無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流

文字の大きさ
上 下
43 / 129
2章 魔術対抗試験編

謎の男再び

しおりを挟む
 炎神級魔法【  ディヴァイン・イグナイトノヴァ⠀】
 この魔法を止めるには、単純に考えると、水魔法を使うのが早いだろう。
 しかし俺は今ここで新しい魔法を使うことができない。
 それは、空気中の魔力が取り込めないからである。
 空気中の魔力には魔法に必要な魔力量を蓄えることができるという意味が大きいが、それだけでなく多大な情報量が込められている。
 俺が今まで必要な相手に対し、適切な魔法が発動できたのは、取り込んだ魔力が情報として俺に最適解を教えてくれていたからである。
 つまり俺は現在魔力を取り込めないわけで、新たな情報を得れず、今まで覚えた魔法で乗り切るしかないのだ。

「この魔法は必中ですよ。 どうするつもりですか? 」
「どうするもこうするも俺に選択肢は多くない 」
「……というと? 」
「突っ込む! 」
 俺は今まで纏っていた無属性のエーテルバフを炎に転換した。
 普通炎に対して水が有効と思うが、現状俺は水魔法の使い方が分からない。
 ならもう1つ有効な方法、それは目には目をというやつである。
 つまり炎には炎ということだ。
 神級の炎に勝てるかは定かでは無いが、一瞬なら突破できるんじゃないかという浅はかな考えである。

「グダグダと考えとらんと早く行け! 」
 ドンッ───
「痛ってぇ! 」
 ライラの強い蹴りである。
 その勢いに乗って俺は炎を纏いながら、神級魔法に包まれている先の通り道に突っ込んだ。

「通させません! 」
 ケビンは青い炎を操り、俺へ矛先を向けてくる。
「もう少しで通れる…… 」
 のにも関わらず、青い炎に囲まれた。
 そしてその熱が伝わってくるが、おそらく俺の纏っている炎と明らかに純度が違う。
 それを喰らうとただでは済まないということだけは今の俺でも分かるのだ。
「くそっ! もう少しだってのに! 」
 逃げ場を塞いできたディヴァイン・イグナイトノヴァはもう俺に直撃する寸前だ。
 ダメ元で出口へ飛び込むがおそらくあと一歩足りない。
 何か一つあれば届く距離にあるが、届かないのが現実。
 大人しく炎に喰らわれる覚悟を決めた時、
「だから早く行けと言ったろう? 」
 誰かに強く蹴られ、その勢いで通り抜けることができた。
 その誰かとは言うまでもない、この場にいる一人。
 もちろんライラである。
「ぐあぁあぁぁぁ!! 」
 魔法を喰らったライラの悲痛な叫びが聞こえてくる。
「ライラァ!! 」
「こんなくだらん魔法には屈さぬ! お前はミアの心配でもしていろ! 」
「……悪い、先に行く! 」
「……ふっ。 それでいいのだ 」

 俺は先へ進んだ。
 空気中の魔力を使えなければ俺は如何に使い物にならないかよく分かった。
 結局ライラの好意に助けられてばかりだった気がする。
 あいつには返せないほど大きな借りができた。
 ……いや、その分ミアを助けるんだ。
 そして俺は通路を進んだ。

 通路を抜けた先に、目的の人物がいた。
「ミア!! 」
 どうやらミアは気絶しているようだ。
 ミアの横には大柄の男が立っていた。
 黒いローブに黒いフード、顔は白い仮面で隠してある。
 以前にも同じ特徴をした男と会ったことがある気がする。
 ……!?
「お前、前もミアを攫った男か? 」
「ほぉ、よく覚えていたな。 しかしお前からはあの時のような強さを感じられないな 」

 ギルド認定試験の日、ミアを攫った大男だ。
 あの時とほとんど同じ格好をしている。
 しかし、なぜこの男がここにいる?
 この地下演習場って転移でしか入れないのでは?

「お前のその顔、なぜこの俺がここにいるのか不思議で仕方ないようだな。 そうだろう? 」
「……ああ、どうしてここにいる? 何が目的だ? 」
「そんな一気に聞いてくれるな  」

「まずどうやって来たか、だが、ミア・ローズの精霊魔法を使った 」
「……言ってる意味が分からない 」
「精霊魔法ってのは精霊を創り出すものではなく、呼び出すものってことだ。 つまり精霊の場所と呼び出すタイミングさえ分かればそれに合わせて召喚場所まで移動できる。 俺はそれを利用した! 」

 どうやらやつはミアが発動した精霊魔法で呼び出した精霊と共にここへ転移してきたようだ。
 つまり計画性があるという可能性が出てきた。

「……とにかく俺の邪魔をするな 」
「邪魔……? 何をするつもりだ? 」
「ミア・ローズとセリア・ウィンドウィスパーの抹殺だ 」

 ……!?
 耳を疑ったが、聞いたことがある名前が2人出てきた。
 しかもその2人を殺すだって?
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...