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4章 ナイトフォール編
歳上女性には気遣いを
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それにしても今『アリア』といったが、この人が神アリアなのか?
確かにこんな美人な人間は見たことがない。
神と言われても不思議ではない気がする。
しかし神がこんな堂々と人前に出て大丈夫なものなのだろうか。
「春陽、神様とはこんなに美人なものなのだな! 」
おっ?女性に興味を示さなかったカイルが珍しく顔を赤らめ、鼻の下を伸ばしている。
「ああ、それに関しては同感。 めちゃくちゃ綺麗だよな 」
「もうっ! 春陽さんまで何言ってるんですか! 」
ムスッと頬を膨らましたミアが俺の肩辺りを平手で叩いてくる。
そんな乙女の顔をした彼女に少しキュンとしてしまい、その反動なのか俺の脳内ではアルカナで起こったイベント、頬に口付けが再生された。
おおう、急に恥ずかしくなってきたぞ。
「あれ、春陽! ほっぺが赤いぞ! さてはお前もアリア様に見惚れているのだな? 」
「いやいや違うって! 」
「確かに向きが違うか、ということはミアに見惚れている? ははっ、それはないか!」
こいつ鋭いのか鋭くないのかよく分からんな。
「そ、そりゃミアだって可愛いだろ…… 」
って俺は何を口走って……もう恥ずかしさで顔が燃えてしまいそうだ。
「ふえぇぇぇ!? 」
ミアも突然のことで変な声が出てしまっている。
「おお? 2人はそんな仲なのか? 」
カイルは悪さを全面に出した笑みをしていじってくる。
「ちょっと~そこの3人!! 何遊んでるのさ! アリアに紹介するんだからこっちきてよ! 」
彼女の救いの手……いや一言で会話は途切れ、俺たちはティアの元へ向かった。
よかった、助かった。
気づけばライブも終わっていたようだ。
途中で終了させてしまったのは非常に申し訳ないが、アリア様はその分お客さんに握手やサインなど精一杯のファンサービスを行っており、どこのアイドルよりもアイドルしていた。
「ふう、全員終わったようね 」
一息つき、そのキューティクルなロングヘアーを手でかき上げた。
まるで仕事のできるカッコイイ系女上司みたいだ。
あくまでイメージだが。
「ほんとアリアは相変わらず、人たらしだね~ 」
セレスティアはやれやれといった表情をしている。
「何よその言い方! ちっちゃい身体のくせに! 」
「アリア! 今ボクのサイズ関係ないじゃないか! 」
抱き合ったりいがみ合ったり、忙しい人たちだな。
しかしそれほど色んな表情を見せることができるということは仲が良いということなのだろう。
「ティア! 俺たちにもアリア様のこと紹介してくれよ 」
「ああ、ごめんごめんっ! この3人はね…… 」
ティアが紹介をする前にアリアは、
「まぁまぁ、 積もる話もあるわけだしさ、ウチおいでよっ! 」
とウインクをかましながら、提案してきた。
そうして俺たちはアリアに招かれるままに、自宅まで案内してもらったのだった。
◇
「すごい……アリア、こんなとこ住んでたの!? 」
セレスティアはびっくりしすぎて目も口も開きっぱなしだ。
このウォーターグレイス、洋風の建物が建ち並んでいるとはいえ、人の身長の2倍はあろうブラックアイアンの門扉があるのは周りを見てもこの豪邸くらいだしな。
「まぁ……頑張ってお金貯めたからねっ! 」
いや、そこは神様だからね!ではないのか。
なんで神様が人間の世界で普通にお金を貯めているんだ?
他の街の神様はここまで人と接することはなく、皆それぞれの空間で生活をしていた。
どうもこのアリアという神様、他とは違うようだ。
「すげぇ…… 」
もうこの感想が全てだ。
他に言葉も出てこまい。
「いや、本当にすごいな! しかし春陽、お前は未踏のSSランク冒険者なのだ。 将来こんな豪邸に住むことが出来ると思うぞ! 」
「そうですよ、きっと春陽さんなら……住めますっ! 」
「いやいや、すげぇ……とは言ったけど住みたいとは言ってないぞ?? たしかに夢はあるけどさ1人じゃ寂しくないか? 」
ギィィィッ───
「君たち~早く門扉をくぐりなよ 」
アリアは俺たちを笑顔で……いやたしかに口元は笑っているが、頬はピクピクと痙攣し、額には青筋が張っている。
「春陽さん、独身女性にはそれタブーだよ 」
コソコソとミアは耳打ちしてくれるが、
ギィッガシャンッ───
「聞こえてるよ~。 ほら、早くしないから門扉とれちゃった 」
「「「ヒィィッ! 」」」
3人の悲鳴が重なった。
そしてきっと皆心に同じことを思ったはずだ。
歳上女性への心配りは気をつけよう……いや、アリア様には絶対に逆らわないと……。
確かにこんな美人な人間は見たことがない。
神と言われても不思議ではない気がする。
しかし神がこんな堂々と人前に出て大丈夫なものなのだろうか。
「春陽、神様とはこんなに美人なものなのだな! 」
おっ?女性に興味を示さなかったカイルが珍しく顔を赤らめ、鼻の下を伸ばしている。
「ああ、それに関しては同感。 めちゃくちゃ綺麗だよな 」
「もうっ! 春陽さんまで何言ってるんですか! 」
ムスッと頬を膨らましたミアが俺の肩辺りを平手で叩いてくる。
そんな乙女の顔をした彼女に少しキュンとしてしまい、その反動なのか俺の脳内ではアルカナで起こったイベント、頬に口付けが再生された。
おおう、急に恥ずかしくなってきたぞ。
「あれ、春陽! ほっぺが赤いぞ! さてはお前もアリア様に見惚れているのだな? 」
「いやいや違うって! 」
「確かに向きが違うか、ということはミアに見惚れている? ははっ、それはないか!」
こいつ鋭いのか鋭くないのかよく分からんな。
「そ、そりゃミアだって可愛いだろ…… 」
って俺は何を口走って……もう恥ずかしさで顔が燃えてしまいそうだ。
「ふえぇぇぇ!? 」
ミアも突然のことで変な声が出てしまっている。
「おお? 2人はそんな仲なのか? 」
カイルは悪さを全面に出した笑みをしていじってくる。
「ちょっと~そこの3人!! 何遊んでるのさ! アリアに紹介するんだからこっちきてよ! 」
彼女の救いの手……いや一言で会話は途切れ、俺たちはティアの元へ向かった。
よかった、助かった。
気づけばライブも終わっていたようだ。
途中で終了させてしまったのは非常に申し訳ないが、アリア様はその分お客さんに握手やサインなど精一杯のファンサービスを行っており、どこのアイドルよりもアイドルしていた。
「ふう、全員終わったようね 」
一息つき、そのキューティクルなロングヘアーを手でかき上げた。
まるで仕事のできるカッコイイ系女上司みたいだ。
あくまでイメージだが。
「ほんとアリアは相変わらず、人たらしだね~ 」
セレスティアはやれやれといった表情をしている。
「何よその言い方! ちっちゃい身体のくせに! 」
「アリア! 今ボクのサイズ関係ないじゃないか! 」
抱き合ったりいがみ合ったり、忙しい人たちだな。
しかしそれほど色んな表情を見せることができるということは仲が良いということなのだろう。
「ティア! 俺たちにもアリア様のこと紹介してくれよ 」
「ああ、ごめんごめんっ! この3人はね…… 」
ティアが紹介をする前にアリアは、
「まぁまぁ、 積もる話もあるわけだしさ、ウチおいでよっ! 」
とウインクをかましながら、提案してきた。
そうして俺たちはアリアに招かれるままに、自宅まで案内してもらったのだった。
◇
「すごい……アリア、こんなとこ住んでたの!? 」
セレスティアはびっくりしすぎて目も口も開きっぱなしだ。
このウォーターグレイス、洋風の建物が建ち並んでいるとはいえ、人の身長の2倍はあろうブラックアイアンの門扉があるのは周りを見てもこの豪邸くらいだしな。
「まぁ……頑張ってお金貯めたからねっ! 」
いや、そこは神様だからね!ではないのか。
なんで神様が人間の世界で普通にお金を貯めているんだ?
他の街の神様はここまで人と接することはなく、皆それぞれの空間で生活をしていた。
どうもこのアリアという神様、他とは違うようだ。
「すげぇ…… 」
もうこの感想が全てだ。
他に言葉も出てこまい。
「いや、本当にすごいな! しかし春陽、お前は未踏のSSランク冒険者なのだ。 将来こんな豪邸に住むことが出来ると思うぞ! 」
「そうですよ、きっと春陽さんなら……住めますっ! 」
「いやいや、すげぇ……とは言ったけど住みたいとは言ってないぞ?? たしかに夢はあるけどさ1人じゃ寂しくないか? 」
ギィィィッ───
「君たち~早く門扉をくぐりなよ 」
アリアは俺たちを笑顔で……いやたしかに口元は笑っているが、頬はピクピクと痙攣し、額には青筋が張っている。
「春陽さん、独身女性にはそれタブーだよ 」
コソコソとミアは耳打ちしてくれるが、
ギィッガシャンッ───
「聞こえてるよ~。 ほら、早くしないから門扉とれちゃった 」
「「「ヒィィッ! 」」」
3人の悲鳴が重なった。
そしてきっと皆心に同じことを思ったはずだ。
歳上女性への心配りは気をつけよう……いや、アリア様には絶対に逆らわないと……。
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