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28話 武闘家だって魔法に憧れます

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名前 池上 忠いけがみ ただし⚠︎
階級    B級冒険者
職業 アークメイジ
レベル 70

HP  790/790   
MP  249/249     

攻撃力 79          
防御力 109
速度    79
魔攻  249
魔防  216

マナポイント 

▼ 通常パッシブスキル
   【 鑑定Lv5 】【 隠蔽 Lv6 】【 痛覚耐性 Lv3  】【 自動回復 Lv3  】

 専用パッシブスキル
  【  マナチャージ  Lv2  】【 魔力感知 】【マジックシールド  Lv  1⠀】【  マナ回復⠀】

 専用攻撃スキル
 【  炎上級魔法  】 【  雷上級魔法  】 【 雷狼刃 】
  

 強っ!!
 池上さんやっぱり室力者じゃん。
 あと、【  痛覚耐性 Lv3  】と【 自動回復 Lv3  】ってズルくない?

 それとアークメイジって何だっけ!?
 魔道士の最上位職かなんかって紗夜さん言ってたような。
 
 あと名前の横になんかマークがあるけどなんだ?
 俺のステータスにはそんなものないけど。

「海成くん? みんな行っちゃったよ? 」

「あ、ごめんさない! 行きましょ! 」

 そして俺と紗夜さんは少し遅れて異空間へと飛び込んだ。


 ◇


 相変わらず異空間を通っている時の記憶はない。
 気づけばダンジョンに到着しているといういつもの状況。

 ただいつもと違うのは、ダンジョンの様子だ。

 まず自分達以外に人がいる点。
 これはまぁ合同なのだから当たり前なんだけど。
 ここにきた冒険者はみんな同じ場所からのスタートらしい。
 可能性としてバラバラに転移することも考えてはいたが、とりあえず一安心だ。

 そしてもう一つ、これが1番肝心なのだが俺達はダンジョンにきたはず。
 この事実は揺るぎないはずだが、今立っているこの場所が明らかにおかしい。

 森に囲まれている草原。
 そして照りつける太陽。

「なんだこれ――――!!! 」
「どうして外なの!? ダンジョンにきたはずよね!? 」

 俺も驚きのあまり叫びたかったが、先にそうしている人達がいる。
 あー本部から来たらしい魔法剣士の人とずっと傍にいる女性だ。

 なんか自分より騒いでいる人を見たら逆に冷静になるもんなんだな。

 一応その2人を【 鑑定眼 】で見てみると、どちらもD級冒険者らしい。
 しかし名前の横には特になんのマークもなかった。
 するとあの池上にだけついているってことになる。

 これは一度紗夜さんに相談してみるか。

   と思っていると第一声に池上がしゃしゃり出る。

「えーみなさんお揃いになりましたね! 僕も実際には初めて見ましたが、大型ダンジョンは時々外の世界を模して創られていることもあるそうです。おそらくここの広さはかなり壮大。二手に別れて探索したいところですけど、まだここの危険性が分からない限りは全員で行動した方がいいと思いますが、B級冒険者の相羽紗夜さんはどうお考えでしょう? 」

「ええ、そうですね。私もそれがいいと思います。ここは大型ダンジョン。単なるD級ダンジョンだと思わない方がいい 」

「はぁ~さすが相羽紗夜さん。さすがの判断力でですね~! ではそうしましょう。一応僕達もB級なので、是非とも先頭はお任せください 」

 そう言って池上は隣に立っている浦岡の肩を叩いた。
 なるほど、彼もB級なのは間違いない。
 そして浦岡も名前の後に同じマークがある。
 同じギルドの証とかかな?

「わかりました! では私と彼で後方を担当しますね 」

 紗夜さんは俺の服の裾を引っ張って、後方へ向かう。
 それによって前から独立ギルド《翠楼組すいろうぐみ》、レベルアップコーポレーション本部、第2支部という隊列ができた。

「さぁ皆さん進みますねー! 」

「「はい、お願いします! 」」

 列の中心、本部の2人から元気な声が聞こえた後、俺達は森の中へ足を踏み入れた。

 森の中にはE級ダンジョンでは見たこともないモンスターばかり。
 ここまで高頻度でモンスターが現れているが、今のところなんの問題もない。


 グロウフラワー L v 22 HP   480/480 MP    30/30 

 《スキル》
  【 光合成 】【 グロウウィップ 】


 また現れた。
 人型の木だ、しかも大きさは大人の人間サイズ。
 しかも根っこが足なんだろうが、ちゃんと2本足あるところ人間に寄せててキモい。

 俺達の行く手を阻むように目の前に3体の同個体が並んでいる。

 しかし前に立った時点であのモンスター達は無惨に散っていくだろう。

「【 炎上級魔法 】発動! 」

 先頭の池上から放たれた巨大な炎の球体は正面にいるモンスターを根絶やしにしている。
 こうやって俺達はここまできたのだ。
 いいな……魔法便利そう。
 俺、武闘家だから関係なさそうだけど。

 ちなみにこの属性+階級の魔法にはアニメや漫画で聞く【 ファイアボール 】みたいな正式名称はないらしい。
 なら何において中級、上級と分け隔てているのかというと、生み出せる物質の総量と自在に扱える力量である。
 つまりさっきは球体であったが、あれを角ばらせたり、長くしたりと変幻自在というわけだ。
 もちろんそれにはかなりの鍛錬が必要らしいが、現状魔法を使えない俺にはよく分からない。

「ふぅ。この辺のモンスターは大したことなさそうですね。皆さん、もう少し進んでから休憩にしましょう 」

「「はい、わかりました! 」」

 池上の実力を見て、もうすでに本部出身の2人は彼に従順である。

「後ろの2人もいいですね? 」

 俺と紗夜さんから返事がなかったから再度確認の声がかかった。

「はい、大丈夫です! 」

 もう30分近くは探索している。
 俺としてもこの張り詰めた空気に少し疲れたし、休憩は大いに賛成だ。
 しかし紗夜さんは何か考え込んでいる。

 未だ返事がない紗夜さんに、先頭の2人は奇異そうな顔を浮かべているため、

「紗夜さん! この先で休憩しますけど大丈夫ですか? 」

 代わりに俺が声をかけた。

「え!? あ、うん、大丈夫! 」

 その返事が先頭まで聞こえたのか、

 「はい、では皆さん! もう少しだけ頑張ってください! 」

 その掛け声で、この列は再び動き出した。

 にしてもさっきの紗夜さん、様子がおかしかったな。
 何か気になっていることでもあるんだろうか。
 俺に話せるか分からないが、聞くだけ聞いてみよう。

「海成くん……  」

 そんな彼女から突然声がかかった。

 俺達通じ合ってるのでは……とかふざけてる場合じゃないな。

「紗夜さん、どうしました? さっきからぼーっとしてますけど? 」

「あの池上って人、どう思う? 」

 彼女は少し声のトーンを落としてそう口にした。 
 その言葉や表情からは何か疑念を抱いている、そんな感情が伝わってきた。
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