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第6章 道化師は惑う
第128話 心の平穏
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「俺を支える......か」
「もともとそのつもりだったけどね。本当はこんな形では言いたくなかったんだけど、こうでもしないと私の気持ちが伝わってくれないような気がして」
「その言葉を言わなかったらどういう気持ちになっていたかは分からないが、それでもその気持ちが確かだということは俺には分かる」
「良かった。まあ、たとえどんなに伝わらなくても、伝わるまで伝えるつもりだっからいいんだよ。それよりも私の気持ちが伝わったならそれでいい」
雪姫はクラウンの頬から手を離すとクラウンの手を取った。そして、その手を自身の顔へとそっと触れさせていく。クラウンの暖かい手が頬から伝わってすぐに熱を帯びる。
そして、雪姫はその温もりに再び静かに涙を流した。その熱が心に届くようで、その影響で目頭が熱くなってくるのだ。
その気持ちをなんと言っただろうか。決まっているこれは――――好きなんだ。
ずっと昔から見える気色が変わって、年齢が変わって、趣味が変わって、世界が変わっても、変わらない事実。だからこそ、やっただけの罪は大きい。
よって、この場でクラウンに言うべきことは一つだけ。
「仁、私を許さないで。そうしないと私は仁に対してやったことを忘れて、嬉しくて今まで通りに接してしまうと思うから」
「なぜ今まで通りに過ごせなくなるような制約を自ら付けるんだ?」
「仁に対して申し訳が立たないからだよ。仁だって忘れたわけじゃないでしょ? その左目の傷のこと。だって、その傷は私がつけたんだもの。しっかりと傷跡までになって残ってしまっているしね」
「......わかった」
クラウンは雪姫の提案をそっと引き受けた。雪姫も朱里と同じなのだろう。だからこそ、この明らかにおかしいと思える提案を自らしてきた。
自分が自分を許せない。そう思っているのは雪姫自身の勝手であり、それを止める権利はクラウンにすらない。言ったところで本人が聞く耳を持つかは別なのだ。
なので、雪姫の提案を受け入れることが最善のことなのだ。これ以上の言葉は全て蛇足に過ぎない。
すると、雪姫はクラウンが首元にあるものをぶら下げていることに気づいた。
「仁......これって......」
「何故か捨てきれずに持っていたものだ。いや、そもそも生きているのはこれのおかげかもしれないからな」
「どうゆうこと?」
クラウンは服の中へとしまわれていたペンダントを取り出すと雪姫へと見せる。それはエメラルド色をした宝石のついたペンダントであった。
雪姫はそのペンダントを見ると思わず目を見開く。そして、クラウンへと目線を向けた。なぜなら、そのペンダントは雪姫があげたもので、持っているはずもない物だと持っていたからだ。
しかし、自分の予想をいい意味で裏切るようにクラウンはそのペンダントを持っていた。そのことに雪姫は激しく胸を撃たれる。熱ぼったい視線にもなってしまう。
するとその時、通りの方から女性兵士達の声が聞こえてきた。それによって、思わず穏やかな気持ちて眺めていたリリス達はすぐにこの場を離れるよう呼びかける。
「あんた達、話は後。一旦この場から離るわよ。場所は先ほどの無人の隠れ家。場所は案内するからついてきなさい」
そう言うとリリス達を筆頭に歩き始める。その後を追うようにクラウン達も歩き始めた。
するとここで、雪姫が一段落着いたのを確認したシュリエールと朱里が雪姫のもとへと走っていく。そして、隣へと並ぶとシュリエールが話しかけてきた。
「雪姫様、良かったですね。無事に話をつけることが出来て。ずっと何かあったらどうしようと」
「そうだね。最初はそう思ってたよ。でも、朱里ちゃんが励ましてくれたから、今こうして少しだけ心が楽になったような気持ちでいられるんだよ」
「ふふん、朱里のヒーローはやっぱり強くあって欲しいからね。だから、思わずお節介とも思える行動をしちゃったんだ。でも、やって良かったと思ってる」
「朱里ちゃん、そのヒーローって呼び方はやめてくれない? なんだか大したこともしていないのに、とってもむず痒い気持ちだよ」
「そう言われてもなー。朱里にとってはそれが絶対であるからして、それを否定されるのはなんか悲しいな。雪姫には私の特別な雪姫であって欲しいんだよ」
「ふふっ、いいではないですか。ヒーロー雪姫、カッコよくて素敵だと思いますよ? 是非とも白馬に乗って私を助け出して欲しいです。最も、もう既にとてつもない恩を感じておりますが」
「さすが雪姫。もう既に一国の姫に手を出しているとは......これはもう隅には置けませんな。気づいた時には手を出し、手を出されている」
「朱里ちゃん! その言い方はどこか語弊を招くからやめてよ! というか、わざと言ってるでしょ! それぐらいなら私も分かるよ!」
「あ、バレちゃった?」
朱里は思わずテヘペロっといった感じで茶目っ気たっぷりな反応を見せた。そのことに雪姫は思わずプリプリとした態度で叱る。
だが、ここで茶目っ気を発揮したのは朱里だけではなかった。
「なんと! 私はもう既に手を出されていたのですね! これはもうどこかの国へと嫁ぐことも出来ません。この責任は取っていただけなければ」
「シュリちゃん! 悪ノリしない! 朱里ちゃんなんかに惑わされちゃダメ! 朱里ちゃんに続く悪ノリダメ、絶対!」
「あらま、そう言われてますけど朱里様はどう思われますか?」
「なんだか悲しいなー。雪姫ちゃんが変わらずヒーローのままであれば、朱里は黙って雪姫の言葉を受け入れるんだけどなー。でも、雪姫にはその気がないみたいだしさー」
「朱里ちゃん、その言い方はずるいよ! なら、ほらせめて朱里ちゃんも私にとってのヒーローっていうのはどうかな? さっきだって朱里ちゃんの言葉があったから、こうして仁と話すことが出来たわけだし」
「朱里は雪姫への積み重なった恩を少し返しただけに過ぎないから却下」
「えー! それはずるいよー!」
雪姫は困ったような表情で朱里へと抗議する。しかし、暖簾に腕押しといった感じで全然取り合ってくれないことにどんどん困り顔が増していく。
だが、その表情には先ほどまで抱えていた不安を抱いたような顔はどこにもなかった。その事が分かると朱里はシュリエールへと目配せする。
それに対して、シュリエールは応じるように視線返していく。どうやら考えていることはシュリエールも同じような事だったらしい。
それが分かると何故だか笑いがこぼれてくる。嬉して、楽しくて堪えきれない喜びが溢れてくる。
「ちょっと! どうして笑うの?」
雪姫は思わずそんな二人に強めの口調で言った。だがすぐに、二人の言葉によってそのプリプリとした顔は柔らかい表情へ変わっていく。
「良かった。これでもう少しだけ気分が楽になったでしょ? 一時的にでも考えなくなったからね」
「雪姫様は笑顔が一番だと思いますよ。そして、私個人でも頑張ってくれている雪姫様には笑顔でいて欲しいのです。たとえ雪姫様がどんな過去を持っていたとしても」
「朱里ちゃん......シュリちゃん......ありがとう。二人のおかげで確かに楽になったよ」
雪姫は二人へと柔らかい笑みで答えた。それが二人に対する感謝の気持ちだと思って。
すると、そんな雪姫に朱里は更に言葉を付け足していく。
「それにね、雪姫は一人で背負いすぎないでいいと思うんだ。それは私もどこか同じであったからね。でも、今はリリス達がいて、雪姫もいてくれる。だから、大丈夫なんだ」
「朱里ちゃん......」
「確かに恐怖が全くないといえば嘘になるかもしれない。けど、少なくとも前に進める足は運びやすくなったと思うんだ。だから、雪姫も進むべき道の為に少しでも足取りを軽くできればいいと思うから」
「ありがとう。やっぱり朱里ちゃんも私の大切なヒーローだよ」
「全部受け売りだよ。朱里はただ受け取ったものを自分の解釈を少し混じえて伝えただけ。だから、大したことはないよ」
「朱里様、謙遜は時と場合によれば美徳とは限らないのですよ? ですから、こういう時は素直に受け取っておけばいいのです。それこそ朱里様が大切に思う人ならば尚更に」
「......うん、そうする。それじゃあ、雪姫、どういたしまして」
「うん、よろしい」
三人は顔を合わせると思わず笑いあった。その時の表情は明るさで満ちていた。薄暗い路地裏であっても周囲に光を放っていくように。
そんな三人のやり取りを振り返って時折覗き見ていたリリス、エキドナ、ベル、カムイは四人とも同じように口角を緩め、上げていく。
「クラウン、案外大丈夫そうで良かったわね。大切な幼馴染なんでしょ?」
「どうしてその質問を俺にする? 俺と雪姫はまだ完全に和解したわけじゃないんだ」
「それはあんたの表情を見ていれば、『まあ、マシな方か』と思ってることぐらいすぐに分かるわよ。全く一体どれだけ一緒に冒険してきていると思っているの? 私にわからないと思っていたなら、心底不愉快だわ」
「そこまでか」
「ええ、そこまでよ。あんたのことならたとえどんな過去があったとしても受け止められる自信があるもの。それに聞いておきたいというのもあるわね」
「なら、雪姫から何があったかを聞いておくといい。どうせ橘からも聞いているのだろ?」
「あら、気づいていたのね」
リリスはそのことに少しだけ驚いた。なんせ朱里から聞いた全員と後から話したカムイにはクラウンに対して他言無用にしていたからだ。
なので、知る由もないと思っていたが、どうやら相変わらず勘は鋭いらしい。とはいえ、知られて困ることではないし、それにクラウンの顔から見てもそれについて怒る気配は無さそうだ。
だが、少しだけ苦しそうな顔をしているのは心に来るものがあるが。
それから、クラウン達は歩みを進めていき、一度リリス、エキドナ、ベル、朱里、雪姫の五人が身を隠した隠れ家へとやってきた。
そして、その場にある椅子へと全員が座っていくとリリスは雪姫に直球で尋ねた。
「雪姫、単刀直入に聞くわ。クラウンと何があったの?」
「もともとそのつもりだったけどね。本当はこんな形では言いたくなかったんだけど、こうでもしないと私の気持ちが伝わってくれないような気がして」
「その言葉を言わなかったらどういう気持ちになっていたかは分からないが、それでもその気持ちが確かだということは俺には分かる」
「良かった。まあ、たとえどんなに伝わらなくても、伝わるまで伝えるつもりだっからいいんだよ。それよりも私の気持ちが伝わったならそれでいい」
雪姫はクラウンの頬から手を離すとクラウンの手を取った。そして、その手を自身の顔へとそっと触れさせていく。クラウンの暖かい手が頬から伝わってすぐに熱を帯びる。
そして、雪姫はその温もりに再び静かに涙を流した。その熱が心に届くようで、その影響で目頭が熱くなってくるのだ。
その気持ちをなんと言っただろうか。決まっているこれは――――好きなんだ。
ずっと昔から見える気色が変わって、年齢が変わって、趣味が変わって、世界が変わっても、変わらない事実。だからこそ、やっただけの罪は大きい。
よって、この場でクラウンに言うべきことは一つだけ。
「仁、私を許さないで。そうしないと私は仁に対してやったことを忘れて、嬉しくて今まで通りに接してしまうと思うから」
「なぜ今まで通りに過ごせなくなるような制約を自ら付けるんだ?」
「仁に対して申し訳が立たないからだよ。仁だって忘れたわけじゃないでしょ? その左目の傷のこと。だって、その傷は私がつけたんだもの。しっかりと傷跡までになって残ってしまっているしね」
「......わかった」
クラウンは雪姫の提案をそっと引き受けた。雪姫も朱里と同じなのだろう。だからこそ、この明らかにおかしいと思える提案を自らしてきた。
自分が自分を許せない。そう思っているのは雪姫自身の勝手であり、それを止める権利はクラウンにすらない。言ったところで本人が聞く耳を持つかは別なのだ。
なので、雪姫の提案を受け入れることが最善のことなのだ。これ以上の言葉は全て蛇足に過ぎない。
すると、雪姫はクラウンが首元にあるものをぶら下げていることに気づいた。
「仁......これって......」
「何故か捨てきれずに持っていたものだ。いや、そもそも生きているのはこれのおかげかもしれないからな」
「どうゆうこと?」
クラウンは服の中へとしまわれていたペンダントを取り出すと雪姫へと見せる。それはエメラルド色をした宝石のついたペンダントであった。
雪姫はそのペンダントを見ると思わず目を見開く。そして、クラウンへと目線を向けた。なぜなら、そのペンダントは雪姫があげたもので、持っているはずもない物だと持っていたからだ。
しかし、自分の予想をいい意味で裏切るようにクラウンはそのペンダントを持っていた。そのことに雪姫は激しく胸を撃たれる。熱ぼったい視線にもなってしまう。
するとその時、通りの方から女性兵士達の声が聞こえてきた。それによって、思わず穏やかな気持ちて眺めていたリリス達はすぐにこの場を離れるよう呼びかける。
「あんた達、話は後。一旦この場から離るわよ。場所は先ほどの無人の隠れ家。場所は案内するからついてきなさい」
そう言うとリリス達を筆頭に歩き始める。その後を追うようにクラウン達も歩き始めた。
するとここで、雪姫が一段落着いたのを確認したシュリエールと朱里が雪姫のもとへと走っていく。そして、隣へと並ぶとシュリエールが話しかけてきた。
「雪姫様、良かったですね。無事に話をつけることが出来て。ずっと何かあったらどうしようと」
「そうだね。最初はそう思ってたよ。でも、朱里ちゃんが励ましてくれたから、今こうして少しだけ心が楽になったような気持ちでいられるんだよ」
「ふふん、朱里のヒーローはやっぱり強くあって欲しいからね。だから、思わずお節介とも思える行動をしちゃったんだ。でも、やって良かったと思ってる」
「朱里ちゃん、そのヒーローって呼び方はやめてくれない? なんだか大したこともしていないのに、とってもむず痒い気持ちだよ」
「そう言われてもなー。朱里にとってはそれが絶対であるからして、それを否定されるのはなんか悲しいな。雪姫には私の特別な雪姫であって欲しいんだよ」
「ふふっ、いいではないですか。ヒーロー雪姫、カッコよくて素敵だと思いますよ? 是非とも白馬に乗って私を助け出して欲しいです。最も、もう既にとてつもない恩を感じておりますが」
「さすが雪姫。もう既に一国の姫に手を出しているとは......これはもう隅には置けませんな。気づいた時には手を出し、手を出されている」
「朱里ちゃん! その言い方はどこか語弊を招くからやめてよ! というか、わざと言ってるでしょ! それぐらいなら私も分かるよ!」
「あ、バレちゃった?」
朱里は思わずテヘペロっといった感じで茶目っ気たっぷりな反応を見せた。そのことに雪姫は思わずプリプリとした態度で叱る。
だが、ここで茶目っ気を発揮したのは朱里だけではなかった。
「なんと! 私はもう既に手を出されていたのですね! これはもうどこかの国へと嫁ぐことも出来ません。この責任は取っていただけなければ」
「シュリちゃん! 悪ノリしない! 朱里ちゃんなんかに惑わされちゃダメ! 朱里ちゃんに続く悪ノリダメ、絶対!」
「あらま、そう言われてますけど朱里様はどう思われますか?」
「なんだか悲しいなー。雪姫ちゃんが変わらずヒーローのままであれば、朱里は黙って雪姫の言葉を受け入れるんだけどなー。でも、雪姫にはその気がないみたいだしさー」
「朱里ちゃん、その言い方はずるいよ! なら、ほらせめて朱里ちゃんも私にとってのヒーローっていうのはどうかな? さっきだって朱里ちゃんの言葉があったから、こうして仁と話すことが出来たわけだし」
「朱里は雪姫への積み重なった恩を少し返しただけに過ぎないから却下」
「えー! それはずるいよー!」
雪姫は困ったような表情で朱里へと抗議する。しかし、暖簾に腕押しといった感じで全然取り合ってくれないことにどんどん困り顔が増していく。
だが、その表情には先ほどまで抱えていた不安を抱いたような顔はどこにもなかった。その事が分かると朱里はシュリエールへと目配せする。
それに対して、シュリエールは応じるように視線返していく。どうやら考えていることはシュリエールも同じような事だったらしい。
それが分かると何故だか笑いがこぼれてくる。嬉して、楽しくて堪えきれない喜びが溢れてくる。
「ちょっと! どうして笑うの?」
雪姫は思わずそんな二人に強めの口調で言った。だがすぐに、二人の言葉によってそのプリプリとした顔は柔らかい表情へ変わっていく。
「良かった。これでもう少しだけ気分が楽になったでしょ? 一時的にでも考えなくなったからね」
「雪姫様は笑顔が一番だと思いますよ。そして、私個人でも頑張ってくれている雪姫様には笑顔でいて欲しいのです。たとえ雪姫様がどんな過去を持っていたとしても」
「朱里ちゃん......シュリちゃん......ありがとう。二人のおかげで確かに楽になったよ」
雪姫は二人へと柔らかい笑みで答えた。それが二人に対する感謝の気持ちだと思って。
すると、そんな雪姫に朱里は更に言葉を付け足していく。
「それにね、雪姫は一人で背負いすぎないでいいと思うんだ。それは私もどこか同じであったからね。でも、今はリリス達がいて、雪姫もいてくれる。だから、大丈夫なんだ」
「朱里ちゃん......」
「確かに恐怖が全くないといえば嘘になるかもしれない。けど、少なくとも前に進める足は運びやすくなったと思うんだ。だから、雪姫も進むべき道の為に少しでも足取りを軽くできればいいと思うから」
「ありがとう。やっぱり朱里ちゃんも私の大切なヒーローだよ」
「全部受け売りだよ。朱里はただ受け取ったものを自分の解釈を少し混じえて伝えただけ。だから、大したことはないよ」
「朱里様、謙遜は時と場合によれば美徳とは限らないのですよ? ですから、こういう時は素直に受け取っておけばいいのです。それこそ朱里様が大切に思う人ならば尚更に」
「......うん、そうする。それじゃあ、雪姫、どういたしまして」
「うん、よろしい」
三人は顔を合わせると思わず笑いあった。その時の表情は明るさで満ちていた。薄暗い路地裏であっても周囲に光を放っていくように。
そんな三人のやり取りを振り返って時折覗き見ていたリリス、エキドナ、ベル、カムイは四人とも同じように口角を緩め、上げていく。
「クラウン、案外大丈夫そうで良かったわね。大切な幼馴染なんでしょ?」
「どうしてその質問を俺にする? 俺と雪姫はまだ完全に和解したわけじゃないんだ」
「それはあんたの表情を見ていれば、『まあ、マシな方か』と思ってることぐらいすぐに分かるわよ。全く一体どれだけ一緒に冒険してきていると思っているの? 私にわからないと思っていたなら、心底不愉快だわ」
「そこまでか」
「ええ、そこまでよ。あんたのことならたとえどんな過去があったとしても受け止められる自信があるもの。それに聞いておきたいというのもあるわね」
「なら、雪姫から何があったかを聞いておくといい。どうせ橘からも聞いているのだろ?」
「あら、気づいていたのね」
リリスはそのことに少しだけ驚いた。なんせ朱里から聞いた全員と後から話したカムイにはクラウンに対して他言無用にしていたからだ。
なので、知る由もないと思っていたが、どうやら相変わらず勘は鋭いらしい。とはいえ、知られて困ることではないし、それにクラウンの顔から見てもそれについて怒る気配は無さそうだ。
だが、少しだけ苦しそうな顔をしているのは心に来るものがあるが。
それから、クラウン達は歩みを進めていき、一度リリス、エキドナ、ベル、朱里、雪姫の五人が身を隠した隠れ家へとやってきた。
そして、その場にある椅子へと全員が座っていくとリリスは雪姫に直球で尋ねた。
「雪姫、単刀直入に聞くわ。クラウンと何があったの?」
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