上 下
19 / 47

19話 マジックブレイカーって楽しいね

しおりを挟む
 異空間を通った先に広がる景色、それは少し薄暗い遺跡のような場所だった。
 しかし中はしっかり整備されていますと言わんばかりに綺麗なキューブ状となっている。
 天井もまぁまぁ高く、広さだって20畳から30畳くらいあるんじゃないだろうか。

 そして先へ続く通路がひとつ。
 

 あ、そうだ!
 モンスターがいないうちにステータス確認するか。

「ステータス!  」

名前 戸波 海成
階級 E級冒険者
職業 マジックブレイカー
レベル 40

HP       490/490
MP       49/49

攻撃力 84
防御力 84
速度  84
魔攻  49
魔坊  49

マナポイント 157

▼ 通常パッシブスキル(残りポイント1670)
  【   身体強化 Lv 7   】  【  隠蔽  Lv  10  】  

 専用パッシブスキル
  【 不屈の闘志 】 【  自動反撃  】【   鑑定眼 Lv 1   】 
 【  魔力吸収  】  【 貯蔵 Lv 1 】

 通常攻撃スキル
 【 正拳突き 】
  
 専用攻撃スキル
 【  アークスマッシュ  】【  疾風烈波  】

 貯蔵スキル
 【 咆哮 】


 いやー増えたね。
 なんかマジックブレイカーに転職して、スキル欄も大きく変わったし。
 しかし上位職のことを隠すとなると、紗夜さん含めた同僚の前じゃほとんどが使えないよな。
 まぁだから通常の【 正拳突き 】を覚えたんだが。

 本部の人に鑑定されたらマズイと思ってたけど、なぜか転職した時に【  隠蔽  Lv  10  】を獲得していた。
 そしてそれによって俺の職業は【  鑑定  】を行ったとしてもスキルLv  10ではない限り武闘家に視えるように設定し、覚えたスキルもほとんど隠してある。
 さらにはレベルまで偽れるらしく、一応30以下になるように調整した。
 これはニューロヴォアから身を守るためである。
 高レベルだと喰べられるってアイリーンが言ってたし。
 
 このスキルは転職したから覚えたのか、それともあのレベルラビットの贈り物とやらに同封されていたのか。
 未だに疑問点が多すぎる。
 瑠璃に確認したいと思ってたけど、最近はずっと紗夜さんと一緒で彼女と会う暇がなかった。

 スタスタスタッ――

「……!? 誰か来る? 」

 この先の通路から足音が聞こえてくる。
 聞く感じ1体、2体……まぁそんなに数はいなさそうだ。
 それに二足歩行っぽいし、人型かな?

 そしてそいつは姿を現した。

「あれは……  」


 ゴブリン L v 10 HP   220/220 MP    10/10 

 《スキル》
  なし


「よし、ゴブリンが3体ってところか。 あれならいけるっ! 」

 本当にこの眼は助かる。
 【   鑑定眼 Lv 1   】 にスキルが進化したことで、敵の情報をより正確に視ることができるようになった。
 ただ一つ問題という問題ではないが、このスキルのレベルを上げるのに2000スキルポイントが必要なんだよな。
 今のままで便利だからこそ大きな問題ではないんだが。
 ただ、そんな多大なスキルポイントを消費するのだ。
 一体どんな費用対効果があるかには興味がある。
 
「ア――ッ!! 」

 そんな中、甲高い奇声を上げながらゴブリンは3体同時に攻めてきた。

 そして中でもわずかに速度が速い1体のゴブリンが俺の目の前まで到達し、持っている棍棒を振り下ろしてくる。

「うん、やっぱり遅いな 」

 問題なく避けることができる速度。
 そして俺のスキル自身がそれを攻撃と判断した。
 つまりこの時に専用パッシブスキル【  自動反撃  】が発動するのである。
 
 俺の身体はその棍棒をあえてギリギリで避けて、最短で間合いを詰めた。
 これは相手に攻撃をするため最も効率的な動きをスキルが教えてくれるのだ。
 なんというか、反射的に動いている感覚に近い。

 あまりに迅速な動きだからかゴブリンの懐に俺の拳をぶち込む瞬間、まだ棍棒を振り下ろし終えていなかった。

 ドスッ――

 その鈍い打撃音を響かせるとすぐ、ゴブリンはポリゴン状となって消えていく。

 それからまもなく残りのゴブリンも攻めてきた。
 仲間がやられたからか、ヤツらの顔から焦りのようなものを感じる。

「「ア――ッ!!!  」」

 残りの2体にも変わらず、攻撃を避けてぶっ飛ばすというカウンター方式で倒し切った。

「よっしゃ――っ! やっぱり能力を隠さず戦うのは気持ちいいなぁ!!  このまま気を抜かずに先に進むぜ  」

 そう、俺はいつも紗夜さんに「ダンジョンでは気を抜いちゃダメだよっ!  」と注意されているのだ。

 それともう一つ紗夜さんに言われていること。
 それはアイテム回収を怠らない。

 初めてダンジョンに行ったときにも気づいてはいた。
 モンスターを倒した位置に、そいつと同じ色をした正立方体の物質が転がっていることを。

 いや、でも爆弾かもしれないじゃん?
 毒かもしれないし。
 何も知らないより怖いことはない。
 故にガン無視をかましていたのだ。
 
 この2週間で教えてもらったが、それに触れれば自分のステータス画面から開けるインベントリへとアイテムは収納される。

 どうやらそのアイテム、本部で売れたり武器を作ったりできるらしいがまだやったことはない。
 そのうちやってみたいものだ。

「ま、アイテム拾って先行くか  」

 俺はさっきのモンスターが消えた位置へ向かい、そいつが落としたのであろうアイテムに触れた。

 パリンッ――

 もうだいぶ見慣れたがこうやってアイテムに触れると、モンスター同様にポリゴン状となり散っていくのだ。。

 そして俺は道を進んでいった。
 
 
 ◇ 

 
 目の前には豪華な両開きの扉。

 ずいぶん奥まで来たな。

 つーことでゴブリンを倒すのも飽きてきたし、この奥がボス部屋であってほしい。

 俺がその扉に近づくと、

 キィ――――ッ

 扉らしい音を奏でて自動で開かれていく。

 冒険者を感知しているのか、ダンジョンの扉には時折自動で開くものがある。
 ダンジョン七不思議なんてものがあるのなら、そこに殿堂入りするほどの謎だ。
 いや……7つじゃ絶対に済まんけどな。

 とりあえず進もう。
   俺の両足がちょうど扉を過ぎてすぐ、

 バタンッ――

「え……。ここ閉まるのも自動ですか?  」

 そんなの聞いてない……いや攻略中、紗夜さんが言ってた気がする。
「そーゆー扉もあるから気をつけてね  」って。

 油断してました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

冤罪で自殺未遂にまで追いやられた俺が、潔白だと皆が気付くまで

一本橋
恋愛
 ある日、密かに想いを寄せていた相手が痴漢にあった。  その犯人は俺だったらしい。  見覚えのない疑惑をかけられ、必死に否定するが周りからの反応は冷たいものだった。  罵倒する者、蔑む者、中には憎悪をたぎらせる者さえいた。  噂はすぐに広まり、あろうことかネットにまで晒されてしまった。  その矛先は家族にまで向き、次第にメチャクチャになっていく。  慕ってくれていた妹すらからも拒絶され、人生に絶望した俺は、自ずと歩道橋へ引き寄せられるのだった──

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

処理中です...