上 下
14 / 47

14話 この強さこそ冒険者の醍醐味だ

しおりを挟む
 果たしてこの数のコボルトと親玉を同時に相手できるのかと、そんなことを思っていたが、どうもコボルトロードの方はその場に座り込んでいる。

 そして何体かのコボルトがボスの元へ行き、手当のようなことを行っているみたいだ。
 あれは手当というか……まぁそうなんだけど、魔法みたいなものを使っているような。
 それはキラキラしたものに包まれて傷口がみるみるうちに塞がっている。よくゲームでみる『ヒール』ってやつか。

 一方、こちらはコボルト部隊の残党が処無しに突っ込んできていた。

 くっそ、一体一体は大したことないのに、大人数になるとここまで厄介とは……。

 しかしありがたいことに、一体を吹き飛ばせば、後ろにいた数体も巻き添えになる。
 このやり方を活かしながら、なんとかダメージを最小限に抑えることができた。

 HP  162/350

 それでもこの数相手だ。
 さすがにノーダメージというわけにはいかず、HPも半分を切ってしまった。
 まだ半分近くのコボルトが残っているのにだ。

「これやばいなぁさすがに。ステータスさん、なんとかならんかね~ 」

 (……では《ネクサリウス型レベルラビットからの贈り物》を使用しますか? )

 あれ、なんとなしに呟いた言葉にこのAIさん反応してくれたのか。
 そしてなんかアイテムっぽいものを勧められている。
 あ~たしかレベルラビットの報酬かなんかでもらったんだっけ。
 となれば怪しいものではないはず。
 よし、ものは試しだ。

「よし、ステータス! その贈り物、使うぞ 」

 (《ネクサリウス型レベルラビットからの贈り物》を使用します )

 《鑑定  Lv  1が鑑定眼 Lv  1に進化しました》

 《隠蔽  Lv  10を獲得しました》

 《スキルポイントを獲得しました》

 《武闘家からマジックブレイカーに無条件で昇格できます。実行しますか?》

 なんだ、武闘家が進化するのか?
 なんにせよ、強くなるなら大歓迎だ。
 もちろん答えは決まっている。

「ステータス、答えはYESだ! 」

 (かしこまりました )

 すると、何か強い光に全身が包み込まれて……ってこんな無防備な状態なのにコボルトがめっちゃこっち向かって来てんだけど!?
 変身中は攻撃して来ないって小さい時仮面ライダーとか魔法少女的なもの見て学んだよ?

「「「ガウウウ」」」

「やばい、やられるっ! 」

 (パッシブスキル《自動反撃》を発動します 敵が多数のため攻撃スキル《疾風烈波しっぷうれっぱ》を発動します)

 なんだ、身体が勝手に……。
 なぜか拳を前に突き出したかと思えば、前方広範囲へ鋭利な爆風が吹き荒れた。
 もちろんそれに巻き込まれたコボルト部隊は一体残らず、切り刻まれながら吹き飛んでいった。

 おぉ、これが攻撃スキル。なんだか分からないが勝手に事が運んだ。そして、事態に遅れて通知が鳴り始める。

 《武闘家からマジックブレイカーに昇格しました》

 《専用パッシブスキル【 自動反撃 】を獲得しました》

 《専用パッシブスキル【 魔力吸収 】を獲得しました》

 《専用パッシブスキル【  貯蔵  Lv  1】を獲得しました》

 《専用攻撃スキル【アークスマッシュ】を獲得しました》
 
 《緊急時のため、攻撃スキル【疾風烈波】を獲得しました》

 《レベルアップしました》

 《レベルアップしました》

 よし、なんとか生き延びたぞ。レベルも上がったし、スキルも増えた。

 そして、ちょうどコボルトロードの休息も終わったようだ。

 あれ?唱えていないのに、やつの情報が視える。


 コボルトロード L v 29  HP   1055/2090 MP    35/35 

 《スキル》
 【 群れの放流 】 【 咆哮 】 【 主の剣撃 】


 しかもさっきより情報が明確だ。なにしろHPが視えるってのがありがたい。

 向こうも戦闘状態に入っており、いつでも襲えるぞといった格好をしている。よし、いつでも突っ込んでこい!

 そんなことを思っていると、

「ガーーーーーーーーッ!!! 」

 今回の咆哮は今までと違い鋭く、それはまるで斬撃かのように具現化して飛び交ってきた。

「うわっ! まじか! 」

 そんな時、またしても自らの身体に異変が起こる――
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

新しい自分(女体化しても生きていく)

雪城朝香
ファンタジー
明日から大学生となる節目に突如女性になってしまった少年の話です♪♪ 男では絶対にありえない痛みから始まり、最後には・・・。

処理中です...