無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

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3章 空中都市編

シリウスside

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 いくら騎士団長をやっていようとも同時に事件が二つ起きれば、同時に解決など不可能だ。

 この街に春陽たちがいてよかった。
 あのもの達になら任せても大丈夫だろう。
 春陽に関してはいうまでもない。
 さらにはカイルとミアといったか、あの2人、魔術対抗試験の第3試験で見たことがある。
 そうなれば実力も保証できることだろう。
 ぜひ卒業後はうちの騎士団に来てもらいたいものだ。

「シリウス様、間もなく到着致します 」
「分かった、皆、注意してかかるように!  」
「「「はい! 」」」

 ちょうど爆発音のした街付近に着いたが、もうほとんどの住民は避難している。
 そして今回の主犯がどこにいるか、一目瞭然で分かった。
 何故なら、街が半壊されているにも関わらず、やつは荒らげた声で、未だに破壊活動を続けているからだ。

 俺は一応話が通じるかどうか試すために声をかける。
 この1週間通じたことなどないのだが。

「おい、やめろ、何のつもりだ! 」
 やつは俺の声に全く反応を見せない。
 まぁそんなもんだろうな。

「仕方ない 」
 俺は腰元につけているエクリプスブレードを抜き、やつへ斬りかかった。

 ザシュッ───

 ドスンッ───

 一応峰打ちのつもりだが、俺が斬りかかった勢いで大きく後方へ吹き飛び、半壊したレンガの山に突っ込んでいった。

「……やった、シリウスさん一撃で倒したぞ  」
「いや、あれくらいじゃやられん 」

 部下はぬか喜びしているが、この1週間、あの類のものと何度か手合わせした。
 やつらは頑丈で凶暴、ああなると気絶するか殺すかしかないが、騎士団という肩書きがある以上、命を葬るわけにはいかない。
 今までのやつらは気絶させ、しばらく拘束しておくと元に戻ったため、現状はそれが最適解だろう。

「ヴヴヴ、ジャマ……スルナァァァ! 」
 そう言って、轟速でこちらへ駆けてくる。

「……もう見慣れたっ! 」

 ドスッ───

「グボォァァ! 」

 俺は自慢のエクリプスブレードでやつの腹部を殴打し、その場で気を失わせた。
 人間でいうと最速の速さで、力も規格外だ。
 しかし本能で暴れているような状態のため、動きも大きく雑で、慣れると見切りやすい。

「うおお、すげーシリウスさん! 」
「お前たちもこれくらいは倒せるようになれ 」

 今のところ、うちの騎士団は逃げ腰のやつが多い。
 少しでも強くなってほしいものだが。
 しかし、春陽たちはもう終わったのだろうか?
 まぁ心配はいらんか。

「へぇ、人間にも強いやついるじゃーん 」

 ……!?
 二階建ての家屋の上にそいつはいた。
 どう見ても9歳、10歳ほどの見た目の女児だ。
 遊びのつもりだろうか?

「おい、危ないから降りてきなさい 」

 怒りを買ってしまったのか、彼女はものすごい形相になり、
「……てめぇ、オレをガキだと思ってんなら、死ぬぞ 」

「なんだ……この魔力 」
 それは今まで感じたことのない魔力。
 俺自体魔力量が確か7500だったか、高い部類だ。
 自分以上の人間をほとんど目にしないが、目の前のこいつはそんな次元じゃない。
 俺の何十倍とかだ、多分。
 というか、差がありすぎて測れない。

「闇魔法【   アビスカース⠀】」
 あの娘の周りには闇の魔力により創り出した無数の球体に囲まれている。
   数え切れないほどの球はボーリング玉くらいの大きさで、球体1つだけでも人間が創れるものではないと、そう感じさせられる。

 せめて部下だけでも逃げる時間を……。
「お前ら、先に逃げろ……!?」
 皆、この魔力量に耐えれなかったのか、気を失っている。
 
「くそ、俺が守るしか…… 」
 そう口にするも、心と体は臆している。
 本能が勝てないと言っているようで、身体は思うように動かず、震えが止まらない。
 これが初めての感情……恐怖というやつか。

「ウチをバカにした罰だ! 死ねや 」
 こちらへ向かってきている闇の球体に当たれば即死か……。

 そう覚悟した時、

「闇魔法【⠀アビスカース  】」

 俺の背後から聞こえたその声と同時に、闇の球体同士、相殺されていく。
 同じ魔法で同じ威力……。
 こんなことができるやつ、俺は1人しか知らない。

「シリウス、ごめん遅くなった! 」
「春陽、謝るのはこちらだ。 そして助かった 」

 アルカナの英雄様、登場だ。
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