルリアーゼの頭が後方に吹き飛んでいく。
その頭からは頭の装甲の一部のようなものが宙に舞い、対するリルリアーゼはその勢いのまま地面へと後頭部を打ち付けた。
あまりにも一瞬の出来事だった。その場にいる誰もが反応できなかった。
目の前で倒れているリルリアーゼの額には小さな風穴が開いていて、リルリアーゼの頭のすぐ近くには空になった弾薬の金属音を立てて跳ね返っている音だけが僅かに響いていく。
クラウン達はその弾薬を思わず凝視する。特にクラウン、雪姫、朱里にとっては。それは神殿で見た者とは全く別のタイプだがそれでも確かな現代兵器だ。
クラウン達はすぐさまその弾薬が飛んできたであろう方向を見る。するとそこには、ラズリとカムイの妹ルナを連れ去った傲慢の使徒レグリアの姿があった。
レグリアは少年のような体格に似合わず巨大なスナイパーライフルのようなものを持っている。どうやらあれで狙い撃ちしたようだ。
だが、そうなると疑問に思うこともある。それはなぜその銃機でリルリアーゼだけを狙ったのかということだ。
もしあの銃で狙うとすればリルリアーゼではなく、気づいていないクラウン達の誰かであったはずだ。
なのに、一番初めにリルリアーゼを狙った。どうしてそのようなことを.......
『リルのマスター譲渡条件はマスターが死ぬまでかリルを倒したものに限りますから』
その時、クラウンはリルリアーゼの言った言葉を思い出した。
なぜクラウン達の仲間を狙わなかったのか。違う、そもそも狙う必要がなかったのだ。
もしリルリアーゼを狙わずに撃てば確実に殺せるのは一人か二人だろう。だが、リルリアーゼのマスター権限をもう一度手にしたならば?
今はリルリアーゼを囲むように全員が集結している。そして、前のマスターがレグリアだとしてそのレグリアの目的は自分の生け捕り、それから仲間の排除。
この至近距離でリルリアーゼが仲間達に攻撃すれば避けるすべもなく全員が殺されるだろう。それが目的でリルリアーゼを狙ったなら説明がつく。
撃ち抜かれた頭の再生を終えたリルリアーゼが上半身を上げていく。そして、正面に立つリリス達にギロっとした目を向けた。
「させるか!」
クラウンはすぐさま刀を横に振るって再びリルリアーゼの首を切断していく。両腕はリリス達に向けられていない。どうやらギリギリ間に合ったようだ。
そんなクラウンの突然の行動にリリス達は不思議がった様子で見てきた。どうやらまだそこまでの思考に至っていないようだ。
ともかく、これでリリス達のリルリアーゼに対しての危険は取り除けた。残る相手はもう一人。最悪な譲許を作り出そうとしたレグリアだ。
「.......」
クラウンはレグリアがいる方向へと見た。だが、その姿は既になかった。念のため<気配察知>を周囲に広げるだけ広げてみるがあの気持ち悪い反応は感じられない。
クラウンはそのレグリアの反応を思わず疑問に思った。なぜリルリアーゼだけ攻撃したらこの場を去ったのだろうか。
リルリアーゼに下した命令がレグリアによるものだとすればこれほどまでに好機な場面はなかっただろう。
なのに、レグリアは一人も殺さずその場を消えていく。しかもどこかに潜伏しているというわけではなく、この場から完全に。
レグリアの目的は何だったのだろうか。レグリアが自分に言ったと思われる「魔王の因子」という言葉も気になるところだ。
するとしばらくして、リルリアーゼが吹き飛んだ頭を繋ぎ合わせてクラウンへと告げた。
「いきなり首を切断するのはびっくりするではないですか」
「お前がレグリアのマスター権限を譲渡するからだろうが」
「譲渡されてませんよ? リルのマスター権限を譲渡するには人間の心臓部分に当たるコアを一度破壊しないといけませんから。なので、たとえ首を斬ったとしても意味ありませんし、頭を撃ち抜くなんて以ての外」
「何?」
クラウンはリルリアーゼの言葉を聞いて思わず疑問の言葉が漏れる。なら、レグリアはなんのためにリルリアーゼを攻撃したというのだろうか。
そんなクラウンの疑問をよそにリルリアーゼは尋ねてきた。
「たった今新着メッセージがあるのですが読み上げますか?」
クラウンは荒く呼吸をしていた。それはリルリアーゼの戦闘によるものが大きいが残り僅かな体力の消費は現在右腕を覆ているこの―――――
「随分と中二くせぇデザインの籠手だな」
クラウンの右腕には漆黒の闇を体現したかのような細かく鋭い棘がいくつもついた凶悪な籠手だ。この籠手を見るのは二回目。だが、ここまでハッキリ見たのは初めてである。
ラズリ戦で覚えている限りでは前回もこのデザインであった。だが、違う点を挙げるとすれば現在は右腕だけにしかその黒い籠手が装備されていないということだが。
それにクラウンが攻撃する寸前に言ったリルリアーゼの「破壊の共鳴」という言葉。それがどういうことを意味するのかわからないし、どうして体が勝手に反応してしまったかもわからない。
ともかく、色々考えることがあるにしても今は先にやるべきことがある。
クラウンはリルリアーゼへと右腕から視線を移していく。そして、胸元に刺さっている刀を引き抜くとすぐに首を切断した。
「何とか終わったみたいだな」
「この人数で寄ってたかってやっとって全くどうなってるのかしら?」
「ウォン!」
「仁はずっとこんなのを相手にしてきたんだね」
「朱里達なら瞬殺されるね」
「もともとこんなんじゃないです」
「そうよ、ベルちゃんの言う通り。今回は相手が神代兵器ということもあって酷く手こずったという感じだから。前回、前々回の方がまだ余裕があったわよ」
クラウンの近くにリリス達が集まってくる。そして、肩の荷を下ろすように重たい息を吐いていくとそれぞれ思い思いの感想を述べていく。
クラウンはその話している会話を耳で入れながら左手でリルリアーゼを縛り上げるように糸を飛ばした。なぜ倒したのに縛るのか。それは実に簡単な答えだ。
「やはりバレていましたか」
「「「「「「!!!」」」」」」
切断された頭から翡翠色の目がパチリと開いた。その行動と言葉によってリリス達は驚きつつもすぐさま戦闘の構えをする。
だが、クラウンだけは戦闘の構えをせずにリルリアーゼへと聞いた。
「お前のマスターという奴の情報を吐け。バラバラにされたくなかったらな」
「無駄ですよ―――――と言いたい所なのですがそうでもありません。リルのマスター権限はマスターへと譲渡されたのですから」
クラウンは頭を傾げる。
「マスター? 俺がか?」
「はい、リルのマスター譲渡条件はマスターが死ぬまでかリルを倒したものに限りますから。なので、この場合はあんなにも激しい痛みを与えてくれたのはマスターですから////」
そう言うとどういう原理かリルリアーゼは頬を赤らめ、頭のない体をよじらせていく。そんなリルリアーゼにクラウンはイラッとし、周囲からはジト目のような視線が向けられてくる。
なぜこうなったらそうなるのか全くもってわからない。
「あ、基本属性ですからお忘れなきよう」
「すぐに忘れろ」
「い、いらふぃれすまふぅふぁー(い、痛いですマスター)」
クラウンは頭に近づくとそのまま足で踏みつけグリグリとねじっていく。その行為にリルリアーゼは嫌がる言葉を告げているが頬は先ほどよりも赤みを増している。
ドMロボット、これまでにないぐらい必要ない機能だろう。マスター権限で消せないだろうか。
「基本属性は消せません」
「ざけんな」
「ふむぅ」
リルリアーゼがクラウンの思考を先読みしたかのように告げていく。そのエスパーさながらの勘の良さと言葉にクラウンは増々イラッとさせて踏みつけていく。
その光景を少しだけ羨ましそうに見ている雪姫とその思考を必死に止めようとしている朱里の姿があったのはクラウンにも知らないことだ。
「それはそうとマスターは前のマスターの情報を聞きたいのでしたよね? であれば、この糸を解いてくれませんか? 安心してください。一度マスター認証すれば攻撃することはありませんし、前のマスターの命令はリセットされるのでたとえあったとしても従うことはありません」
「そうか」
クラウンは多少の疑いもあったがその言葉を信じることにした。そして、リルリアーゼの糸を解いていくとリルリアーゼは寝転がったまま両手で頭を掴んだ。
それから、立ち上がるとその頭を切断面へとくっつけていく。すると、そのつなぎ目の部分は紫電を走らせていくと何もなかったかのように繋がっていく。
「再生」まさしく人ならざる力、神に代わる力を持った平気だ。敵になれば驚くほどに脅威だが味方になればこれほどまでに安心する存在はいないだろう。
「リルリアーゼ.......長いなリルにする。お前はそもそもマスターに何と命令された?」
「リルは神殿に訪れし者の中で一番『破壊』に近い者を生け捕りにするよう言われました。そして、その他の者達にはここで排除するようにとも」
「破壊に近い者? それで俺がお前が俺を選んだ理由はなんだ?」
「リルが基準にした選考は誰が一番神に近いかです」
クラウンはその言葉に思わず目を細める。どういう意味で言っているのか理解しかねたからだ。
神とはこの世界ではトウマという神のことを指し、その神こそクラウンが復讐すべき最大の敵なのだ。
だが、リルリアーゼの言葉からすると自分はまるで神を殺そうとするほど神に近づいていっていると言っているようなものだ。
なんとも皮肉なことだ。自分が抱いている恨みは同族嫌悪とでも言われているようなものだ。だが、これで確かにハッキリしたことがある。
それはこの神殿からずっと疑問に思っていた現代兵器の存在、そして思い出した以前に聞いたリゼリアの転移者の話、それから神の名前。
「リル、ハッキリ答えろ。お前の神は俺と同じような転移者の神殺しでお前を、お前がいた神殿を作り出したんだな?」
「そう―――――――」
リルリアーゼがクラウンに対して言葉を告げようとした瞬間、突如としてリルリアーゼの頭が後方に吹き飛んでいく。
その頭からは頭の装甲の一部のようなものが宙に舞い、対するリルリアーゼはその勢いのまま地面へと後頭部を打ち付けた。
あまりにも一瞬の出来事だった。その場にいる誰もが反応できなかった。
目の前で倒れているリルリアーゼの額には小さな風穴が開いていて、リルリアーゼの頭のすぐ近くには空になった弾薬の金属音を立てて跳ね返っている音だけが僅かに響いていく。
クラウン達はその弾薬を思わず凝視する。特にクラウン、雪姫、朱里にとっては。それは神殿で見た者とは全く別のタイプだがそれでも確かな現代兵器だ。
クラウン達はすぐさまその弾薬が飛んできたであろう方向を見る。するとそこには、ラズリとカムイの妹ルナを連れ去った傲慢の使徒レグリアの姿があった。
レグリアは少年のような体格に似合わず巨大なスナイパーライフルのようなものを持っている。どうやらあれで狙い撃ちしたようだ。
だが、そうなると疑問に思うこともある。それはなぜその銃機でリルリアーゼだけを狙ったのかということだ。
もしあの銃で狙うとすればリルリアーゼではなく、気づいていないクラウン達の誰かであったはずだ。
なのに、一番初めにリルリアーゼを狙った。どうしてそのようなことを.......
『リルのマスター譲渡条件はマスターが死ぬまでかリルを倒したものに限りますから』
その時、クラウンはリルリアーゼの言った言葉を思い出した。
なぜクラウン達の仲間を狙わなかったのか。違う、そもそも狙う必要がなかったのだ。
もしリルリアーゼを狙わずに撃てば確実に殺せるのは一人か二人だろう。だが、リルリアーゼのマスター権限をもう一度手にしたならば?
今はリルリアーゼを囲むように全員が集結している。そして、前のマスターがレグリアだとしてそのレグリアの目的は自分の生け捕り、それから仲間の排除。
この至近距離でリルリアーゼが仲間達に攻撃すれば避けるすべもなく全員が殺されるだろう。それが目的でリルリアーゼを狙ったなら説明がつく。
撃ち抜かれた頭の再生を終えたリルリアーゼが上半身を上げていく。そして、正面に立つリリス達にギロっとした目を向けた。
「させるか!」
クラウンはすぐさま刀を横に振るって再びリルリアーゼの首を切断していく。両腕はリリス達に向けられていない。どうやらギリギリ間に合ったようだ。
そんなクラウンの突然の行動にリリス達は不思議がった様子で見てきた。どうやらまだそこまでの思考に至っていないようだ。
ともかく、これでリリス達のリルリアーゼに対しての危険は取り除けた。残る相手はもう一人。最悪な譲許を作り出そうとしたレグリアだ。
「.......」
クラウンはレグリアがいる方向へと見た。だが、その姿は既になかった。念のため<気配察知>を周囲に広げるだけ広げてみるがあの気持ち悪い反応は感じられない。
クラウンはそのレグリアの反応を思わず疑問に思った。なぜリルリアーゼだけ攻撃したらこの場を去ったのだろうか。
リルリアーゼに下した命令がレグリアによるものだとすればこれほどまでに好機な場面はなかっただろう。
なのに、レグリアは一人も殺さずその場を消えていく。しかもどこかに潜伏しているというわけではなく、この場から完全に。
レグリアの目的は何だったのだろうか。レグリアが自分に言ったと思われる「魔王の因子」という言葉も気になるところだ。
するとしばらくして、リルリアーゼが吹き飛んだ頭を繋ぎ合わせてクラウンへと告げた。
「いきなり首を切断するのはびっくりするではないですか」
「お前がレグリアのマスター権限を譲渡するからだろうが」
「譲渡されてませんよ? リルのマスター権限を譲渡するには人間の心臓部分に当たるコアを一度破壊しないといけませんから。なので、たとえ首を斬ったとしても意味ありませんし、頭を撃ち抜くなんて以ての外」
「何?」
クラウンはリルリアーゼの言葉を聞いて思わず疑問の言葉が漏れる。なら、レグリアはなんのためにリルリアーゼを攻撃したというのだろうか。
そんなクラウンの疑問をよそにリルリアーゼは尋ねてきた。
「たった今新着メッセージがあるのですが読み上げますか?」
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