未踏のダンジョンで育ったボクが竜の力を使って最強のハンターを目指す話~ハンター学校の令嬢を助けた姿が配信されてシルバー様と崇められる

甲賀流

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第9話 お勉強の日々です

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「……もしリュウくんが良ければだけど、3級ハンター試験受けてみる気はないか?」

 理事長はそう提案してきた。

「3級ハンター試験?」

「あぁ、ちょうど今年の入学者が試験を受ける予定なんだ。リュウくんもそれに参加すればいい」

「それを受けたらダンジョンへ行くことができるの?」

「そうだ。3級ハンターからは授業以外でダンジョンへ行くことができる」

「わかった! ならボクはその試験受けるよっ!」

 その話を聞いていた玲奈も「リュウくんならきっと受かるよ」なんて言って喜んでくれている。

「強いハンターが増えるならまぁ……歓迎だ」

 すると少し離れたところから声がした。
 目を向けると、倒れていたはずの秦があぐらをかいてその場に座り込んでいる。
 彼はゆっくりと立ち上がり、首を右、左と倒して骨を鳴らしながらこっちへ近づいてきた。

「秦、大丈夫?」

 玲奈の声かけに対して彼は「はい、問題ないです」と返す。
 それからボクへと視線を送り、

「ま、まぁ素手の実力は負けたが、武器同士なら負けない。次戦うまでに武器も極めていろ」

「うん、わかった! また戦ってね!」

 それ以上の言葉はなく、秦は背を向けてゆっくり去っていった。


 ◇

 
 それから玲奈が理事長に色々掛け合ってくれて、ボクは学生寮というやつで生活ができるようになったらしい。
 あの模擬戦の後、彼女にボクの部屋を案内してもらった。
 中は狭いけど寝るところはベッドってのがあってフカフカだし、ダンジョンにはなかったテレビ、なんかも置いている。
 一通り説明を受けたけど地上ってこんなに便利なんだね。

 そしてボクと玲奈は今、部屋のテーブルを挟んで向かい合っている。

「さーてリュウくんっ! 今日からしばらくお勉強の時間だよっ!」

「……お勉強? ハンターになるのにそんなのいるの?」

 ボクがそう聞くと玲奈ははぁ、と大きなため息をつき、

「そうなの。3級ハンター試験には筆記試験と実技試験ってのがあってね。実技はいいとして、問題は筆記。リュウくんはまだ地上に来たばかり、地上のことは疎か一般常識も怪しいのに筆記試験なんて……」

 そう言って肩を落とし俯いている。

「玲奈、大丈夫だよ! ボク、ダンジョンのことは誰よりも詳しいからさっ!」

「ほ、ほんと……?」

 玲奈は眉をひそめ、ジト目でボクを見てくる。

「じゃあさ……」

 そう言って彼女は何やら紙をボクに手渡してきた。

「これは何?」

「去年の過去問よ! これが解けるなら問題ないけど、分かる?」

 それに目を通すと、ダンジョンについての問題が書かれてあった。
 この名称を答えなさいやら穴埋めがあったり。
 よく分からない問題も多いけど、知ってるものも多い。
 昔、父さんに解かされたものによく似ている……いや、むしろ同じ問題もあるんじゃないかな?

「玲奈、書くものない?」

「え、あ、あるわよ」

 ちょっと解いてみよう。

 書いてる途中、チラチラ玲奈が紙を覗いてくるけど気にしない。
 ひたすら解いていった。

 そして完成したものを玲奈に渡すと、

「す、すごい……。4割は合ってる。私てっきり字から教えてあげないとなんて思ってたから、ちょっとびっくり……」

 玲奈はボクの渡した紙を見るなり、目を丸くしている。

「へへっ!昔よく父さんに教えてもらったんだ。字の練習と頭の体操に使ってた紙と似てたから解きやすかったよ」

「……!? もしかしてリュウくんのお父さんは初めからハンター試験を受けさせるつもりで……」

「そうなのかな? でも父さんが言うには頭がよくなけりゃ女の子に好かれないって、そんなこと言ってた気がするけど」

「はは……まぁお父さんの真意はわからないけど、これで苦手な問題も分かったし、筆記試験はなんとかなりそうねっ!」

 そして勉強の日々は始まったのだった。
 期間は2週間らしい。
 初めは地上の時間感覚なんて分からなかったから、時間の計算や日の数え方なんてところから教えてもらった。
 それに今、学校は春休みという長期休みで休暇があと1ヶ月もあるらしく、勉強するならうってつけなんだって。
 ボクにとってどれも新鮮な知識で、勉強がとても楽しい。

 それからその後はボクが苦手らしい問題。
 ダンジョンについてはよく分かってるみたいだけど、ハンターが絡んでくる問題に対しては少し疎いようだ。

 例えばダンジョン配信。
 地上では映像を共有して映し出す、そんな技術があってさらにはそれが人々の娯楽となっているらしい。

 スマホなんてものも初めて知った。
 これでその動画ってやつを見たり、知り合いと連絡をとったりできる優れものだ。
 こんなのあるなら早く教えてよ、父さん。

 撮影はAIドローンがしてくれるみたい。
 1人1台学校が配ってくれるというが……なんでダンジョンに行くだけで配信をしないといけないの?

 玲奈にそう質問すると、

 年々ダンジョンは増え続けている。
 その中で調査にかかる費用や人件費が国で賄えなくなっているところに提案されたのがこのDチューブ。
 要はダンジョン攻略を娯楽というコンテンツにして、そこで得た投げ銭や広告収入をハンターの人件費や経費にしようという算段らしい。

 つまりどの方向においてもWIN-WINなのだ。

 そのDチューブが思いのほか強く人々に根付いたことによって、今や任務完了の報告もその攻略した時の映像提出が必須にまでなってしまったほど。

 そんなハンター達がどうやってダンジョンで戦っていくのか。
 それは体に流れるエネルギー『氣』というものを使うらしい。
 氣ってのはとっても便利で、身体強化を行ったり、一部の適性がある人は魔法っていって炎や氷なんかを使って戦う人もいるんだって。
 そういえば玲奈も手から氷を出していたね。

 彼女のおかげでこんなに知識豊富になってしまった。
 ハンターのことがよく分かったよ。


 ◇


 そして2週間後、

 筆記試験は好成績、7割5分という点数を叩きだし、無事に合格することが出来た。

 さらに1週間後には実技試験だ。
 ダンジョン『零』10階層までの攻略が課題らしいから余裕だね。

 でもその前に、ハンターには武器がいるらしい。

 ということで明日は武器を買いに行きます。 
 
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