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第7章 道化師は攻略する
第149話 弱くてもいい
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カムイはひとしきり話し終えると一度大きく息を吐いた。思い出話であるからか思ったよりも話したいことを一気に話してしまった。
それもさすがに引く相手もぐらい。一体どのくらい長く話していたのだろうか。少なからず、「なげぇな」と思ってもいいレベルの可能性が高い。
そんなわけでカムイは申し訳なさそうに朱里の方を見てみる。しかし、朱里は目を閉じながらその話を優し装笑みを浮かべながら聞いていた。
ただ自分が聞きたかったから聞いただけ。そんなことが伝わってくる表情。その表情はカムイがよく母親に話している時の母親の表情そのもののようにも感じた。
だから、思わず言葉が漏れそうになる。しかし、すぐに口を閉じる。弱っているせいかすぐに今頼れる朱里に甘えそうになる。
だが、そんなことはしてはいけない......いや、してはいけないじゃない。したくないんだ。
朱里は自分に対して「苦しみを背負ってもいいですか?」と聞いてきた。その言葉は純粋に嬉しかったし、何もなければ甘えたくもなった。
しかし、朱里はすでにクラウンとの過去を重く背負っている。それこそ自分の同情では足りないぐらいに。
なので、背負わせたくない。これ以上、苦しめたくない。たとえ背負うことを朱里自身が許可したとしても。
「俺はこう考えるとまだまだ力不足なんだな......この国のために何一つ出来ていなければ、大事な妹さえ取り戻すことも出来ない。俺は弱い......」
まただ。またずるい言い方をした。否定を誘っている。過去の思い出にふれてセンチメンタルな状態で誰かにこの気持ちをわかってもらおうとして、自分の言葉を否定してもらいたがっている。
「もう十分にがんばってるよ」「たくさんの助けてもらった」と温かい言葉を聞くことを求めてしまっている。
なんて弱い奴なのだろうか。どれだけ気丈に振舞っていようとしても、結局現実から目を逸らそうとしているようなものじゃないか。
そう考えるとクラウンの方がよっぽど強い。ずっとずっと過去に向き合おうとしていた。
もちろん、どこかで間違っていたこともあるだろう。だが、クラウンはそれを受け入れた上で前を向こうと真実をしろうと抗っている。
なのに、自分はどうだろうか。抗うことに弱気になって誰かに助けを求めてばかりで自分から行動する意思をあまり見せていない。
見せられないというものあるかもしれない。しかし、それでも出来ることはたくさんあったはずだ。考えられることはもっともっとあったはずだ。
「なるほど......」
カムイは思わず呟いた。それはクラウンと話したことを思い出したからだ。
自分がどうしてそこまでクラウンの後押しをするような言い方をしていたのか喉に刺さった小骨程度だがずっと気になっていたのだ。
しかし、その答えはわからなかった。ただ、自分が世話を焼いて好きにやっているだけじゃないかと思った。
だが、違った。一言で言えば憧れていたのだ。その立ち向かう姿勢に。
クラウンはたとえ一人になったとしても自分の目的や自分の感情に向き合おうとしていた。そんな姿に自分は憧れていた。
言わば理想の自分とでも言うべきだろうか。何があってもどんなことを感じても強く居続けようとする姿勢、そして抗い続ける気迫。
きっと自分が本当に求めていたものをクラウンが持っていた。だから、そんなクラウンに後押しするような言葉を言い続けた。そうしなければ、クラウンが壊れてしまうから。
だが、それは今考えればただの逃げであったというだけであった。自分で考えることを放棄して、クラウンが、クラウン達が助けてくれるということにすがったということ。
それが悪いわけじゃないということはわかっている。頼って頼られてそんなのが理想であることも。
ただ、自分は自分でできることを考えなかった。出来ることならたくさんあったはず。たとえば、一度でもいいからこの島に戻ってくるということぐらい。
自分は妹のルナが連れ去られてからずっと本土の方で探し続けた。そっちの方がいる可能性が高いという判断からであった。
だが、考えてみればそれで得られた成果は何もない。言ってしまえばそのことに関する情報も。
だったら、一度でも島の方へと戻るべきであった。そこには確実に情報があり、被害があった場所なのだから。
しかし、戻ることはしなかった。それをしなかったのは単純で現実から目を背けたかったからだ。
島に戻れば自分の思い出とは見る影もない場所が被害をそのままにして残っている。まるで思い出が全て夢であったかのように壊されてしまう。
だから、行かなかった。言い方を変えれば逃げたのだ。自分は。
「弱い......どうして弱いんだ......」
カムイは爪を立てるようにして両手で顔に触れる。この薄っぺらで楽観的で何もできない自分を引き剥がしてやりたい。
先ほどまでの温かった気持ちが冷え込んでいくようにまた暗い思考が頭の中を支配していく。視界が狭くなる。空気が淀んでいく。
カムイは地面に手を付ける。立てた爪をそのままにしてススで黒く汚れた地面を抉るようにして握っていく。
涙がこぼれ落ちていく。黒い地面がその涙を吸ってさらに黒く色づいていく。無力、弱者、憶病、ニセモノと次々に自分に対する蔑称のような言葉が思い浮かんでくる。
「確かに弱いですね......」
「!」
カムイは目の前から聞こえてきた言葉に思わず目を見開く。そして、その言った張本人へと顔を向けていく。
するとそこには、なぜか慈愛に溢れたような朱里の姿があった。その顔は見ているだけで温かさが伝わってくるようでどこか不思議な感じがした。
だからこそ、動揺した。この表情であの言葉を言ったのかと。言葉と表情が全く釣り合っていないと。
しかし、それはカムイからの視点なだけであって、朱里からすればその言葉は正しいと思える言葉であった。
「弱くていいじゃないですか。どうして弱いのがダメなんですか?」
「それは何も護れなかったからで......」
「確かにカムイさんは護れなかったことがあるでしょう。でも、護れたこともある。そうは思いませんか?」
「......」
「少なくとも私はカムイさんに心を護ってもらい、救ってもらいました。だから、決して『無力』じゃないんです。そして、カムイさんは私が魔物に襲われてピンチの時に助けてもらいました。だから、決して『弱者』じゃないです。さらに、カムイさんは妹さんを助けるためにすぐに行動しました。だから、決して『憶病』じゃないんです。最後に、カムイさんはカムイさんです。どんなに自分を否定しようとも私は今もありのままのカムイさんだと思います。だから、決して『ニセモノ』じゃないんです」
カムイは思わず唖然とした表情になった。その言葉一つ一つは自分が自分に対して言った言葉だ。しかし、その全てが一つ一つ朱里の言葉によって消滅させられていった。
その度に視界が明るくなっていく。景色がやたらと色鮮やかに鮮明な光景として目に映っていく。
変わり果てた焦土の真ん中ではあるが、なぜか今この場だけは全く違うようなものに見えていた。極端に例えるならば花畑のような。
顔が勝手に流れてくる涙で溢れ、そして体とともに勝手に熱くなっていく。胸に宿る異常なほどの熱量は一体なんだろうか。
「弱いことがいけないんじゃないんですよ。弱くてもいい。そこからどうするのか。私はカムイさんからそういう風に言葉を受け取りましたよ」
「......どうしてそんなに俺のことを?」
カムイはわからなかった。自分はただ朱里が弱気になっていたから助けただけのこと。なのに、朱里はまるでそのお返しとばかりに寄り添ってくれている。
もしかして、自分に対して恩を返そうとしているのだろうか。いや、もしかしてなんかじゃなく、きっとそうなのだろう。朱里は優しい子であるから。
すると、朱里はやや顔を赤らめながらも元気いっぱいにハッキリと口にした。
「そんなの決まってるじゃないですか。好きだからですよ」
「!」
「そ、そんなに驚いた表情をしないでください! きっかけはただの一目ぼれですよ。まあ、弱っていた時に助けてもらったから余計に深く刺さったというのもありますが......ごほん、とにかく朱里がカムイさんを助けるのはカムイさんが朱里を助けることを当たり前にしているように、朱里にとっても当たり前なんです」
「......」
「なのに、弱くてもいいというのか?」
「私がカムイさんを励ましたところでカムイさんは自分を責めるでしょう。朱里とカムイさんは本質が似ているような感じがしますからなんとなくわかるんです。だから、きっとこっちの方が良いと思っただけです。それに『強くあろう』と思うのもいいですが、『強くなろう』という言葉も前向きで良いと思いませんか? だから、今は弱くてもいいんです。強くなっていけばいいんです」
「......そうだな」
カムイは胸の中に渦巻いていた重たい気持ちが抜けていくのを感じると思わず笑みがこぼれていく。そして、涙をそのままに笑顔で返す。
すると、朱里はカムイに向かってある言葉を告げた。
「時にカムイさん、たくましくて勇敢な種族をご存知ですか?」
そう言って朱里はカムイに手のひらを手に取るとその手にある一文字の感じを書いていく。それはいつかエルフの森にいた時に朱里がカムイから教えてもらった言葉であった。
その字を見た瞬間、カムイは目を閉じる。そして、涙を拭うとその書かれた字を飲み込むように口に手を押し当てた。
それから、ゆっくりと立ち上がる。それに合わせて朱里も立ち上がっていく。
「ああ、知ってるぜ。『鬼』だろ?」
「はい、大正解です!」
カムイのいい顔に朱里は満面の笑みで返していく。
風が吹いて二人の髪や服を僅かに揺らしていく。その風は二人を囲うようにして舞っていき、墓に置かれてあった花束の花びらをいくつか乗せて二人の周りを飛んでいく。
そして、その花びらはそのまま回り続けながら天へと見えなくなるまで飛んでいく。それはさながらグレンが安心して天へと昇っていくようにとカムイは見えた。
「時間かけて悪かったな。そろそろ戻るか」
「そうですね。そうしましょう」
そして、二人は歩き出す。その後ろ姿を太陽で照らされた墓石が見守っていた。
それもさすがに引く相手もぐらい。一体どのくらい長く話していたのだろうか。少なからず、「なげぇな」と思ってもいいレベルの可能性が高い。
そんなわけでカムイは申し訳なさそうに朱里の方を見てみる。しかし、朱里は目を閉じながらその話を優し装笑みを浮かべながら聞いていた。
ただ自分が聞きたかったから聞いただけ。そんなことが伝わってくる表情。その表情はカムイがよく母親に話している時の母親の表情そのもののようにも感じた。
だから、思わず言葉が漏れそうになる。しかし、すぐに口を閉じる。弱っているせいかすぐに今頼れる朱里に甘えそうになる。
だが、そんなことはしてはいけない......いや、してはいけないじゃない。したくないんだ。
朱里は自分に対して「苦しみを背負ってもいいですか?」と聞いてきた。その言葉は純粋に嬉しかったし、何もなければ甘えたくもなった。
しかし、朱里はすでにクラウンとの過去を重く背負っている。それこそ自分の同情では足りないぐらいに。
なので、背負わせたくない。これ以上、苦しめたくない。たとえ背負うことを朱里自身が許可したとしても。
「俺はこう考えるとまだまだ力不足なんだな......この国のために何一つ出来ていなければ、大事な妹さえ取り戻すことも出来ない。俺は弱い......」
まただ。またずるい言い方をした。否定を誘っている。過去の思い出にふれてセンチメンタルな状態で誰かにこの気持ちをわかってもらおうとして、自分の言葉を否定してもらいたがっている。
「もう十分にがんばってるよ」「たくさんの助けてもらった」と温かい言葉を聞くことを求めてしまっている。
なんて弱い奴なのだろうか。どれだけ気丈に振舞っていようとしても、結局現実から目を逸らそうとしているようなものじゃないか。
そう考えるとクラウンの方がよっぽど強い。ずっとずっと過去に向き合おうとしていた。
もちろん、どこかで間違っていたこともあるだろう。だが、クラウンはそれを受け入れた上で前を向こうと真実をしろうと抗っている。
なのに、自分はどうだろうか。抗うことに弱気になって誰かに助けを求めてばかりで自分から行動する意思をあまり見せていない。
見せられないというものあるかもしれない。しかし、それでも出来ることはたくさんあったはずだ。考えられることはもっともっとあったはずだ。
「なるほど......」
カムイは思わず呟いた。それはクラウンと話したことを思い出したからだ。
自分がどうしてそこまでクラウンの後押しをするような言い方をしていたのか喉に刺さった小骨程度だがずっと気になっていたのだ。
しかし、その答えはわからなかった。ただ、自分が世話を焼いて好きにやっているだけじゃないかと思った。
だが、違った。一言で言えば憧れていたのだ。その立ち向かう姿勢に。
クラウンはたとえ一人になったとしても自分の目的や自分の感情に向き合おうとしていた。そんな姿に自分は憧れていた。
言わば理想の自分とでも言うべきだろうか。何があってもどんなことを感じても強く居続けようとする姿勢、そして抗い続ける気迫。
きっと自分が本当に求めていたものをクラウンが持っていた。だから、そんなクラウンに後押しするような言葉を言い続けた。そうしなければ、クラウンが壊れてしまうから。
だが、それは今考えればただの逃げであったというだけであった。自分で考えることを放棄して、クラウンが、クラウン達が助けてくれるということにすがったということ。
それが悪いわけじゃないということはわかっている。頼って頼られてそんなのが理想であることも。
ただ、自分は自分でできることを考えなかった。出来ることならたくさんあったはず。たとえば、一度でもいいからこの島に戻ってくるということぐらい。
自分は妹のルナが連れ去られてからずっと本土の方で探し続けた。そっちの方がいる可能性が高いという判断からであった。
だが、考えてみればそれで得られた成果は何もない。言ってしまえばそのことに関する情報も。
だったら、一度でも島の方へと戻るべきであった。そこには確実に情報があり、被害があった場所なのだから。
しかし、戻ることはしなかった。それをしなかったのは単純で現実から目を背けたかったからだ。
島に戻れば自分の思い出とは見る影もない場所が被害をそのままにして残っている。まるで思い出が全て夢であったかのように壊されてしまう。
だから、行かなかった。言い方を変えれば逃げたのだ。自分は。
「弱い......どうして弱いんだ......」
カムイは爪を立てるようにして両手で顔に触れる。この薄っぺらで楽観的で何もできない自分を引き剥がしてやりたい。
先ほどまでの温かった気持ちが冷え込んでいくようにまた暗い思考が頭の中を支配していく。視界が狭くなる。空気が淀んでいく。
カムイは地面に手を付ける。立てた爪をそのままにしてススで黒く汚れた地面を抉るようにして握っていく。
涙がこぼれ落ちていく。黒い地面がその涙を吸ってさらに黒く色づいていく。無力、弱者、憶病、ニセモノと次々に自分に対する蔑称のような言葉が思い浮かんでくる。
「確かに弱いですね......」
「!」
カムイは目の前から聞こえてきた言葉に思わず目を見開く。そして、その言った張本人へと顔を向けていく。
するとそこには、なぜか慈愛に溢れたような朱里の姿があった。その顔は見ているだけで温かさが伝わってくるようでどこか不思議な感じがした。
だからこそ、動揺した。この表情であの言葉を言ったのかと。言葉と表情が全く釣り合っていないと。
しかし、それはカムイからの視点なだけであって、朱里からすればその言葉は正しいと思える言葉であった。
「弱くていいじゃないですか。どうして弱いのがダメなんですか?」
「それは何も護れなかったからで......」
「確かにカムイさんは護れなかったことがあるでしょう。でも、護れたこともある。そうは思いませんか?」
「......」
「少なくとも私はカムイさんに心を護ってもらい、救ってもらいました。だから、決して『無力』じゃないんです。そして、カムイさんは私が魔物に襲われてピンチの時に助けてもらいました。だから、決して『弱者』じゃないです。さらに、カムイさんは妹さんを助けるためにすぐに行動しました。だから、決して『憶病』じゃないんです。最後に、カムイさんはカムイさんです。どんなに自分を否定しようとも私は今もありのままのカムイさんだと思います。だから、決して『ニセモノ』じゃないんです」
カムイは思わず唖然とした表情になった。その言葉一つ一つは自分が自分に対して言った言葉だ。しかし、その全てが一つ一つ朱里の言葉によって消滅させられていった。
その度に視界が明るくなっていく。景色がやたらと色鮮やかに鮮明な光景として目に映っていく。
変わり果てた焦土の真ん中ではあるが、なぜか今この場だけは全く違うようなものに見えていた。極端に例えるならば花畑のような。
顔が勝手に流れてくる涙で溢れ、そして体とともに勝手に熱くなっていく。胸に宿る異常なほどの熱量は一体なんだろうか。
「弱いことがいけないんじゃないんですよ。弱くてもいい。そこからどうするのか。私はカムイさんからそういう風に言葉を受け取りましたよ」
「......どうしてそんなに俺のことを?」
カムイはわからなかった。自分はただ朱里が弱気になっていたから助けただけのこと。なのに、朱里はまるでそのお返しとばかりに寄り添ってくれている。
もしかして、自分に対して恩を返そうとしているのだろうか。いや、もしかしてなんかじゃなく、きっとそうなのだろう。朱里は優しい子であるから。
すると、朱里はやや顔を赤らめながらも元気いっぱいにハッキリと口にした。
「そんなの決まってるじゃないですか。好きだからですよ」
「!」
「そ、そんなに驚いた表情をしないでください! きっかけはただの一目ぼれですよ。まあ、弱っていた時に助けてもらったから余計に深く刺さったというのもありますが......ごほん、とにかく朱里がカムイさんを助けるのはカムイさんが朱里を助けることを当たり前にしているように、朱里にとっても当たり前なんです」
「......」
「なのに、弱くてもいいというのか?」
「私がカムイさんを励ましたところでカムイさんは自分を責めるでしょう。朱里とカムイさんは本質が似ているような感じがしますからなんとなくわかるんです。だから、きっとこっちの方が良いと思っただけです。それに『強くあろう』と思うのもいいですが、『強くなろう』という言葉も前向きで良いと思いませんか? だから、今は弱くてもいいんです。強くなっていけばいいんです」
「......そうだな」
カムイは胸の中に渦巻いていた重たい気持ちが抜けていくのを感じると思わず笑みがこぼれていく。そして、涙をそのままに笑顔で返す。
すると、朱里はカムイに向かってある言葉を告げた。
「時にカムイさん、たくましくて勇敢な種族をご存知ですか?」
そう言って朱里はカムイに手のひらを手に取るとその手にある一文字の感じを書いていく。それはいつかエルフの森にいた時に朱里がカムイから教えてもらった言葉であった。
その字を見た瞬間、カムイは目を閉じる。そして、涙を拭うとその書かれた字を飲み込むように口に手を押し当てた。
それから、ゆっくりと立ち上がる。それに合わせて朱里も立ち上がっていく。
「ああ、知ってるぜ。『鬼』だろ?」
「はい、大正解です!」
カムイのいい顔に朱里は満面の笑みで返していく。
風が吹いて二人の髪や服を僅かに揺らしていく。その風は二人を囲うようにして舞っていき、墓に置かれてあった花束の花びらをいくつか乗せて二人の周りを飛んでいく。
そして、その花びらはそのまま回り続けながら天へと見えなくなるまで飛んでいく。それはさながらグレンが安心して天へと昇っていくようにとカムイは見えた。
「時間かけて悪かったな。そろそろ戻るか」
「そうですね。そうしましょう」
そして、二人は歩き出す。その後ろ姿を太陽で照らされた墓石が見守っていた。
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