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2章 魔術対抗試験編
街に潜むもの
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俺たちはギルドへ行く前に校門前で女子組と合流した。
「主様ぁ……どこ行くの? 」
眠そうな目を擦りながらエレナは俺に問いかけるように見つめてきた。
ミアに引っ張られてここまできたときは半分眠っていたような顔をしていたため話を聞いていなかったのだろう。
「エレナちゃん……説明したでしょ? 今からみんなでギルドに行くんだよ 」
「ギルド? 」
「そう、そこで試験を受けると冒険者になって春陽さんといつでもクエスト行けるようになるんだよって、さっき話したところだよ 」
「ミア……。 エレナにどんな説明してるんだよ 」
「ご……ごめんなさい、ミアちゃん春陽さんの名前出さないと動かなくて…… 」
そうは言ったものの、昨日からずっとこうしてエレナをコントロールしてくれてたと思うと頭が上がらないな。
今だってミアは真っ直ぐエレナに向き合ってギルドの説明をしてくれている。
「主様、早くギルド?行こうよっ! 」
ギルド?と、?マークが語尾に付いていそうな言い方をするところ、あまり内容については分かっていないような気がするがミアの説得の甲斐があってエレナは前向きになってくれたようだ。
あとはセレスティアだが、朝から見かけてないな。
「……あ、セレスティア様はアーカシス様と話があるそうです 」
神同士の話ならば仕方あるまい。
今日は別行動だな。
エーテル魔術学院はアルカナの東部に存在し、ギルドは中央の市街地にあるらしい。
ということは俺たちが入ってきた入口は東寄りだったわけか。
現在地点はもちろん魔術学院のため、市街地まで行かなければならない。
一応徒歩20分程度で行けるようで、俺たちは問題なく足取りを進めていった。
俺たちは東部から市街地までやってきた。
カイルが言うにはもうすぐギルドに着くらしい。
とりあえず着いたら冒険者申請と試験を受けるんだったな。
魔術試験までの腕試しみたいでなんだか少し楽しみだ。
───!?
今、殺気みたいなものを感じた。
エメラルド・ヴェールでリリスと戦った時のものに近い。
つまり本気で殺す相手に向ける、それに違いない。
どうやらエレナ、カイル、ミアも同じく気づいたらしく全員周りを見渡している。
「……今、殺気を感じた……よな? 」
「ああ! かなり強い殺気だ! 魔力もかなりのものだぞ! 」
「主様、もしかしたら魔族かも…… 」
なぜ魔族がここに!?
でもたしかにリリスと似た殺気を感じたが、もしかしてあの強い殺気は魔族独特のものなのか?
エレナは明らかにいつもと違う様子で怯えているようだ。
無理もない、彼女は過去に家族を殺されている。
エレナの魔力も相当多いように感じるが、おそらく魔族の中では中の下ぐらいなのかもしれない。
なんにせよ、この子は俺を頼ってくれている。
俺は身体を寄せて、見つめてくるエレナに対してポンッポンッと頭を撫で、微笑みかけた。
「安心しろ、俺が守ってやる 」
エレナは少し安堵しているようだ。
彼女は安心した様子を見せたが、すぐに表情が曇り始め、あちこちを見渡している。
「エレナ、どうし……!? ミア? ミアがいない! 」
しくじった! 街の中だから油断したのか、殺意に紛れてミアの魔力が薄れていくことに気づかなかった。
おそらくミアが自分から離れていった、もしくは連れ去られたかだと思う。
「うっ……春陽……。 ミアが……連れ去ら……れた 」
「カイル! お前、その傷どうした……? すぐ治してやる! 」
俺は傷だらけで横たわっているカイルに治癒魔法をかけた。
街を見渡すとこちらの事態を見ていたのか、ザワザワしている。
「すみません! 女の子が攫われたんです! 誰か見た人は居ませんか? 」
すると、街の人達は俺に目を合わせようとせず、俯いたり、避けてこの場を離れようとしたりと明らかに様子がおかしい行動をしている。
なんでだ。この街の人は何か知ってるのか?
「春陽……治療ありがとう ここ市街地では最近事件が頻発しててな、もしかしてその犯人がミアを…… 」
「事件? なにがあったんだ? 」
カイルの話をまとめると、
ここ最近、街に魔族が出たと噂されているらしい。
どうやら俺たちが来る前からの話のようだし、エレナのことではないようだ。
そいつは黒いローブを羽織り、フードで顔を隠しており、この街のウィスパー家を中心に狙っているのだ。
具体的には行方不明になり、その数日後死体として現れる。
魔族にしては地味なやり方だな。
しかし、魔力障壁もあるのにどうやって魔族が?と思ったが、そういえばアーカシスが魔力障壁をこの街に張る前、魔族が現れたとか言ってたな。
その生き残りか、あるいは魔族独自の侵入方法があるのか。
ただの噂だと良いが、エレナは魔族かもしれないと言っていた。
俺自身も魔力を感じたわけだし、魔族と思って行動した方が良いだろう。
「今の話が本当なら、ミアも殺される可能性が高いか? 」
「ああ! ミアはローズ家という貴族令嬢にあたる。 狙われても不思議じゃない! 」
「なら急がないとな。 すぐに見つけてやる。 エレナ! 力を貸してくれ! 」
「うん!! 」
俺はエレナの力を借り、これから新たな力を試すのだった。
「主様ぁ……どこ行くの? 」
眠そうな目を擦りながらエレナは俺に問いかけるように見つめてきた。
ミアに引っ張られてここまできたときは半分眠っていたような顔をしていたため話を聞いていなかったのだろう。
「エレナちゃん……説明したでしょ? 今からみんなでギルドに行くんだよ 」
「ギルド? 」
「そう、そこで試験を受けると冒険者になって春陽さんといつでもクエスト行けるようになるんだよって、さっき話したところだよ 」
「ミア……。 エレナにどんな説明してるんだよ 」
「ご……ごめんなさい、ミアちゃん春陽さんの名前出さないと動かなくて…… 」
そうは言ったものの、昨日からずっとこうしてエレナをコントロールしてくれてたと思うと頭が上がらないな。
今だってミアは真っ直ぐエレナに向き合ってギルドの説明をしてくれている。
「主様、早くギルド?行こうよっ! 」
ギルド?と、?マークが語尾に付いていそうな言い方をするところ、あまり内容については分かっていないような気がするがミアの説得の甲斐があってエレナは前向きになってくれたようだ。
あとはセレスティアだが、朝から見かけてないな。
「……あ、セレスティア様はアーカシス様と話があるそうです 」
神同士の話ならば仕方あるまい。
今日は別行動だな。
エーテル魔術学院はアルカナの東部に存在し、ギルドは中央の市街地にあるらしい。
ということは俺たちが入ってきた入口は東寄りだったわけか。
現在地点はもちろん魔術学院のため、市街地まで行かなければならない。
一応徒歩20分程度で行けるようで、俺たちは問題なく足取りを進めていった。
俺たちは東部から市街地までやってきた。
カイルが言うにはもうすぐギルドに着くらしい。
とりあえず着いたら冒険者申請と試験を受けるんだったな。
魔術試験までの腕試しみたいでなんだか少し楽しみだ。
───!?
今、殺気みたいなものを感じた。
エメラルド・ヴェールでリリスと戦った時のものに近い。
つまり本気で殺す相手に向ける、それに違いない。
どうやらエレナ、カイル、ミアも同じく気づいたらしく全員周りを見渡している。
「……今、殺気を感じた……よな? 」
「ああ! かなり強い殺気だ! 魔力もかなりのものだぞ! 」
「主様、もしかしたら魔族かも…… 」
なぜ魔族がここに!?
でもたしかにリリスと似た殺気を感じたが、もしかしてあの強い殺気は魔族独特のものなのか?
エレナは明らかにいつもと違う様子で怯えているようだ。
無理もない、彼女は過去に家族を殺されている。
エレナの魔力も相当多いように感じるが、おそらく魔族の中では中の下ぐらいなのかもしれない。
なんにせよ、この子は俺を頼ってくれている。
俺は身体を寄せて、見つめてくるエレナに対してポンッポンッと頭を撫で、微笑みかけた。
「安心しろ、俺が守ってやる 」
エレナは少し安堵しているようだ。
彼女は安心した様子を見せたが、すぐに表情が曇り始め、あちこちを見渡している。
「エレナ、どうし……!? ミア? ミアがいない! 」
しくじった! 街の中だから油断したのか、殺意に紛れてミアの魔力が薄れていくことに気づかなかった。
おそらくミアが自分から離れていった、もしくは連れ去られたかだと思う。
「うっ……春陽……。 ミアが……連れ去ら……れた 」
「カイル! お前、その傷どうした……? すぐ治してやる! 」
俺は傷だらけで横たわっているカイルに治癒魔法をかけた。
街を見渡すとこちらの事態を見ていたのか、ザワザワしている。
「すみません! 女の子が攫われたんです! 誰か見た人は居ませんか? 」
すると、街の人達は俺に目を合わせようとせず、俯いたり、避けてこの場を離れようとしたりと明らかに様子がおかしい行動をしている。
なんでだ。この街の人は何か知ってるのか?
「春陽……治療ありがとう ここ市街地では最近事件が頻発しててな、もしかしてその犯人がミアを…… 」
「事件? なにがあったんだ? 」
カイルの話をまとめると、
ここ最近、街に魔族が出たと噂されているらしい。
どうやら俺たちが来る前からの話のようだし、エレナのことではないようだ。
そいつは黒いローブを羽織り、フードで顔を隠しており、この街のウィスパー家を中心に狙っているのだ。
具体的には行方不明になり、その数日後死体として現れる。
魔族にしては地味なやり方だな。
しかし、魔力障壁もあるのにどうやって魔族が?と思ったが、そういえばアーカシスが魔力障壁をこの街に張る前、魔族が現れたとか言ってたな。
その生き残りか、あるいは魔族独自の侵入方法があるのか。
ただの噂だと良いが、エレナは魔族かもしれないと言っていた。
俺自身も魔力を感じたわけだし、魔族と思って行動した方が良いだろう。
「今の話が本当なら、ミアも殺される可能性が高いか? 」
「ああ! ミアはローズ家という貴族令嬢にあたる。 狙われても不思議じゃない! 」
「なら急がないとな。 すぐに見つけてやる。 エレナ! 力を貸してくれ! 」
「うん!! 」
俺はエレナの力を借り、これから新たな力を試すのだった。
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