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第6章 道化師は惑う
第124話 やっと会えた
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リリス達は爆発のあったの方へと走っていく。その最中、エキドナは先程のリリスの特性の話を聞いて思うところがあったので聞いてみた。
「そういえば、思ったのだけど、たとえ操作されているとしても上書きは出来ないのかしら? 大抵の魔法なら強い魔法が打ち勝つから出来ると思うのだけど」
「一応試してはあるわよ。サキュバスの特性に勝てる精神魔法はそうそうないしね。でも、簡単にレジストされたわ。つまりは、相手の魔法の方が強いということ。ただの人に出来そうな事じゃないわね」
「ということは、この突然のことは神の使いがかかわってるということです?」
「神の使い?」
ベルの言葉に朱里以外の全員が深くうなづいた。ということは、またラズリのような化け物と戦わなければならないということ。
だとすれば、この先待っている戦いはほぼ死が待ち受けているのに等しい戦いであるということだ。もちろん、死ぬ気は無いが、半端な覚悟では立っている事すら難しいだろう。
まだ完全に戦う相手が神の使いと決まったわけではない。しかし、そう想定していた方がいいというだけの話だ。また襲撃されては適わない。
「エキドナ、聞きたいことならこっちにもあるわ。精神魔法は一種の呪いと同じ。それは私の特性であっても例外ではないから。なら、あの魔法に対する解呪魔法もあると思うのだけど?」
「無くはないでしょうね。でも、私の全知識で思い出せる限りの解呪魔法にリサーチ掛けてみたけど、特に該当するところがないわね。もし、相手が神の使いならば、あれだけの意味不明な強さを誇っていたんですもの。今の解呪魔法でもキツい所があるかもしれないわね」
「私もこの国と同じ事例があった国や同じ症状となる魔法を探しているです。でも、未だ見つけることが出来てないです。もしかしたら、相手の弱点を突けるかもなのにです......ごめんなさいです」
「別に謝ることはないわよ。そんなこと言ったら、私だって何も役に立てていないじゃない。特性だって効かなかったら意味無いもの。だから、ベルは頑張っているわよ」
リリスは思わず落ち込んでいるベルに対して労いの言葉をかけた。その言葉に少しだけ元気を取り戻したのかベルは尻尾を柔らかく揺らしていく。
一方、ずっと置いてけぼりであった朱里には3人の会話が何が何だかさっぱしといった様子である。なので、正直気になるところだが、それに対しての質問をなかなか言えなかったりしている。
するとその時、またもや爆発音が響き渡った。しかも、その爆発音は先程りよも近づいている。それはこちら側というよりも、あちら側からという感じだ。
そして、その爆発近くまでたどり着くと声が聞こえてきた。その声は一対複数と言う感じで言い合っていた。
「残念だったね。ここにはシュリちゃんはいないよ。どうしてあなた達が狙うのかは分からないけど、これ以上はやめた方がいいよ」
「何腑抜けたことを! お前の攻撃は全て牽制ばかりで当てる気もない攻撃ばかりだ! それでどうしてそんな虚勢が晴れるんだ!」
「お前は人を攻撃できないのだろ? だが、私達は違う! 目的の為ならば、お前ほどの少女も容易く切り伏せられる!」
「早くシュリエール姫を差し出した方が身のためだぞ? 死にたいのなら、一向に構わないけどな。臆病な姫のことだ。この国から出ようとは思わないだろう」
「それは私を倒せてから言ってみせてよ。私はもう見捨てないと決めたんだ! シュリちゃん一人助けられないで仁に会うことなんてできない!」
「減らず口を!」
リリス達はその話し声が聞きながら、丁度それらが見える路地裏に潜んだ。そして、その位置か少しだけ覗かせるように全員が見ていく。
そしてその時、朱里は思わず目を見開いた。いや、聞こえていた声から何となくそうではないかと思っていた。しかし、こんなにも早く会えるのか半信半疑であったのだ。
だが、その声の主をしっかりと目にした今はもう疑いようもない。あの声は、あのセミロングの黒髪に修道服のような白い装備服、そして赤色の宝石がついた杖の少女――――【倉科 雪姫】である。
そう分かると朱里は思わず飛び出した。リリス達の静止を振り切って。そして、たった位置は丁度複数の女兵士を挟んだ雪姫と対極の位置。
「......朱里ちゃん?」
「そうだよ。朱里だよ! 会えて良かった!」
突然のことにあまり正常に思考が働いていない様子の雪姫は思わず朱里の名前を口にした。その言葉が嬉しかった朱里は即答していく。
だが、状況が最悪であることには変わりない。女兵士達は雪姫と朱里のやり取りから仲間だと判断し、それぞれに向かって襲いかかった。
「感動の再会を邪魔しないで」
しかし、その行動にすぐさま反応した朱里は腰のホルスターから2つの銃を取りだし、女兵士達に向けた。そして、威力を落とした雷の弾丸で一発ずつ脚を掠めていく。
「「「ああああああああぁぁぁ!」」」
すると、その弾丸に当たった女兵士から体の一瞬の硬直の後、地面へと前のめりに倒れていく。それからまったく体を動かす様子はない。
だが、死んだわけではなく、指を僅かにでも動かそうとしていることから体が痺れているのだろう。そして、すぐに立ち上がらないことを確認すると銃をホルスターに戻し、雪姫の所へと走っていく。
「雪姫!」
「本物......なんだね」
朱里は雪姫へと思いっきり抱きついた。強く強く抱きしめた。その抱きしめによる痛さ、当たっている体からの温かさは雪姫の不安を溶かしていった。
そして、雪姫も流れ出す涙をそのままに朱里へと抱きしめ返していく。朱里から聞こえてくる涙でうわずった声も同調するように。
正直、雪姫には朱里に対して聞きたいことは色々あった。だが、その中で一番なのは今目の前に立っている3人の女の人。
しかし、今だけはどうでもよかった。無事に生きて再会出来た。それだけで涙を流すには十分すぎる理由であった。
************************************************
「スゲーな。どこもそこも女ばっかだ」
「しかも、そいつら全員の目が濁ってやがる。まるで誰かによって操られているみたいにな」
「だが、それにしては動きが随分と人っぽいな。話している内容とかも特に気になるようなことは無いし。これは並の人じゃできなそうな事だな」
「ということは、並の人ではないということだろう。考えられる可能性はもはや俺にとっては1つしかない」
ともにフードを深く被り、黒いコートで身を包んでいるクラウンとカムイは路地から盗みみている光景に思わず感想を口にした。
そして、クラウンが思い浮かべているのは神の使いのことだ。見た限り100人以上が同じような光の宿っていない目をしていることから、出来るとすればそいつらしか考えられない。
「それにしても、このコートはスゲーな。真っ黒だからモロバレするんじゃないかと思っていたが、堂々と道の真ん中歩いてるのに気づくヤツは一人もいない」
「そういう魔法を施してあるからだ。まあ、付与というわけではないから、100%の効力は発揮できないがな」
「バレてないだけで十分だ。それにわざわざ角のことも気にしてあるフードだしな」
「......仕様だ」
クラウン達は路地から奥の方へと歩いていく。その道は薄暗く、陽のあたる道よりも小汚い。ゴミは散乱していて、そこでたむろしている女は全員がやつれている。
「こりゃあ、酷いな。俺のいた場所よりも酷いかもしれないな。まさに劣悪って感じだ」
「光の当たる所に影が出来るのと一緒だ。どこもそこも裏はどこまで酷い。それに気づいたら最後。同じような運命を辿っていく。ここは知らなくていいという場所なだけだ」
クラウンとカムイは横並びに歩きながらどこまでも奥へと突き進んでいく。その目的は今の今まで発見することが出来なかった男を探すことだ。
これだけ女が町中を歩いていれば、男は何かでどこかへと隔離されているか、暗いところで潜んでいると考えるのが普通だ。それ故にずっと歩いているのだが、未だ見つかる気配はなし。
しかし、根気強く探しているとある細道へ繋がっている場所よりもから一人の少女がこちらへ向かってきている気配に気づいた。しかも、その後ろには複数の気配。どうやら追われているようだ。
「助けるかい?」
「一先ず様子を見てだ。お前の辞書には助けないという選択肢がない事ぐらい知っている」
「俺のことをよく知っている様で助かるぜ。だがまあ、確かに見てからでも遅くなさそうだな」
そして、二人はその細道から少しだけ距離を取る。それから、その気配が出てくるのを待った。
すると、そこから出てきたのは赤を基調としたドレスを着て胸の当たりロケットペンダントをつけた金髪の少女であった。そして、その少女はクラウン達の方をチラッと見る。
その事に二人が驚いていた。しかし、気のせいの可能性もある。なぜなら、二人の後ろには少し広めの道があるからだ。
そして、その少女が二人に向かって走ってくるのに対して、クラウン達は確認の意味も込めて道を譲った。その少女の後ろからは複数の女兵士が追ってくる。
「豪炎弾!」
すると、一人の女兵士が少女の足元に向かって大気をこがすような炎の塊を一発撃ち放った。そして、その炎はまっすぐ少女へと向かっていく。
その事にカムイが咄嗟に動こうとした時、先に反応があったのは少女の方であった。
「助けてください!」
少女は急に方向転換して隣にいるクラウンへと抱きついたのだ。そして、身の安全を求めるように訴えかける。
「チッ、色々と聞かせてもらうぞ」
クラウンは面倒くさそうな顔をしながら、カムイに目配せする。すると、カムイは迫り来る炎に対して抜刀。すぐさま鎮火してみせた。
それから、素早く走り出すと女兵士達を気絶させていく。少女はその光景を見終わるとクラウンに答えた。
「私はこの国の王女のシュリエールです。どうかこの国を救っていただけませんか?」
シュリエールは青い宝石の様な瞳でクラウンの目をしっかりと捉えた。その目はまるで「もう逃がしません」とでも言っているようだ。
そのことにクラウンは思わずため息を吐いた。
「そういえば、思ったのだけど、たとえ操作されているとしても上書きは出来ないのかしら? 大抵の魔法なら強い魔法が打ち勝つから出来ると思うのだけど」
「一応試してはあるわよ。サキュバスの特性に勝てる精神魔法はそうそうないしね。でも、簡単にレジストされたわ。つまりは、相手の魔法の方が強いということ。ただの人に出来そうな事じゃないわね」
「ということは、この突然のことは神の使いがかかわってるということです?」
「神の使い?」
ベルの言葉に朱里以外の全員が深くうなづいた。ということは、またラズリのような化け物と戦わなければならないということ。
だとすれば、この先待っている戦いはほぼ死が待ち受けているのに等しい戦いであるということだ。もちろん、死ぬ気は無いが、半端な覚悟では立っている事すら難しいだろう。
まだ完全に戦う相手が神の使いと決まったわけではない。しかし、そう想定していた方がいいというだけの話だ。また襲撃されては適わない。
「エキドナ、聞きたいことならこっちにもあるわ。精神魔法は一種の呪いと同じ。それは私の特性であっても例外ではないから。なら、あの魔法に対する解呪魔法もあると思うのだけど?」
「無くはないでしょうね。でも、私の全知識で思い出せる限りの解呪魔法にリサーチ掛けてみたけど、特に該当するところがないわね。もし、相手が神の使いならば、あれだけの意味不明な強さを誇っていたんですもの。今の解呪魔法でもキツい所があるかもしれないわね」
「私もこの国と同じ事例があった国や同じ症状となる魔法を探しているです。でも、未だ見つけることが出来てないです。もしかしたら、相手の弱点を突けるかもなのにです......ごめんなさいです」
「別に謝ることはないわよ。そんなこと言ったら、私だって何も役に立てていないじゃない。特性だって効かなかったら意味無いもの。だから、ベルは頑張っているわよ」
リリスは思わず落ち込んでいるベルに対して労いの言葉をかけた。その言葉に少しだけ元気を取り戻したのかベルは尻尾を柔らかく揺らしていく。
一方、ずっと置いてけぼりであった朱里には3人の会話が何が何だかさっぱしといった様子である。なので、正直気になるところだが、それに対しての質問をなかなか言えなかったりしている。
するとその時、またもや爆発音が響き渡った。しかも、その爆発音は先程りよも近づいている。それはこちら側というよりも、あちら側からという感じだ。
そして、その爆発近くまでたどり着くと声が聞こえてきた。その声は一対複数と言う感じで言い合っていた。
「残念だったね。ここにはシュリちゃんはいないよ。どうしてあなた達が狙うのかは分からないけど、これ以上はやめた方がいいよ」
「何腑抜けたことを! お前の攻撃は全て牽制ばかりで当てる気もない攻撃ばかりだ! それでどうしてそんな虚勢が晴れるんだ!」
「お前は人を攻撃できないのだろ? だが、私達は違う! 目的の為ならば、お前ほどの少女も容易く切り伏せられる!」
「早くシュリエール姫を差し出した方が身のためだぞ? 死にたいのなら、一向に構わないけどな。臆病な姫のことだ。この国から出ようとは思わないだろう」
「それは私を倒せてから言ってみせてよ。私はもう見捨てないと決めたんだ! シュリちゃん一人助けられないで仁に会うことなんてできない!」
「減らず口を!」
リリス達はその話し声が聞きながら、丁度それらが見える路地裏に潜んだ。そして、その位置か少しだけ覗かせるように全員が見ていく。
そしてその時、朱里は思わず目を見開いた。いや、聞こえていた声から何となくそうではないかと思っていた。しかし、こんなにも早く会えるのか半信半疑であったのだ。
だが、その声の主をしっかりと目にした今はもう疑いようもない。あの声は、あのセミロングの黒髪に修道服のような白い装備服、そして赤色の宝石がついた杖の少女――――【倉科 雪姫】である。
そう分かると朱里は思わず飛び出した。リリス達の静止を振り切って。そして、たった位置は丁度複数の女兵士を挟んだ雪姫と対極の位置。
「......朱里ちゃん?」
「そうだよ。朱里だよ! 会えて良かった!」
突然のことにあまり正常に思考が働いていない様子の雪姫は思わず朱里の名前を口にした。その言葉が嬉しかった朱里は即答していく。
だが、状況が最悪であることには変わりない。女兵士達は雪姫と朱里のやり取りから仲間だと判断し、それぞれに向かって襲いかかった。
「感動の再会を邪魔しないで」
しかし、その行動にすぐさま反応した朱里は腰のホルスターから2つの銃を取りだし、女兵士達に向けた。そして、威力を落とした雷の弾丸で一発ずつ脚を掠めていく。
「「「ああああああああぁぁぁ!」」」
すると、その弾丸に当たった女兵士から体の一瞬の硬直の後、地面へと前のめりに倒れていく。それからまったく体を動かす様子はない。
だが、死んだわけではなく、指を僅かにでも動かそうとしていることから体が痺れているのだろう。そして、すぐに立ち上がらないことを確認すると銃をホルスターに戻し、雪姫の所へと走っていく。
「雪姫!」
「本物......なんだね」
朱里は雪姫へと思いっきり抱きついた。強く強く抱きしめた。その抱きしめによる痛さ、当たっている体からの温かさは雪姫の不安を溶かしていった。
そして、雪姫も流れ出す涙をそのままに朱里へと抱きしめ返していく。朱里から聞こえてくる涙でうわずった声も同調するように。
正直、雪姫には朱里に対して聞きたいことは色々あった。だが、その中で一番なのは今目の前に立っている3人の女の人。
しかし、今だけはどうでもよかった。無事に生きて再会出来た。それだけで涙を流すには十分すぎる理由であった。
************************************************
「スゲーな。どこもそこも女ばっかだ」
「しかも、そいつら全員の目が濁ってやがる。まるで誰かによって操られているみたいにな」
「だが、それにしては動きが随分と人っぽいな。話している内容とかも特に気になるようなことは無いし。これは並の人じゃできなそうな事だな」
「ということは、並の人ではないということだろう。考えられる可能性はもはや俺にとっては1つしかない」
ともにフードを深く被り、黒いコートで身を包んでいるクラウンとカムイは路地から盗みみている光景に思わず感想を口にした。
そして、クラウンが思い浮かべているのは神の使いのことだ。見た限り100人以上が同じような光の宿っていない目をしていることから、出来るとすればそいつらしか考えられない。
「それにしても、このコートはスゲーな。真っ黒だからモロバレするんじゃないかと思っていたが、堂々と道の真ん中歩いてるのに気づくヤツは一人もいない」
「そういう魔法を施してあるからだ。まあ、付与というわけではないから、100%の効力は発揮できないがな」
「バレてないだけで十分だ。それにわざわざ角のことも気にしてあるフードだしな」
「......仕様だ」
クラウン達は路地から奥の方へと歩いていく。その道は薄暗く、陽のあたる道よりも小汚い。ゴミは散乱していて、そこでたむろしている女は全員がやつれている。
「こりゃあ、酷いな。俺のいた場所よりも酷いかもしれないな。まさに劣悪って感じだ」
「光の当たる所に影が出来るのと一緒だ。どこもそこも裏はどこまで酷い。それに気づいたら最後。同じような運命を辿っていく。ここは知らなくていいという場所なだけだ」
クラウンとカムイは横並びに歩きながらどこまでも奥へと突き進んでいく。その目的は今の今まで発見することが出来なかった男を探すことだ。
これだけ女が町中を歩いていれば、男は何かでどこかへと隔離されているか、暗いところで潜んでいると考えるのが普通だ。それ故にずっと歩いているのだが、未だ見つかる気配はなし。
しかし、根気強く探しているとある細道へ繋がっている場所よりもから一人の少女がこちらへ向かってきている気配に気づいた。しかも、その後ろには複数の気配。どうやら追われているようだ。
「助けるかい?」
「一先ず様子を見てだ。お前の辞書には助けないという選択肢がない事ぐらい知っている」
「俺のことをよく知っている様で助かるぜ。だがまあ、確かに見てからでも遅くなさそうだな」
そして、二人はその細道から少しだけ距離を取る。それから、その気配が出てくるのを待った。
すると、そこから出てきたのは赤を基調としたドレスを着て胸の当たりロケットペンダントをつけた金髪の少女であった。そして、その少女はクラウン達の方をチラッと見る。
その事に二人が驚いていた。しかし、気のせいの可能性もある。なぜなら、二人の後ろには少し広めの道があるからだ。
そして、その少女が二人に向かって走ってくるのに対して、クラウン達は確認の意味も込めて道を譲った。その少女の後ろからは複数の女兵士が追ってくる。
「豪炎弾!」
すると、一人の女兵士が少女の足元に向かって大気をこがすような炎の塊を一発撃ち放った。そして、その炎はまっすぐ少女へと向かっていく。
その事にカムイが咄嗟に動こうとした時、先に反応があったのは少女の方であった。
「助けてください!」
少女は急に方向転換して隣にいるクラウンへと抱きついたのだ。そして、身の安全を求めるように訴えかける。
「チッ、色々と聞かせてもらうぞ」
クラウンは面倒くさそうな顔をしながら、カムイに目配せする。すると、カムイは迫り来る炎に対して抜刀。すぐさま鎮火してみせた。
それから、素早く走り出すと女兵士達を気絶させていく。少女はその光景を見終わるとクラウンに答えた。
「私はこの国の王女のシュリエールです。どうかこの国を救っていただけませんか?」
シュリエールは青い宝石の様な瞳でクラウンの目をしっかりと捉えた。その目はまるで「もう逃がしません」とでも言っているようだ。
そのことにクラウンは思わずため息を吐いた。
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