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第4章 道化師は知る
第85話 見え隠れする悪の感情
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「話を戻すが、お前は俺に『仲間に報復するのか?』と聞いたが、それは前までそうだった。だが、色々とあってな、全く変化したとは言わないが、それでもあの時のあいつらの行動に疑問を感じているところもある」
「どんな行動だ?」
「まず俺の目の前で殺された後、俺はその恩人を思わず抱きかかえた。死んでほしくなくて、咄嗟に意識を保たせようと声をかけ続けたんだ。手持ちに持っていた回復薬も使ってな。だが、刺された位置があまりに悪くてな。あれは致命傷だった」
「その時に、目撃されたってか? その人物はお前に恨みを持っていたとか?」
「わからない。ただ、特に隔たりはなかったはずだ。そいつは俺の幼馴染の親友で、俺とも普通に交流があった。だから、俺のことを良く知っていて、俺とその恩人が仲良かったことも知っていた。だから、俺がそんなことをするはずがないと言ってくれる人物ではあった......だが、結果は違った」
「そいつがお前が殺したと思ったってことか? 普通ならそうは思わないよな」
「ああ、だから普通じゃなかったんだろ。これは俺の希望的推測だが、あの時に俺に見せた驚きの表情は、その光景を見たこともあっただろうが、自分が言った言葉に対してもそのような感情を向けていたような感じがした」
「それじゃあ、お前はあの時のセリフはそいつの意志じゃないということか?」
「全く、自分でもどうかしてると思うがな。一度俺を死の淵まで追いやった奴のことを考えるなんてな。それに俺の言っていることは全部憶測にすぎないし、それがそうであったとして、どうするべきかなんてわからない。あの時に抱いた憎しみは今も燻ぶったままだ」
「お前さんは、そいつらが神の手先になったらどうする?」
カムイはふとクラウンにそんなことを聞いた。その瞬間、クラウンから猛烈な殺気が溢れ出た。
その殺気は戦った時とは全く違い、憎悪と怨嗟が混じったようなあまりにもドス黒く、禍々しいオーラ。それによって、周りの草木が身の震えを感じたように、草は生気を失って萎れていき、木はしなっていく。
「ねえ、どうしたの!?」
「あまりに怖いです......」
「これは良くない気ね」
「ウォン!」
クラウンの目はどんどんと光を失ったかのように黒ずんでいく、そのことにカムイは思わず身の毛がよだつような恐怖に襲われながら、どうすればいいかわからなかった。
すると、遠くでクラウン達の様子を伺っていたリリス達が反応して、急いでクラウンのもとへと駆け寄っていく。
そして、それぞれが自らの役割を理解しているかのように、ベルはクラウンの膝上に座り、リリスとエキドナはクラウンを挟み込むように座り、ロキはクラウンの背後に座るとその頭に顎を乗せた。
すると、クラウンの殺気は次第に濃度を薄めていき、消えていった。
そのことに、リリス達は安心したようにため息を吐いた。これは、クラウンが「神」に関することで思い詰めると発動するのだ。
リリス達が兵長の墓を離れ、リゼリアの居た街に向かう時にはこの症状と言うべきものが何度か発動した。その都度、一人でないことを示すようにこうして寄り添っていたのだ。
だがそのことで、クラウンはやはり精神的不安定さが見られるようになってきたのは本当のことようだった。
最初は仲間を失ってから日も浅かったから思い出してしまうのかと思いきや、それは今になっても起こるようならそういうことだろう。
なら、起こった原因はリリス達がクラウンの凍った心を溶かしたからなのだろうか。だとしたら、仕方ないとして処理するしかない。さっきはは介入しなければいけい状況だったから。
「落ち着いたかしら?」
「ですです」
「悪いな。それからくっつき過ぎだ」
「ふふっ、良いじゃない。たまにはスキンシップしても。最近は触れることもなかったし。ほら言うじゃない?レスは夫婦間に亀裂を起こすこともあるって」
「お前は何のことを言ってるんだ?とにかくもう大丈夫だ。だから、離れろ。ロキも頭から顎をどけろ」
すると、クラウン達はなんやかんやと言い合いを始めた。その光景を見て、カムイは思わず安堵の息を吐く。
さすがに、あの時は身の危険を感じた。思わず切りかかろうとするぐらい。だが、たとえそれをしたとして死んでいたのはこっちだろうが。
全く、とんでもない人物に肩入れしたような気がする。それこそ、魔王なんざ超えてるんじゃなかろうか。
まあ、神殺しを謳うぐらいだ。それに戦った感じからもして、強いことは知っている。だからこそ、先ほどのが尚更ヤバいというのがわかる。
あれは異次元の領域だ。あれほどまでに黒いオーラは見たことない。あのオーラだけで血の臭いを感じたような気がした。あれは一体なんなのだろうか。何をすればあんなに血の海を想像させるような殺気を出すことが出来るのか。
「クラウン、少し頭を冷やしてきなさい。悪く考え過ぎよ。ロキちゃん、よろしくね」
「......わかった」
「ウォン」
リリスがまるで母親のようにクラウンへ言うとクラウンはその言葉に従って、ロキと共に遠くへ離れ始めた。すると、リリスは先ほどまでの優しい笑みから一転して、真剣な目を向けるとカムイに聞いた。
「ねえ、カムイ。あんた、クラウンに何を言ったの? 普通じゃ、あんなことにはならないわ」
「あー、そのな。クラウンが自身の過去にあったことに対して意見を聞きたいと言っていたから、それを聞いていたんだ。そして、それについて質問したらああなった」
「なるほどそう言うことね」
「カムイ様は私達に起こったことを知らないです」
「そうね。それにクラウンの過去の話ってのも気になるわ。まあ、男同士だから言いやすかったというのもあるし、そういうのは旦那様自ら口にするのが一番だとは思うんだけどね」
「それにしても、何があればあんなになるんだ?あれは異常だぞ?」
「わかってるわよ、そんなこと。でも、あれは仕方ないことなの......でもまあ、あんたが仲間になた以上私達が経験してきたことは話していかないとね」
リリスはそう言うとこれまでのことをカムイに話し始めた。それはリリスとクラウンの出会いから、聖王国襲撃の件、獣王国の件、砂漠の国の件、最後に神の使いの件。それはカムイにとってどれも重要なことだったが、クラウンの心理変化がよくわかる内容であった。
だからこそ、先ほどの殺気に関しては納得がいった。自分には到底出せないだろう殺気を、悍ましく煮えたぎった悪意をクラウンはまだ持っている。
それがただ表立って現れていないだけ。それは、少しでも蓋を開ければ、先ほどの殺気が出てくる。
クラウンもクラウンで難しい立場にいるが、リリス達もまた難しい立場に立っている。クラウンの殺気に耐えながら、その溢れ出る感情を押さえに行く。一歩、いや、半歩でも間違えれば殺されるかもしれないという危険な状況の中で。
「全くお前さんらも良くやるな。俺なら逃げ出しそうだ」
「私達だって怖いし、逃げ出したいわよ。でもそれじゃあ、クラウンはどうなるのよ。あのままでは暴れ狂う悲しいモンスターになってしまうわ。それを知っていて、逃げ出すのはあんまりじゃない?」
「すげーな。普通はそうはならないだろ。一体何がお前さんらをそうさせるんだ?」
すると、リリス達は思わず顔を見合わせる。そして、当たり前のように告げた。
「好きだからよ」
「好きだからです」
「好きだからね」
「......なるほどね。これを一体何て言ったけな」
カムイはリリス達の堂々した発言に思わず苦笑い。自分が女だったとしても出来ないことを平気でこなすし、言う。
全く、すごいの一言に尽きる。もしかしたら、クラウンが強くいられるのはリリス達がいるかもしれない。
また、クラウンがいることでリリス達も強くあり続けようとしていられる。パーティ間としては実に調和のとれたものだと思う。
だからこそ、危うさが存在する。それは、どちらかが壊れれば、もう片方も壊れかねないことだ。
現状ではリリス達のクラウンに対する依存度の方が高いかもしれない。そして、それをリリス達が気づいていない。
まあ、正確に言うならリリスとベルだが。今は唯一エキドナがその危うさに気付いていて、ほどよい距離感を作っている。
だが、それも時間の問題。いずれ、エキドナ自身でもカバーしきれなくなるし、リリスとベル同様に依存度が高くなればそれどころじゃなくなる。
これが、男と女の性というものだから仕方ない部分もあるが、カバーできるうちは手伝った方がいいのかもしれない。
そうすれば、エキドナの負担も減るし、依存してもこの調和は保たれる。まあ、今保たれているのはクラウンがリリス達に依存していないというのもあるが......あれ? こうしてクラウンやリリス達のために動こうとしている時点で依存してね?
「うわぁ~、感染力高すぎだろ」
「感染力? なんのこと?」
「いや、関係ないことだ気にすんな。それにしても大変だな。その苦労は何で労ってんだ?」
「何って問われると何なのかしら? 時折、ロキちゃんのモフモフに癒されてるけど」
「リリス様はあの花畑以降は、主様とイチャイチャし過ぎだと思うです。まあ、一方的ですが」
「ちょ、そんなことないわよ!? 私はただクラウンが何をしてるかな~って気になって話しかけてるだけで、素っ気ない態度取ればその態度を崩したくなるだけで」
「そのどこが否定出来る要素があるのかしら。全くわからないわ。もうその発言だけで糖度はかなり高めよ?」
「ん? 別にこれぐらいは普通じゃないかしら? だって、クラウンが―――――――――――」
それから、リリス達は姦しく話し始めた。カムイはそんな様子を見ながら「案外さっきのは杞憂だったかもな」と思い直すと邪魔をしないように立ち上がった。そして、静かにその場を離れていく。
「大丈夫そうだな」
カムイは遠くに見えるクラウンとロキの様子を見ながら思わず頬を緩める。
「さて、これからは大変そうだが、いっちょ頑張るとするか」
「どんな行動だ?」
「まず俺の目の前で殺された後、俺はその恩人を思わず抱きかかえた。死んでほしくなくて、咄嗟に意識を保たせようと声をかけ続けたんだ。手持ちに持っていた回復薬も使ってな。だが、刺された位置があまりに悪くてな。あれは致命傷だった」
「その時に、目撃されたってか? その人物はお前に恨みを持っていたとか?」
「わからない。ただ、特に隔たりはなかったはずだ。そいつは俺の幼馴染の親友で、俺とも普通に交流があった。だから、俺のことを良く知っていて、俺とその恩人が仲良かったことも知っていた。だから、俺がそんなことをするはずがないと言ってくれる人物ではあった......だが、結果は違った」
「そいつがお前が殺したと思ったってことか? 普通ならそうは思わないよな」
「ああ、だから普通じゃなかったんだろ。これは俺の希望的推測だが、あの時に俺に見せた驚きの表情は、その光景を見たこともあっただろうが、自分が言った言葉に対してもそのような感情を向けていたような感じがした」
「それじゃあ、お前はあの時のセリフはそいつの意志じゃないということか?」
「全く、自分でもどうかしてると思うがな。一度俺を死の淵まで追いやった奴のことを考えるなんてな。それに俺の言っていることは全部憶測にすぎないし、それがそうであったとして、どうするべきかなんてわからない。あの時に抱いた憎しみは今も燻ぶったままだ」
「お前さんは、そいつらが神の手先になったらどうする?」
カムイはふとクラウンにそんなことを聞いた。その瞬間、クラウンから猛烈な殺気が溢れ出た。
その殺気は戦った時とは全く違い、憎悪と怨嗟が混じったようなあまりにもドス黒く、禍々しいオーラ。それによって、周りの草木が身の震えを感じたように、草は生気を失って萎れていき、木はしなっていく。
「ねえ、どうしたの!?」
「あまりに怖いです......」
「これは良くない気ね」
「ウォン!」
クラウンの目はどんどんと光を失ったかのように黒ずんでいく、そのことにカムイは思わず身の毛がよだつような恐怖に襲われながら、どうすればいいかわからなかった。
すると、遠くでクラウン達の様子を伺っていたリリス達が反応して、急いでクラウンのもとへと駆け寄っていく。
そして、それぞれが自らの役割を理解しているかのように、ベルはクラウンの膝上に座り、リリスとエキドナはクラウンを挟み込むように座り、ロキはクラウンの背後に座るとその頭に顎を乗せた。
すると、クラウンの殺気は次第に濃度を薄めていき、消えていった。
そのことに、リリス達は安心したようにため息を吐いた。これは、クラウンが「神」に関することで思い詰めると発動するのだ。
リリス達が兵長の墓を離れ、リゼリアの居た街に向かう時にはこの症状と言うべきものが何度か発動した。その都度、一人でないことを示すようにこうして寄り添っていたのだ。
だがそのことで、クラウンはやはり精神的不安定さが見られるようになってきたのは本当のことようだった。
最初は仲間を失ってから日も浅かったから思い出してしまうのかと思いきや、それは今になっても起こるようならそういうことだろう。
なら、起こった原因はリリス達がクラウンの凍った心を溶かしたからなのだろうか。だとしたら、仕方ないとして処理するしかない。さっきはは介入しなければいけい状況だったから。
「落ち着いたかしら?」
「ですです」
「悪いな。それからくっつき過ぎだ」
「ふふっ、良いじゃない。たまにはスキンシップしても。最近は触れることもなかったし。ほら言うじゃない?レスは夫婦間に亀裂を起こすこともあるって」
「お前は何のことを言ってるんだ?とにかくもう大丈夫だ。だから、離れろ。ロキも頭から顎をどけろ」
すると、クラウン達はなんやかんやと言い合いを始めた。その光景を見て、カムイは思わず安堵の息を吐く。
さすがに、あの時は身の危険を感じた。思わず切りかかろうとするぐらい。だが、たとえそれをしたとして死んでいたのはこっちだろうが。
全く、とんでもない人物に肩入れしたような気がする。それこそ、魔王なんざ超えてるんじゃなかろうか。
まあ、神殺しを謳うぐらいだ。それに戦った感じからもして、強いことは知っている。だからこそ、先ほどのが尚更ヤバいというのがわかる。
あれは異次元の領域だ。あれほどまでに黒いオーラは見たことない。あのオーラだけで血の臭いを感じたような気がした。あれは一体なんなのだろうか。何をすればあんなに血の海を想像させるような殺気を出すことが出来るのか。
「クラウン、少し頭を冷やしてきなさい。悪く考え過ぎよ。ロキちゃん、よろしくね」
「......わかった」
「ウォン」
リリスがまるで母親のようにクラウンへ言うとクラウンはその言葉に従って、ロキと共に遠くへ離れ始めた。すると、リリスは先ほどまでの優しい笑みから一転して、真剣な目を向けるとカムイに聞いた。
「ねえ、カムイ。あんた、クラウンに何を言ったの? 普通じゃ、あんなことにはならないわ」
「あー、そのな。クラウンが自身の過去にあったことに対して意見を聞きたいと言っていたから、それを聞いていたんだ。そして、それについて質問したらああなった」
「なるほどそう言うことね」
「カムイ様は私達に起こったことを知らないです」
「そうね。それにクラウンの過去の話ってのも気になるわ。まあ、男同士だから言いやすかったというのもあるし、そういうのは旦那様自ら口にするのが一番だとは思うんだけどね」
「それにしても、何があればあんなになるんだ?あれは異常だぞ?」
「わかってるわよ、そんなこと。でも、あれは仕方ないことなの......でもまあ、あんたが仲間になた以上私達が経験してきたことは話していかないとね」
リリスはそう言うとこれまでのことをカムイに話し始めた。それはリリスとクラウンの出会いから、聖王国襲撃の件、獣王国の件、砂漠の国の件、最後に神の使いの件。それはカムイにとってどれも重要なことだったが、クラウンの心理変化がよくわかる内容であった。
だからこそ、先ほどの殺気に関しては納得がいった。自分には到底出せないだろう殺気を、悍ましく煮えたぎった悪意をクラウンはまだ持っている。
それがただ表立って現れていないだけ。それは、少しでも蓋を開ければ、先ほどの殺気が出てくる。
クラウンもクラウンで難しい立場にいるが、リリス達もまた難しい立場に立っている。クラウンの殺気に耐えながら、その溢れ出る感情を押さえに行く。一歩、いや、半歩でも間違えれば殺されるかもしれないという危険な状況の中で。
「全くお前さんらも良くやるな。俺なら逃げ出しそうだ」
「私達だって怖いし、逃げ出したいわよ。でもそれじゃあ、クラウンはどうなるのよ。あのままでは暴れ狂う悲しいモンスターになってしまうわ。それを知っていて、逃げ出すのはあんまりじゃない?」
「すげーな。普通はそうはならないだろ。一体何がお前さんらをそうさせるんだ?」
すると、リリス達は思わず顔を見合わせる。そして、当たり前のように告げた。
「好きだからよ」
「好きだからです」
「好きだからね」
「......なるほどね。これを一体何て言ったけな」
カムイはリリス達の堂々した発言に思わず苦笑い。自分が女だったとしても出来ないことを平気でこなすし、言う。
全く、すごいの一言に尽きる。もしかしたら、クラウンが強くいられるのはリリス達がいるかもしれない。
また、クラウンがいることでリリス達も強くあり続けようとしていられる。パーティ間としては実に調和のとれたものだと思う。
だからこそ、危うさが存在する。それは、どちらかが壊れれば、もう片方も壊れかねないことだ。
現状ではリリス達のクラウンに対する依存度の方が高いかもしれない。そして、それをリリス達が気づいていない。
まあ、正確に言うならリリスとベルだが。今は唯一エキドナがその危うさに気付いていて、ほどよい距離感を作っている。
だが、それも時間の問題。いずれ、エキドナ自身でもカバーしきれなくなるし、リリスとベル同様に依存度が高くなればそれどころじゃなくなる。
これが、男と女の性というものだから仕方ない部分もあるが、カバーできるうちは手伝った方がいいのかもしれない。
そうすれば、エキドナの負担も減るし、依存してもこの調和は保たれる。まあ、今保たれているのはクラウンがリリス達に依存していないというのもあるが......あれ? こうしてクラウンやリリス達のために動こうとしている時点で依存してね?
「うわぁ~、感染力高すぎだろ」
「感染力? なんのこと?」
「いや、関係ないことだ気にすんな。それにしても大変だな。その苦労は何で労ってんだ?」
「何って問われると何なのかしら? 時折、ロキちゃんのモフモフに癒されてるけど」
「リリス様はあの花畑以降は、主様とイチャイチャし過ぎだと思うです。まあ、一方的ですが」
「ちょ、そんなことないわよ!? 私はただクラウンが何をしてるかな~って気になって話しかけてるだけで、素っ気ない態度取ればその態度を崩したくなるだけで」
「そのどこが否定出来る要素があるのかしら。全くわからないわ。もうその発言だけで糖度はかなり高めよ?」
「ん? 別にこれぐらいは普通じゃないかしら? だって、クラウンが―――――――――――」
それから、リリス達は姦しく話し始めた。カムイはそんな様子を見ながら「案外さっきのは杞憂だったかもな」と思い直すと邪魔をしないように立ち上がった。そして、静かにその場を離れていく。
「大丈夫そうだな」
カムイは遠くに見えるクラウンとロキの様子を見ながら思わず頬を緩める。
「さて、これからは大変そうだが、いっちょ頑張るとするか」
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