無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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4章 ナイトフォール編

街へ

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 さっきまでは日差しが強く朝の陽気を感じていたのに、転移してから一変、辺りは闇に染っている。

「なにこれ……真っ暗  」

 ミアがそう述べたが、全くその通り。
 お互いの顔くらいは把握できるけど、10m先は見えないくらいには真っ暗だ。

 (ここは私の家なんだから無理ないわ。 暗くないと体力使っちゃうのよ。 まぁさすがに街に出ればもう少し明るいと思うけど  )

 そうか、街なんてあるんだな。

「おい! 暗いけどどーするよ!?  」
「そ、そうだよね! どうしよ! 春陽さん! 」
「ええっ! なんかボクも怖くなってきた!! 」

 カイルが煽ったせいでティアとミアまで焦り始めた。
 そして俺に全て投げてくるときたか。

 (どうせあなた、一応は神に属するのだし、どうにかできるのでしょ?  そこの小さいのには難しいだろうけどね  )

「ムキィィィッ!  なんなのさ!!  確かにどうにもできないけどね!? 」

 どうにもできないんだ……。
 そこはどうにかできてほしかったな。
 しかしミッドナイトまで俺に丸投げとは。
 仕方ない。

「そ、そうだなぁ。 じゃあテキトーに光魔法【  ルミナス  】」

 イメージとしては辺りを照らすのみに着目して魔力を取り込んだ。
 だから今、魔法によって創り出されたボーリング玉ほどの光の球体がひとつ俺の右肩の辺りに浮遊している。
 その物体は俺の周囲10メートル以上先までは余裕で照らすことができた。

「おおっ! よく見えるようになったぞ!!  」

「ほんとだ! 春陽さん助かりました……。 ってミッドナイト、こんな何もないところに住んでるの?  」

 ミアはミッドナイトに哀れみの目を向けている。

 そりゃもうここ、ただの洞窟だしな。
 気持ち程度、寝床に見えなくもない笹の葉のようなものの塊はあるけど、それのみだ。

 (う、うるさいわね。 特に不便ないんだからいいでしょ  )

「ミッドナイトダメだよ? ちゃんと栄養のあるもの食べてる?  」

 (食べてます! 食べてます!   )

 ミッドナイトは、ミアの顔を見ずに話を流そうとしている。
 まるで思春期の娘と母親を見ているかのようだ。

 (ほら、さっさと街に行きなさい。  ここを出たら見えると思うから  )

「え、ミッドナイトは? 」
 ミアが少し寂しそうにそう言うと、

 (私は寝るわ。  も、もし急にあなたから呼び出しがあっても体力がなかったら助けられないでしょ?  )

 ミッドナイトはそっぽ向いているが、恥ずかしいのか耳が真っ赤に染まっている。
 要はツンデレ、というやつだな。
 直接言ったら機嫌を損ねそうなため、黙っておくけど。

「ミッドナイト~! 」
 そう言って、ミアは彼女に抱きついた。

 (ちょっ! 早く離れなさいっ! )

 ……いつの間にあんだけ仲良くなってるんだ。
 まぁ気になるが、女同士の仲を踏み入るなんて野暮なことしない方が良いだろう。


 ◇


 あれからすぐミッドナイトとは別れ、俺たちは洞窟を後にした。
 割とすぐに出ることが出来たのもこの光魔法【  ルミナス  】のおかげだ。

「いやぁ外でも真っ暗だな!! 」
「だねぇ……。 でも洞窟よりはマシかな  」

 カイルの言う通り、結局外に出ても真っ暗だったが、洞窟の中とは明らかに違うところがある。
 それはミッドナイトも言っていたが、街があるのだ。
 といっても1キロ以上先だし、何だか普通の街に比べて灯りが少ない気がする。
 少し怖い雰囲気だな。

 そして1番怖いのは街の少し外れで戦闘が繰り広げられていることだ。
 さらにその魔力が魔族のそれに近い。
 それにしても、あの魔族と戦っている人、なんか感じたことある魔力なんだけどなぁ。

「春陽! どうしたの? 」

 ティアが声をかけてきたが、この爆大な魔力量を気にもしていない。

「あれ、みんな感じないのか? 」

「え、何がですか? 」
「うむ~俺も分からんが? 」 

 それはティアだけでなくカイルもミアも感じていないようだ。
 そう状況になって気づいたが、それもそうか、その戦闘はここから数十キロも向こうの出来事だから気づかないのも無理はない。
 どうやら俺は無意識にノクティス様の神技を使っていたらしい。
 だからあんな遠いところまで知覚できたのだ。

 助けにいってやりたいが……街の方からも、同様の嫌な魔力を感じる。

 だからといって何もしないのも自分自身を許せない。

「重力魔法【 ハイグラビティ・ザ・ラスト 】」

 こんな距離だ。
 どこまで効いているか分からないが、魔族側に永続的な重力魔法をかけてやった。
 これで戦況が変わればいいが。

「春陽! 何をしたのだ? 」

 よく分かっていないといった顔をしているカイルに対して、

「あぁ、向こうで誰か戦っているみたいだから重力魔法をかけてやったんだ 」

「おぉ! そんな距離にも使うことができるのか! 春陽に助けられたそいつはきっと運の良いやつだな、ハハハッ! 」

「それもそうかもな 」

 まぁこんなところで魔族と戦うことになっているんだ。
 運が良いのか悪いのか。

 それにしても街からも感じるが、ナイトフォールには日常的に魔族が潜んでいるかもしれない。
 気を引き締めていこう。

 
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