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第3章 道化師は嘆く
第63話 危険は身近に
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「それにしても暑いわね~、もう少しどうにかならないものかしら?」
「ふふっ、そんなこといっても仕方ないわよ。それなら、私と一緒にこの恰好になってみる?それだけでだいぶ違うわよ?」
「それは露出度高すぎるから却下」
「もうサキュバスがそんなこと言ってどうするのよ」
エキドナはリリスの声に思わずつまらなそうな顔をした。とはいえ、正直言うとリリスの意見は結構まともだったりする。それはもちろん、エキドナの恰好によるもの。
現在、エキドナの恰好は肌の面積が8割を占めている。逆に言えば、それだけ布地が少ない。リリスが初めて会った時のベリーダンスの衣装より、胸元は隠しきれない豊満な胸が激しく主張しており、下腹部は触りたくなるような引き締まったボディ、脚は病的とはいかずに健康的な白さを誇っている。
そのことが酷く周りの男性の目を引き、魅了する。そして、一部を固くさせて動けなくさせる。そんな光景を先ほどから見ていたリリスは「本当に竜人族なの?」と疑いの目を向けざるを得ない。しかし、竜人族であることはリリス本人が一番よく知っているので、そのことに頭を悩ませる。
すなわち、「この淫竜をどうするか」ということ。現状、説得することは難しいだろう。なぜなら、自分よりもエキドナの方が何枚も上手であるから。そして同時に、サキュバスである自分がそういうことを避け続けたせいか耐性があまりない。
「ねぇ、リリスちゃん。最近、なにかお困りなことないかしら?」
「な、何よ。藪から棒に」
「藪から棒......少し話変わるけど、『藪から棒』って言葉の響きエロいと思わない?だって藪から『棒』よ?棒ってなんのことかしら?もしかして、この言葉の由来って突然現れた殿方が淑女の藪に棒を......ってことかしら?」
「どこまで思考がピンクに染まっているのよ。いや、ピンクというのもおこがましいほどに濃いわね。それにどんなに丁寧な言い方しても言ってることが完全にアウトだからね」
「どんな感じにアウトなのかしら?ふふっ、具体的に教えて欲しいわ。特に『棒』の部分は。それは肉の棒だったりするのかしら」
「もう言ってるようなもんじゃない、それは!あんた分かってて言わせようとすんのホント止めなさいよ!」
リリスは怒鳴るようにエキドナに言うが、エキドナはただ笑ってスルーするのみ。まさにのれんに腕を押しといった感じで意味を成していない。そのことにリリスは思わず呆れたため息を吐く。せっかく共闘している時は、見直したのに蓋を開けばすぐこれだ。接し方がわかりづらい。
その時、前方か3人組の男が歩いてきた。その男達はリリスとエキドナを見ると目の色を変えたように、口元を醜く歪ませた。まさに悪巧みを考えているという感じだ。
そして、その男達はつっかかろうというのかわざわざ直線上に被って歩いてきた。しかし、そんなことはどうでもいいとばかりにリリス達もどこうとしない。
男達はニタニタとした笑みでリリスの肩にぶつかると大袈裟に地面へと転げ落ちる。そして、当たった肩を痛そうに抑えながら。
「あたたたた、痛い痛い」
「おい、大丈夫か!?」
「おい、てめぇなにしてくれてんだ?治療費よこせ、治療費」
「ふふふっ、面白いこと言うわね」
エキドナはにこやかな笑みで答えつつも、その目はあまり笑っていない。ただ「面倒そうだ」という雰囲気は隠せていない。というか、むしろ全面に押し出してる感じでさえある。
だが、男達はそんなエキドナを見て、さらにエキドナの恰好を舐めるように見た。その目は欲望が満ち満ちとしていて何をしようと企んでいるのか一目で分かるぐらいだ。しかも、その目線は不快しか与えない。エキドナが耐えれているのが凄いぐらいに。
「お前ら、ちょっとついてこい」
「ふふっ、どうしてそんなことをする必要があるのかしら?」
「そりゃあ、仲間を傷つけたからに決まってるじゃねぇか!」
「でも、それはわざわざ場所を移す理由にはなわないわよね?」
「うっせぇ、黙ってついてこい」
エキドナはさすがにため息を吐いた。この場においてもう少しマシな言葉が出れば、まだ手加減してあげようと思っていたが、自分の思い通りの回答が出ないだけでこうもキレられると......なんだか興ざめである。そう考えるとまだクラウンからの罵りという名のツッコミの方が面白いと言えるだろう。
するとここでエキドナは、先程から一切しゃべっていないリリスに気づいた。いつもなら、リリスが一番に噛み付いてもいいはず。しかし、なぜかリリスは未だに演技を続けている男の方をじっと見つめていた。そうそれはもう、ただじっと。
そして、ようやくリリスはしゃべり始めた。すると、その表情はどこか上気しているようにも見えなくもない。
「ねえ、それってそんなに痛いの?」
「あ?い、痛てぇに決まってるじゃねぇか!脱臼してんだぞ?脱臼!」
「そう痛いんだ......へぇ~」
リリスは男の言葉を聞くとさらに口元を緩め、なぜか嬉しそうな顔をした。その顔を見た瞬間、その男は戦慄した。触れてはいけないものを触れたような気がして。だがもう遅い、つっかかっていったのはこちらなのだから。
リリスはゆっくりと近づいていく。男は「待て、近づくな」と言いながら腕を伸ばして、制止させようとするが、リリスの歩みは止まらない。そして、リリスがその男のもとへ近づくと思いっきり踏んづけた。
「痛てぇ、何すんだ!」
「何って、あんたのためにやってんだけど?そんな強がらなくていいわよ。あんたは嫌がっている風に見えるけど、その実はむしろ喜んでるもの。それはピンク色の靄が教えてくれているわ。それに、あんたの喜ぶところは全て押さえたから安心して」
「おい、女!なにして......ぐっ!」
「止まれ!......がっ!」
リリスは男の背中を踏んづけながら、その足をグリグリと押し当てる。その光景を見た二人の男は咄嗟に止めようとしたが、急に体が重くなり膝まづく。もちろん、リリスの重力操作によるものだ。そんな男に目もくれずリリスはさらに踏みつけを強くしていく。
「どう?段々と痛みが快楽に変わってきたでしょ?これが私の特性の一つよ。サキュバスを嵌めようなんて随分と良い心意気だわ。だから、その褒美としてあんたを開発してあ・げ・る♡」
「あら!あらあらあらあら!!」
リリスが段々と身をよじらせ始め、恍惚とした表情を浮かべる。そんなリリスの変わりようを見ていたエキドナは驚きつつも、興奮した様子だ。なにがキッカケでこうなったかはよくわからないが、とにかく仲良くなれそうということは確信した。これは、これは.......とても良い収穫だ。
「ほら、ほら、ほらほらほらほら!」
「ちょやめ......くっ、ああ!」
リリスはその男の背中に座ると男の腕を踏みつけ始めた。そこが弱いと、興奮させるとサキュバスの特性が告げている。それにピンク色の靄がさらに濃くなり始めている。やはり、嫌がった様子は強がりで体は正直のようだ。
「それじゃあ、そろそろおしまいね」
「ああああああ////」
リリスは立ち上がると再度男の背中を強く踏みつけた。その瞬間、その男は叫び声をあげてグッタリとさせた。その顔は実に幸せそうであった。また、他の二人も加重に耐えかねたのか。息を切らしながらグッタリと床に倒れている。そして、リリスはそんな光景を見ていると段々落ち着いてきたのか、その場で顔を隠すようにしゃがんだ。
「ああああ!見ないで!何も見てない、聞いてない、知らない!」
「安心して、す・べ・てを見て、聞いて、知ったわ。最高に興奮した。良かったわよ」
「あああああああ////」
リリスはエキドナの追撃に、思わず穴があったら世界の中心まで掘って、その穴に蓋をして永遠に出れなくして欲しいと思った。なぜなら、公衆の面前でスイッチが入った姿を、さらに言えばエキドナの前でその姿を見せてしまったから。
獣王国の時もそうだが、どうにも時折特性が漏れ出てしまう。幸い、催淫効果のあるフェロモンは薬のおかげでではいないが、最近こうして他の特性も出ている時点で効果が薄くなっているような気もする。これは気をつけなければならない......特にエキドナだけは。
しかし、そんなリリスの様子を知る由もなくエキドナは話しかけてくる。実にニコニコした笑みで。
「ふふっ、知らなかったわ。リリスちゃんにこんな趣味があったなんて」
「趣味なわけないでしょ!これは......その......サキュバスのせいよ!私は悪くない!あの男が私の琴線に触れてくるから悪いのよ!私は!なんにも!悪くない!」
「ふふふっ、そうなのかしら。でも、あの時のリリスちゃんはとても活き活きとしていたわよ。普段の発散しきれない思いを発散するように」
「うぅ.....それは.....」
リリスはエキドナの言葉に思わず言葉が詰まる。素に戻り始めた頃に、同時にその時の記憶を思い出して自分の姿を客観的に見てきたが、「否定できない」と自分でも感じるほどであった。だからこそ、そこを突いて欲しくなかったのだが、エキドナがそこを逃すはずがない。だって、淫乱だもの。
「ねえねえ、今度私と夜を過ごしてみない?」
「何を急に言ってんのよ。この流れで肯定すると思ってんの?それに何をする気なのよ?」
「何って、ナニじゃない?」
「は、はあ!?ナニって何言ってんの!?出来るはずないじゃない!」
「大丈夫よ、前にも言ったけど私はバイ。言い方を変えれば、二刀流。それに、私はリリスちゃんのことを気に入ってしまったから、今とても食べたいの♡」
「......っ!」
リリスは思わず身の毛もよだつ思いに襲われた。そして、後ずさりしながらエキドナから離れていく。この人は危険だ。直感がそう告げている。散々クラウンのことを心配していたが、狙われるのはなにもクラウンだけじゃない。自分も、そして、ベルも狙われる。
「何が目的?」
「何って、ただ仲良くなれそうと思ったから、仲良くしようとスキンシップを―――――――」
「スキンシップでその発想に至るなんてぶっとんでんじゃないの!?」
「ふふっ、そんなに褒めても出ないわよ。でも、出そうと思えば―――――――」
「もうしゃべるな!」
リリスは思わず怒鳴ったように言うが、エキドナはどこ吹く風といった様子で全然響いていない。そのことにため息が絶えない。ああ、クラウン......本当にこの人を連れて行くの?この人は危険よ、危険すぎる。特に貞操が。
「ふふっ、これからよろしくね」
「よろしくしたくない」
リリスはエキドナの言葉にそっぽ向けながら答えた。
「ふふっ、そんなこといっても仕方ないわよ。それなら、私と一緒にこの恰好になってみる?それだけでだいぶ違うわよ?」
「それは露出度高すぎるから却下」
「もうサキュバスがそんなこと言ってどうするのよ」
エキドナはリリスの声に思わずつまらなそうな顔をした。とはいえ、正直言うとリリスの意見は結構まともだったりする。それはもちろん、エキドナの恰好によるもの。
現在、エキドナの恰好は肌の面積が8割を占めている。逆に言えば、それだけ布地が少ない。リリスが初めて会った時のベリーダンスの衣装より、胸元は隠しきれない豊満な胸が激しく主張しており、下腹部は触りたくなるような引き締まったボディ、脚は病的とはいかずに健康的な白さを誇っている。
そのことが酷く周りの男性の目を引き、魅了する。そして、一部を固くさせて動けなくさせる。そんな光景を先ほどから見ていたリリスは「本当に竜人族なの?」と疑いの目を向けざるを得ない。しかし、竜人族であることはリリス本人が一番よく知っているので、そのことに頭を悩ませる。
すなわち、「この淫竜をどうするか」ということ。現状、説得することは難しいだろう。なぜなら、自分よりもエキドナの方が何枚も上手であるから。そして同時に、サキュバスである自分がそういうことを避け続けたせいか耐性があまりない。
「ねぇ、リリスちゃん。最近、なにかお困りなことないかしら?」
「な、何よ。藪から棒に」
「藪から棒......少し話変わるけど、『藪から棒』って言葉の響きエロいと思わない?だって藪から『棒』よ?棒ってなんのことかしら?もしかして、この言葉の由来って突然現れた殿方が淑女の藪に棒を......ってことかしら?」
「どこまで思考がピンクに染まっているのよ。いや、ピンクというのもおこがましいほどに濃いわね。それにどんなに丁寧な言い方しても言ってることが完全にアウトだからね」
「どんな感じにアウトなのかしら?ふふっ、具体的に教えて欲しいわ。特に『棒』の部分は。それは肉の棒だったりするのかしら」
「もう言ってるようなもんじゃない、それは!あんた分かってて言わせようとすんのホント止めなさいよ!」
リリスは怒鳴るようにエキドナに言うが、エキドナはただ笑ってスルーするのみ。まさにのれんに腕を押しといった感じで意味を成していない。そのことにリリスは思わず呆れたため息を吐く。せっかく共闘している時は、見直したのに蓋を開けばすぐこれだ。接し方がわかりづらい。
その時、前方か3人組の男が歩いてきた。その男達はリリスとエキドナを見ると目の色を変えたように、口元を醜く歪ませた。まさに悪巧みを考えているという感じだ。
そして、その男達はつっかかろうというのかわざわざ直線上に被って歩いてきた。しかし、そんなことはどうでもいいとばかりにリリス達もどこうとしない。
男達はニタニタとした笑みでリリスの肩にぶつかると大袈裟に地面へと転げ落ちる。そして、当たった肩を痛そうに抑えながら。
「あたたたた、痛い痛い」
「おい、大丈夫か!?」
「おい、てめぇなにしてくれてんだ?治療費よこせ、治療費」
「ふふふっ、面白いこと言うわね」
エキドナはにこやかな笑みで答えつつも、その目はあまり笑っていない。ただ「面倒そうだ」という雰囲気は隠せていない。というか、むしろ全面に押し出してる感じでさえある。
だが、男達はそんなエキドナを見て、さらにエキドナの恰好を舐めるように見た。その目は欲望が満ち満ちとしていて何をしようと企んでいるのか一目で分かるぐらいだ。しかも、その目線は不快しか与えない。エキドナが耐えれているのが凄いぐらいに。
「お前ら、ちょっとついてこい」
「ふふっ、どうしてそんなことをする必要があるのかしら?」
「そりゃあ、仲間を傷つけたからに決まってるじゃねぇか!」
「でも、それはわざわざ場所を移す理由にはなわないわよね?」
「うっせぇ、黙ってついてこい」
エキドナはさすがにため息を吐いた。この場においてもう少しマシな言葉が出れば、まだ手加減してあげようと思っていたが、自分の思い通りの回答が出ないだけでこうもキレられると......なんだか興ざめである。そう考えるとまだクラウンからの罵りという名のツッコミの方が面白いと言えるだろう。
するとここでエキドナは、先程から一切しゃべっていないリリスに気づいた。いつもなら、リリスが一番に噛み付いてもいいはず。しかし、なぜかリリスは未だに演技を続けている男の方をじっと見つめていた。そうそれはもう、ただじっと。
そして、ようやくリリスはしゃべり始めた。すると、その表情はどこか上気しているようにも見えなくもない。
「ねえ、それってそんなに痛いの?」
「あ?い、痛てぇに決まってるじゃねぇか!脱臼してんだぞ?脱臼!」
「そう痛いんだ......へぇ~」
リリスは男の言葉を聞くとさらに口元を緩め、なぜか嬉しそうな顔をした。その顔を見た瞬間、その男は戦慄した。触れてはいけないものを触れたような気がして。だがもう遅い、つっかかっていったのはこちらなのだから。
リリスはゆっくりと近づいていく。男は「待て、近づくな」と言いながら腕を伸ばして、制止させようとするが、リリスの歩みは止まらない。そして、リリスがその男のもとへ近づくと思いっきり踏んづけた。
「痛てぇ、何すんだ!」
「何って、あんたのためにやってんだけど?そんな強がらなくていいわよ。あんたは嫌がっている風に見えるけど、その実はむしろ喜んでるもの。それはピンク色の靄が教えてくれているわ。それに、あんたの喜ぶところは全て押さえたから安心して」
「おい、女!なにして......ぐっ!」
「止まれ!......がっ!」
リリスは男の背中を踏んづけながら、その足をグリグリと押し当てる。その光景を見た二人の男は咄嗟に止めようとしたが、急に体が重くなり膝まづく。もちろん、リリスの重力操作によるものだ。そんな男に目もくれずリリスはさらに踏みつけを強くしていく。
「どう?段々と痛みが快楽に変わってきたでしょ?これが私の特性の一つよ。サキュバスを嵌めようなんて随分と良い心意気だわ。だから、その褒美としてあんたを開発してあ・げ・る♡」
「あら!あらあらあらあら!!」
リリスが段々と身をよじらせ始め、恍惚とした表情を浮かべる。そんなリリスの変わりようを見ていたエキドナは驚きつつも、興奮した様子だ。なにがキッカケでこうなったかはよくわからないが、とにかく仲良くなれそうということは確信した。これは、これは.......とても良い収穫だ。
「ほら、ほら、ほらほらほらほら!」
「ちょやめ......くっ、ああ!」
リリスはその男の背中に座ると男の腕を踏みつけ始めた。そこが弱いと、興奮させるとサキュバスの特性が告げている。それにピンク色の靄がさらに濃くなり始めている。やはり、嫌がった様子は強がりで体は正直のようだ。
「それじゃあ、そろそろおしまいね」
「ああああああ////」
リリスは立ち上がると再度男の背中を強く踏みつけた。その瞬間、その男は叫び声をあげてグッタリとさせた。その顔は実に幸せそうであった。また、他の二人も加重に耐えかねたのか。息を切らしながらグッタリと床に倒れている。そして、リリスはそんな光景を見ていると段々落ち着いてきたのか、その場で顔を隠すようにしゃがんだ。
「ああああ!見ないで!何も見てない、聞いてない、知らない!」
「安心して、す・べ・てを見て、聞いて、知ったわ。最高に興奮した。良かったわよ」
「あああああああ////」
リリスはエキドナの追撃に、思わず穴があったら世界の中心まで掘って、その穴に蓋をして永遠に出れなくして欲しいと思った。なぜなら、公衆の面前でスイッチが入った姿を、さらに言えばエキドナの前でその姿を見せてしまったから。
獣王国の時もそうだが、どうにも時折特性が漏れ出てしまう。幸い、催淫効果のあるフェロモンは薬のおかげでではいないが、最近こうして他の特性も出ている時点で効果が薄くなっているような気もする。これは気をつけなければならない......特にエキドナだけは。
しかし、そんなリリスの様子を知る由もなくエキドナは話しかけてくる。実にニコニコした笑みで。
「ふふっ、知らなかったわ。リリスちゃんにこんな趣味があったなんて」
「趣味なわけないでしょ!これは......その......サキュバスのせいよ!私は悪くない!あの男が私の琴線に触れてくるから悪いのよ!私は!なんにも!悪くない!」
「ふふふっ、そうなのかしら。でも、あの時のリリスちゃんはとても活き活きとしていたわよ。普段の発散しきれない思いを発散するように」
「うぅ.....それは.....」
リリスはエキドナの言葉に思わず言葉が詰まる。素に戻り始めた頃に、同時にその時の記憶を思い出して自分の姿を客観的に見てきたが、「否定できない」と自分でも感じるほどであった。だからこそ、そこを突いて欲しくなかったのだが、エキドナがそこを逃すはずがない。だって、淫乱だもの。
「ねえねえ、今度私と夜を過ごしてみない?」
「何を急に言ってんのよ。この流れで肯定すると思ってんの?それに何をする気なのよ?」
「何って、ナニじゃない?」
「は、はあ!?ナニって何言ってんの!?出来るはずないじゃない!」
「大丈夫よ、前にも言ったけど私はバイ。言い方を変えれば、二刀流。それに、私はリリスちゃんのことを気に入ってしまったから、今とても食べたいの♡」
「......っ!」
リリスは思わず身の毛もよだつ思いに襲われた。そして、後ずさりしながらエキドナから離れていく。この人は危険だ。直感がそう告げている。散々クラウンのことを心配していたが、狙われるのはなにもクラウンだけじゃない。自分も、そして、ベルも狙われる。
「何が目的?」
「何って、ただ仲良くなれそうと思ったから、仲良くしようとスキンシップを―――――――」
「スキンシップでその発想に至るなんてぶっとんでんじゃないの!?」
「ふふっ、そんなに褒めても出ないわよ。でも、出そうと思えば―――――――」
「もうしゃべるな!」
リリスは思わず怒鳴ったように言うが、エキドナはどこ吹く風といった様子で全然響いていない。そのことにため息が絶えない。ああ、クラウン......本当にこの人を連れて行くの?この人は危険よ、危険すぎる。特に貞操が。
「ふふっ、これからよろしくね」
「よろしくしたくない」
リリスはエキドナの言葉にそっぽ向けながら答えた。
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