未踏のダンジョンで育ったボクが竜の力を使って最強のハンターを目指す話~ハンター学校の令嬢を助けた姿が配信されてシルバー様と崇められる

甲賀流

文字の大きさ
上 下
12 / 34

第12話 これがボクの選んだ武器だ

しおりを挟む


 今から男気バトルという戦いをする。
 それはハンター同士が武器屋の武器を使って戦い、勝った方が双方の使った武器を自腹で購入するというもの。
 たしかそんな説明だった。

 ケンタは座った椅子にふんぞり返ったまま

「お前から武器選んでいいぞ?」

 偉そうにそんなことを言ってくる。
 一体何様のつもりなんだ。
 ボクはそんな試合したいだなんて言ってないのに。

 だけどボクがあの男気バトルってやつを受け入れていなかったら、玲奈がデートとかいうものをして嫌な思いをすることになる。
 彼女を守るためには戦う他ないよね。

「リュウくん、ありがとうね。……いつも私のせいで君が大変な思いをしてる気がする。本当にごめん」

 彼女は消え入るような声でボクにひと声かけてきた。

「大丈夫!  だって玲奈、あの人とデート?ってのが嫌だったんでしょ?  好きな異性とするものならボクもそうするべきだと思うし無理にするもんじゃないよ」

「……ありがとう、リュウくんっ!」

 ボクの言葉を聞いて、彼女の声は少し明るさを取り戻す。

「それに武器も貰えるならありがたいしねっ!」

「でもリュウくん、さっき武器持てなかったけど大丈夫……?」

 たしかにあの時、武器から強い反発を感じたような気がした。
 でもまだ一つしか試してないし……。

「大丈夫だよ! きっとさっきの長刀がダメなだけで、他の武器なら……」

 バチッ――

「痛っ!!」

 次は短い剣ならと思ったけど、まったく同じ反応が武器から返ってきた。

「ブフッ! お前さ、もしかして武器に嫌われちゃってんの? ハンターの才能ないんじゃね?」

 椅子に座っているケンタは腹を抱えて大笑いしている。
 ボク、あの人嫌いだ。

"【悲報】シルバー、武器に嫌われる"
"てか武器に嫌われるなんてことあんの?"
"まぁ武器自身にハンターと同じ『氣』ってのが流れてるらしいし、そういうこともあるんじゃない?"
"俺ハンターだけど、そんな人見たことないぞw"
"ケンタよ、そんなに笑ってやるな笑"

 ケンタの発言は頭にくるけど、本当にそうなのかもしれない。
 武器がボクに触れられることを嫌がっている感じがしたし。
 
「リュウ……武器ってのはな、生きてんだよ」

 孝二さんはボクの肩をポンっと叩く。

「生きてるって?」

「ハンターはここで武器を探すんだが、実は武器がハンターを選んでんだよ。ハンターが自分の中の氣を使って戦うのは知ってるだろ?」

「うん、勉強したから分かるよ。そのエネルギを使って戦うんでしょ?」

「そうだ。本来は武器にも『氣』が流れてるから、お互い惹かれ合うはずなんだ。リュウ、何か感じねぇか?」

「うーん……そうだなぁ~ちょっと待って」

 ボクは店内の武器をくるっと見渡した。
 やっぱりよく分からない。

「リュウくん、コツはグッと集中する感じっ! いい? グッとだよ?」

"グッとしてるレナたん可愛い"
"力入れすぎて顔真っ赤なの好"
"ごちそうさまでした"
"今日のおかず決まりだなwww"
"↑通報しました"

 おそらくその方法を教えてくれているんだろうけど、ちょっと感覚的すぎるよ、玲奈……。
 でも可愛いから良しとしよう。

「グッと? うん……グッとだね。やってみるよ」

 そんな愛らしい彼女に対して分からないとも言えず、再び武器を見渡してみる。

 グッとか……。
 とりあえず武器に耳を傾ける感じでやってみよう。

「あっ」

 つい漏れてしまったボクの声に、ここにある全ての視線が集まった気がした。

「リュウ、感じたか?」
「リュウくん、やっぱり『グッと』だったでしょ?」

 二人は食い気味に問いかけてくる。

 それに答えるよりも実際目で見てもらった方が分かるかなと思って、

「ちょっと待って、取ってくる!」

 うん、確かに声が聞こえた気がした。
 多分……いや確実だと思う。

 ただその武器はここに陳列しているものじゃなくて、あのドアの先だ。
 そう、この店内には出入り口以外にもう一つ扉があった。
 お店に来てから実は気になってたんだけど、もしかしてその武器がボクを呼んでくれてたり?

 どのみちこの先に行けば分かる。

 そう思ってドアノブに手をかけた。

「リュウ! そっちはただの物置だぞ!」

 扉を開くとたしかに物置、武器の材料になるのか鉱石類がいっぱいあったけどその中に一際輝いて見える武器が一つ大切に飾られてあった。
 ボクは孝二さんの言葉を気にせず、それを回収する。
 やっぱりビリビリこない、普通に持てたぞ。

「これだよーっ!!」

「お前……そのガントレット、触れてもなんともないのか?」

 ガントレット?
 この武器の名前のことだね。
 腕に填める形した金属だから使いやすそうだなと思ったけど、なぜか孝二さんからは明るい表情が消えている。

「うん、なんともないよ」

 そう言って、ボクはこのガントレットを片腕ずつ填めてみせた。
 手から前腕まで覆ってくれて、その上堅くて軽い。
 デザインだって黒中心で全体に紫がかったオーラが滲んでいるのもかっこいいな。

「ハハハハッ!!! お前お笑いの天才だな。こんなに笑ったのは久しぶりだぜ」

 そんなボクを見て、ケンタは嘲笑っている。
 ムカつくけどボクが勝てばいい話だ。

「うるさいな! ボクは決めたんだ。次はお前が決めろよ」

「わーったよ。負け確だからって逃げるのは無しだぞ?」

「そんなことしない!」

「ふん、せいぜい哀れな負け方をしない方法でも考えてろ」

 そう吐き捨てて、ケンタは武器を探しに行った。

 待ってる間なんとなくスマホの画面をみると、今配信されている動画のコメント欄が目に入る。

"あれ何?"
"何ってガントレットだって橘商店さんも言ってたろ"
"まぁ使ってるハンターほとんどいないから分からんのも無理ないよ"
"たしかにあんだけリーチが短いと需要ないわな"
"それにあの紫のオーラみたいなの何?"
"呪われてそうで草"
"ダンジョンでモンスターに近距離で拳ぶつけるとか命なんぼあっても足らんww"
"こりゃケンタ勝ち確かもな"
"でも秦をぶん殴ったシルバーなら意外と相性いいかもよ?"
"いや、あれは拳同士だからだろ。武器同士ならリーチ長い方が比較的強いし"
"そうだ。武器持ったハンターは別人だと思った方がいい"

 ボクが選んだこのガントレット、視聴者さんからも嫌われてる?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

おじさんが異世界転移してしまった。

明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか? モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...