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第6章 道化師は惑う
第122話 男子禁制?
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「もうご出立なされるのですね。ならば、ここで見送りの一曲でも奏でてみせましょう」
クラウン達が次の神殿へと向かう今日、その趣旨を知っているエルフ達は言葉通りの行動をし始めた。
それは一人一人が木で出来た楽器のようなものを構えるということ。
一人はフルートのような横笛を持ち、一人はギターにも、ハーブにも似たような楽器を持ったりと。
「これは本来、聖樹の生誕とされる日を祝ったりとか、めでたいことがあった時に演奏するものなのですが、この地を救ってくれたあなた方様はまさにこの演奏を送るに相応しいと思いましてですな」
「へぇー、エルフも案外粋なところがあるものね」
「気に入って頂けたなら何よりです。どうか、この森を出るまでの間お楽しみください」
族長はクラウン達にそう言うと振り返った。そして、指揮棒のような少し葉のついた枝を振るう。その動きに合わせてエルフ交響楽団は音楽を奏でていく。
ベルによってゴリゴリの姿に変えられてしまったエルフが大半ほどいることにはなんとも言い難いところがあるが、それを抜きにしてしまえばとても耳触りが良かった。
まるで聞いているだけで自然を感じで、心にかかっていた圧が軽減されていくような感じでもある。
そして、それを聞いているとまるで聴覚が増したかのように、周囲の自然の小さな音まで拾っていく。
そして、その曲を聞きながら、クラウン達はカトスへと案内されていく。
「いやー、なんかあっという間の出来事に感じるなー」
「普通に色濃かったぞ。魔族に襲われてる時点でな」
「そんなこと言ったら、そもそもエルフの集落に他の種族が入ってくることを許す時点でおかしい。まあ、僕は余所の集落のエルフだから、まさかずっとあなた方を待っているとは知らなかったけど」
「そういえば、村長があんたの仲間が戻ってないと言っていたけど、結局どうなっていたの?」
「あー、正直な話だと今も戻ってきてない」
「それって......」
その言葉を聞いたリリスは思わず開きかけた口を閉じていく。それ以上の言葉は不要であったからだ。それにわざわざ抉るような言葉を言う必要も無い。
つまりはその仲間のエルフは森に潜伏していた魔族か魔物のに殺られた可能性が高いということ。
集落と聖樹を同時に襲撃するほどの数がいたのだ。そうかんがえるのが妥当だろう。
そして、リリスが思わず漏れた言葉を聞いていたカトスは「気にしなくていいって」とだけ告げた。しかし、その表情は寂しそうな顔をしている。
それから、他愛もない会話を続けていくこと数分、クラウン達は森の外へと出てきた。するとその時、カトスはクラウン達に丁寧に頭を下げていく。
「今回は本当にありがとうございました! また気軽に立ち寄ってくださって結構です! 我々一同快く歓迎致します!」
「......気が向いたらな」
「では、その時の為にこれを」
そう言ってカトスが渡してきたのは木製の鈴だ。軽く降るとカラカラと甲高い音を鳴らしていく。
「その鈴は言わば通行許可証みたいなもので、鳴らせば案内役に一人出てきます。逆に言えば、それを鳴らさずに入れば敵と見なされるのでお気をつけください」
「わかった。ありがたく受け取っておく」
「主様は素直じゃないです」
「全くだ。もう丸くなってもいい頃合いだと思うがな」
「いいから行くぞ」
余計な口を挟んで来るベルとカムイに面倒くさいといったため息を吐くと歩き出す。
そんなクラウン達の後ろ姿が、クラウン達の達が乗った馬車(エルフ制作)が見えなくなるまでカトスは頭を下げ続けていた。
一方、馬車内ではベルが相変わらず特等席のようにクラウンのあぐらの上に座っている。そんなベルにクラウンは特に気にするようなことがなく、モフモフの尻尾を触っている。
そのことに朱里は思わず驚いていた。簡単に言えば、今のクラウンからは想像がつかない行動だからだ。
なので、思わずクラウンの方向に指さしながらリリスを見る。
「前からあんなものよ。基本的にモフモフしてるのはロキちゃんの時だけなんだけど、馬車の時は出来ないからベルの尻尾で補ってるのよ」
「全くイメージがつかない......ところでベルはスケッチブックでなにを描いてるの?」
「さあ、ベルは色々なものを描くからこれといって言えることはないわね。でも、今は馬車内で外の景色はパッとしないから、自分の欲望のままに描いてるのじゃないかしら?」
「欲望......」
朱里は何となくその言葉の真意が図らずともわかった。つまりは筋肉なのだろう。
華奢なエルフを短期間でゴリゴリのボディービルダーへと変えてしまったのだ。ベルの異常な筋肉愛からすればそうかんがえるのが妥当だろう。
朱里がやや困ったような顔でベルを見つめてしまう。すると、そんな朱里にエキドナがのそりのそりとやってきて、朱里に耳打ちする。
「ねぇ、聞きたいことあったのだけど、朱里ちゃんはカムイちゃんのこと好きでしょ?」
「!」
その言葉を聞いた瞬間、朱里はガバッとエキドナから距離を置いた。しかし、その行動が、その焦りが何よりの証拠であることに変わりない。
そのことに朱里本人が気づいているかは分からないが。
「き、急になにを言い出すの!?」
「何って、男と女の本能的に求め合う愛の話しよ? それほど照れることもないじゃない。私だって旦那様が好きだもの......ね? ベルちゃん?」
「ですです!」
「お前は急になにを言い出してんだ? いい加減その腐れビッチ具合を治したらどうだ?」
「ふふっ、それは一重に旦那様がいるおかげよ。こんな面前でもこんなに愛の溢れた言葉が漏れてしまうのは。想像しただけで体が火照ってきたわ。洪水になっちゃいそう......」
「こうずい?」
「やめなさい。その言葉を知ろうとしない。今すぐ記憶から抹消しなさい」
「おい、カムイ。お前だけ知らぬ存ぜぬで狸寝入りしてんじゃねぇ。むしろ、ここで収めるのがお前の仕事だろ」
「お前さん、それは無茶っていうやつだぜ。俺に到底扱える人じゃねぇって。だから、干渉しないようにしていたのによ」
「なら、恐らくこのまま止められなければ、お前の妹に会った時にはどうなるんだろうな。少なくともこいつはいつの間にかベルに淫語を教えるぐらいだからな」
「全力で頑張らせていただきます!」
朱里は馬車内の和やかな雰囲気に思わず目を白黒させた。すると、エキドナが視線を向けていることに気づき、ウィンクしてきた。
朱里はその行動の意味が何となくわかった。つまりは朱里がいても居心地のよい環境を整えたという所か。そう思うと心なしか楽になっているような気もする。
するとここで、クラウンはエキドナに尋ねた。
「エキドナ、ここからお前の国までどれくらいかかるんだ?」
「そうねロキちゃんなら順調に行って二週間ほどじゃないかしら? でも、本当に私の国を先にしなくてもいいのよ?」
「行く順番は特にない。それにロキで二週間ほどなら早い方だ」
「ちなみに、その間で寄れる街や国ってどこかあるかしら? エルフ達から食料をもらってるけど、菜食主義だからあんまりエネルギーになるものがなくてね。それに人数も増えたことだから、もう少し貯蓄はあった方がいいと思うの」
「それなら、おあつらえ向きの国があるわよ。商業国ハザドールって言うのだけれど、そこは言わば商人の聖地とも呼ばれる場所で色々な珍しい物が流れたりするそうなのよ」
「その話、本当ですか!?」
エキドナの言葉を聞いた瞬間、朱里は思わず反応した。それは襲撃の夜に開かれたパーティーの時にいた姫シュリエールのことを思い出したからだ。
あの時仲良くなったシュリエールなら、もしかしたら雪姫を探すのを協力してくれるかもしれない。なぜなら、襲撃後も支援物資を送ってきてくれていたから。
「ええ、本当よ」
「なら、朱里からもそこに立ち寄って欲しいです。そこに知り合いがいるはずなので」
「というわけだけれど、旦那様はいいかしら?」
「別に構わん」
「それじゃあ、決まりね」
そしてそれから数日後、クラウン達は商業国ハザドールの門前までやってきていた。そして、そこには二人の女兵士が槍を持って立っていた。
「止まれ。ここになに用か?」
「普通に買い物よ。それで身分証とかはないんだけど、ここで発行したいから通ることを許可してくれないかしら?」
馬車から降りるとリリスは尋ねてきた女兵士に返答する。すると、そんな兵士は意味深な発言をしてきた。
「別に許可証は必要ない」
「ここに入るのは女何人だ? 男はいるのか?」
リリスは思わずその言葉が気になった。しかし、一応男も二人いることを伝えていく。すると、女兵士は強い口調で言い放った。
「ならば、ここに入れるのは女のみだ!」
「ここは男子禁制の国ハザドール! 男は何人たりとも入れることは出来ない!」
「!」
リリスはその言葉に思わず驚く。すると、その声が聞こえてきた朱里が馬車から降り、リリスのもとへと近づいていく。
そして、リリスは朱里に言葉の真意を聞こうとしたが、その言葉に朱里自身も驚いている様子がよくわかった。なので、あえて聞くことはしなかった。
つまり、分かることはこの国で異常が起きている可能性があるということ。そして、その趣旨を残りの仲間に伝えていく。
すると、意外なことにクラウンはあっさりその言葉に従った。その行動はあまりにも以外だったが、それはリリス自身にとっても好都合。問題を起こされるよりマシだから。
とはいえ、そこまでその言葉の信用はしていない。
「それじゃあ、このメンバーで入国するけどいいかしら?」
リリスはそう言うと目をさらに紅く輝かせた。
「構わない。入れ」
女兵士2人は門を開け、リリス達が入ると馬車を警戒するように素早く閉める。
ロキはその行動を不思議そうに見つめながら、馬車を引いて遠くまで離れていった。
=============================
「どこにいった? 探せ!」
すぐそばの大通りでは多くの女兵士が忙しなく動いている。それは一人の少女を探しているためだ。
そして、路地ではその少女ともう1人白い服にセミロングの黒髪で杖を持った少女がいた。
「はあはあはあ、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。しかし、ここまでしつこくおかけてくるなんて......」
「安心してシュリちゃん。私が必ず護るから」
杖の少女は力強く言い放った。
クラウン達が次の神殿へと向かう今日、その趣旨を知っているエルフ達は言葉通りの行動をし始めた。
それは一人一人が木で出来た楽器のようなものを構えるということ。
一人はフルートのような横笛を持ち、一人はギターにも、ハーブにも似たような楽器を持ったりと。
「これは本来、聖樹の生誕とされる日を祝ったりとか、めでたいことがあった時に演奏するものなのですが、この地を救ってくれたあなた方様はまさにこの演奏を送るに相応しいと思いましてですな」
「へぇー、エルフも案外粋なところがあるものね」
「気に入って頂けたなら何よりです。どうか、この森を出るまでの間お楽しみください」
族長はクラウン達にそう言うと振り返った。そして、指揮棒のような少し葉のついた枝を振るう。その動きに合わせてエルフ交響楽団は音楽を奏でていく。
ベルによってゴリゴリの姿に変えられてしまったエルフが大半ほどいることにはなんとも言い難いところがあるが、それを抜きにしてしまえばとても耳触りが良かった。
まるで聞いているだけで自然を感じで、心にかかっていた圧が軽減されていくような感じでもある。
そして、それを聞いているとまるで聴覚が増したかのように、周囲の自然の小さな音まで拾っていく。
そして、その曲を聞きながら、クラウン達はカトスへと案内されていく。
「いやー、なんかあっという間の出来事に感じるなー」
「普通に色濃かったぞ。魔族に襲われてる時点でな」
「そんなこと言ったら、そもそもエルフの集落に他の種族が入ってくることを許す時点でおかしい。まあ、僕は余所の集落のエルフだから、まさかずっとあなた方を待っているとは知らなかったけど」
「そういえば、村長があんたの仲間が戻ってないと言っていたけど、結局どうなっていたの?」
「あー、正直な話だと今も戻ってきてない」
「それって......」
その言葉を聞いたリリスは思わず開きかけた口を閉じていく。それ以上の言葉は不要であったからだ。それにわざわざ抉るような言葉を言う必要も無い。
つまりはその仲間のエルフは森に潜伏していた魔族か魔物のに殺られた可能性が高いということ。
集落と聖樹を同時に襲撃するほどの数がいたのだ。そうかんがえるのが妥当だろう。
そして、リリスが思わず漏れた言葉を聞いていたカトスは「気にしなくていいって」とだけ告げた。しかし、その表情は寂しそうな顔をしている。
それから、他愛もない会話を続けていくこと数分、クラウン達は森の外へと出てきた。するとその時、カトスはクラウン達に丁寧に頭を下げていく。
「今回は本当にありがとうございました! また気軽に立ち寄ってくださって結構です! 我々一同快く歓迎致します!」
「......気が向いたらな」
「では、その時の為にこれを」
そう言ってカトスが渡してきたのは木製の鈴だ。軽く降るとカラカラと甲高い音を鳴らしていく。
「その鈴は言わば通行許可証みたいなもので、鳴らせば案内役に一人出てきます。逆に言えば、それを鳴らさずに入れば敵と見なされるのでお気をつけください」
「わかった。ありがたく受け取っておく」
「主様は素直じゃないです」
「全くだ。もう丸くなってもいい頃合いだと思うがな」
「いいから行くぞ」
余計な口を挟んで来るベルとカムイに面倒くさいといったため息を吐くと歩き出す。
そんなクラウン達の後ろ姿が、クラウン達の達が乗った馬車(エルフ制作)が見えなくなるまでカトスは頭を下げ続けていた。
一方、馬車内ではベルが相変わらず特等席のようにクラウンのあぐらの上に座っている。そんなベルにクラウンは特に気にするようなことがなく、モフモフの尻尾を触っている。
そのことに朱里は思わず驚いていた。簡単に言えば、今のクラウンからは想像がつかない行動だからだ。
なので、思わずクラウンの方向に指さしながらリリスを見る。
「前からあんなものよ。基本的にモフモフしてるのはロキちゃんの時だけなんだけど、馬車の時は出来ないからベルの尻尾で補ってるのよ」
「全くイメージがつかない......ところでベルはスケッチブックでなにを描いてるの?」
「さあ、ベルは色々なものを描くからこれといって言えることはないわね。でも、今は馬車内で外の景色はパッとしないから、自分の欲望のままに描いてるのじゃないかしら?」
「欲望......」
朱里は何となくその言葉の真意が図らずともわかった。つまりは筋肉なのだろう。
華奢なエルフを短期間でゴリゴリのボディービルダーへと変えてしまったのだ。ベルの異常な筋肉愛からすればそうかんがえるのが妥当だろう。
朱里がやや困ったような顔でベルを見つめてしまう。すると、そんな朱里にエキドナがのそりのそりとやってきて、朱里に耳打ちする。
「ねぇ、聞きたいことあったのだけど、朱里ちゃんはカムイちゃんのこと好きでしょ?」
「!」
その言葉を聞いた瞬間、朱里はガバッとエキドナから距離を置いた。しかし、その行動が、その焦りが何よりの証拠であることに変わりない。
そのことに朱里本人が気づいているかは分からないが。
「き、急になにを言い出すの!?」
「何って、男と女の本能的に求め合う愛の話しよ? それほど照れることもないじゃない。私だって旦那様が好きだもの......ね? ベルちゃん?」
「ですです!」
「お前は急になにを言い出してんだ? いい加減その腐れビッチ具合を治したらどうだ?」
「ふふっ、それは一重に旦那様がいるおかげよ。こんな面前でもこんなに愛の溢れた言葉が漏れてしまうのは。想像しただけで体が火照ってきたわ。洪水になっちゃいそう......」
「こうずい?」
「やめなさい。その言葉を知ろうとしない。今すぐ記憶から抹消しなさい」
「おい、カムイ。お前だけ知らぬ存ぜぬで狸寝入りしてんじゃねぇ。むしろ、ここで収めるのがお前の仕事だろ」
「お前さん、それは無茶っていうやつだぜ。俺に到底扱える人じゃねぇって。だから、干渉しないようにしていたのによ」
「なら、恐らくこのまま止められなければ、お前の妹に会った時にはどうなるんだろうな。少なくともこいつはいつの間にかベルに淫語を教えるぐらいだからな」
「全力で頑張らせていただきます!」
朱里は馬車内の和やかな雰囲気に思わず目を白黒させた。すると、エキドナが視線を向けていることに気づき、ウィンクしてきた。
朱里はその行動の意味が何となくわかった。つまりは朱里がいても居心地のよい環境を整えたという所か。そう思うと心なしか楽になっているような気もする。
するとここで、クラウンはエキドナに尋ねた。
「エキドナ、ここからお前の国までどれくらいかかるんだ?」
「そうねロキちゃんなら順調に行って二週間ほどじゃないかしら? でも、本当に私の国を先にしなくてもいいのよ?」
「行く順番は特にない。それにロキで二週間ほどなら早い方だ」
「ちなみに、その間で寄れる街や国ってどこかあるかしら? エルフ達から食料をもらってるけど、菜食主義だからあんまりエネルギーになるものがなくてね。それに人数も増えたことだから、もう少し貯蓄はあった方がいいと思うの」
「それなら、おあつらえ向きの国があるわよ。商業国ハザドールって言うのだけれど、そこは言わば商人の聖地とも呼ばれる場所で色々な珍しい物が流れたりするそうなのよ」
「その話、本当ですか!?」
エキドナの言葉を聞いた瞬間、朱里は思わず反応した。それは襲撃の夜に開かれたパーティーの時にいた姫シュリエールのことを思い出したからだ。
あの時仲良くなったシュリエールなら、もしかしたら雪姫を探すのを協力してくれるかもしれない。なぜなら、襲撃後も支援物資を送ってきてくれていたから。
「ええ、本当よ」
「なら、朱里からもそこに立ち寄って欲しいです。そこに知り合いがいるはずなので」
「というわけだけれど、旦那様はいいかしら?」
「別に構わん」
「それじゃあ、決まりね」
そしてそれから数日後、クラウン達は商業国ハザドールの門前までやってきていた。そして、そこには二人の女兵士が槍を持って立っていた。
「止まれ。ここになに用か?」
「普通に買い物よ。それで身分証とかはないんだけど、ここで発行したいから通ることを許可してくれないかしら?」
馬車から降りるとリリスは尋ねてきた女兵士に返答する。すると、そんな兵士は意味深な発言をしてきた。
「別に許可証は必要ない」
「ここに入るのは女何人だ? 男はいるのか?」
リリスは思わずその言葉が気になった。しかし、一応男も二人いることを伝えていく。すると、女兵士は強い口調で言い放った。
「ならば、ここに入れるのは女のみだ!」
「ここは男子禁制の国ハザドール! 男は何人たりとも入れることは出来ない!」
「!」
リリスはその言葉に思わず驚く。すると、その声が聞こえてきた朱里が馬車から降り、リリスのもとへと近づいていく。
そして、リリスは朱里に言葉の真意を聞こうとしたが、その言葉に朱里自身も驚いている様子がよくわかった。なので、あえて聞くことはしなかった。
つまり、分かることはこの国で異常が起きている可能性があるということ。そして、その趣旨を残りの仲間に伝えていく。
すると、意外なことにクラウンはあっさりその言葉に従った。その行動はあまりにも以外だったが、それはリリス自身にとっても好都合。問題を起こされるよりマシだから。
とはいえ、そこまでその言葉の信用はしていない。
「それじゃあ、このメンバーで入国するけどいいかしら?」
リリスはそう言うと目をさらに紅く輝かせた。
「構わない。入れ」
女兵士2人は門を開け、リリス達が入ると馬車を警戒するように素早く閉める。
ロキはその行動を不思議そうに見つめながら、馬車を引いて遠くまで離れていった。
=============================
「どこにいった? 探せ!」
すぐそばの大通りでは多くの女兵士が忙しなく動いている。それは一人の少女を探しているためだ。
そして、路地ではその少女ともう1人白い服にセミロングの黒髪で杖を持った少女がいた。
「はあはあはあ、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。しかし、ここまでしつこくおかけてくるなんて......」
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杖の少女は力強く言い放った。
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