無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

文字の大きさ
上 下
65 / 129
3章 空中都市編

神の殺し方

しおりを挟む
 ようやくノクティス様が前向きになってくれた。

「いいか人間ども! ティアたんだけは守るんだぞ? お前たちの命に変えても。 それが教える条件だ! 」

 ミア、カイル、セレスティアとそれぞれ目を合わす。
 俺自身セレスティアに傷ついてほしくない。
 しかしそれはミア、カイル、エレナも同様だ。
 だからお互いがお互いを守れるように死力を尽したいと思っている。
 皆、そう思ってくれればいい……いや、目を合わせた時、全員の覚悟が伝わってきた。
 きっと皆気持ちは同じだ。

「はい! 命に変えても守ります 」
 少しの沈黙があってからノクティス様は口を開いた。
「……わかった、なら明日ここに来い 」

「……あ、明日!?  今じゃなくてですか? 」
「ああ、今日はもう眠い。 それに少し気持ちを整理させろ 」
「……気持ちの整理……ですか? 」
「妹を危険な場所に送り込むんだ。 当然だろ? 」

 ノクティス様は大切な家族のことをこんなにも心配している。
 過度な愛情表現をみて引いてしまったことを今更申し訳なく思ってきた。

 それに、もう少し夜も更けてしまいそうだ。
 今聞いたとしても、行動は明日以降になるだろう。

「じゃあみんな、明日の朝ここに来よう! 」
 皆、快く了承してくれたので、ノクティス様に一度別れを告げスカイタワーを後にした。


 ◇


「なんだ、今日は宿をとったのか! 」
「ああ、2日連続でお邪魔するわけには行かないよ 」
「気にするな! 今からでも来ても大丈夫だぞ! 」
「いや、一度宿に泊まってみたかったんだ 」
「そうか? わかった! じゃあ俺とミアは一度実家に帰るぞ! これから少し長旅になると親にも言わないといけないからな! 」
「そうだな、じゃあまた明日。 ミアもまた明日な 」
「おう! 」
「はい、春陽さんもゆっくり休んでください 」

 ……ということで、俺とセレスティアは宿で泊まることになった。

「春陽~こっち来てさ初めて2人っきりになったんじゃない~? 」

 セレスティアはルンルンとした表情で擦り寄ってくる。
 いや、ティアも可愛いよ?  嬉しくも思う。
 サイズは違うにしろ顔、スタイル共に群を抜いて素晴らしいことだし。
 ただやっぱり欲を言えば同じサイズの美女に擦り寄られる方が……例えばミアとか……。
 っていやいや、こんなことティアに言ったら傷つけてしまう。
 それにエレナだって今どうしているか……。

「……春陽? どうしたの? 」
 俺に反応がないからか、心配した表情で下から顔を覗いてきた。

「……ん、あぁごめん。 エレナどうしてるかなって…… 」

 セレスティアは少し黙りこくってから、
「きっと大丈夫だよ! 彼女を連れ去ったやつが第八席にするって言ったんなら、何もされてないと思う 」

「そうだよな、きっと大丈夫だ 」
「うん、そうだよ、今日は疲れただろうし、春陽はゆっくり休んで 」
「ありがとう、でも寝る前にティアに聞きたいことがあるんだ 」
「聞きたいこと? 」

 そう、今後のための質問だ。
 きっとこれが分からないとエレナを助けることができない。

「ああ、これから必要になること……神と魔族の殺し方だ 」

「……!? ……春陽、ボクもね、そろそろ話そうと思ってたんだ  」
 彼女も俺の質問に一度はびっくりしたものの、すぐに話を続けた。
 
 魔族に関しては、戦った3体、聖属性魔法で倒した経験がある。
 だからこそ魔族を倒せると自負していた。
 それでも尚、第二席には勝てなかったのだ。
 それに、魔族側にも神がいるというじゃないか。
 あのゾルガンという男より強いとなると、手の施しようがない。
 いや……そもそも神を殺せるものなのだろうか。

 「……魔族に関してはごめん、聖属性魔法しかボクも知らないんだ。 でもね神を殺す魔法がある 」

「そ、それって……? 」
 神様に神様を殺す魔法を聞く、そう思うと口がつぐんでしまう。

「『パージ』っていう魔法。 正確には殺すというよりか成仏させるというほうが正しいんだけどね! これには条件があって、神側が死を受け入れないとダメなんだ。 もちろんこの魔法を使うには才能がいるけど、春陽なら心配ないねっ! 」

「なるほど。 神を成仏させる魔法があるのか。 でもさ、魔族の神は死を受け入れないよな? 」

「……その場合は、神が神を殺すしかない。 神には人の攻撃が当たらないんだ  」

 んん……!?
 魔族の神、倒せないじゃないか……。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...