無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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4章 ナイトフォール編

魔族神の後継者

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「話すっつっても大した話じゃねぇが、エレナ以外の家族は今のマルコスの指示によって殺されている。 そして、俺も同様に殺された……はずだったんだ   」

 今のマルコス? 
 というと、あのアークスカイで会ったマルコス以外にもいるということか?

 そのままゼフィールは続けた。

「お前たちからしちゃ関係ないくらい昔の話だが、魔力抗争が集結した200年前、俺たちクロノウィスパー家は魔族へと寝返った。 理由は単純明快、上の判断だ  」

「ウィスパー家の寝返りを許したのはもちろん、魔族神のマルコス・グリモアハート。 それからずいぶん経ち、ウィスパー家もだいぶ魔族に馴染んできていた頃、突然魔族神が亡くなり、後継者が現れた。 それが今の魔族神マルコス・グリモアハートってわけだ。」

「名前が一緒?  ティアは知ってたのか?  」

「えっ!? ボクは直接魔族神と会ったことないからそこまでは知らなかったよ。 ボクらと魔族神は敵対関係に会ったからね  」

 ティアはまさか自分に振られると思わなかったのか、少し焦ったような様子でそう答えた。

「話を続けるぞ。 魔族神はそいつがどんな名前でも継いだものはマルコス・グリモアハートと名乗るらしい。 ただその後継者が厄介で、純血の魔族じゃないと認めないなんて言い始めた。 やつは当時のダークオーダーを指揮して、内密に寝返ったウィスパー家を消していったんだ  」

「なんて……ひどいっ! 」
 普段穏やかなミアでさえ顔が真っ赤になるほど頭に血が上っているようだ。

「あぁ、俺がもっと早く気づいていれば……。  もうその頃にはもう半分近くの仲間が消された後で、俺の家族だって――っ! 」

 ドンッ――

 ゼフィールはテーブルに両手を叩きつけた。

「くっそ! すまん。 あの時のことを思い出すとっ!   」

「ボ、ボクの方こそ、そんなに辛いこと語らせることになってしまってごめんよ  」 

 ティアは申し訳なさそうに肩を落とし、俯いている。 

「いや、こちらこそ取り乱して悪かった。 続き聞くか? 」

 俺たちは仲間内で顔を見合せた。
 ミアとティアは首を横に振っている。
 きっとゼフィールのことを気遣ってだろう。
 そして、それをみたカイルも同じように首を振った。 

 結論は決まったが、一つだけどうしても気になることがある。
 申し訳ないとは思うが、それだけは確認したい。

「いや、ゼフィール今日はよそう。 だけど、あと一つだけいいか? 」

「お~どうした? 」

「エレナのことだ。 あの娘だけ生き残ったことと、今回連れ去られたことは関係あるのか? 」

「……あぁ。 おそらく  」

「ありがとう、ゼフィール! 今日はゆっくり休んでくれよ! 」
 なるほど。
 理由はいくつか思い当たるが、これは憶測に過ぎない。
 それなら確信となるまで、口にしない方が良いだろう。

「お前ら……こっちこそありがとう。 久しぶりに過去の話したからちょっと疲れたみたいだ。  シャドウバレーへの転移門の件、明日でもいいか? もう夜も遅いし、泊まっていけ! 」

 もちろん泊まらせてもらえるのはありがたい
 しかしここが今、夜かどうかも分からないんだけど。

 そう思っていると、
「……そもそも今、夜なのか?  ずっと真っ暗だから全くわからんっ!! 」
 俺の心情をカイルが代わりに聞いてくれた。

 なんか空気的にそんなこと聞くのも……。
 って思っていたからカイル、ナイスだ。

「はははっ! そりゃそうだっ! ここに24時間刻みの時計があるだろ? これで分かる! 」

 さすがに昼も夜も分からないんじゃいつ寝ていいのか分からないもんな。
 ここの人達はこの時計を使って生活しているのか。

 そしてその時計を見ると、

「たしかに、夜の時間か  」

「な? ってことだ。 明日に備えて寝るぞ  」

 ゼフィールのその一言で、俺たちは各自、眠りにつくことにしたのだった。
 
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