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第33話 合格したもの

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『第3級ハンター試験、合格者は……鳴上大我、天城サラ、リュウの3名っ!』

 合格者の名が全員呼ばれた瞬間ボク達は感極まって、

「「「うおぉーーーーっ!!!」」」

 柄にもなく大声で叫んでしまった。
 でも嬉しそうな2人の表情を見るとより嬉しくなってくる。
 これが仲間ってやつなのかな、父さん。

"うおおおおっ!!!"
"さすが俺らのシルバー様"
"俺は初めからそうなること知ってたけどな"
"やっぱりあのヤバいモンスターと出会って生きて帰ってきたんだもんな"
"充分3級ハンターになる資格あり"
"てかあのサラって女の子可愛いな"
"喜びのあまりおっきい声が出てしまって恥ずかしいよって顔してる"
"恥じらう女性、いいですね"
"スタイルもいいし、あのか弱い感じ男受け絶対いいわ" 

『ここで合格した3名は本当におめでとうございます。この時点で合格できた理由は言うまでもありません。7階層にて未知のモンスターと遭遇し、生き残ったからです。もちろんAI撮影ドローンにそのデータも残っています。さらにそれだけでなく護衛ハンター飛田からの報告では、そのモンスターを仕留めたとのことでした。残念ながらその場面は激しい戦闘の中でドローンが壊れてしまったため確認はできませんでしたが、あのモンスターは高い知能を持ち、ハンターから奪った帰還石で地上へ出ようとしていました。つまり今地上に被害が出ていない、これこそがあのモンスターが倒されたという動かぬ証拠。よって私達ハンター協会は以上3名をこれより3級ハンターと任命することと致しますっ!!』

"は……?"
"今なんて言った?"
"仕留めたってマジ?"
"そもそも言葉を話すモンスターなんて異例なのにそれを試験中に倒したの?"
"さすがにデマすぎて草"
"いや、シルバーならワンチャンありえるぞ"
"そんなことさすがのシルバー様でも……あり得るか"
"今のところ秦、ケンタと上位のハンターをタイマンで倒したって実績があるもんな"
"そもそも今回の相手が未知すぎて比較ができんw" 

 ハンター協会からの説明によりさっきまではボク達の合格に対して良い顔をしなかった人、「なんであいつらだけ」と納得していなかった人は揃って拍手を送ってくれた。

「まぁたしかに俺じゃ死んでるわ」
「君たちすごいな!」
「おめでとう!!」

 賞賛の言葉と共に。

「みんなありがとうっ!! ボク、頑張るよっ!」

「よっしゃ、これで俺も1人前のハンターに近づいたぜっ!!」

「み、皆さん……ありがとうございますっ!」

 ボク達が声援に対して返答し終えた頃、周りは何故か視線は違う方を向いていた。
 周囲は視線の先を見て、ざわつきを隠せずにいる。

 なんだろう、とボクもその方向へ目をやると知ってる人がこっちを見つめていた。
 知ってる人なんて言い方が悪いか。
 ボクの人生を変えてくれた人、玲奈だ。

「リュウくーーーんっ!!!」

 ボクを見つけたと思えば、直後ダッシュで駆けてきた。

"レナだ"
"愛するシルバー様に会いに行ったのか"
"どうりで今日は外でお散歩生配信してたわけだ"
"シルバー様を待ってたわけですね、わかります"
"シルレナ久々だな"
"↑お、俺はまだそんなの認めてねーからなっ!"
"走ってるレナたん可愛い"
"走ることで揺れてるな。何がとは言わんが"
"あぁ、揺れてるぞ。俺達の心がな" 

「レナチャンネルのレナじゃん」
「学園でたまに見るけど、お高くて声かけらんねーよ」
「俺は初めて生で見たわ。めっちゃ可愛いな」

 やっぱり玲奈は地上で人気者なんだね。
 とびきり可愛いのはボクもよく知ってるけどそれにしても注目がすごい。

「玲奈ーっ! 久しぶりな感じがするねっ!! 元気だった?」

 ボクの目の前まできた玲奈はプクッと頬を膨らませて、

「こっちはすごい心配してたって言うのに……っ!」

 可愛い顔でそう言ってきた。

 あれ、なんだかムクれているみたいだ。
 どうしよう。

「玲奈、心配駆けてごめんね? 試験では2人にも助けてもらったんだよっ! ……って2人ともどうしたの?」

 ボクは大我くんとサラを紹介しようとしたけど、2人とも何故か言葉を失っている。

「どうしたのって旦那、レナさんがどれだけ有名か知らないのか? 今や登録者100万人超えのトップDチューバーだぞ! 緊張するに決まってる」

「そ、そうですよ……。私達ハンターが憧れないわけがない、そんな方ですから……」

 そっか。
 人気なのは知っていたけどこの2人がここまでたじろぐほどなんて。

「2人とも、そんな畏まらないで? 私も1人のハンターに過ぎないのだし。それよりもリュウくんの力になってくれてありがとうっ!」

「いやいや、旦那にはこちらの方がお世話になりまして……な、旦那?」

 レナと話すのが緊張するのかチラチラとボクを見てくる。
 いつもはあんなに堂々としているのに、大我くんのそんな姿が新鮮で面白い。

「わ、私もリュウさんには助けてもらってばかりで、本当になんとお礼をしていいやら……」

 サラもなんだかオドオドしながら話している。

 そんな2人の様子を見てレナは少し俯き、悲しい顔をしていた。
 よそよそしい感じが辛いのかな。

 ここはボクが仲を取り持って……っ!

「よし、じゃあさ今度みんなでご飯でも行こうよっ! みんな同じハンターなんだしさ!」

 ボクの一言にみんな目を丸くしたが、この提案は意外にも早く実行されていくのだった。
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